JPH04105419U - 耐火電線 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 電線管内のような密閉空間に敷設しても充分
な耐火性能を得ること。 【構成】 導体の外層に、内側にマイカ層、外側に金属
テ−プ層を含む耐火層を形成し、その耐火層の外層をポ
リエチレンからなる絶縁層で被覆し、さらにこの絶縁層
の外層をポリ塩化ビニル樹脂からなるシ−スで被覆して
構成した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、火災等によって高熱や火炎に晒されても長時間の使用に絶え得る合 成樹脂製の耐火電線に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、火災等によって高熱や火炎に晒されても長時間の使用に絶え得る合成樹 脂製の耐火電線として、図４の断面図に示すように構成したものが知られている 。この耐火電線１は、導体２の外層にマイカ層３とガラス繊維層（またはポリエ チレンフィルム）５を接着層４で接着して形成した耐火層６を形成し、その外層 をポリエチレンからなる絶縁層７で被覆し、さらにその外層に不織布等の押え巻 きテ−プ８を巻き付け、最外層をポリ塩化ビニル樹脂からなるシ−ス９で絶縁被 覆して構成されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、このように構成された耐火電線においては、露出条件では充分 な耐火性能が得られるが、電線管内のような密閉された空間に敷設した場合は、 耐火性能が著しく低下するという問題があった。すなわち、例えば電線管内に敷 設した場合、火災等が発生すると、管内の温度は徐々に上昇する。このため、管 内の耐火電線１は蒸し焼き状態になり、まず、シ−ス９の材料であるポリ塩化ビ ニル樹脂が熱分解し、それとほぼ同時に絶縁層７の材料であるポリエチレンが溶 融状態となる。すると、ポリ塩化ビニル樹脂が熱分解した時に発生する塩化水素 ガスが溶融状態のポリエチレン中に溶解し、さらに耐火層６に浸透して炭化する 。この結果、耐火層６の絶縁抵抗が著しく低下し、耐火性能が著しく低下してし まうという問題があった。

【０００４】 本考案は上記のような問題点を解決するためになされたもので、その技術的課 題は、電線管内のような密閉空間に敷設しても充分な耐火性能を得ることができ る耐火電線を提供することである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案の耐火電線は、導体の外層に、内側にマイ カ層、外側に金属テ−プ層を含む耐火層を形成し、その耐火層の外層をポリエチ レンからなる絶縁層で被覆し、さらにこの絶縁層の外層をポリ塩化ビニル樹脂か らなるシ−スで被覆したものである。

【０００６】

【作用】

上記構成によれば、耐火層の外層に金属テ−プ層を形成しているため、シ−ス 材料であるポリ塩化ビニル樹脂が熱分解した時に発生する塩化水素ガスの耐火層 への浸透を阻止し、絶縁抵抗の低下を防止することができる。

【０００７】

【実施例】

以下、実施例に基づいて本考案の耐火電線について説明する。 図１は、本考案の耐火電線の構造を示す断面図であり、この実施例の耐火電線 １０は、導体２の外層に、内側にマイカ層３、外側に金属テ−プ層１１を接着層 ４で接着してなる耐火層１２を形成し、その耐火層１２の外層をポリエチレンか らなる絶縁層７で被覆し、さらにその外層に不織布等の押え巻きテ−プ８を巻き 付け、最外層をポリ塩化ビニル樹脂からなるシ−ス９で被覆したものである。

【０００８】 この場合、耐火層１２は、この耐火層１２をテ−プ状に形成し、図２（ａ）に 示すように導体２の外層に巻き付ける方法、あるいは図２（ｂ）に示すように縦 添えする方法のいずれの方法を用いてもよい。

【０００９】 このように構成した耐火電線１０によれば、耐火層１２の外層に金属テ−プ層 １１を形成しているため、シ−ス９の材料であるポリ塩化ビニル樹脂が熱分解し て塩化水素ガスが発生したとしても、金属テ−プ層１１によって耐火層１２への 浸透が阻止される。そこで、このように構成した耐火電線１０と従来の耐火電線 １を電線管内に入れ、３０分間加熱して絶縁抵抗を測定した結果、次のような測 定結果が得られた。 実施例； ３０分加熱後の絶縁抵抗＝ ３〜４０ＭΩ ； 露出試験時の絶縁抵抗 ＝ １５〜２０ＭΩ 従来例； ３０分加熱後の絶縁抵抗＝ ０．３〜１．５ＭΩ ； 露出試験時の絶縁抵抗 ＝ １．０〜２．０ＭΩ このことから明らかなように、本考案の耐火電線１０によれば、露出時の絶縁 抵抗も従来例の１０〜１５倍に向上しているうえ、３０分加熱後の絶縁抵抗も従 来例の露出状態の絶縁抵抗よりも１．５倍以上に向上している。したがって、電 線管内のような密閉空間に敷設しても充分な耐火性能を得ることができる。

【００１０】 耐火層については、図３の他の実施例に示すように、内側にマイカ層３とガラ ス繊維層１３（またはポリエチレンフィルム）とを接着層４で接着し、このガラ ス繊維層１３の外側に金属テ−プ層１１を巻き付け、または縦添えした構成でも 同様の効果が得られる。

【００１１】

【考案の効果】

以上のように本考案の耐火電線は、導体の外層に、内側にマイカ層、外側に金 属テ−プ層を含む耐火層を形成し、その耐火層の外層をポリエチレンからなる絶 縁層で被覆し、さらにこの絶縁層の外層をポリ塩化ビニル樹脂からなるシ−スで 被覆した構成であるので、シ−ス材料であるポリ塩化ビニル樹脂が熱分解した時 に発生する塩化水素ガスが耐火層へ浸透するのが阻止される。この結果、絶縁抵 抗の低下を防止することができ、電線管内のような密閉空間に敷設しても充分な 耐火性能を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案による耐火電線の構造を示す断面図であ
る。

【図２】本考案の耐火電線の耐火層の形成方法の説明図
である。

【図３】本考案による耐火電線の他の実施例を示す断面
図である。

【図４】従来の耐火電線の構造を示す断面図である。

【符号の説明】

２ 導体 ３ マイカ層 ４ 接着層 ７ 絶縁層 ８ 押え巻きテ−プ ９ シ−ス １０ 耐火電線 １１ 金属テ−プ層 １２，１４ 耐火層 １３ ガラス繊維層

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 導体の外層に、内側にマイカ層、外側に
   金属テ−プ層を含む耐火層を形成し、その耐火層の外層
   をポリエチレンからなる絶縁層で被覆し、さらにこの絶
   縁層の外層をポリ塩化ビニル樹脂からなるシ−スで被覆
   してなる耐火電線。