JPH038828Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は流体駆動と機械駆動を選択的に行なえ
るトルクコンバータと油圧力作動式クラツチの組
み合わせにより構成される車両用動力伝達装置の
流体制御装置に関するものである。

従来技術 従来のトルクコンバータａと油圧力作動式クラ
ツチｂの組み合わせにより構成される充排油機構
は遠心弁ｃを備えており、この遠心弁ｃの作用に
より機械駆動時トルクコンバータａ内の作動油を
不必要分だけ排出するようにしていた。遠心弁ｃ
は流体駆動時遠心力でピストンｄを上方へ押し上
げトルクコンバータａ内の作動油の外部流出を遮
断するものであり、また機械クラツチｂの駆動時
は遠心弁ｃの加圧室にパイロツト油圧を作用させ
ることにより遠心力に打勝つピストンｄを下方に
押し下げトルクコンバータａ内の作動油を外部へ
排出するものである。この遠心弁ｃは構造上油圧
回路内に混入した不純物が遠心力によりピストン
摺動部へ入り作動不良となることがしばしばあつ
た。

考案の目的 本考案の目的は、機械クラツチ１３の駆動時に
この機械クラツチ１３のピストン１５の移動によ
り弁機構Ａを作動しトルクコンバータ１内の作動
油の一部を外部に排出するようにして従来の流体
制御装置が具備する遠心弁を不用にし、油圧回路
内に混入した不純物が遠心力により遠心弁のピス
トン摺動部に入り作動不良となる不具合をなくす
ことである。

考案の構成 本考案は、機械クラツチ１３の入動作により機
械駆動を行ないこの機械クラツチ１３の切動作に
よつて流体駆動を行なうトルクコンバータ１を備
えたものにおいて、上記機械クラツチ１３を構成
するピストン１５に半径方向にその内周部から外
周部にかけて通路１６を設け、また上記ピストン
１５が嵌挿されるトルクコンバータ１のハウジン
グ６に、上記ピストン１５が入動作方向に移動し
たときに、これに設けた通路１６に連通する排出
ポート１９を設けた構成となつているから、機械
クラツチ１３のピストン１５が入動作方向に移動
したときに、これに設けた通路１６が排出ポート
１９に連通してハウジング６を介してトルクコン
バータ１内の作動油の一部が外部に排出される。

実施例 以下、本考案の実施例を第２図以下を参照して
説明する。

１はトルクコンバータであり、トルクコンバー
タ１はハウジング２を有し、ハウジング２の支承
部３には軸受４を介して入力軸５が設けてある。
入力軸５にはクラツチハウジング６が固定してあ
り、クラツチハウジング６はポンプ７に連結して
いる。

クラツチハウジング６の内周側の支承部８には
軸受９を介して出力軸１０が設けてあり、出力軸
１０にはタービン１１が連結してある。

１２はステータであり、ステータ１２はハウジ
ング２に連結してある。

クラツチハウジング６内には機械クラツチ１３
が設けてある。この機械クラツチ１３はクラツチ
ハウジング６のシリンダ部１４に嵌挿されたピス
トン１５を具備し、このピストン１５には半径方
向にその内周部から外周部にかけて通路１６が形
成してある。前記出力軸１０の外周部には係合歯
部１７が形成してあり、係合歯部１７にはデイス
ク１８が摺動自在に係合していてデイスク１８は
ピストン１５に対向している。クラツチハウジン
グ６の外周部には排出ポート１９が設けてあり、
この排出ポート１９はピストン１５の通路１６と
共に弁機構Ａを構成している。

そして、この弁機構Ａは機械クラツチ１３の入
動作時に前記通路１６を排出ポート１９に連通し
てトルクコンバータ１内の作動油の一部を排出す
るためのものである。

また、図面中２０は駆動油量の選択用切換弁で
あり、２１は機械駆動選択弁、２２はソレノイド
弁である。ポンプ２３の吐出側は管路２４を介し
て選択用切換弁２０の入口ポート２０ａに接続し
ており、この管路２４にフイルタ２５、変速機作
動弁２６が設けてある。選択用切換弁２０の出口
ポート２０ｂは管路２７を介してトルクコンバー
タ１の作動油入口２８に接続してあり、この管路
２７にはトルクコンバータ入口制御弁２９が設け
てある。

