JPH0378463B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、建物の母屋上に金属鋼板製の縦葺
き屋根板を葺くに適用される縦葺き屋根の構造の
改良に関するものである。

〔従来の技術〕

従来、この種の縦葺き屋根においては、本出願
人が先に出願した特開昭60−152760号公報に開示
した発明のように、母屋上に固定された吊子の両
外側壁部に、止着片部を突出形成し、この各々の
止着片部に、互いに隣接する屋根板の相対向する
各々の側縁立上り部の途中に屈曲形成した係合部
を係合させ、かつ、これら屋根板の各々の側縁立
ち上り部の上端部側を、押え部材の係止片部で外
側から抱持し、前記吊子と共に、挾持固定して係
合する一方、この係合部の外周を保護カバーで覆
つた構成を有するものが、既に提案され実用に供
されている。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかしながら、このような縦葺き屋根の構造に
あつては、特に互いに隣接する屋根板の各々の側
縁立上り部を挾持固定して係合する吊子と押え部
材との組み付け構造が複雑になつており、葺き上
げ持の作業性が悪く、また両者の係合状態が不安
定になり易いばかりか、係合部の外周を覆う保護
カバーの意匠的形状の自由度も制約されるという
問題点があつた。

この発明は、上記の事情のもとになされたもの
で、その目的とするところは、互いに隣接する屋
根板の各々の側縁立上り部を挾持固定して係合す
る吊子と押え部材との組み付け構造を簡便化し、
かつ両者の係合状態を安定化させて、葺き上げ時
の作業性の向上を図ると共に、係合部の外周を覆
う保護カバーの意匠的形状の自由度を高め得るこ
とができるようにした縦葺き屋根を提供すること
にある。

〔問題点を解決するための手段〕

上記した問題点を解決するために、この発明
は、母屋１上に固定された吊子６の両側壁部に止
着片部６ｃを突出形成し、 この各々の止着片部６ｃに、互いに隣接する屋
根板８の相対向する各々の側縁立上り部８ｂの途
中に屈曲形成した係合部８ｃを係合させ、 かつ、これらの屋根板８の各々の側縁立上り部
８ｂの上端部側を、前記吊子６に形成した嵌合凹
部６ｂに圧嵌される押え部材７の係止片部７ｂで
外側から抱持係合させると共に、 前記吊子６と嵌合凹部６ｂに押え部材７を互い
に凹凸係合させる一方、 この係合部の外周を、両側端縁部が前記屋根板
８の係合部８ｃと係着弾持する保護カバー９で覆
い、 かつ、この保護カバー９と前記押え部材７との
間に、前記保護カバー９を裏面側から支持する支
持部材１０を介在させたものである。

〔作用〕

すなわち、この発明は、上記の構成とすること
によつて、屋根板の各々の側縁立上り部を外側か
ら抱持する押え部材を、吊子に形成した嵌合凹部
に凹凸係合させて圧嵌させたことから、吊子の押
え部材との組み付け構造を簡便化することがで
き、コスト的にも安価になると共に、これらの係
合状態を安定化させることができるため、葺き上
げ時の作業性の向上を図ることが可能になる。

また、押え部材と保護カバーとの間に、保護カ
バーを裏面側から支持する支持部材を介在させた
ことから、保護カバーのデザインを、大幅に変え
ることが可能である。このため保護カバーの意匠
上の自由度を大きくすることができると共に、特
に断面円弧上に造形することにより、強風にも十
分に耐えさせることも可能になる。

〔実施例〕

以下、この発明に係る縦葺き屋根の一実施例を
第１図から第４図に示す図面を参照しながら詳細
に説明する。

第１図に示すように、図中１は母屋である。こ
の母屋１上には、垂木２を必要に応じて介在さ
せ、下地材３を敷設する。この下地材３上には、
ボルト４およびナツト５などの固定具を介して吊
子６が固定され、この吊子６には、押え部材７が
装着され、これら吊子６および押え部材７は、ア
ルミニウムまたはアルミニウム合金などの金属板
の押出型材からなつている。

そして、前記下地材３上には、互いに隣接する
長尺状の屋根板８が、前記吊子６および押え部材
７を介して係合され、この係合部分は、アルミニ
ウムまたはアルミニウム合金などの金属板の押出
型材で適宜の断面形状に加工された保護カバー９
で被覆保護されていると共に、この保護カバー９
と前記押え部材７との間には、アルミニウムまた
はアルミニウム合金などの金属板の押出型材から
なる支持部材１０が介在され、これによつて、所
謂“瓦棒式”と称される構造でもつて、前記互い
に連接する長尺状の屋根板８を建物の開口方向に
連結し葺き上げてなる構成を有している。

