JPH04110233U - ワンウエイクラツチ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ワンウェイクラッチにおいて、別部品として
のばねが不要で、かつブロックベアリングの摩耗も生じ
ない歯打ち音の発生防止構造を備えさせる。 【構成】 第２プレート２２の外周縁部に、外輪１５に
形成した段部３０により形成される空間に大部分が収納
されるばね部２２cを一体形成している。そして、第２
プレート２２のばね部２２cのばね力で外輪１５がスナ
ップリング２４に押し付けられるように、外輪１５をハ
ウジング２３に組み込む。したがって、ワンウェイクラ
ッチの空転時のつれ回りがなくなり、歯打ち音の発生が
なくなる。したがって、別部品としてのばねが不要で、
かつブロックベアリング１８の摩耗を生じない歯打ち音
の発生防止構造を備えることができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、特に歯打ち音の発生防止構造を改善したワンウェイクラッチに関す る。

【０００２】

【従来の技術】

従来より、ワンウェイクラッチは、例えば自動車の自動変速機等に用いられて いる。 このようなワンウェイクラッチとしては、図５に示すように、ハウジング１に スプライン嵌合する外輪２と、内輪３と、この内輪３と外輪２との間に配置され る複数のブロックベアリング４と、内輪３と外輪２との間に配置され、ばねによ り一方向に付勢される複数のローラ(図示しない)と、上記外輪２の両側面に取付 けられるプレート８,８とを備えたものが提案されている。

【０００３】 そして、ハウジング１に一対のスナップリング９,９を取付けて、一方のスナ ップリング９との間に配置した皿ばね１０で外輪２を他方のスナップリング９に 押し付けることにより、外輪２の軸回りの動きを拘束して、内輪３が回転方向を 変えるときの外輪２のつれ回りを抑制し、ハウジング１の凸部が外輪２の凸部( 歯)にたたかれて発生する歯打ち音の発生を防止するようにしている。 ところが、別部品として大型の皿ばね１０を必要とするので、コスト面や組付 け面での問題があった。

【０００４】 このため、ワンウェイクラッチとして、図６に示すように、ハウジング１と外 輪２との間に波形ばね１１を挿入することにより、外輪２の動きを拘束するよう にしたものがある。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、このようなワンウェイクラッチでも、同様に別部品としての波 形ばね１１を必要とするうえ、外輪２をハウジング１内に嵌合する際、波形ばね １１の剛性によっては、該ばね１１が容易にたわまず、組込みにくい問題が生じ ることがあった。さらに、波形ばね１１のばね力により中空の外輪２が半径方向 に押し付けられてブロックベアリング４が摩耗するという問題があった。

【０００６】 そこで、本考案の目的は、別部品としてのばねが不要で、かつブロックベアリ ングの摩耗も生じない歯打ち音の発生防止構造を備えたワンウェイクラッチを提 供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため、本考案は、ハウジングにスプライン嵌合する凸部と 凹部を外周に有する外輪と、内輪と、この内輪と外輪との間に配置される複数の ローラと、上記各ローラを一方向に付勢するばねと、上記内輪と外輪の間に配置 される複数のブロックベアリングと、上記外輪の両側に取付けられるプレートと を備えるワンウェイクラッチにおいて、上記外輪は、軸方向に厚肉な内周部と、 軸方向に薄肉な外周部とからなって、段部が形成され、少なくとも一方の上記プ レートは外周縁部に、上記段部により形成される空間に少なくとも一部が収納さ れるばね部が一体形成されていることを特徴としている。

【０００８】 また、上記ブロックベアリングは、円周方向には、外輪の内周面または内輪の 外周面に設けた溝に嵌められて固定されると共に、半径方向には上記プレートに 設けた折曲部にて固定されていることが望ましい。

【０００９】

【作用】

少なくとも一方のプレートは外周縁部に、上記段部により形成される空間に少 なくとも一部が収納されるばね部が一体形成されている。そして、ハウジングに 外輪をスプライン嵌合させながら、ハウジングの段部(またはスナップリング)に 上記プレートのばね部を当接させ、上記プレートのばね部のばね力で外輪がハウ ジングに押し付けられるように、外輪をハウジングに組み込む。こうすることに よって、ばね部がワンウェイクラッチを軸方向に押し付けているため、ワンウェ イクラッチの空転時のつれ回りがなくなり、歯打ち音の発生がなくなる。また、 従来のような別部品としての(皿ばねや波形ばね)が不要になるので、部品点数が 削減でき、コストダウンを図ることができる。また、ばね部により外輪を軸方向 に押し付けるので、従来の波形ばねのように外輪が径方向に押し付けられること がなく、ブロックベアリングが摩耗することもない。また、上記ばね部を径方向 外方に突出させると共に、屈曲させれば、大きな撓みと、大きなばね力が得られ る。

