JPH038313B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、パワーステアリングの操舵力を電子
制御により車速、操舵速度もしくは操舵角度に感
応して可変させるパワーステアリング装置に関
し、特に電源故障時に一定操舵力が保てるように
フエルセーフ作動するパワーステアリング装置に
関する。

（従来技術） 従来の電子制御によるパワーステアリング装置
としては、例えば第１図に示すようなものがあ
る。

第１図において、１はコントローラであり、制
御手段としマイクロコンピユータ２を内蔵し、マ
イクロコンピユータ２に対しては車速センサ３で
検出した車速及び舵角センサ４で検出した操舵角
が入力され、操舵速度は操舵角の微分で求められ
る。ここで車速感応制御を例にとると、マイクロ
コンピユータ２は低速で操舵力が軽く車速の増加
に応じて操舵力を重くする制御出力を生じ、パワ
ートランジスタ６による制御電流を操舵力を可変
するアクチユエータ７に流し、車速に感応した操
舵力の制御を行なつている。尚、パワートランジ
スタ６のエミツタには電流検出抵抗１１が接続さ
れ、アクチユエータ７の駆動電流を検出してマイ
クロコンピユータ２にフイードバツクすることで
定電流制御を行なつている。

一方、コントローラ１及びアクチユエータ７に
対する電源供給は、バツテリイ８の出力をイグニ
ツシヨンスイツチ９及び電源ヒユーズ１０を介し
て行なつている。

更に、車速センサ３または舵角センサ４の故障
した場合には、正常な操舵力の制御が行なえなく
なることから、異常を検出したときには、コント
ローラ１で可変される操舵力の範囲の略中間とな
る値に固定する制御信号をアクユエータ７に供給
するフエイルセーフ作動を行なつている。

しかしながら、このような従来のパワーステア
リング装置にあつては、コントローラ１とアクチ
ユエータ７に対する電源供給が同じ系統の電源ヒ
ユーズ１０を介して行なわれていたため、電源ヒ
ユーズ１０が回路シヨート等により溶断した場合
には、コントローラ１及びアクチユエータ７に対
する電源供給が同時に停止してしまい、例えばア
クチユエータ７でパワステ駆動部に対する液圧ポ
ンプよりの液量のバイパス量を可変させているよ
うな場合には、電源供給の停止でバイパス回路に
設けた流量制御弁が全開または全閉となり、全開
の場合にはパワステ駆動部に対する液量が不足し
て操舵力が重くなり、一方、全閉となつた場合に
はポンプの吐出流量がそのままパワステ駆動部に
供給されて操舵力が極端に軽くなつてしまうとい
う問題があつた。

（発明の目的） 本発明は、このような従来の問題点に鑑みてな
されたもので、コントローラに対する電源供給が
停止してもアクチユエータに対する電源供給が停
止されない限り極端に軽くなつたり重くなつたり
することのない適正な操舵力が得られるようにフ
エイルセーフ作動するパワーステアリング装置を
提供することを目的とする。

（発明の構成） この目的を達成するため本発明は、コントロー
ラとアクチユエータを別系統の電源ヒユーズを介
してバツテリイ電源に接続し、さらに、コントロ
ーラへの電源供給が停止した時には、コントロー
ラ内蔵電源またはアクチユエータ側の電源により
所定の操舵力が得られるようにアクチユエータを
駆動する緊急動作手段を設けるようにしたもので
ある。

（実施例） 第２図は本発明の一実施例を示した回路ブロツ
ク図である。

まず構成を説明すると、１はコントローラであ
り、制御手段としてパワーステアリング制御をプ
ログラムにより実行するマイクロコンピユータ２
が設けられ、マイクロコンピユータ２に対しては
車速センサ３で検出した車速及び舵角センサ４で
検出した操舵角が入力され、舵角センサ４よりの
操舵角はマイクロコンピユータ２内での微分処理
により舵角速度を演算することができる。

このマイクロコンピユータ２は、例えば車速に
応じた操舵力の制御信号を出力し、この操舵力の
制御パターンは、低速で操舵力が軽く、速度が増
加するにつれて操舵力を重くする特性となる。マ
イクロコンピユータ２の出力はパワートランジス
タ６のベースに接続されており、パワートランジ
スタ６のコレクタにはパワーステアリングの操舵
力を可変するためのアクチユエータ７が接続され
る。アクチユエータ７は、例えば液圧ポンプから
パワステ駆動部に液圧を供給する回路をバイパス
するバイパス路に設けた流量制御弁の開度を可変
するリニアソレノイド等を駆動し、バイパス量の
可変によりパワーステアリングの操舵力を制御し
ている。

また、パワートランジスタ６のエミツタには電
流検出抵抗１１が接続され、電流検出抵抗１１で
検出したアクチユエータ７の駆動電流をマイクロ
コンピユータ２にフイードバツクし、制御出力に
応じた一定電流が得られるように定電流制御を行
なつている。

