JPH0410920Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、高電圧が印加され且つ高速回転駆動
されるカツプ状体に塗布剤を供給して静電霧化す
る静電塗布機によつて、被塗物の表面に対して所
望の表面処理剤を塗布する静電塗布装置の改良に
関する。

〔従来技術とその問題点〕

例えば、帯状板体に成形されて連続的に搬送さ
れる鋼板、アルミニユウム板あるいは銅板等の表
面に防錆油等の塗布剤を塗布して薄油膜を形成さ
せる静電塗布装置にあつては、実開昭60−53354
号あるいは実開昭60−53356号公報に図示された
ように、高電圧が印加され且つ高速回転駆動され
るカツプ状体に塗布剤を供給して静電霧化する静
電塗布機を、塗布室内に架設された支持フレーム
に取り付けて被塗物の塗幅に応じて複数台並設
し、DC−80〜120Kv程度の直流高電圧が印加さ
れるカツプ状体を陰極とし、接地して連続的に搬
送される被塗物を陽極として両極間に静電場を形
成し、20000〜50000rpmで高速回転駆動されるカ
ツプ状体から帯電せられて所定の噴霧パターンを
形成して噴霧される塗布剤粒子を、反対極である
被塗物の表面に電気的吸引力で吸引させて静電塗
着させるように成されている。

ところで、このように複数台の静電塗布機を並
設した静電塗布装置は、該静電塗布機の噴霧パタ
ーン同士を隣接する噴霧パターンと適正に重なり
合わせて被塗物の表面全体に均一な塗布を行うよ
うに成されており、各静電塗布機をその噴霧パタ
ーンの形状、大きさ及び被塗物の塗幅に応じて支
持フレーム上の所定位置に取り付けることとして
いる。

また、この支持フレームは接地された塗布室内
に直接架設されているから、各静電塗布機に印加
した高電圧が支持フレームを通じて塗布室にリー
クしないようにするため、各静電塗布機は絶縁材
を介して支持フレームに取り付けられている。

しかし、このような従来装置にあつては、静電
塗布機に対して水溶性防錆油等の導電性塗布剤を
供給して静電霧化する場合に、静電塗布機から噴
霧されて塗布室内を浮遊する塗布剤粒子が前記絶
縁材の表面に付着して、高電圧が印加された静電
塗布機から支持フレームを通じて塗布室に電流が
流れ、各静電塗布機のカツプ状体に所要の高電圧
が印加されなくなるという問題があつた。

そこで本出願人は、実開昭60−58267号公報に
示すように、導電性の塗布剤を使用する場合に
は、所要風量で供給された空気を塗布室内に吹き
出す複数の空気吹出口が開口形成された陽圧室を
設けると共に、各静電塗布機の後端に柱状部材を
連結して、該柱状部材を前記空気吹出口を通じて
前記陽圧室に挿通し、これを該陽圧室内に固設さ
れた絶縁碍子に取り付けるようにしている。

即ち、従来は陽圧室内の絶縁碍子に取り付けら
れた柱状部材を介して各静電塗布機を塗布室内に
絶縁支持すると共に、陽圧室の空気吹出口を通じ
て塗布室内に吹き出される空気によつて陽圧室内
への塗布剤粒子の侵入を阻止し、前記柱状部材及
び絶縁碍子の表面に導電性塗布剤が付着すること
を防止している。

しかし、このような構成によると、並設される
静電塗布機の所要台数が三台、四台……と増えた
場合には、その台数に相当する数の空気吹出口を
陽圧室に開口形成しなければならず、空気吹出口
の数が増加するに従つて陽圧室内に供給する空気
の供給量を増大させる必要があるから、空気供給
源となるコンプレツサ又は給気フアン等の容量を
増大しなければならないと同時に、塗布室内から
の排気量が増大するという欠点があつた。

また、従来の場合には、各静電塗布機が柱状部
材を介して直接絶縁碍子に取付支持されているか
ら、静電塗布機の噴霧パターンの大きさ又は形状
や被塗物の塗幅に応じて各静電塗布機の設置位置
を任意に変更することができないという欠点もあ
つた。

〔考案の目的〕

そこで本考案は、塗布室内に並設して設置され
る静電塗布機の所要台数が三台、四台……と増加
する場合であつても、それに応じて上記の如き陽
圧室に形成する空気吹出口を増加させる必要がな
く、しかも塗布室内に配設された各静電塗布機を
自由に移動させてその設置位置を任意に変更する
ことのできる静電塗布装置を提供することを目的
とする。