すなわち、第２図に示すように、上記吊子６
は、母屋１の下地材３上に載置される基台部６ａ
と、この基台部６ａ上に一体形成された断面Ｕ字
形の嵌合凹部６ｂと、この嵌合凹部６ｂの両外側
壁に上下方向中間部から斜め下方に一体に張出さ
せてそれぞれ突出形成した止着片部６ｃと、前記
嵌合凹部６ｂの両内側壁にそれぞれ突出形成した
断面楔形の逆止爪状をなす突起部６ｄとからなる
断面形状に構成されていると共に、前記嵌合凹部
６ｂの内底面には、前記基台部６ａを母屋１の下
地材３上に締結するための固定具であるボルト４
の挿入が可能な取付け孔６ｅが設けられている。

一方、上記押え部材７は、前記吊子６の基台部
６ａ上に一体形成された断面Ｕ字形の嵌合凹部６
ｂに圧入状態で嵌着される断面Ｈ字形の基部７ａ
と、この基部７ａの互いに相対向する両垂直側壁
部の上端を外側に向け断面逆Ｕ字形に屈曲させて
垂下形成して係止片部７ｂと、前記基部７ａの互
いに相対向する両垂直側壁部の下端外側壁面側を
内側に向け膨出させて形成した係合凹部７ｃとか
らなる断面形状い構成されていると共に、この係
合凹部７ｃを、前記吊子６の嵌合凹部６ｂの両内
側壁にそれぞれ突出形成した突起部６ｄに互いに
凹凸係合させるようになつている。

すなわち、上記押え部材７は、前記吊子６の嵌
合凹部６ｂに上方から圧入嵌合させ、この嵌合凹
部６ｂの両内側壁にそれぞれ突出形成した突起部
６ｄに各々の係合凹部７ｃを互いに凹凸係合させ
て係着させることにより組み付け支持させてなる
ものである。

さらに、上記母屋１の下地材３上に互いに隣接
させて敷設される屋根板８は、第３図に示すよう
に、亜鉛メツキ鋼板、塗装鋼板などの金属製面板
部８ａからなり、左右両側端部に側縁立上り部８
ｂがそれぞれ左右対称的に形成されている。そし
て、これら各々の側縁立上り部８ｂには、外側に
向け斜め上方に傾斜する途中に屋根板中央部側に
膨出屈曲させてなる係合部８ｃが形成され、その
上端部には、断面ほぼ逆Ｕ字形の折返し湾曲部８
ｄが、その外側に向け屈曲して形成されていると
共に、前記側縁立上り部８ｂの係合部８ｃを前記
吊子６の両外側壁に上下方向中間部から斜め下方
に一体に張出させて突出形成した止着片部６に外
側から係合支持させるようになつている。

すなわち、上記した屋根板８を母屋上１に葺き
上げるには、吊子６の両外側壁部に突出形成した
各々の止着片部６ｃに、互いに隣接する屋根板８
の相対向する各々の側縁立上り部８ｂの途中に屈
曲形成した係合部８ｃを係合させる。次いで、こ
れら屋根板８の各々の側縁立上り部８ｂの上端部
側に形成した折返し湾曲部８ｄを前記吊子６の嵌
合凹部６ｂに圧嵌される押え部材７の係止片部７
ｂで外側から抱持し、前記吊子６の外側壁面で挾
持させることにより係合してなるものである。

さらに、上記係合部の外周を覆う保護カバー９
は、第４図に示すように、前記屋根板８と同材質
でこれらと同等以上の厚さを持つ長尺の金属板の
押出型材で形成された断面半円弧状の基材９ａか
らなり、この両側下端縁部には、内側に断面Ｌ字
形に折曲された係合片部９ｂがそれぞれ形成され
た断面形状を有する。

すなわち、上記保護カバー９は、上方から押し
込まれて押え部材７、吊子６および屋根板８の側
縁立上り部８ｂを覆い、その両側下端縁部に形成
した係着片部９ｂを屋根板８の側縁立上り部８ｂ
に形成した係合部８ｃの膨出下部に外側から係着
させ弾持させてなるものである。

また、上記支持部材１０は、前記吊子６および
押え部材７と同様にアルミニウムまたはアルミニ
ウム合金などの金属板の押出型材あるいは金属屈
曲加工板で形成された断面逆Ｕ字形の基材１０ａ
からなり、前記押え部材７と保護カバー９との間
に介在してその上端面部１０ｂで前記保護カバー
９を裏面側から支持することにより、保護カバー
９の保形効果を高め得るようになつているもので
ある。

第５図Ａおよび第５図Ｂは、この支持部材１０
の他の変形例を示したものである。すなわち、第
５図Ａは、逆Ｕ字形で、下部にフランジ部１０ｃ
が形成されたもの、又第５図ＢはＵ字形で、その
上部左右に湾曲したフランジ部１０ｃが形成され
たものである。

