JPH037263Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、車速信号に基づいてオイル流量を制
御し、車両における操舵力の制御を行なう動力舵
取装置の制御装置に関するものである。

〔従来の技術〕

従来よりこの種の制御装置は、車速に応じた車
速信号を発生する車速センサと、この車速センサ
の発生する車速信号に基づいて電磁バルブに供給
するオイル流量を制御し、車両における操舵力の
制御を行なう操舵力制御回路とを備え、車速が大
きくなるほどオイル流量が少なくなるような制御
を行なつている。すなわち、大きな操舵力を必要
とする低速時にはオイル流量を増加させ、操舵力
が小さくなる高速度はオイル流量を減少させ、広
い車速範囲において、適切な操舵力で操舵が行な
えるようになつている。

一般に、このような制御装置においては、車速
センサおよび電磁バルブを含む前記操舵力制御回
路の異常状態（例えば、断線、短絡等）を検出
し、電磁バルブに供給するオイル量を減少し、車
両における操舵力を常に安全側に制御するフエイ
ルセイフ回路が設けられている。そして、このフ
エイルセイフ回路の作動を視認できるように、こ
のフエイルセイフ回路の作動に伴つて警告ランプ
が点灯するようになつている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、このような動力舵取装置の制御
装置によると、フエイルセイフ回路の作動に伴つ
て警告ランプが点灯するようになつてはいるが、
フエイルセイフ回路の作動という事態は頻繁に起
こつてはならないものであり、これに、伴う警告
ランプの点灯回数は僅少である。つまり、警告ラ
ンプが断線していたとしても、その断線故障の早
期発見は困難であり、フエイルセイフ回路が作動
しても警告ランプが断線故障しており、点灯しな
いという状態が起こり得るものであつた。

〔問題点を解決するための手段〕 本考案はこのような点に鑑みてなされたもの
で、操舵力制御回路への電源の供給と同時に警告
ランプを所定時間点灯させる警告ランプチエツク
回路を設け、この警告ランプチエツク回路を、上
記電源の供給と同時に作動するタイマー回路と、
このタイマー回路での計時時間が上記所定時間に
達するまでのあいだ警告ランプを点灯させるラン
プ点灯回路とにより構成したものである。

〔作用〕

したがつて、この考案の制御装置によれば、制
御回路への電源の供給の度毎に警告ランプの点灯
確認を行なうことができる。

〔実施例〕

以下、本考案に係る動力舵取装置の制御装置を
詳細に説明する。図はこの装置の一実施例を示す
回路図である。同図において、１は車速に対応し
た数のパネル状電気信号を車速信号として発生す
る車速センサ、２はこの車速信号を直流電圧に変
換する電圧変換回路、３は平滑増幅回路、４はソ
レノイド駆動回路、５は車速センサ１の電源との
短絡を検出する第１の異常検出回路、６は車速セ
ンサ１のグランドとの短絡およびソレノイド駆動
回路４の出力端子SOL１，SOL２間に接続され
る図示せぬソレノイドバルブに流れる電流の過大
を検出する第２の異常検出回路、７はソレノイド
バルブの断線を検出する第３の異常検出回路、８
は第１〜第３の異常検出回路５〜７において異常
が検出された時にソレノイド駆動回路４への電源
の供給を遮断するソレノイド駆動停止回路、９は
本考案の特徴とするところの警告ランプチエツク
回路である。

電圧変換回路２は、抵抗２ａ〜２ｇ、コンデン
サ２ｈ〜２ｋ、ダイオード２〜２ｎ、トランジ
スタ２ｐ，２ｑから構成されており、車速センサ
１の出力端子１ａを介して入力される前記車速信
号が高速状態になるにしたがい電圧が低下する直
流電圧を発生するようになつている。また、トラ
ンジスタ２ｑはそのベースが特性切換スイツチ１
０に接続されており、この特性切換スイツチ１０
をオンとすることによりトランジスタ２ｑがオフ
となり電圧変換回路２における回路定数が変わ
り、ソレノイドバルブに供給される出力電流の特
性が変わるようになつている。

平滑増幅回路３は、抵抗３ａ〜３ｆ、コンデン
サ３ｇ，３ｈ、サーミスタ３ｉ、演算増幅器（以
下、オペアンプと称す）３ｊから構成され、電圧
変換回路２の出力信号を非反転増幅し、かつ平滑
するようになつている。ソレノイド駆動回路４
は、抵抗４ａ〜４ｑ、コンデンサ４ｒ〜４ｖ、ダ
イオード４w₁〜４w₆、パリスタ４ｘ、コンパレ
ータ４ｙ、トランジスタ４z₁，４z₂から構成され
ており、供給される入力信号が小さくなるにした
がいデユーテイ比が小さくなるパルス信号を発生
するようになつている。

