JPH037522Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、ポンプ、送風機、圧縮機等の流体機
械の羽根車とケーシング間の隙間（サイドクリア
ランス）を調整する方法に関するものである。

回転軸の軸端に羽根車を取付け、この羽根車を
ケーシング内に収容して回転させる流体機械にお
いては、羽根車とケーシング内壁間のサイドクリ
アランスを適切に調整しなければならない。特
に、片持形構造の流体機械においては、オーバハ
ング量が多いため、サイドクリアランスの調整は
入念に行わなければならなかつた。

例えば、図示例は片持高速圧縮機の一例を示す
もので、ギアボツクス１内に、図示を省略したモ
ータ、タービン等の駆動装置に連結される低速回
転軸２に固定された大歯車３と、この大歯車３に
噛み合う小歯車４を固定した高速回転軸５の一部
が収容支承され、高速回転軸５の軸端に羽根車６
が取付けられている。羽根車６は、シートパツキ
ング７を介在させて組合わされたケーシング８，
９内に収められて高速回転軸５の回転に伴つて回
転し、高速回転軸５はギアボツクス１にラジアル
軸受１０，１１を介して支承されている。

図中、１２はケーシング８の吸込口に配備され
た吸込ベーンで、１３はベーン支持環を示す。

従来、羽根車６とケーシング８間のサイドクリ
アランスｇを調整するには、ケーシング８，９の
間に介在させたシートパツキング７の厚さを変え
たり、該部のフランジ面を追加加工したりしてサ
イドクリアランスｇの値を調整していた。しかし
ながら、シートパツキング７は締付力によつてそ
の厚さが変化し、フランジ面の追加加工は大きな
部品の取外し、加工及び再取付けと作業が厄介
で、追加加工を行つてもｇ値の微調整は困難であ
つた。しかもｇ値設定の信頼度も少ないため、ｇ
値の測定を必要とし、羽根車６とケーシング８と
の間に鉛線などを入れて行つており、その測定は
煩雑であり、調整には多くの時間を要していた。

本考案は、このような羽根車とケーシング間の
サイドクリアランスを、きわめて簡単な手段によ
つて即時に調整しようとすることを目的とするも
のである。

本考案は、軸端に羽根車を取付け、該羽根車を
ケーシング内に収容した回転軸を軸受を介して支
持部材にて支承した流体機械において、前記軸受
を前記回転軸にその軸方向に相対的に一体となし
前記支持部材に軸直角面で固定される軸受保持部
材を設け、前記ケーシングに前記羽根車を接触さ
せることにより前記支持部材と前記軸受保持部材
間に生じた隙間に、該隙間の寸法と所定のサイド
クリアランス値を加えた厚さの調整シムを挿入し
たことを特徴とするものである。

さらに本考案の一実施例を図示例により説明す
れば、ラジアル軸受１１は軸受保持部材（軸受ケ
ース）１４内に軸受押え１５により取付けられて
いる。軸受ケース１４は軸線を含む面で２分割
（上下２つ割）されており、その軸線方向端部に
ギアボツクス１に取付けられる軸直角面を有する
フランジ１４ａが形成され、ボルトによりギアボ
ツクス１に固定されている。また、軸受ケース１
４及び軸受押え１５の各外端面にはホワイトメタ
ル面が形成され、それらがスラスト軸受１６，１
６となつている。

高速回転軸５には、その軸受摺動部５ａに隣設
し小歯車４側にスラストカラー１７ａを焼嵌めし
てあり、また軸端側段部にスラストカラー１７ｂ
が軸ナツト１８により固定されており、これらの
スラストカラー１７ａ，１７ｂによつて軸受ケー
ス１４は高速回転軸５にその軸方向に相対的に一
体となされている。したがつて、軸受ケース１４
の軸方向の移動は高速回転軸５の移動となり、こ
の移動は羽根車６のサイドクリアランスｇの変更
になる。

さらにまた、ギアボツクス１と軸受ケース１４
のフランジ部１４ａとの間には、調整シム１９が
挿入されるが、その挿入は次のようにして行う。

まず高速回転軸５をケーシング８側に移動させ
て一旦羽根車６をケーシング８に接触させ、その
時に生じたギアボツクス１と軸受ケース１４のフ
ランジ部１４ａ間の隙間に、該隙間の寸法と所定
のサイドクリアランスｇの値を加えた厚さの調整
シム１９を挿入することにより、所定値のサイド
クリアランスｇを形成するものである。

このようにして適切な厚さの調整シム１９を選
定することによつて、羽根車６の軸方向位置を簡
単に調整することができ、しかも調整シム１９の
厚さの選定に対応してサイドクリアランスｇの値
が決まるから、従来行つていたｇ値の測定も不要
になる。

以上述べたように、本考案は所定厚さの調整シ
ムを挿入可能としたきわめて簡単な構造によつて
羽根車を軸方向に移動させてサイドクリアランス
を調整することができ、しかもサイドクリアラン
スは調整シムの厚さに対応して決まるから、従来
のような煩雑な測定の必要もなく、即時にサイド
クリアランスの微調整が可能となるものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示す断面図である。 １……ギアボツクス、５……高速回転軸、５ａ
……軸受摺動部、６……羽根車、７……シートパ
ツキング、８，９……ケーシング、１０，１１…
…ラジアル軸受、１４……軸受ケース、１４ａ…
…フランジ部、１５……軸受押え、１６……スラ
スト軸受、１７ａ，１７ｂ……スラストカラー、
１８……軸ナツト、１９……調整シム、ｇ……サ
イドクリアランス。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 軸端に羽根車を取付け、該羽根車をケーシング
   内に収容した回転軸を軸受を介して支持部材にて
   支承した流体機械において、前記軸受を前記回転
   軸にその軸方向に相対的に一体となし前記支持部
   材に軸直角面で固定される軸受保持部材を設け、
   前記ケーシングに前記羽根車を接触させることに
   より前記支持部材と前記軸受保持部材間に生じた
   隙間に、該隙間の寸法と所定のサイドクリアラン
   ス値を加えた厚さの調整シムを挿入したことを特
   徴とする流体機械。