JPH04100828U - モールド金型 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【構成】 本考案のモールド金型は、成形品に装着する
インサートの位置決めピンを有する可動型と、この可動
型と固定型とで形成されるキャビティ内にインサートを
挟着して樹脂を注入して成形品を成形するものにあっ
て、固定型のインサートとの当接部をこの固定型から分
離したインサート押え用コアーと、このインサート押え
用コアーを常にはインサートを押圧する方向にばねで付
勢される押え用ピンとインサート両面の外周縁部に樹脂
附着防止用の嵌合用段差を設け、さらにインサートの厚
みよりも小さくしたキャビティのインサート挟着部分の
間隔とからなることに特徴を有する。 【効果】 インサートの両面及びネジ部のバリ附着をな
くすることができる。

Description

【考案の詳細な説明】

［考案の目的］

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はプラスチックモールド成形において、特にインサートを有するモール ド金型に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、樹脂を充填してモールド成形品を得るモールド金型としては、図３に示 すような構造のものが使用されている。即ち図３は型閉じ状態のモールド金型を 示すもので、固定型機械プレート１には固定型取付プレート２を介して固定型５ が取付けられるとともにその内側に固定型キャビティ７が取付けられている。一 方可動型機械プレート２０には可動型取付プレート１９が取付けられており、こ の可動型取付プレート１９には、可動型スペーサー１６を介して可動型６が取付 けられている。さらに可動型スペーサー１６と可動型６との間には、可動型取付 プレート１９上の中央部に複数本の可動型エジェクターピン１３とこれより外側 に複数本の可動型リターンピン１４が設けられている。可動型エジェクターピン １３は、可動型６を貫通して固定型５の方向に移動可能であり、又可動型リター ンピン１４の先端部は可動型に埋設されるとともに周囲部には、可動型エジェク ターリターン用スプリング１５が設けられている。従ってエジェクターロッド１ ２の押し操作により、可動型バッキングプレート１８が可動型エジェクターリタ ーン用スプリング１５の弾性力に抗して可動型６の方向へ移動できるようになっ ている。

【０００３】 まず、図３に示すような型閉じ状態で固定型コアー７と可動型キャビティ１０ によって形成されるキャビティ１１に樹脂を加熱加圧して充填し、これを冷却固 化して成形品を作る。

【０００４】 次にこの成形品を取出すには、先ず成形機の固定型機械プレート１に対して可 動型機械プレート２０をその機械の許容ストロークだけ矢印Ａ方向に移動する。 そして、これら各機械プレート１，２０の移動により固定型５と可動型６が開離 する。可動型機械プレート２０の移動が終了すると、次に可動型機械プレート２ ０に内蔵されているエジェクターロッド１２により可動型取付プレート１９に有 する孔を通して可動型エジェクタープレート１７を可動型バッキグプレート１８ を介して図示上方へ押し上げる。すると可動型エジェクタープレート１７は可動 型エジェクターリターン用スプリング１５の弾性力に抗して可動型６の方向へ移 動して可動型エジェクターピン１３および可動型リターンピン１４も可動型６の 上方へ突出される。これにより固定型５および固定型コアー７と離形状態にある 成形品は可動型６から離れ取り出される。その際、インサート９は成形品と共に 一体成形される。

【０００５】 成形品の取出し後はエジェクターロッド１２を後退することにより、可動型エ ジェクタープレート１７は可動型エジェクターリターンスプリング１５の弾性力 により元の位置に復帰する。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

このようなモールド金型により成形された成形品は、固定型コアー７と可動型 キャビティ１０の型合せ面が密着してキャビティ１１を形成するので、インサー ト装着部の型間隔はインサートの寸法誤差を見込んで若干大きくなっている。こ のためインサート両面及びそのネジ部に樹脂バリが附着し、そのバリを取り除く 作業を必要とし、又バリを取り除く際、インサート面を傷つけたり、ネジ加工不 良等の問題を生じている。これを解決する為にインサート面に離形剤を塗布した り又テープを巻いたり、ネジ部にはオネジを挿入し、成形後取り外すこと等が試 みられている。しかしこの方法では仕上工数が多くかかり、又インサート面の傷 ，ネジ不良等が生じる問題があった。