第１の異常検出回路５は、抵抗５ａ，５ｃ〜５
ｅ、コンデンサ５ｆ，５ｇ、ダイオード５ｈ、コ
ンパレータ５ｉから構成されている。第２の異常
検出回路６は、抵抗６ａ，５ｂ、コンデンサ６ｂ
〜６ｅ、ダイオード６ｆ、コンパレータ６ｇから
構成されいる。第３の異常検出回路７は、抵抗７
ａ〜７ｆ、コンデンサ７ｇ〜７ｉ、ダイオード７
ｊ，７ｋ、コンパレータ７より構成されてい
る。ソレノイド駆動停止回路８は、抵抗８ａ〜８
ｅ、コンデンサ８ｆ，８ｇ、トランジスタ８ｈ、
ダイオード８ｉ、リレー１１、このリレー１１の
常開常閉接点１１ａ（ソレノイド駆動回路４に含
まれる）および常開接点１１ｂ（警告ランプチエ
ツク回路９に含まれる）から構成されている。警
告ランプチエツク回路９は、抵抗９ａ〜９ｄ、コ
ンデンサ９ｅ、ツエナーダイオード９ｆ、NPN
トランジスタ９ｇ，９ｈから構成されている。そ
して、第１〜第３の異常検出回路５〜７とソレノ
イド駆動停止回路８とでこの装置におけるフエイ
ルセイフ回路を形成している。尚、１２は一端が
高電位電源に接続されると共に、他端がトランジ
スタ９ｈのコレクタおよびリレー１１の常開接点
１１ｂに接続された異常警告ランプである。ま
た、ソレノイド駆動回路４の出力端子SOL１，
SOL２の間に接続されるソレノイドバルブは、
それに流れる電流のテユーテイ比が大きくなるほ
ど、バルブの開度が大きくなり、オイル流量を増
加させるように作用する構造のものが使用され
る。そして、そこに電流が供給されない時は動力
舵取装置へのオイル供給を減少するようになつて
おり、このソレノイドバルブとソレノイド駆動回
路と平滑増幅回路３と電圧変換回路２と車速セン
サ１とで操舵力制御回路を形成している。

次に、このように構成された回路の動作を説明
する。自動車が走行を開始すると、車速センサ１
から発生するパルス状の車速信号は、電圧変換回
路２で直流電圧に変換される。そして、この直流
電圧は平滑増幅回路３で増幅され、ソレノイド駆
動回路４に供給される。この時、電圧変換回路２
から得られる直流電圧の大きさは車速が大きくな
るほど小さくなり、ソレノイド駆動回路４は入力
信号の大きさが小さくなるほどデユーテイ比の小
さくなるパルス信号を発生する。すなわち、ソレ
ノイドバルブに供給され電流値は、車速の増加に
伴い減少し、該ソレノイドバルブを介して動力舵
取装置に供給されるオイル流量は低速時に大き
く、高速時には小さく制御される。つまり、車速
に応じた操舵力の制御が行なわれる。

一方、このような操舵力の制御が行なわれてい
る最中に、例えば車速センサ１あるいはオイル流
量を制御するソレノイドバルブ等が故障した場合
には前述のフエイルセイフ回路が作動する。すな
わち、走行中に例えば車速センサ１が電源に対し
て短絡すると、第１の異常検出回路５におけるコ
ンパレータ５ｉの出力が“Ｈ”レベルとなる。こ
れによつて、ソレノイド駆動停止回路８のトラン
ジスタ８ｈがオンとなり、リレー１１が作動し、
リレー１１の常開常閉接点１１ａが図示実線の状
態から破線の状態へと切り換わる。この切り換わ
り動作により、それまでソレノイド駆動回路４に
供給されていた電源が遮断されると共に、抵抗８
ｄを介してトランジスタ８ｈのベースに電源電圧
が供給され、トランジスタ８ｈのオン状態が保持
される。ソレノイド駆動回路４に電源が供給され
なくなると、出力端子SOL１，SOL２に接続さ
れているソレノイドバルブに電流が供給されなく
なる。このため、ソレノイドバルブから動力舵取
装置に供給されるオイル量が減少し、必要な操舵
力は増加する方向に変化し、高速走行時にこの異
常が発生したとしても安全性が保たれる。すなわ
ち、車速センサ１が電源側に短絡したとしても、
常に安全側に作用するフエイルセイフ動作が行な
われる。このフエイルセイフ回路の作動状況は、
異常警告ランプ１２の点灯により確認することが
できる。すなわち、リレー１１の作動によつて常
開接点１１ｂが閉成し、異常警告ランプ１２に電
源が供給されて該ランプが点灯状態となる。