〔考案の構成〕

この目的を達成するために、本考案は、高電圧
が印加され且つ高速回転駆動されるカツプ状体に
塗布剤を供給して静電霧化する静電塗布機が、塗
布室内に配設された支持フレームに取り付けられ
て、被塗物の塗幅に応じて複数台並設された静電
塗布装置において、前記静電塗布機を所望の位置
に取付支持する支持フレームが、所要風量の空気
が供給される陽圧室に開口形成された空気吹出口
を通じて該陽圧室内から前記塗布室内に向かつて
突出するように固設された絶縁支持部材の先端に
取り付けられて、前記塗布室内の空間に浮いた状
態に支持されていることを特徴とする。

〔考案の作用〕

本考案によれば、複数台の静電塗布機を取り付
けて並設する支持フレームが絶縁支持部材の先端
に取り付けられて塗布室内の空間に浮いた状態に
支持されると共に、該支持フレームを支持する絶
縁支持部材が陽圧室に開口形成された空気吹出口
を通じて陽圧室内から塗装室内に向かつて突出す
るように成されて、塗布室内を浮遊する塗布剤粒
子が絶縁支持部材の表面全体に付着することが防
止されるから、従来装置と異なり各静電塗布機に
印加された高電圧が支持フレームを通じて塗布室
にリークするおそれがない。

また、本考案では絶縁支持部材で支持フレーム
を支持するようにしているから、陽圧室には支持
フレームを支持し得る必要最小限の本数の絶縁支
持部材を挿通する空気吹出口を開口形成すれば充
分であり、従来装置の如く並設する静電塗布機の
台数に応じて多数の空気吹出口を開口形成させる
必要がない。

更に、支持フレームは各静電塗布機を所望の位
置に取付支持することができるから、静電塗布機
の噴霧パターンの大きさ又は形状や被塗物の塗幅
に応じた各静電塗布機を支持フレーム上で自由に
移動させて設置位置を任意に変更することができ
る。

〔実施例〕

以下、本考案を図面に示す具体的な実施例に基
づいて説明する。

第１図は本考案による静電塗布装置を一部切欠
して示す正面図、第２図はその一部切欠の側面図
であつて、ガイドローラ１及び２により案内支持
されて垂直方向に所定速度で連続的に搬送される
帯状被塗物３を搬入出する搬入口４及び搬出口５
が上下に形成された塗布室６内に、被塗物３を挟
んで左右に夫々上下二台の静電塗布機R₁，R₂及
びL₁，L₂が配設されている。

これら各静電塗布機R₁，R₂，L₁及びL₂は、高
電圧が印加され且つ高速回転駆動されるカツプ状
体７を被塗物３に対向させて水平に配設され、上
下に配設された静電塗布機R₁及びR₂（L₁及びL₂）
は、その噴霧パターンの大きさと被塗物３の塗幅
に応じて第２図に示す如く左右に所定距離だけ離
間し、且つカツプ状体７から静電霧化される塗布
剤の噴霧パターン同士が矢印Ｆで示す被塗物３の
搬送方向から見て一部重なり合うように偏倚して
配設されている。

８Ｒ及び８Ｌは、塗布室６に配設される静電塗
布機R₁，R₂及びL₁，L₂を夫々上下及び左右方向
に移動可能に取付支持する支持フレームであつ
て、支持フレーム８Ｒ，８Ｌの一部を構成する水
平パイプ９ａ，９ｂ間に架設されて左右方向に摺
動可能に固定された垂直パイプ１０ａ，１０ｂに
対して上下方向に摺動可能に取り付けられた支持
部材１１に各静電塗布機の本体１２の後端部が固
着されている。

各静電塗布機R₁，R₂，L₁及びL₂の本体１２に
は、その全体を覆うように金属板で一体成形され
た筒形のカバー１３が外装されている。

このカバー１３は、截頭円錐状部１３ａと、円
筒部１３ｂとを有し、截頭円錐状部１３ａの先端
小径部が本体１２の先端部周面を覆うように外嵌
されると共に、円筒部１３ｂの後端が本体１２の
後端部に固定されている。

また、円筒部１３ｂの下面側には、截頭円錐状
部１３ａの下面の傾斜と連続する傾斜面１４ａを
有する塗布剤誘導板１４が突設されている。

更に、塗布剤誘導板１４の後端側下方には、支
持フレーム８Ｒ，８Ｌの垂直パイプ１０ａ，１０
ｂに対して夫々上下方向に移動可能に取り付けら
れた樋形の傾斜板１５が、塗布剤誘導板１４の傾
斜面１４ａと所定間隔を保つて平行に対向配設さ
れている。

