JPH04110765U - 紡績用ノズル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 空気紡績ノズルの第二ノズルを通過した糸に
対し更に旋回力を加えることにより、糸づらのすぐれた
柔軟性に富む結束紡績糸を紡出することのできる紡績用
ノズルを得る。 【構成】 第一，第二ノズルを仮想中心線を同一にして
直列に列設した紡績用ノズルの該仮想中心線上に、糸通
路を有するバル―ニング・コントロ―ル・パイプを第二
ノズルの糸出口部に第二ノズルの糸通過管と同軸配置で
装着し、第二ノズルの糸通過管内を旋回しながら通過し
た糸を更にバル―ニング・コントロ―ル・パイプの糸通
路内で旋回せしめその内周面に接触し、巻付繊維の量を
減少して表面平滑な柔軟性に富む結束紡績糸を生成す
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、紡績用ノズル、即ち結束紡績装置においてドラフト済み繊維束に結 束紡績特有の撚をかける工程が行われるノズルに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

結束紡績装置においては、図３に示したように、互いに反対方向の旋回気流を 発生する第一ノズル１および第二ノズル２を小間隙３を設けて直列に繋いだ結束 紡績ノズル４により、ドラフト装置のフロントロ―ラ５から供給される糸Ｙに撚 をかける紡績が行われる。第一ノズル１内の糸通過管６には、該糸通過管６の仮 想中心線Ｌ₁ に向け斜に、且つ、該糸通過管６の接線方向に圧空噴出孔７が設け られ、圧空噴出孔７から糸通過管６に圧空を噴出することにより、糸通過管６内 に旋回吸引気流を生じさせ、糸導入管８の吸入開口９から糸通過管６に糸Ｙの吸 込を行っている。

【０００３】 また、第二ノズル２の糸通過管10にも該糸通過管10の接線方向に圧空噴出孔11 が設けられ、糸通過管10内に旋回気流を生じさせている。上記圧空噴出孔７と圧 空噴出孔11とはその旋回方向を逆にし、上記旋回気流により第一，第二ノズル１ ，２内で繊維束に発生するバル―ニングの向きは逆となる。

【０００４】 このとき第二ノズル２内で発生する空気流は糸通過管10の内周面に沿って旋回 しつつ排出される結果、糸Ｙも糸通過管10の管内周面に接触旋回し巻付繊維を生 成する。

【０００５】 然しながら糸通過管10の入口側においては旋回気流の旋回力が大きいため、空 気層に災いされて糸と糸通過管10の内周面との接触は充分に行われ難く、出口側 に至る程接触が増加する傾向が認められるけれども、従来の第二ノズル２におい ては糸通過管10の長さが短いため、図４に示すような表面が平滑でない所謂糸づ らの悪い柔軟性に欠ける結束紡績糸Ｙ₁ が生産されるといった現象がしばしば認 められた。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、空気紡績ノズルの第二ノズルを通過した糸に対し、更に旋回力を加 えることにより糸づらのすぐれた柔軟性に富む結束紡績糸を紡出することができ る紡績用ノズルを得ることを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

仮想中心線上の糸通過管に向け圧空を噴出する圧空噴出孔を備えた第一，第二 ノズルを、仮想中心線を同一にして直列に列設してなる紡績用ノズルにおいて、 仮想中心線上に糸通過路を有するバル―ニング・コントロ―ル・パイプを第二ノ ズルの糸出口部に、第二ノズルの糸通過管と同軸配置で装着した。

【０００８】

【作用】

本考案の紡績用ノズルにおいては、ドラフト装置から供給される糸が、第一ノ ズルにおける旋回気流の作用と第二ノズルにおける反対方向旋回気流の作用を受 け結束紡績糸を形成する際に、第二ノズルの糸通過管から該糸通過管に連なるバ ル―ニング・コントロ―ル・パイプの糸通路に糸を導入し、更に糸の旋回を続け ながら該糸通路内周面に接触せしめて巻付繊維の量を減少し、表面平滑な柔軟性 に富む結束紡績糸を生成する。

【０００９】

【実施例】

本考案紡績用ノズルの実施例を図面と共に次に説明する。

【００１０】 本考案紡績用ノズル21における第一ノズル22，第二ノズル23の構造自体につい ては従来の結束紡績ノズルと異なるところはない。然しながら本考案の紡績用ノ ズル21においては図１に示すように、第一ノズル22，第二ノズル23を、仮想中心 線Ｌ₂ を同一にして直列に列設した前記紡績用ノズル21の第二ノズル23の糸出口 部に、バル―ニング規制部材としてのバル―ニング・コントロ―ル・パイプ24を 設けている。