さらに、第６図はこの発明に係る縦葺き屋根の
他の実施例を示すもので、第１図に示す断面逆Ｕ
字形の支持部材１０の代りに、両上端縁にフラン
ジ部１０ｃを形成した断面Ｕ字形の支持部材１０
を用いたものである。しかも、前記押え部材７の
基部７ａと係止片部７ｂをつなぐ上端の屈曲面部
１１を、保護カバー９の内面と当接するように上
方へ延出させると共に、前記支持部材１０のフラ
ンジ部１０ｃを、保護カバー９の内面と上記屈曲
部１１の一端とに当接させる構造としたものであ
る。この構成によると、上記の屈曲面部１１とフ
ランジ部１０ｃとが保護カバー９の内面を十分支
持することが可能となり、第１実施例のものに比
べ、更に強い縦葺き屋根を提供することができ
る。

なお、この発明の実施例において、吊子６は、
ボルト４、ナツト５等の固定具を用いて垂木２あ
るいは母屋１に直接固定しているが、吊子６に対
する押え部材７の取付けは、係合状態であり、こ
れらと屋根板８とは圧入嵌合で良く、また保護カ
バー１０も圧入嵌合であり、カシメ機などを用い
て塑性変形させる必要がないため、作業性を高め
ることが可能である。

さらに、吊子６と押え部材７を別部材としてい
るので、屋根板８の側縁立上り部８ｂを吊子６と
押え部材７で確実に弾性挾持でき、このような圧
入嵌合方式であつても、強い風圧に十分に耐えら
れる。

さらにまた、吊子６、押え部材７と屋根板８の
側縁立上り部８ｂ、保護カバー１０と押え部材７
および屋根板８との合計当接部の数が多い上に、
当接部間には、毛管現象を起こさない大きさ隙間
があるために、雨水などの浸入を確実に防止する
ことが可能になつている。

その他、この発明は、この発明の要旨を変えな
い範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。

〔発明の効果〕

以上の説明から明らかなように、この発明によ
れば、屋根板の各々の側縁立上り部を外側から抱
持する押え部材を、吊子に形成した嵌合凹部に凹
凸係合させて圧嵌させてなることから、吊子と押
え部材との組み付け構造を簡便化することがで
き、コスト的にも安価に提供し得ると共に、これ
らの係合状態を安定化させることができるため、
葺き上げ時の作業性の向上を図ることができる。

また、押え部材と保護カバーとの間に支持部材
を介在させたことから、保護カバーを任意の断面
形状に造形することが可能となり、その結果デザ
インを大幅に変えられ、意匠上の自由度を大きく
することができる。特に保護カバーを断面円弧状
に造形することにより、強風にも十分に耐えさせ
ることができるという優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明に係る縦葺き屋根の一実施例
を示す要部断面図、第２図は同じく吊子と押え部
材の組み付け状態を示す要部分解斜視図、第３図
は屋根板の要部斜視図、第４図は保護カバーの要
部斜視図、第５図Ａ，Ｂは保護カバーの他の変形
例を示す要部斜視図、第６図はこの発明に係る縦
葺き屋根の他の実施例を示す要部断面図である。 １……母屋、４，５……固定具、６……吊子、
６ａ……基台部、６ｂ……嵌合凹部、６ｃ……止
着片部、６ｄ……突起部、７……押え部材、７ａ
……基部、７ｂ……係止片部、７ｃ……係合凹
部、８……屋根板、８ｂ……側縁立上り部、８ｃ
……係合部、８ｄ……折返し湾曲部、９……保護
カバー、９ｂ……係着片部、１０……支持部材、
１０ａ……基材、１０ｂ……上端面部、１１……
屈曲部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 母屋１上に固定された吊子６の両外側壁部に
   止着片部６ｃを突出形成し、 この各々の止着片部６ｃに、互いに隣接する屋
   根板８の相対向する各々の側縁立上り部８ｂの途
   中に屈曲形成した係合部８ｃを係合させ、 かつ、これら屋根板８の各々の側縁立上り部８
   ｂの上端部側を、前記吊子６に形成した嵌合凹部
   ６ｂに圧嵌される押え部材７の係止片部７ｂで外
   側から抱持係合させると共に、 前記吊子６の嵌合凹部６ｂに押え部材７を互い
   に凹凸係合させる一方、 この係合部の外周を、両側端縁部が前記屋根板
   ８の係合部８ｃと係着弾持する保護カバー９で覆
   い、 かつ、この保護カバー９と前記押え部材７との
   間に、前記保護カバー９を裏面側から支持する支
   持部材１０を介在させた ことを特徴とする縦葺き屋根。 ２ 支持部材１０は、金属屈曲加工板またはアル
   ミニウムの押出し型材で形成した特許請求の範囲
   第１項に記載の縦葺き屋根。 ３ 前記支持部材１０は、ほぼＵ字形で、かつ、
   上部左右にフランジ部１０ｃを有する断面形状に
   形成した特許請求の範囲第１項に記載の縦葺き屋
   根。