次に、塗布室６には、支持フレーム８Ｒ，８Ｌ
の後方側に夫々陽圧室１６Ｒ，１６Ｌが付設され
ている。

これら各陽圧室１６Ｒ，１６Ｌは、コンプレツ
サから空気供給通路１７を通じて所要風量の空気
が導入されて内部が陽圧状態に維持されるように
成されると共に、塗布室６内に連通するように開
口形成された二つの空気吹出口１８，１８を通じ
て塗布室６内に空気を吹き出すように成されてい
る。

また、これら各陽圧室１６Ｒ，１６Ｌ内には、
各空気吹出口１８，１８を通じて陽圧室内から塗
布室６内に向かつて突出する一対の絶縁支持部材
１９，１９が夫々水平に固設されている。

この絶縁支持部材１９は、例えば陽圧室１６Ｒ
又は１６Ｌ内に固設される絶縁碍子２０と、その
先端に固着された鋼管、アルミニユウム管等の金
属製の柱状部材２１とから構成されており、各支
持フレーム８Ｒ，８Ｌが該柱状部材２１の先端に
取り付けられて、塗布室６の内壁に接触しないよ
うに該塗布室６内の空間に浮いた状態に支持され
ている。

以上が、本考案による静電塗布装置の一例構成
であり、次にその作用について説明する。

まず、各静電塗布機R₁，R₂，L₁及びL₂を上下
もしくは左右方向に摺動させ、その噴霧パターン
の形状、大きさや被塗物３の塗幅に応じた最適な
設置位置に移動させて固定する。

そして、各カツプ状体７に、例えばDC−80〜
120Kv程度の高電圧を印加すると共に、該カツプ
状体７を約20000〜50000rpmで高速回転駆動さ
せ、次いで帯状板体に形成された鋼板等の被塗物
３を矢印Ｆ方向に所定速度で連続的に搬送させる
と同時に、各カツプ状体７に水溶性防錆油等の導
電性塗布剤を例えば１c.c.／min程度で供給する。

これにより、各カツプ状体７を陰極とし、接地
した被塗物３を陽極として両極間に静電場が作ら
れ、カツプ状体７から帯電して所定の噴霧パター
ンで放射された塗布剤粒子が反対極である被塗物
３の表面に電気的吸引力で吸着されて均一な薄油
膜が形成される。

この際、静電塗布機R₁，R₂，L₁及びL₂の各カ
ツプ状体７から放射された塗布剤粒子の一部が塗
布室６内を浮遊して、各静電塗布機の本体１２を
覆うカバー１１の表面に付着する。そしてその付
着量が一定以上になると自重により該カバー１１
の周面を伝つて下面側に移行し、更に塗布剤誘導
板１４の傾斜面１４ａを流下して該傾斜面１４ａ
の後端部からその下方に配設された傾斜板１５上
に滴下した後、該傾斜板１５を伝つてその後端部
から塗布室６の底部に滴下し、各ドレン管２２
Ｒ，２２Ｌを通じて回収される。

したがつて、この場合には、静電塗布機の本体
１２を覆うカバー１１に付着した塗布剤が、該カ
バー１１の表面から塗布剤誘導板１４及び傾斜板
１５を伝つてカツプ状体７から遠ざかる本体１２
の後端側に移行された後、塗布室６の底部に滴下
されるから、静電塗布機に付着した塗布剤が本体
１２の表面で液滴を形成し、これがカツプ状体７
に印加された高電圧の影響を受けて粗い粒子とな
つて被塗物３の表面に吸着され、該被塗物３に塗
布ムラを生ずるということが防止される。

また、各静電塗布機R₁，R₂，L₁及びL₂を取り
付ける支持フレーム８Ｒ，８Ｌは、陽圧室１６
Ｒ，１６Ｌから突出した絶縁支持部材１９の先端
に取り付けられて、塗布室６内の空間に浮いた状
態に支持されているから、各静電塗布機に印加さ
れた高電圧が接地された塗布室６にリークするこ
とがない。

更に、陽圧室１６Ｒ，１６Ｌ内には、空気供給
通路１７を通じて所要風量の空気が常時導入され
て、各空気吹出口１８から塗布室６内に向けて空
気が吹き出されているから、塗布室６内で浮遊す
る塗布剤粒子がこれら陽圧室１６Ｒ，１６Ｌ内に
侵入することが防止される。したがつて、陽圧室
１６Ｒ，１６Ｌ内に固設された絶縁支持部材１９
の絶縁碍子２０等の表面に、経時と共に導電性塗
布剤の粒子が付着して塗布室６に高電圧がリーク
することもない。