【００１０】 また、上記ブロックベアリングは、円周方向には、外輪の内周面または内輪の 外周面に設けた溝に嵌めて固定すると共に、半径方向には上記プレートに設けた 折曲部にて固定する場合には、上記ブロックベアリングを固定するための別部品 が不要となり、部品点数が削減される。

【００１１】

【実施例】

以下、本考案を図示の実施例により詳細に説明する。図１および図２,図３に 示すように、この実施例のワンウェイクラッチは、外輪１５、内輪１６、ローラ １７、ブロックベアリング１８、ばね１９、第１プレート２１および第２プレー ト２２で基本構成されている。図１に示すように、上記外輪１５は、軸方向に厚 肉な内周部と、軸方向に薄肉な外周部とからなって、段部３０が形成されている 。また、図２,図３に示すように、上記外輪１５の外周面には、円周上に凸部１ ５a,１５a…が形成されている。上記内輪１６と外輪１５との間の中央位置には 、外輪１５の内周面の窪みに嵌まる複数のローラ１７と、この各ローラ１７を一 方向に付勢するばね１９とが配置される。また、ブロックベアリング１８は、円 周方向には、外輪１５の内周面に設けた溝１５cに嵌められて円周方向に固定さ れ、内輪１６の半径方向の偏心を抑える役目をする。

【００１２】 なお、ローラ１７、ブロックベアリング１８、ばね１９の作用等は周知であり 、本考案とは直接関係がないので、詳細な説明は省略する。

【００１３】 一方、図１に示すように、上記第１プレート２１の折り曲げ部２１aの先端か しめ部２１bは、上記第２プレート２２に形成した穴を貫通させられると共に折 り曲げられて、第１プレート２１と第２プレート２２を外輪１５の両側に固定す るようになっている。また、図２に示すように、上記折り曲げ部２１aは、上記 ブロックベアリング１８に係合して、上記ブロックベアリング１８を半径方向に 固定するようになっている。また、上記第１プレート２１のもう１つの折り曲げ 部であるばね係止部２１cは、上記ローラ１７を一方向に付勢するばね１９の一 端を係止する。上記折り曲げ部２１aとばね係止部２１cを折り曲げる前の第１プ レート２１の要部平面図を図４(Ａ)に示す。また、折り曲げ部２１aとばね係止 部２１cを折り曲げた後の第１ブロックベアリング２１の要部平面図を図４(Ｂ) に示す。また、図４(Ｂ)に示す第１プレート２１の側面図を図４(Ｃ)に示す。

【００１４】 また、図１に示すように、第２プレート２２の外周縁部には、外輪１５の段部 ３０により形成される空間にほぼ全体が収納される波形のばね部２２cが一体形 成されている。

【００１５】 一方、ハウジング２３には、上記外輪１５の凸部１５aが嵌合するスプライン の凹部２３aが形成されている。そして、ハウジング２３には、上記第２プレー ト２２の波形のばね部２２cに対向する段部２３bが形成されると共に、外輪１５ の上記第１プレート２１を取付けた側の面に対向するスナップリング２４が取付 けられている。なお、上記段部２３bに代えてスナップリングを取付けても良く 、この場合、スナップリングはハウジングの一部となされる。

【００１６】 上記構成のワンウェイクラッチは、上記第１プレート２１を外輪１５の片側か ら当てがい、内輪１６と外輪１５の間にローラ１７とブロックベアリング１８と ばね１９を組み付ける。そして、第２プレート２２を外輪１５のもう一方の側か ら当てがい、第２プレート２２に形成した穴に、第１プレート２１の折り曲げ部 ２１aの先端かしめ部２１bを貫通させる。そして、この先端かしめ部２１bを折 り曲げてかしめることにより、第１プレート２１と第２プレート２２を外輪の両 側に固定する。こうして、第１プレート２１のばね係止部２１cが上記ばね１９ の一端を係止すると共に、第１プレート２１の折り曲げ部２１aがブロックベア リング１８を半径方向に固定する。そして、外輪１５の溝１５cがこのブロック ベアリング１８を円周方向に固定する。このため、ブロックベアリング１８を固 定するための別部品が不要となり、部品点数を削減でき、コストダウンを図るこ とができる。