次に、コントローラ１及びアクチユエータに対
する電源供給を説明すると、８はバツテリイ、９
はイグニツシヨンスイツチであり、イグニツシヨ
ンスイツチ９の出力側はコントローラ１に対する
電源系統とアクチユエータ７に対する電源系統と
に分けられ、各電源系統に電源ヒユーズ１２，１
３を個別に設けている。更に、コントローラ１に
はバツテリイ電源の供給が停止されたときにマイ
クロコンピユータ２に電源を供給してパワーステ
アリングのフエイルセーフ作動を行なわせるため
の緊急動作手段としての電池１４が内蔵され、電
池１４としては、例えばNi−Cd電池が用いられ
る。この電池１４に対してはダイオードD1を介
してバツテリイ電源が供給されており、平常状態
において電池１４はバツテリイ電源の供給を受け
て充電されている。また、電池１４の出力はダイ
オードD2を介してマイクロコンピユータ２に供
給されている。

次に、第２図の実施例の動作を説明する。

まず正常状態にあつてはイグニツシヨンスイツ
チ９のオン操作によりコントローラ１及びアクチ
ユエータ７に対し電源ヒユーズ１２，１３を介し
てバツテリイ８よりの電源供給が行なわれ、コン
トローラ１のマイクロコンピユータ２は、例えば
車速センサ３で検出した車速に基づいたプログラ
ム演算により操舵力を求め、パワートランジスタ
６に対する制御出力でアクチユエータ７に駆動電
流を流し、車速に感応した操舵力の制御を行なつ
ている。

一方、回路シヨート等によりコントローラ１の
電源系統となる電源ヒユーズ１３が溶断したとす
ると、マイクロコンピユータ２に対するバツテリ
イ８よりの電源供給が停止する。この電源供給の
停止状態において、コントローラ１に内蔵した電
池１４よりダイオードD2を介してマイクロコン
ピユータ２に電源供給が行なわれ、同時にマイク
ロコンピユータ２においては異常検出プログラム
等により電源ヒユーズ１３の溶断が検出されてい
ることから、異常検出に基づくフエイルセーフ制
御にプログラムにステツプしており、電池１４に
よる電源供給を受けてマイクロコンピユータ２は
アクチユエータ７に所定の操舵力が固定的に得ら
れるようにパワートランジスタ６を制御するフエ
イルセーフ作動を行なう。このときのフエイルセ
ーフ作動による操舵力は、マイクロコンピユータ
２により可変される操舵力の範囲の中間の値とな
るようにパワートランジスタ６を制御し、アクチ
ユエータ７に一定電流を固定的に流す。勿論、マ
イクロコンピユータ２は図示しない警報手段によ
りフエイルセーフ作動と同時に電源異常が起きた
ことを運転者に警報する。

第３図は本発明の他の実施例を示した回路図で
あり、この実施例はコントローラに対するバツテ
リイ電源の供給が停止したときに、アクチユエー
タ側の電源供給により作動して所定の駆動力が得
られるようにフエイルセーフ作動する緊急動作手
段を設けたことを特徴とする。

即ち、コントローラ１には電源ヒユーズ１３よ
りのバツテリイ電源の供給を受けて動作するリレ
ーコイル１５ａを備えたリレー１５が設けられ、
リレー１５は常閉接点１５ｂを有し、常閉接点１
５ｂを電流設定抵抗１６を介してパワートランジ
スタ６と電流検出抵抗１１の直列回路に並列接続
している。尚、他の構成は内蔵電池１４を除いた
第２図の実施例と同じになることから、同一番号
を付して説明は省略する。

この第３図の実施例は、まず正常状態にあつて
は電源ヒユーズ１３よりのバツテリイ電源の供給
を受けてリレー１５のリレーコイル１５ａが付勢
され、常閉接点１５ｂが開かれてマイクロコンピ
ユータ２によるパワートランジスタ６の制御でア
クチユエータ７に駆動電流を流し、操舵力を制御
している。

一方、コントローラ１の電源系統における電源
ヒユーズ１３が溶断して電源供給が停止した場合
には、リレー１５のリレーコイル５ａが消勢して
常閉接点１５ｂが閉じ、このときアクチユエータ
７に対しては正常な電源ヒユーズ１２を介してバ
ツテリイ電源が供給されていることから、常閉接
点１５ｂ及び電流設定抵抗１６を介してアクチユ
エータ７に一定電流が流れ、マイクロコンピユー
タ２の制御機能が停止しても電流設定抵抗１６で
定まる一定電流によるアクチユエータ７の駆動で
操舵力をマイクロコンピユータ２による可変範囲
の略中間となる値に固定するフエイルセーフ作動
が行なわれる。

第４図は本発明の他の実施例を示した回路ブロ
ツク図であり、この実施例は第３図のリレーによ
るフエイルセーフ作動の代わりにトランジスタ回
路によりフエイルセーフ作動を行なわせるように
したことを特徴とする。