【０００７】 本考案は、上記の問題点を解決する為になされたもので、インサートと型との 間に成形材料が侵入しないようにして、バリの附着防止をはかることができるモ ールド金型を提供することを目的とする。 ［考案の構成］

【０００８】

【課題を解決するための手段】

本考案のモールド金型は、成形品に装着するインサートの位置決めピンを有す る可動型と、この可動型と固定型とで形成されるキャビティ内にインサートを挟 着して樹脂を注入して成形品を成形するものにあって、固定型のインサートとの 当接部分をこの固定型から分離したインサート押え用コアーと、このインサート 押え用コアーを常にはインサートを押圧する方向にばねで付勢される押え用ピン と、インサート両面の外周縁部に樹脂附着防止用の嵌合用段差を設け、さらにイ ンサートの厚みよりも小さくしたキャビティのインサート挟着部分の間隔とから なることに特徴を有する。

【０００９】

【作用】

本考案によれば、インサート両面の外周縁部に樹脂附着防止用の段差を、プレ ス金型で成形した両面を可動型と固定型から分離されたインサート押え用コアー とにより挟着し、型閉めの途中ではばねで付勢される押え用ピンでインサート押 え用コアーを押圧して密着させ、さらに型閉完了時にはインサートの外周縁部両 面に作用するようにキャビティのインサート挟着部の間隔をインサートの厚みよ りも小さくしたので、インサートの両面及びネジ部のバリ附着をなくすることが できる。

【００１０】

【実施例】

本考案のモールド金型の一実施例を図面を参照して説明する。図１は本考案に よるモールド金型の型閉じ状態を示す断面図、図２は成型材料を挿入し型閉めが 開始した状態を示す断面図である。図３はインサート両面の外周縁部に樹脂附着 防止用嵌合用段差をプレス金型で成形したインサートである。図４は従来のイン サートである。尚、図５と同一部分については同一符号で示し詳細な説明は省略 する。

【００１１】 図１において、固定型機械プレート１には固定取付プレート２を介して固定型 ５が取付けられるとともにその内側に固定型コアー７が取付けられている。さら に固定型５にインサート押え用ピン４とインサート押え用スプリング３が取付け られてる。

【００１２】 一方、可動型機械プレート２０には可動型取付プレート１９が取付けられ、こ の可動型取付プレート１９には、可動型スペーサー１６を介して可動型キャビテ ィ１０及び固定型コアー７から分割されたインサート９と密着するインサート押 え用コアー８を保持する可動型６が取付けられている。そして、固定型コアー７ と可動型キャビティ１０で形成されるキャビティ１１のインサート９との挟着部 の間隔はインサート９の厚みより０．２mm程度小さくなっている。さらに、可動 型スペーサー１６と可動型６との間には、可動型取付プレート１９の中央部に複 数本の製品押出し用及インサート９の位置決めを兼ねる可動型エジェクターピン １３と、その外側に複数本の可動型リターンピン１４をそれぞれ植設した可動型 エジェクタープレート１７が設けられ、可動型エジェクターピン１３は可動型６ を貫通して固定型方向へ移動可能であり、又、可動型リターンピン１４の先端部 は可動型６を貫通している。そして可動型リターンピン１４の周囲部には、可動 型エジェクターリターン用スプリング１５が設けられてエジェクターロッド１２ の押し操作により可動型バッキングプレート１８が可動型エジェクターリターン 用スプリング１５の弾性力に抗して可動型６の方向へ移動できる。 次に本考案のモールド金型において、成形品の成形及び取り出し時の作用につ いて説明する。

