JPH0369306B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、オフセツト輪転印刷機、詳しくは版
胴、ブランケツト胴などの印刷胴を駆動する装置
に関するものである。

従来の技術 オフセツト印刷は、版面の画線をブランケツト
面に転写し、しかる後に、ブランケツト面に転写
された画線を料紙面へ再転写して印刷するのが基
本原理である。

そして、オフセツト輪転印刷機としては、例え
ば第９図に示すように、版を装着した第１版胴１
とブランケツトを装着した第１ブランケツト胴２
と第２ブランケツト胴３と第２版胴４とを相隣接
して順次並設すると共に、第１ブランケツト胴２
と第２ブランケツト胴３との間に料紙５を送り込
みし、第１版胴１と第１ブランケツト胴２と第２
ブランケツト胴３と第２版胴４、つまり相隣接す
る印刷胴を同一回転数で相反する向きに回転して
印刷するようにしたオフセツト輪転印刷機が知ら
れている。

前記各印刷胴を駆動する装置としては、例えば
第１０図に示すように、各印刷胴の胴軸６，７，
８，９に図示しないキーなどでピツチ円径、歯数
等が同一である歯車１０，１１，１２，１３を相
互に噛合するように固着し、一つの胴軸６に傘歯
車１４を固着すると共に、この傘歯車１４には図
示しない駆動源に連結する竪軸１５に固着した傘
歯車１６を噛合させ、相隣接する印刷胴が同一回
転数で相反する向きに回転する様に各印刷胴に動
力伝達するものが知られている。

つまり、オフセツト輪転印刷機の印刷胴を駆動
する装置としては、駆動源側から第１番目に動力
伝達される第１の印刷胴、第１０図では第１版胴
１を印刷胴配列順の最上位とし、以下隣接並設順
に下位置とする印刷胴配列の順に従い上位から下
位へ順次動力伝達を行うものが知られている。

なお、第２版胴４の胴軸９に傘歯車１４を固着
して歯車１３側より動力を伝達しても良いが、第
１、第２ブランケツト胴２，３の胴軸７，８に傘
歯車１４を固着することは胴軸７，８が、各印刷
胴の接触を開放する胴トリツプの際移動するので
好ましくなく、あまり行なわれていない。

発明が解決しようとする問題点 上述の通り、オフセツト輪転印刷機では版胴と
ブランケツト胴が１対１の回転比で回転する様に
歯車によつて駆動されているが、一般に歯車は、
その噛合わせ回転軸を滑らかに行い得る様バツク
クラツシユが設けられている為、噛合つて回転す
る歯車のうち従動側の歯車は何らかの外力を受け
ると駆動側の歯車に対して前記バツクラツシユの
分だけ自由に動き得る。

一方、オフセツト輪転印刷機において、版胴仕
立径、つまり版胴に版を装着した時の版面までの
径とブランケツト胴仕立径、つまりブランケツト
胴にブランケツトを装着した時のブランケツト面
までの径とを僅かではあるが異らしめることは、
例えば等径法やトルーローリング法等周知であ
る。

この様に、胴仕立径の僅かに異なる版胴とブラ
ンケツト胴が画線転写の為の接触圧によつて連れ
回りで回転すると、版胴とブランケツト胴の周長
が異なるから両者の回転角が僅かずつ異なること
になるが、これを歯車駆動により強制補正しなが
ら回転させるので、歯車に大きな力となつて作用
する。

従つて、第１０図において第１、第２ブランケ
ツト胴２，３の胴仕立径が第１、第２版胴１，４
の胴仕立径よりも僅かに大きい場合には、第１１
図に示すように、第１版胴１と連れ回り回転する
第１ブランケツト胴２は第１版胴１よりも遅く回
転しようとするので歯車１０の回転方向先行側歯
車１０ａが歯車１１の回転方向後行側歯面１１ｂ
に圧接し、第２ブランケツト胴３で連れ回り回転
される第２版胴４は第２ブランケツト胴３よりも
速く回転しようとするから第１２図に示すように
歯車１２の回転方向後行側歯面１２ｂに歯車１３
の回転方向先行側歯面１３ａが圧接して第２版胴
４の回転を歯車１３と歯車１２とで規制して強制
補正し、第２版胴４は歯車１３のバツクラツシユ
Ｓ分だけ先行して回転することになる。

つまり、相隣接する印刷胴のうち胴仕立径の大
きな印刷胴の方が胴仕立径の小さな印刷胴よりも
動力伝達において上流側（駆動源側）である場合
には胴仕立径の小さな印刷胴は歯車のバツクラツ
シユ分だけ先行して回転する。

しかしながら、印刷胴の接触圧による連れ回り
での回転は、瞬時の接触圧の変化によつても変化
し得るため確定性がなく、胴仕立径の小さな印刷
胴、第１０図では第２版胴４は歯車による強制補
正のきかないバツクラツシユ分の範囲で自由に位
置を変えながら回転する。