即ち、電源ヒユーズ１３を介して与えられるバ
ツテリイ８よりの電源電圧は、抵抗R1を介して
トランジスタ１７のベースに接続され、トランジ
スタ１７はコントローラ１に対し正常にバツテリ
イ電源供給が行なわれているときにオンし、電源
供給が停止されるとオフに切換わる。トランジス
タ１７のコレクタはトランジスタ１８のベースに
接続され、トランジスタ１８のコレクタは電流設
定抵抗１６を介してアクチユエータ７に接続さ
れ、またエミツタはパワートランジスタ６に直列
接続した電流検出抵抗１１のアース側に接続さ
れ、トランジスタ１８は電流設定抵抗１６を介し
てパワートランジスタ６と電流検出抵抗１１の直
列回路に並列接続されている。また、トランジス
タ１８のベースには抵抗R1、R2及びダイオード
D3を備えたバイアス回路がアクチユエータ７側
に接続されている。尚、他の回路構成は第３図の
実施例と同様、第２図の実施例における電池１４
を除いた回路部と同じであることから同一番号を
付して説明を省略する。

次に、第４図の実施例の動作を説明すると、ま
ず電源ヒユーズ１２，１３が共に正常なときに
は、電源ヒユーズ１３よりのバツテリイ電源の供
給を受けてトランジスタ１７がオンし、トランジ
スタ１７のオンによりトランジスタ１８のベース
を零ボルトに引き込んでカツトオフしている。一
方、電源ヒユーズ１３が溶断してコントローラ１
に対するバツテリイ電源の供給が停止したときに
は、トランジスタ１７がオフに切換わり、トラン
ジスタ１７のオフによりトランジスタ１８がアク
チユエータ７側よりの電源供給を受けてオンし、
このとき、マイクロコンピユータ２の機能は停止
していることからパワートランジスタ６はオフと
なつており、トランジスタ１８のオンにより電流
設定抵抗１６で定まる一定電流がアクチユエータ
７に流れ、マイクロコンピユータ２による操舵力
の可変範囲の略中間の値となる一定の操舵力を得
るフエイルセーフ作動に切換わる。

（発明の効果） 以上説明してきたように本発明によれば、バツ
テリイからアクチユエータとコントローラに対す
る電源を別系統に分け、コントローラへの電源供
給が停止されたときにアクチユエータに所定の操
舵力を得る制御信号を与える緊急動作手段を設け
るようにしたため、コントローラに対する電源供
給が停止されても別系統とされたアクチユエータ
に対する電源供給が正常に行なわれている限り緊
急動作手段によりアクチユエータの制御で所定の
操舵力を得ることができ、コントローラの停止で
極端に操舵力が重くなつたり軽くなつたりするこ
とがなくなり、速度や操舵角等に感応した操舵力
の制御が行なわれなくとも、安全に運転走行を継
続することのできる適正な操舵力を得るフエイル
セーフ作動を行なうことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例を示した回路ブロツク図、第２
図は本発明の一実施例を示した回路ブロツク図、
第３，４図は本発明の他の実施例を示した回路ブ
ロツク図である。 １：コントローラ、２：マイクロコンピユー
タ、３：車速センサ、４：舵角センサ、６：パワ
ートランジスタ、７：アクチユエータ、８：バツ
テリイ、９：イグニツシヨンスイツチ、１１：電
流検出抵抗、１２，１３：電源ヒユーズ、１４：
電池、１５ａ：リレーコイル、１５ｂ：常閉接
点、１６：電流設定抵抗、１７，１８：トランジ
スタ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 車速、操舵速度または操舵角度の少なくとも
   １つに感応して操舵力を可変させるパワーステア
   リング装置において、 操舵力を可変させるアクチユエータと該アクチ
   ユエータを制御するコントローラとに別系統の電
   源ヒユーズを介してバツテリイ電源を接続し、前
   記コントローラに対する電源供給停止時に前記ア
   クチユエータに所定の操舵力を得る制御信号を与
   える緊急動作手段を設けたことを特徴とするパワ
   ーステアリング装置。 ２ 前記緊急動作手段は、バツテリイ電源停止時
   にコントローラに電源を供給する内蔵電源である
   特許請求の範囲第１項記載のパワーステアリング
   装置。 ３ 前記緊急動作手段は、コントローラの電源供
   給停止時にアクチユエータ側よりの電源供給にて
   作動するアクチユエータ駆動回路である特許請求
   の範囲第１項記載のパワーステアリング装置。 ４ 前記緊急動作手段は、正常時のコントローラ
   による操舵力の可変範囲の略中間の値となる操舵
   力を与える制御信号をアクチユエータに供給する
   特許請求の範囲第１項ないし第３項のいずれかに
   記載のパワーステアリング装置。