JPH037158Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、パツド印刷機に備えられて、内部に
設置された印版へのインキの塗布作業が行われる
インキ受け装置に関する。

（従来技術） 各種の印刷に用いられるパツド印刷機は、印版
（凹版）の凹刻溝に保持されたインキをシリコー
ンゴム等でなる柔軟なパツドに転写すると共に、
該パツドを被印刷物に押し付けることにより、上
記印版に描かれた文字や図形等でなるパターンを
被印刷物に印刷するものであるが、この種の印刷
機においては、上記印版を収容して、該印版への
インキの塗布作業と凹刻溝以外の箇所に塗布され
たインキの除去作業とが行われるインキ皿が備え
られる。

然してこのインキ皿は、内部に設置される印版
を所定位置に固定するための位置決め機構等が設
けられる関係で、金属材料を用いて比較的頑丈に
且つ高い寸法精度で形成され、従つて該インキ皿
はコストが高いものとなつている。

一方、この種の印刷においては、比較的短時間
で乾燥、凝固する生インキが使用されるのが通例
であり、そのため良好な印刷の仕上り状態を維持
するためには、作業中断時等にその都度インキの
交換が必要となると共に、その交換の際にはイン
キ皿を洗滌しなければならず、また作業終了時や
印版の交換時等にもインキ皿を洗滌しなければな
らない。そのため、このパツド印刷機を用いた印
刷作業においてはインキ皿の洗滌に要する時間が
多くなり、これが能率の向上を妨げる原因となつ
ている。また、インキ皿の洗滌に際しては揮発性
の溶剤が使用されるため、この洗滌作業が環境衛
生上、好ましくない作業となつている。

（考案の目的） 本考案は、パツド印刷機における上記のような
実情に対処するもので、内部に印版が設置されて
該印版へのインキの塗布作業及び余分なインキの
除去作業が行われるインキ受け装置として、従来
の金属製のインキ皿に代えて、安価で使い捨て可
能な部材の使用を可能とする。これにより、例え
ば作業中断後において新しいインキを使用する場
合や作業終了時等におけるインキ皿の洗滌作業を
不要とし、もつて印刷作業全体としての能率の向
上を図ると共に、環境衛生上、好ましくなかつた
揮発性溶剤の使用を不要として、作業環境を改善
することを目的とする。

（考案の構成） 即ち、本考案は、パツド印刷機において、内部
に印版が設置されて該印版へのインキの塗布作業
や余分なインキの除去作業が行われるインキ受け
装置を、合成樹脂成形品でなる皿状のインキ受け
部材と、該インキ受け部材が載置されて、該部材
内の印版を吸着することにより、該印版との間に
インキ受け部材の底面を挟み付けた状態で印版を
固定するマグネツト部材とで構成したことを特徴
とする。

上記インキ受け部材は、インキ中に含まれてお
り或いはインキに添加される溶剤等に侵されるこ
とがない合成樹脂、例えばポリプロピレンやポリ
エチレン等を用いて予め皿状に形成されている。

一方、印版は上記の如きインキ受け部材内に設
置された時に、該インキ受け部材の底面を介して
マグネツト部材上に位置し、該マグネツト部材に
よる吸着力によりインキ受け部材内で所定位置に
固定される。そして、この時、インキ受け部材の
底面が上記マグネツト部材と印版との間に挟み付
けられることにより、該インキ受け部材も固定さ
れることになる。

（考案の効果） 本考案に係るパツド印刷機のインキ受け装置は
上記のような構成であつて、合成樹脂成形品でな
るインキ受け部材が極めて安価に入手することが
できるから、印刷作業を一時中断した場合等にお
いてインキの交換が必要となつた時、或いは作業
終了時等には、それまで使用していたインキ受け
部材を捨てて新たなインキ部材を用いることが可
能となる。これにより、極めて面倒で、しかも環
境衛生上、好ましくなかつたインキ皿の洗滌作業
が不要となり、もつてこの種の印刷機を用いた印
刷作業の能率が著しく向上されると共に、作業環
境が改善されることになる。

（実施例） 以下、図に示す本考案の実施例について説明す
る。

第１図は、本考案が適用されるパツド印刷機の
概略構成を示すもので、この印刷機１には、架台
２の上面２ａに立設された支柱３に実線で示す前
方位置と鎖線で示す側方位置との間で揺動自在に
支持されたパツド支持アーム４が備えられ、該ア
ーム４の先端に上下動可能にシリコーンゴム等で
なる柔軟なパツド５が取付けられている。

また、上記支柱３の一側部にはインキ塗布用の
インキプレート６とドクターブレード７とが備え
られており、該インキプレート６及びドクターブ
レード７が図示の位置からａ方向に移動可能とさ
れている。

一方、上記架台２の上面２ａにおける上記パツ
ド支持アーム４が揺動する方の側部にはインキ受
け装置８が設けられている。このインキ受け装置
８は、第２図に拡大して示すように架台２の上面
２ａに設置されたマグネツト装置９と、該マグネ
ツト装置９上に載置されたインキ受け部材１０と
で構成され、該インキ受け部材１０の一側部内に
上記インキプレート６とドクターブレード７とが
位置するようになつている。そして、該インキ受
け部材１０内に、鉄等に磁性体で形成され且つ上
面１１ａに所定の印刷パターンを形成する凹刻溝
（図示せず）が形成機された印版１１が収納設置
されている。