【００１７】 次に、ハウジング２３に外輪１５をスプライン嵌合させながら、ハウジング２ ３の段部２３bに第２プレート２２のばね部２２cを当接させて、ばね力に抗しな がら第１プレート２１側のハウジング２３にスナップリング２４を取付ける。こ れにより、第２プレート２２のばね部２２cのばね力で、スナップリング２４に 、外輪１５が押し付けられ、組み込みが完了する。この組み込みに際して、ばね 部２２cにより、組み込み方向が容易に判別できるので、組み込み方向の間違い が発生しにくい。また、組み込んだ後は、第２プレート２２のばね部２２cの軸 方向のばね力で外輪１５がスナップリング２４に押し付けられるから、ハウジン グ２３の組み込みスペースＳの寸法公差を大きく設定できるので、加工が容易で あると共に、軸方向のガタつきもなくなる。また、ばね部２２cを段部３０によ り形成される空間に収納するので、軸方向寸法が小さくなる。さらに、上記ばね 力により、外輪１５の傾きに伴うガタつきもなく、しかも、上記ばね力によるワ ンウェイクラッチとハウジング２３との摩擦力により、外輪１５の軸回りの動き も拘束するから、内輪１６が回転方向を空転方向に変えるときの外輪１５のつれ 回りが抑制され、ハウジング２３の凹部２３aが外輪１５の凸部１５aにたたかれ て発生する歯打ち音の発生が防止できる。また、従来のような別部品としてのば ね(皿ばねや波形ばね)が不要になるので、部品点数が削減でき、コストダウンを 図ることができる。また、ばね部２２cにより外輪１５を軸方向に押し付けるの で、従来の波形ばねのように外輪１５が径方向に押し付けられることがなく、ブ ロックベアリング１８が摩耗することもない。

【００１８】

【考案の効果】

以上の説明より明らかなように、本考案のワンウェイクラッチは、軸方向に厚 肉な内周部と軸方向に薄肉な外周部とからなって、段部が形成された外輪の両側 面に取付けるプレートのうち、少なくとも一方のプレートの外周縁部に、上記段 部により形成される空間に少なくとも一部が収納されるばね部を設けて、このば ね部のばね力で外輪を軸方向の少なくとも一側から押し付けるようにしたもので ある。

【００１９】 したがって、本考案によれば、少なくとも一方のプレートのばね部の軸方向の ばね力で外軸が軸方向の一側からハウジングに押し付けられるから、ハウジング の組み込みスペースの寸法公差を大きく設定できて、加工が容易になると共に、 軸方向のガタつきもなくなる。さらに、上記ばね力により、外輪の傾きに伴うガ タつきもなくなる。しかも、上記ばね力によるワンウェイクラッチとハウジング との摩擦力により、外輪の軸回りの動きも拘束するから、内輪が回転方向を空転 方向に変えるときの外輪のつれ回りが抑制され、ハウジングの凹部が外輪の凸部 にたたかれて発生する歯打ち音の発生が防止できる。また、従来のような別部品 としてのばね(皿ばねや波形ばね)が不要になるので、部品点数が削減でき、コス トダウンを図ることができる。また、ばね部により外輪を軸方向に押し付けるの で、従来の波形ばねのように外輪が径方向に押し付けられることがなく、ブロッ クベアリングが摩耗することもない。

【００２０】 また、上記プレートのばね部は、外輪を薄肉にしたために生じた空間に配置す るので、軸方向寸法が小さくなる。

【００２１】 また、上記ブロックベアリングの円周方向の固定を外輪または内輪に設けた溝 により行なうと共に、上記ブロックベアリングの半径方向の固定を上記プレート に設けた折曲部により行なった場合、上記ブロックベアリングを固定するための 別部品が不要となり、部品点数を削減でき、コストダウンを図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案の一実施例のワンウェイクラッチの拡
大断面図である。

【図２】 上記ワンウェイクラッチの内部を示す要部平
面図である。

【図３】 上記ワンウェイクラッチのもう一つの要部平
面図である。

【図４】 上記ワンウェイクラッチの第１プレートの折
り曲げ部の詳細説明図である。

【図５】 従来のワンウェイクラッチの断面図である。

【図６】 従来のワンウェイクラッチの要部正面図であ
る。

【符号の説明】

１５…外輪、 １５a…凸部、１５d…凹部、
１６…内輪、１７…ローラ、 １８…ブロック
ベアリング、１９…ばね、 ２１…第１プレート、
２１a…折り曲げ部、 ２１b…先端かしめ部、２１c…ば
ね係止部、 ２２…第２プレート、２２c…ばね部、
２３…ハウジング、２３a…凹部、 ２４…スナ
ップリング、３０…段部。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ハウジングにスプライン嵌合する凸部と
   凹部を外周に有する外輪と、内輪と、この内輪と外輪と
   の間に配置される複数のローラと、上記各ローラを一方
   向に付勢するばねと、上記内輪と外輪の間に配置される
   複数のブロックベアリングと、上記外輪の両側に取付け
   られるプレートとを備えるワンウェイクラッチにおい
   て、上記外輪は、軸方向に厚肉な内周部と、軸方向に薄
   肉な外周部とからなって、段部が形成され、少なくとも
   一方の上記プレートは外周縁部に、上記段部により形成
   される空間に少なくとも一部が収納されるばね部が一体
   形成されていることを特徴とするワンウェイクラッチ。
2. 【請求項２】 請求項１に記載のワンウェイクラッチに
   おいて、上記ブロックベアリングは、円周方向には、外
   輪の内周面または内輪の外周面に設けた溝に嵌められて
   固定されると共に、半径方向には上記プレートに設けた
   折曲部にて固定されていることを特徴とするワンウェイ
   クラッチ。