【００１１】 バル―ニング・コントロ―ル・パイプ24は中央部分に糸通路25を形成し、第二 ノズル23の糸出口部から、第二ノズル23の糸通過管26と同軸配置で延出装着され ており、種々実験の結果、前記糸通路25の径は 3.5〜 6mm，長さは30〜 170mm程 度のものが適当で、長さの長いもの程柔軟性に富む品質のすぐれた糸を得ること ができる。然し紡績機の構造上の制約から 170mmが限度である。

【００１２】 従って、今、ドラフト装置のフロントロ―ラ27から供給された糸は、第一ノズ ル22における旋回気流の作用と第二ノズル23における反対方向旋回気流の作用を 受け、次いで第二ノズル23の糸通過管26から更に該糸通過管26に連なるバル―ニ ング・コントロ―ル・パイプ24の糸通路25に達し、その糸通路25内を旋回しなが ら該内周面に接触し巻付繊維の量を減少し、表面平滑な柔軟性に富む結束紡績糸 Ｙ₂ を生成する。

【００１３】 次に、本考案のバル―ニング・コントロ―ル・パイプ24を備えた紡績用ノズル 21を用い、表１に示した条件で紡出した３種類の結束紡績糸と、バル―ニング・ コントロ―ル・パイプ24を使用せず、他は表１と同一条件で紡出した３種類の結 束紡績糸の柔軟性比較試験の結果を表２に示す。

【００１４】

【表１】

【００１５】

【表２】

【００１６】 柔軟性試験は、得られたポリエステル／綿，65：35混紡糸を同一条件で筒編み しバンド状としたものを試料として用意し、13名の検査員の手による感触テスト を行い、３段階評価により点数の多いもの程柔軟性に富むと判定した。

【００１７】 本考案の紡績用ノズル21によって得られた結束紡績糸Ｙ₂ は表２に示すように 、すぐれた柔軟性を備えるばかりでなく、第二ノズル23の糸通過管26内周面及び バル―ニング・コントロ―ル・パイプ24の糸通路25内周面に接触しながら旋回し 、その結果巻付繊維が減少し、さらにいえば図２に示すように糸の長さ方向に対 し直角方向に巻き付く繊維が減少して糸の表面も平滑性を増し、糸づらの良いす ぐれた品質の結束紡績糸Ｙ₂ を得ることができた。

【００１８】

【考案の効果】

以上詳細に述べた通り本考案の紡績用ノズルは、仮想中心線上の糸通過管に向 け圧空を噴出する圧空噴出孔を備えた第一，第二ノズルを、仮想中心線を同一に して直列に列設してなる紡績用ノズルにおいて、仮想中心線上に糸通過路を有す るバル―ニング・コントロ―ル・パイプを第二ノズルの糸出口部に、第二ノズル の糸通過管と同軸配置で装着したものであるから、ドラフト装置から供給される 糸が第一ノズルにおける旋回気流の作用と第二ノズルにおける反対方向旋回気流 の作用を受けることにより結束紡績糸となる際に、糸は第二ノズルの糸通過管か ら更に該糸通過管に連なるバル―ニング・コントロ―ル・パイプの糸通路内を旋 回しながらその周面に接触紡出され、その結果巻付繊維の量が減少し、然も該巻 付繊維は糸の長さ方向に対し直角方向に巻き付く量を減少して糸の表面平滑性を 増加し、糸づらを良好とするばかりか極めて柔軟性に富む品質のすぐれた結束紡 績糸を得ることができた。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の紡績用ノズルの縦断面図である。

【図２】本考案の紡績用ノズルを用いて得られた糸の正
面図である。

【図３】従来の紡績用ノズルの縦断面図である。

【図４】従来の結束紡績用ノズルを用いて得られた糸の
正面図である。

【符号の説明】

１，22 第一ノズル ２，23 第二ノズル ４，21 紡績用ノズル ６，10，26 糸通過管 24 バル―ニング・コントロ―ル・パイプ 25 糸通路

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 仮想中心線上の糸通過管に向け圧空を噴
   出する圧空噴出孔を備えた第一，第二ノズルを、仮想中
   心線を同一にして直列に列設してなる紡績用ノズルにお
   いて、仮想中心線上に糸通過路を有するバル―ニング・
   コントロ―ル・パイプを第二ノズルの糸出口部に、第二
   ノズルの糸通過管と同軸配置で装着したことを特徴とす
   る紡績用ノズル。