つまり、接触圧の変化によつて第２版胴４の連
れ回り回転力が小さくなると駆動側歯車、第１０
図では歯車１２の回転方向先行側歯車１２ａと従
動側歯車、第１０図では歯車１３の回転方向後行
側歯車１３ｂとが圧接して駆動歯車で第２版胴４
が回転されるように変わるから、第２版胴４は歯
車１３のバツクラツシユ分だけ自由に回転する。

このことにより、必然的に接続回転する印刷胴
の接触位置も確定性を失ない、版面からブランケ
ツト面への画線の転写の際に、ブランケツト面上
に残留する先行転写画線と新規の転写画線とがブ
ランケツト胴周方向にずれを生じ、従つてブラン
ケツト面から料紙面への転写ではブランケツト面
上のずれた新旧２つの画線がダブリ画線となつて
印刷される問題があつた。

問題点を解決するための手段及び作用 胴仕立径の大きな印刷胴を胴仕立径の小さな印
刷胴よりも駆動源側に位置した場合、その胴仕立
径の大きな胴軸に駆動源に連結した中間歯車を回
転自在に装着し、かつその胴軸に第１の歯車を固
着し、この中間歯車と第１の歯車とを胴仕立径の
小さな印刷胴の胴軸に固着した第２の歯車にそれ
ぞれ噛合させて、前記駆動源から中間歯車を経て
第２の歯車を駆動すると共に、その第２の歯車で
第１の歯車を駆動して第２の歯車の歯面両側を中
間歯車と第１の歯車とで規制し、相隣接する印刷
胴の接触圧が変化しても胴仕立径の小さな印刷胴
が第２の歯車のバツクラツシユ分だけ自由に位置
を変えることがないようにしたものである。

実施例 第１図は斜視図であり、従来と同一部材は符号
を同一として詳細な説明を省略する。

第２ブランケツト胴３の胴軸８には中間歯車２
０を回転自在に装着すると共に、歯車１２を固着
し、中間歯車２０を歯車１１と歯車１３とに噛合
すると共に、歯車１３を広巾として歯車１２とも
噛合させて印刷胴駆動装置を構成している。

なお、第１、第２ブランケツト胴２，３の胴仕
立径は第１、第２版胴１，４の胴仕立径よりも僅
かに大きくなつている。

この様であるから、歯車１１より中間歯車２０
を介して歯車１３に動力が伝達され、歯車１３よ
り歯車１２に動力が伝達されるので、歯車１２と
歯車１３との噛合い状態は第２図に示すように、
第２版胴４が第２ブランケツト胴３よりも速く回
転しようとするから歯車１２の回転方向後行側歯
面１２ｂが歯車１３の回転方向先行側歯面１３ａ
に圧接し、かつ歯車１３から歯車１２に動力が伝
達されるようになり、第２ブランケツト胴３と第
２版胴４との接触圧が瞬時に変位して第２版胴４
の第２ブランケツト胴３との連れ回りによる回転
力が減少しても中間歯車２０を介して回転力が常
時伝達されているので、歯車１３はバツクラツシ
ユ分だけ自由に位置を変えることはない。

また、中間歯車２０は胴軸８に対して回転自在
であつて第２ブランケツト胴３の回転とは関係な
しに歯車１１で駆動されると共に、歯車１３に噛
合しているから、中間歯車２０と歯車１３との噛
合い状態は第３図に示すように、中間歯車２０の
回転方向先行側歯面２０ａが歯車１３の回転方向
後行歯面１３ｂを押して回転するようになる。

したがつて、歯車１３は同一の胴軸８に設けた
中間歯車２０と歯車１２の２枚の歯車により、回
転方向先行側歯車１３ａと回転方向後行側歯面１
３ｂの歯面両側を同時に規制されて回転してお
り、実質上バツクラツシユがない噛合い回転と同
等であつて、接触圧が変化しても胴仕立径が小さ
な第２版胴４が回転中にバツクラツシユ分だけ自
由に位置を変えることはないから、印刷胴の接触
部の不確定さを一掃してダブリ印刷を無くすこと
ができる。

なお、竪軸１５より胴軸９が最初に動力伝達を
受ける場合は、第１ブランケツト胴２の胴軸７に
中間歯車２０を回転自在に設けると共に、第１版
胴１の胴軸６に設けた歯車１０を広幅として中間
歯車２０と歯車１１とが噛合するようにすれば良
い。

また、第１、第２版胴１，４の胴仕立径が第
１、第２ブランケツト胴２，３の胴仕立径よりも
僅かに大きな場合には、第４図に示すように第１
版胴１の胴軸６に傘歯車軸２１を回転自在に連結
し、この傘歯車軸２１に中間歯車２０を固着し、
中間歯車２０と歯車１０とを胴軸７に固着した広
幅なる歯車１１に噛合して、中間歯車２０で歯車
１１を回転駆動し、その歯車１１で歯車１０を駆
動するようにすれば良い。

