JPH0372202B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

（産業上の利用分野） 本発明は、粘土鉱物をベースとする安定化され
たレゾルシン配合剤に関する。このものは、クリ
ーム剤、ローシヨン剤などの皮膚化粧料として、
また、殺菌性皮膚外用剤として好適に使用され
る。 （従来の技術） 従来から、レゾルシン配合剤は、化粧料の分野
においてクリーム剤、ローシヨン剤、ステイツク
剤等として使用され、また、にきび、脂漏、とく
頭病、白せん等の皮膚病に対し殺菌剤として使用
されてきた。 しかしながら、本来レゾルシンは、光、空気、
熱又は鉄に対し不安定な物質であり、黄色から褐
色へ変色する。その原因は、レゾルシン自体のラ
ジカル反応、フエノール性水酸基の反応によると
考えれらるが、特に水系で粘土鉱物が共存する場
合に不安定性が著しい。このため、レゾルシン配
合剤、特に粘土鉱物含有レゾルシン配合剤は、レ
ゾルシンの有効性を長期にわたつて維持すること
が困難であつた。こうした欠点を克服するため、
粘土鉱物を可及的に除いたり、また、顔料を添加
して褐色を目たなくするなどの対策がとられた
が、このような消極策では抜本的な解決は期待で
きず、これまで満足すべき安定化の成果は得られ
なかつた。 （発明の目的） 本発明は、粘土鉱物をベースとするレゾルシン
配合剤について前記不安定性の欠点を抜本的に解
決し、もつて安定化されたレゾルシン配合剤を提
供しようとするものである。 （発明の構成） 本発明は、粘土鉱物をベースとするレゾルシン
配合剤に乳酸又は（及び）クエン酸を0.01〜１重
量％添加してなる安定化されたレゾルシン配合剤
である。 レゾルシンは、一般に化粧品、医薬部外品では
0.1重量％まで、医薬品では１〜４重量％まで配
合が容認されている。 本発明に用いる粘土鉱物は、モンモリロナイト
系粘土鉱物（商品名ビーガム、クニピア）、ヘク
トライト（商品名ラポナイト）、セリサイト、カ
オリン、マイカ、合成雲母（商品名ダイモナイ
ト）などから選ばれるものであつて、これらの１
種の単品又は２種以上の混合物である。 本発明では、所望により無機粉末を添加しても
よく、無機粉末は、酸化亜鉛、イオウ、酸化チタ
ン、タルク、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、黒色酸化
鉄、シリカ、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウ
ムなどから選ばれるものの粉末であつて、これら
粉末の１種の単品又は２種以上の混合物である。 粘土鉱物は、クリーム状、ステイツク状、ゼリ
ー状などの剤型において硬さや粘度を調節する作
用を有し、また、前述の皮膚病への施用において
乾燥を保ち、皮膚に抵抗なく軽くのばす作用を有
し、使用性改質剤としての役割も有する。無機粉
末は、粘土鉱物の助剤として作用する。 粘土鉱物の配合量は、特に制限がなく、これら
をベースとする公知のレゾルシン配合剤における
場合と同様であつて、例えばレゾルシン配合剤全
量に対し好ましくは１〜80重量％である。 本発明においては、乳酸又は（及び）クエン酸
が添加される。乳酸、クエン酸は、その遊離酸を
意味し、そのアルカリ金属塩等を含まない。 本発明において乳酸等の添加量は、0.01〜１重
量％である。0.01重量％未満では長期保存上不充
分であり、１重量％超では共存する粘土鉱物の構
造破壊を起し実用的ではない。 本発明では、前記無機粉末のほかに、この種配
合剤に添加される他の成分、例えば動植物油脂、
界面活性剤、保湿剤、溶剤、香料、防腐剤、色
素、顔料などを適宜添加してもよい。これらの添
加量は、製品配合剤の外観、使用性等の観点か
ら、本発明の目的に反さない範囲において適宜決
めることができる。 （発明の効果） 本発明にかかる乳酸等添加レゾルシン配合剤
は、後記実施例、比較例の結果からわかるよう
に、有効に安定化されており、従来品のごとき変
色もない。 （実施例及び比較例） 実施例１〜８及び比較例１〜３ 水性ベントナイト（商品名クニピアＧ−４）５
重量％、亜鉛華２重量％、１，３−ブチレングリ
コール10重量％及び精製水（残部）からなるベー
スに２重量％のレゾルシンを配合してレゾルシン
配合剤を調製した。得られたレゾルシン配合剤に
対し、乳酸を各0.03、0.06、0.12、0.15、0.2、
0.3、0.4、0.5重量％混合して、８種類の安定化レ
ゾルシン配合剤を得た。 これらのものを、それぞれ外用剤用金属チユー
ブに充填し50℃に１か月及び２か月の間保存し
た。保存後のレゾルシン残存率（％）により安定
効果を調べた。 比較のため、無添加の場合及び乳酸ナトリウム
（Na）添加の場合についても同様にして調べた。
調査の結果は、下表に示すとおりであつた。 なお、レゾルシンの定量は、内部標準法により
高速液体クロマトグラフイーにて行つた。