異常検出回路６，７において異常が検出された
場合も同様に、コンパレータ６ｇ，７の出力が
“Ｈ”レベルとなり、リレー１１が作動し、走行
時における安全性が保たれると共に、異常警告ラ
ンプ１２が点灯する。

次に、本考案の特徴とするところの警告ランプ
チエツク回路９の動作を説明する。すなわち、こ
の制御装置の図示せぬパワースイツチをオンとす
るとPOW端子を介してこの制御装置に電源が供
給される。この電源により、警告ランプチエツク
回路９の抵抗９ｃと９ｄとの接続点に電圧が発生
し、トランジスタ９ｈがオンとなり警告ランプ１
２が点灯する。この時、抵抗９ｃと９ｄとの接続
点に発生する電圧はツエナーダイオード９ｆのツ
エナー電圧よりも高くなるように設定されてい
る。一方、トランジスタ９ｇのベースは、抵抗９
ａとコンデンサ９ｃとの接続点に接続されてお
り、この接続点の電位は抵抗９ａとコンデンサ９
ｅとで決まる時定数で上昇する。つまり、このベ
ース電位の上昇に伴い、所定時間経過後トランジ
スタ９ｇがオンとなり、抵抗９ｃと９ｄとの接続
点が略接地電位となつてトランジスタ９ｈがオフ
となる。これに伴に異常警告ランプ１２が消灯す
る。つまり、制御装置への電源の供給の度毎に自
動的に異常警告ランプ１２が所定時間点灯するの
で、この点灯の有無を確認することにより警告ラ
ンプ１２の断線のチエツクを行なうことができ、
警告ランプ１２の断線故障の早期発見が可能とな
る。ただし、制御装置に供給される電源電位、即
ちバツテリ電圧が低下し、抵抗９ｃと９ｄとの接
続点の電位がツエナーダイオード９ｆのツエナー
電圧よりも低下した様な場合は、断線故障の有無
にかかわらず、警告ランプ１２は点灯しない。つ
まり、警告ランプが断線していないにもかかわら
ず、点灯しない場合は、バツテリ電圧が低下して
いるものと判断することができる。この低下判定
電圧は、ツエナーダイオード９ｆのツエナー電圧
を適当に選ぶことにより定めることができる。
尚、ツエナーダイオード９ｆに変えて抵抗を接続
してもよいことは言うまでもない。また、抵抗９
ａおよびコンデンサ９ｅの値を適当に選ぶことに
より、コンデンサ９ｅの充電時定数が決まり、警
告ランプ１２の点灯時間を調整することができ
る。

〔考案の効果〕 以上説明したように本考案による動力舵取装置
の制御装置によると、操舵力制御回路への電源の
供給と同時に警告ランプを所定時間点灯させるよ
うにしたので、制御回路への電源の供給の度毎に
警告ランプの点灯確認を行なうことができ、警告
ランプの断線故障の早期発見が可能となる。

【図面の簡単な説明】

図は本考案に係る動力舵取装置の制御装置の一
実施例を示す回路図である。 １……車速センサ、２……電圧変換回路、３…
…平滑増幅回路、４……ソレノイド駆動回路、５
……第１の異常検出回路、６……第２の異常検出
回路、７……第３の異常検出回路、８……ソレノ
イド駆動停止回路、９……警告ランプチエツク回
路、１２……異常警告ランプ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 車速信号に基づいて車両における操舵力の制御
   を行なう操舵力制御回路と、この操舵力制御回路
   の異常状態を検出し前記操舵力を常に安全側に制
   御するフエイルセイフ回路と、このフエイルセイ
   フ回路の作動に伴つて点灯する警告ランプとを備
   えた動力舵取装置の制御装置において、 前記操舵力制御回路への電源の供給と同時に前
   記警告ランプを所定時間点灯させる警告ランプチ
   エツク回路を設け、 前記警告ランプチエツク回路は、前記電源の供
   給と同時に作動するタイマー回路と、このタイマ
   ー回路での計時時間が前記所定時間に達するまで
   のあいだ前記警告ランプを点灯させるランプ点灯
   回路とにより構成されている 事を特徴とする動力舵取装置の制御装置。