この様にすれば、第５図に示すように中間歯車
２０の回転方向先行歯面２０ａが歯車１１の回転
方向後行歯面１１ｂに圧接し、第６図に示すよう
に歯車１０の回転方向側歯面１０ｂが歯車１１の
回転方向先行側歯面１１ａに圧接するから、前述
と同様に歯車１１の回転方向先行側歯面１１ａと
回転方向後行側歯面１１ｂの歯面両側を同時に規
制できて接触圧が変化しても胴仕立径の小さな第
１ブラケツト胴２が歯車１１のバツクラツシユ分
だけ自由に位置を変位させることがない。

つまり、胴仕立径の大きな第１の印刷胴が胴仕
立径の小さな第２の印刷胴よりも動力伝達の上位
に位置する場合に、第１の印刷胴の胴軸に中間歯
車を回転自在に設け、この中間歯車を第２の印刷
胴の胴軸に固着した歯車に噛合して第２の印刷胴
に動力を伝達し、その歯車を第１の印刷胴の胴軸
に固着した歯車に噛合して第２の印刷胴から第１
の印刷胴に動力を伝達するようにすれば良い。

また、第７図に示すように第１、第２ブランケ
ツト胴２，３に圧胴２２を圧接したオフセツト輪
転印刷機の場合には、動力の入力する位置及びブ
ランケツト胴と版胴の胴仕立径によつて第１又は
第２の実施例のような動力伝達の仕方を行なえば
良く、第８図に示すように１つの圧胴２２に複数
のブランケツト胴を圧接したオフセツト輪転印刷
機の場合には、通常圧胴２２に動力を入力するの
で、ブランケツト胴の胴仕立径が大きい場合に第
１の実施例のような動力伝達の仕方とすれば良
い。

なお、第１図において広巾の歯車１３及び第４
図において広巾の歯車１１を、狭巾の２つの歯車
より構成して胴軸９及び胴軸７にキヤーやボルト
等で固着しても良い。

発明の効果 動力伝達の下流側に位置する胴仕立径の小さな
印刷胴の胴軸に固着した第２の歯車は、動力伝達
の上流側に位置する胴仕立径の大きな印刷胴の胴
軸に装着した中間歯車を経て駆動され、その第２
の歯車で前記胴軸に固着した第１の歯車を駆動す
るので、動力伝達の下流側の印刷胴の胴軸に固着
した第２の歯車の歯面両側は１つの胴軸に設けた
中間歯車と第１の歯車で規制され、相隣接する印
刷胴の接触圧が変化しても胴仕立径の小さな印刷
胴が歯車のバツクラツシユ分だけ自由に変位する
ことがない。

したがつて、版胴の版面とブランケツト胴のブ
ランケツト面間の画線転写にずれを生ずることが
なくなり、ダブリ印刷による損紙を無くすばかり
でなく、印刷品質の大きな向上をも果たし得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例を示す斜視図、第２
図、第３図は歯車の噛合状態の説明図、第４図は
第２実施例の斜視図、第５図、第６図は歯車の噛
合状態の説明図、第７図、第８図、第９図は異な
るオフセツト輪転印刷機の概略説明図、第１０図
は従来例の斜視図、第１１図、第１２図は歯車の
噛合状態説明図である。 １は第１版胴、２は第１ブランケツト胴、３は
第２ブランケツト胴、４は第２版胴、５は料紙、
１０，１１，１２，１３は歯車、２０は中間歯
車。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 版を装着した版胴より成る印刷胴とブランケ
   ツトを装着したブランケツト胴より成る印刷胴を
   相隣接して並設すると共に、相隣接する印刷胴を
   ピツチ円径、歯数等が同一である歯車により同一
   回転数で相反する向きに回転し、かつ両印刷胴の
   胴仕立径を僅かに異ならせて版面の画線をブラン
   ケツト面に転写し、しかる後にブランケツト面に
   転写された画線を料紙面へ再転写して印刷し、し
   かも、前記相隣接する両印刷胴における胴仕立径
   が大きな印刷胴が胴仕立径の小さな印刷胴よりも
   駆動源側に位置するオフセツト輪転印刷機におい
   て、前記の胴仕立径の大きな印刷胴の胴軸に、駆
   動源に連結した中間歯車を回転自在に装着し、か
   つその胴軸に第１の歯車を固着すると共に、この
   中間歯車と第１の歯車とを前記胴仕立径の小さな
   印刷胴の胴軸に固着した第２の歯車にそれぞれ噛
   合させた印刷胴駆動装置を設けたことを特徴とす
   るオフセツト輪転印刷機。