【表】 本表の結果によれば、乳酸を添加した場合にの
みレゾルシン配合剤において優れた安定効果が得
られることがわかる。 特に、別の調査によれば、実施例１〜８のいず
れの場合にも、室温での１年、１年又は３年の長
期保存試験においてレゾルシン残存率90％以上の
好成績を得ている。 また、実施例ではいずれの場合にも変色は認め
られなかつたが、比較例１では保存後褐変が著し
く、比較例２〜３でも褐変が認められた。 実施例 ９ 下記のようにして安定化レゾルシン配合剤（に
きび用クリーム）を調製した。 重量％ 水性ベントナイト（商品名ビーガム） 7.0 酸化亜鉛 2.0 タルク 3.0 カオリン 9.0 局方イオウ 3.0 １，３−ブチレングリコール 5.0 グリセリン 10.0 エタノール 10.0 乳 酸 0.3 レゾルシン 2.0 着色顔料 適量 香 料 適量 精製水 残部 あらかじめに湿潤させたを高シエアの
撹拌機により混合し均一なゲルを作つた。これ
に、を加え均一に混合撹拌した。更に
に溶解したを加え、つづいてを加え充分
に撹拌混合したのち、脱気して本発明品を得た。 本レゾルシン配合剤は、下表に示すとおり、短
期はもちろん、長期に保存しても驚くほど安定
で、１年、２年、３年後でも95％以上レゾルシン
が残存しており、乳酸添加の効果が充分に発揮さ
れていることがわかる。

【表】 実施例10〜14及び比較例４〜５ クエン酸を各0.05、0.1、0.2、0.4、0.8重量％添
加したほかは、実施例１と同様にして５種類の安
定化レゾルシン配合剤を得た。 これらのものについて同様にレゾルシン残存率
を調べたところ、下表の結果を得た。 比較のため、無添加の場合及びクエン酸ナトリ
ウム（Na）添加の場合についても同様にして調
べた。その結果も下表に記した。

【表】 実施例 15 下記のようにして、安定化レゾルシン配合剤
（部分用軟こう）を調製した。 重量％ 水性ベントナイト ５ ヘクトライト ３ 酸化チタン １ カオリン 12 シリコン ３ ステアリン酸モノステアレート １ ジプロピレングリコール ５ イソプロパノール ３ レゾルシン ２ クエン酸 0.1 グルコン酸 0.05 精製水 残部 香 料 適量 あらかじめに湿潤させた及びを高シエ
アの撹拌機で均一混合し透明ゲルを作つた。これ
にを加えて撹拌混合したのち、70℃に加温し
たに及びを加え溶解したもの、に溶解し
た及びの１部に溶解したを順次添加し均
一に撹拌混合し、室温まで冷却して本発明品を得
た。 本品は長期間保存してもレゾルシンは驚くほど
安定で、３年後でも室温でのレゾルシンの残存率
は90％以上であつた。 実施例 16 下記のようにして、安定化レゾルシン配合剤
（ゼリー型外用剤）を調製した。 重量％ カルボキシビニルポリマー 0.8 クトライト 0.15 グリセリン 5.0 ソルビトール 7.0 エタノール 35.0 乳 酸 0.1 酒石酸 0.05 精製水 残部 ポリオキシエチレン（60）硬化ヒマシ湯 1.0 香 料 適量 ２−アミノ−２− 0.05 メチルプロパノール 0.5 レゾルシン 1.0 にを加え、ホモミキサーにて均一に
混合したところに、をに溶解したも
のを加えて均一化した。これにを加えて中和し
ゼリー状の本発明品を得た。本品を３年間室温に
保存したところ、レゾルシンの残存率は90％以上
であつた。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 粘土鉱物をベースとするレゾルシン配合剤に
   乳酸又は（及び）クエン酸を0.01〜１重量％添加
   してなる安定化されたレゾルシン配合剤。