また、本考案では、絶縁支持部材１９で各支持
フレーム８Ｒ，８Ｌを支持することとしているか
ら、塗布室６内に並設する静電塗布機の台数を三
台、四台……と増加させる場合にもそれに応じて
絶縁支持部材１９を増設させる必要がなく、陽圧
室１６Ｒ，１６Ｌには支持フレーム８Ｒ，８Ｌを
支持し得る必要最小限の本数の絶縁支持部材１９
を挿通する数の空気吹出口１８を開口形成すれば
充分である。したがつて、塗布室６内に並設する
静電塗布機の台数が増加しても、これに伴つて陽
圧室１６Ｒ，１６Ｌに対する空気供給量を増加さ
せる必要がないから、比較的小容量のコンプレツ
サを使用して省エネルギー化を図ることができる
と共に、塗布室６内からの排気量も非常に少なく
て済む。

また、各静電塗布機R₁，R₂，L₁及びL₂は支持
フレーム８Ｒ，８Ｌに取り付けられて、上下及び
左右に移動させることができるから、その噴霧パ
ターンの形状、大きさや被塗物の塗幅に応じて任
意の設置位置に移動調節させることができる。

なお、絶縁支持部材１９は、上記に限らずその
全体をアクリル、エポキシ等の絶縁耐力及び誘電
率の高い絶縁性材料で一体成形する場合であつて
もよい。

〔考案の効果〕

以上述べたように、本考案によれば、静電塗布
機を取付支持する支持フレームが塗布室内の空間
に浮いた状態に支持され、更に、この支持フレー
ムを支持する絶縁支持部材が陽圧室に開口形成さ
れた空気吹出口を通じて陽圧室内から塗装室内に
向かつて突出せられ、塗布室内を浮遊する塗布剤
粒子が絶縁支持部材の表面全体に付着することも
防止されているから、導電性塗布剤を使用する場
合にも静電塗布機に印加された高電圧が支持フレ
ームを通じて塗布室にリークするおそれがないと
いう優れた効果がある。

また、絶縁支持部材により、複数台の静電塗布
機を取付支持する支持フレームを支持するように
しているから、陽圧室には支持フレームを支持し
得る必要最小限の本数の絶縁支持部材を挿通する
空気吹出口を開口形成すれば足り、従来装置のよ
うに静電塗布機の必要台数に応じて多数の空気吹
出口を開口形成させる必要がないと共に、静電塗
布機の噴霧パターンの大きさ又は形状や被塗物の
塗幅に応じて各静電塗布機の設置位置を任意に変
更することができるという効果もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による静電塗布装置を一部切欠
して示す正面図、第２図はその一部切欠の側面図
である。 符号の説明、R₁，R₂，L₁，L₂……静電塗布機、
３……被塗物、６……塗布室、７……カツプ状
体、８Ｒ，８Ｌ……支持フレーム、１６Ｒ，１６
Ｌ……陽圧室、１７……空気供給通路、１８……
空気吹出口、１９……絶縁支持部材、２０……絶
縁碍子、２１……柱状部材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 高電圧が印加され且つ高速回転駆動されるカ
   ツプ状体に塗布剤を供給して静電霧化する静電
   塗布機が、塗布室内に配設された支持フレーム
   に取り付けられて、被塗物の塗幅に応じて複数
   台並設された静電塗布装置において、前記静電
   塗布機を所望の位置に取付支持する支持フレー
   ムが、所要風量の空気が供給される陽圧室に開
   口形成された空気吹出口を通じて該陽圧室内か
   ら前記塗布室内に向かつて突出するように固設
   された絶縁支持部材の先端に取り付けられて、
   前記塗布室内の空間に浮いた状態に支持されて
   いることを特徴とする静電塗布装置。 (2) 前記絶縁支持部材が、絶縁性材料で一体成形
   されている前記実用新案登録請求の範囲第１項
   記載の静電塗布装置。 (3) 前記絶縁支持部材が、前記陽圧室内に固設さ
   れた絶縁碍子と、一端が該絶縁碍子に固定され
   他端が前記支持フレームに固着された金属製の
   柱状部材とから成る前記実用新案登録請求の範
   囲第１項記載の静電塗布装置。