【００１３】 図２に示すように、インサート９を可動型キャビティ１０内に突出している可 動型エジェクターピン１３に挿入し、さらにそのインサート９の上面に分割され たインサート押え用コアー８を挿入する。次に、可動型キャビティ１０内に成形 材料２１を投入し型締めを開始する。この時、成形圧力によりインサート９が浮 上しないようにインサート押え用スプリング３のばね力により、インサート押え 用ピン４でインサート押え用コアー８の上面を押圧しながら型閉めを継続する。 更に最後の型閉めの際、固定型５と可動型６が密着しても、インサート９の挟着 部分のキャビティ１１の間隔はインサート９の厚みより０．２mm程度小さくなっ ているので、インサート９の厚みにバラツキがあっても、インサート押え用コア ー８はインサート９を少し押し潰すように作用して、インサート９の両面への樹 脂２１の侵入を防止する。この時、成形圧力はインサート９の外周縁部に作用し 、更に樹脂２１を加熱・加圧して充填し、これを冷却固化して成形品を作る。

【００１４】 次に、成形品を取出すには、成形機の固定型機械プレート１に対して可動型機 械プレート２０をその機械の許容ストローグだけ矢印Ａ方向に移動すると、これ ら各機械プレート１，２０に取付けられた固定型５と可動型６が型合せ面を境に して開離する。

【００１５】 次に、可動型機械プレート２０に内蔵されているエジェクターロッド１２によ り、可動型取付プレート１９の孔を通して可動型エジェクタープレート１７を可 動型バッキングプレート１８を介して反矢印Ａ方向へ押上げる。すると、可動型 エジェクタープレート１７は、可動型エジェクターリターン用スプリング１５の 弾性力の抗して可動型６方向へ移動する。同時に成形品押出用可動型エジェクタ ーリターンピン１３も可動型６の方向へ突出される。これにより固定型コアー７ と離型状態にある成形品は、さらに可動型キャビティ１０から離脱し取り出され る。取り出し後は、インサート押え用コアー８を成形品より外すことにより、イ ンサート９と一体になった成形が完了する。 成形品の取出し後はエジェクターロッド１２は、可動型エジェクターリターン 用スプリング１５の弾性力により元の位置に復帰する。

【００１６】

【考案の効果】

本考案によれば、インサートの両面の外周縁部を可動型と固定型から分離され たインサート押え用コアーとにより挟着し、型閉めの途中ではばねで付勢される 押え用ピンでインサート押え用コアーを押圧して密着させ、さらに型閉め完了時 には、インサートの両面の外周縁部に成形圧力が全面に作用するようにキャビテ ィのインサート挟着部の間隔をインサートの厚みよりも小さくしたので、インサ ート両面及びネジ部に附着するバリは皆無となる。又、インサート外周縁部分に 成形圧力が作用するようにした為、従来より成形圧力が少くてすみ、設備有効活 用が図れるとともに、成形品の品質及び生産性向上が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のモールド金型の一実施例を示す断面図
である。

【図２】図１の型閉め開始時を示す断面図である。

【図３】インサート両面の外周縁部の樹脂附着防止用嵌
合用段差を設けたインサートを示す（ａ）は正面図で、
（ｂ）は側面図である。

【図４】インサートとインサート押え用コアーとの挟着
関係を示す断面図である。

【図５】従来のモールド金型を示す断面図である。

【符号の説明】

３…インサート押え用スプリング ４…インサート押え用ピン ５…固定型 ６…可動型 ７…固定型コアー ８…インサート押え用コアー ９…インサート １０…可動型キャビティ １１…キャビティ １３…可動型エジェクターピン １４…可動型リターンピン １５…可動型エジェクターリターンスプリング １６…可動型スペーサー １７…可動型エジェクタープレート ２０…可動型機械プレート ２１…成形材料

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 成形品に装着するインサートの位置決め
   ピンを有する可動型と、この可動型と固定型とで形成さ
   れるキャビティ内に前記インサートとを挟着して樹脂を
   注入して成形品を成形するモールド金型において、前記
   固定型の前記インサートとの当接部分をこの固定型から
   分離したインサート押え用コアーと、このインサート押
   え用コアーを常にインサートを押圧する方向にばねで付
   勢される押え用ピンと、前記インサートの両面の外周縁
   部にインサート押え用コアーとの嵌合用段差を設けると
   ともに、前記インサートの厚みよりも小さくした前記キ
   ャビティのインサート挟着部分の間隙とからなることを
   特徴とするモールド金型。