ポンプ２３の吐出側は管路３０を介して機械駆
動選択弁２１の入口ポート２１ａに接続してあ
り、機械駆動選択弁２１の出口ポート２１ｂは管
路３１を介して機械クラツチ１３の油室３２に接
続してあり、また前記出口ポート２１ｂは管路３
３を介して選択用切換弁２０の加圧室４６に接続
してある。

またポンプ２３の吐出側は管路３４を介してソ
レノイド弁２２の入口ポート２２ａに接続してあ
り、ソレノイド弁２２の出口ポート２２ｂは管路
３５を介して機械駆動選択弁２１の加圧室４３に
接続してある。また管路３０と管路３４との合流
部に減圧弁３６が設けてある。

トルクコンバータ１のドレンポート１ａはドレ
ン管路３７を介してタンク３８に接続してあり、
管路３７にオイルクーラ３９が設けてある。

つぎに作動を説明する。

(1) 流体駆動時 ポンプ２３より圧送された作動油は第２図に太
線で示すようにフイルタ２５を通り、変速機作動
弁２６でポンプ回路圧P₁に保たれる。

機械クラツチ１３の作動圧力は変速機作動圧と
異なるため減圧弁３６により回路油圧P₂は油圧
P₁より低く設定される。

変速機作動弁２６以後の回路油圧P₃は選択用
切換弁２０を経てトルクコンバータ入口制御弁２
９に導かれてトルクコンバータ１の作動油とな
る。

(2) 機械駆動時 いま、走行状態が変化し機械駆動範囲になると
ソレノイド弁２２へ電気信号が作用しソレノイド
弁２２が切換わり、ポンプ２３からの油は第３図
に太線に示すようにソレノイド弁２２のポジシヨ
ン４２を経て機械駆動選択弁２１の加圧室４３に
作用し、スプール４４を押す。このために機械駆
動選択弁２１において入口ポート２１ａが出口ポ
ート２１ｂに連通し、ポンプ２３からの油は機械
択弁２１を経てトルクコンバータ１の機械クラツ
チ１３の油室３２に作用し、ピストン１５を移動
させてピストン１５でデイスク１８をポンプ７側
に圧着させて機械駆動を実現する。このときピス
トン１５の移動により通路１６が排出ポート１９
に連通してトルクコンバータ１内の作動油の一部
が外部に瞬時に放出される。このときのトルクコ
ンバータ１内の放出レベルＬは排出ポート１９の
位置の設定により常に一定である。

機械駆動選択弁２１を出た油の一部は選択用切
換弁２０の加圧室４６に入り、スプール４５を移
動させる。このために回路油圧P₃の油はトルク
コンバータ１内にポート４７により必要潤滑油の
油量だけを送り込みタンク３８に逃げる。

考案の効果 本考案は機械クラツチ１３の入動作時に、この
機械クラツチ１３のピストン１５の移動により、
このピストン１５に設けた通路１６を介してトル
クコンバータ１内の作動油の一部を排出ポート１
９より排出することができる。

このために、従来の流体制御装置が具備する遠
心弁が本考案では不用になり、油圧回路内に混入
した不純物が遠心力により遠心弁ｃのピストン摺
動部に入り作動不良となるような不具合を解消す
ることができる。

また本考案によれば、機械クラツチ１３の入動
作時におけるトルクコンバータ１内の作動油の一
部を排出するための手段を、ピストン１５に設け
た通路１６と、ハウジング６の排出ポート１９と
にて行なうことができることにより、この上記作
動油の排出機構をコンパクトに、かつ簡単な構成
とすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の車両用動力伝達装置の流体制御
装置の一部省略した縦断面図、第２図は本考案一
実施例の構成説明図、第３図は同作用説明図であ
る。 １はトルクコンバータ、１３は機械クラツチ、
１５はピストン、Ａは弁機構。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 機械クラツチ１３の入動作により機械駆動を行
   ないこの機械クラツチ１３の切動作によつて流体
   駆動を行なうトルクコンバータ１を備えたものに
   おいて、上記機械クラツチ１３を構成するピスト
   ン１５に半径方向にその内周部から外周部にかけ
   て通路１６を設け、また上記ピストン１５が嵌挿
   されるトルクコンバータ１のハウジング６に、上
   記ピストン１５が入動作方向に移動したときに、
   これに設けた通路１６に連通する排出ポート１９
   を設けたことを特徴とする車両用動力伝達装置の
   流体制御装置。