然して、上記インキ受け部材１０は、第３図に
示すようにポリプロピレンやポリエチレン等の合
成樹脂を用いて上面が広く開放された皿状に成形
されたものであつて、この実施例では、中央部に
上記印版１１を収納するための凹部１０ａが設け
られていると共に、該凹部１０ａの一側方には、
底面１０ｂと上記凹部１０ａに収納された印版１
１の上面１１ａとを滑かに連続させるための傾斜
面１０ｃが設けられている。また、上記マグネツ
ト装置９には磁力を作用させ或いは解消させるた
めの操作部材９ａが設けられ、該操作部材９ａを
磁力作用位置に回動操作すれば、該マグネツト装
置９の上、下面９ｂ，９ｃに磁力が作用して、該
装置９の下面９ｃが架台２の上面２ａに吸着固定
されると共に、上面９ｂに載置されたインキ受け
部材１０内の印版１１が該インキ受け部材１０の
凹部底面１０ｄを介してマグネツト装置９の上面
９ｂに吸着固定され、これと同時に、該マグネツ
ト装置９の上面９ｂと印版１１の下面との間にイ
ンキ受け部材１０の凹部底面１０ｄが挟み付けら
れることにより、該インキ受け部材１０も固定さ
れるようになつている。

次に上記実施例の作用を説明する。

第１，２図に示すように、先ずパツド印刷機１
の架台２の上面２ａにおける所定位置にマグネツ
ト装置９を設置し、且つ該装置９の上に内部に印
版１１を収納したインキ受け部材１０を載置した
上で、上記マグネツト装置９における操作部材９
ａを回動操作することにより、該装置９の上、下
面９ｂ，９ｃに磁力を発生させる。これにより、
該マグネツト装置９が架台２の上面２ａに固定さ
れると共に、該装置９の上面９ｂにインキ受け部
材１０と印版１１とが固定されることになる。そ
して、この状態でインキ受け部材１０にインキを
注入し、また第１図に示すように前方位置にある
パツド５の下方に被印刷物Ｘをセツトする。

次に、該印刷機１の作動を開始させると、イン
キ受け部材１０の一側部内に位置するインキプレ
ート６及びドクターブレード７が該インキ受け部
材１０内においてａ方向に移動し、該部材１０内
のインキがインキプレート６により印版１１の上
面１１ａに塗布されると共に、元の位置に向つて
反ａ方向に移動する時にはドクターブレード７が
上記印版１１の上面１１ａに塗布された余分なイ
ンキを除去する。これにより、該印版１１の上面
１１ａにおける凹刻溝内にインクが供給保持され
た状態となる。ここで、上記インキプレート６が
図示の位置からａ方向に移動する時にはインキ受
け部材１０に設けられた傾斜面１０ｃにより該イ
ンキプレート６がスムーズに印版１１の上面１１
ａに案内され、またドクターブレート７は、反ａ
方向に移動して印版１１の上面１１ａの余分なイ
ンキを除去する時に若干下方に移動して先端が印
版上面１１ａに摺接されるようになつている。

このようにして、印版１１の上面１１ａにおけ
る凹刻溝内にインキが供給されると、次にパツド
支持アーム４が第１図に実線で示す前方位置から
鎖線で示す側方位置に揺動すると共に、側方位置
において該アーム４に支持されたパツド５が下動
されて下方に位置する上記印版１１の上面１１ａ
に押し付けられる。そのため、印版１１の凹刻溝
内に保持されたインキが該凹刻溝のパターンを保
持したままパツド５の表面に転写される。そし
て、該パツド５は一旦上動した後、パツド支持ア
ーム４の揺動によつて前方位置に戻されると共
に、この位置で再び下動されて、下方にセツトさ
れている被印刷物Ｘに押し付けられる。これによ
り、該パツド５の表面に転写されたインキが更に
被印刷物Ｘに転写されることになり、該被印刷物
Ｘに上記印版１１に形成された凹刻溝のパターン
と同一の文字や図形等が印刷されることになる。

然して、上記のような印刷作業が長時間にわた
り、或いは印版１１の交換等のために作業が中断
されて、その間にインキ受け部材１０内のインキ
が凝固し始めると、良好な印刷の仕上り状態を維
持するためにインキの交換が必要となる。この場
合、従来においては、インキ皿の洗滌が必要であ
つたが、この実施例では、上記のようにインキは
合成樹脂成形品でなる安価なインキ受け部材１０
に貯留されているから、凝固し始めたインキが付
着しているインキ受け部材１０を処分することが
できて、新しいインキ受け部材１０と交換するこ
とができるのである。これにより、従来のような
インキ皿の洗滌作業が不要となり、この洗滌に要
していた時間分だけ能率が向上すると共に、環境
衛生上、好ましくなかつた揮発性溶剤の使用が不
要となることにより作業環境が改善されることに
なる。

尚、本考案は、第１図に示すようにパツドが揺
動するタイプの印刷機に限らず、パツドが直線往
復運動するタイプの印刷機にも同様に適用し得る
ものである。

【図面の簡単な説明】

第１〜３図は本考案の実施例を示すもので、第
１図はパツド印刷機の概略正面図、第２図は該印
刷機におけるインキ受け装置の拡大縦断正面図、
第３図は同じく斜視図である。 １……パツド印刷機、５……パツド、８……イ
ンキ受け装置、９……マグネツト部材、１０……
インキ受け部材、１０ｄ……底面、１１……印
版。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 印版に塗布されたインキをパツドを介して被印
   刷物に転写するパツド印刷機に備えられて、上記
   印版が内部に設置されると共に該印版へのインキ
   の塗布作業が行われるインキ受け装置であつて、
   合成樹脂成形品でなる皿状のインキ受け部材と、
   該インキ受け部材が載置されて、該部材内の印版
   を吸着することにより、該印版との間にインキ受
   け部材の底面を挟み付けた状態で印版を固定する
   マグネツト部材とで構成されていることを特徴と
   するパツド印刷機におけるインキ受け装置。