JPH036859Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は燃料噴射式エンジンに関し、とくに共
通吸気通路から互いに分岐して２つの吸気ポート
に各々連通する２つの分岐吸気通路と補助吸気通
路とを備えて、特定運転域で共通吸気通路から上
記両分岐吸気通路への吸気の流通を制限するよう
に吸気系が構成されるとともに、上記両分岐吸気
通路へ燃料を供給する燃料噴射弁が設けられたエ
ンジンに関するものである。

（従来技術） 従来、運転状態に応じて吸気流速、スワール等
を調整するため、エンジンの各気筒ごとに、２つ
の吸気ポートを燃焼室に開口させ、各吸気ポート
への吸気流通を運転状態に応じて調節することが
できるように吸気系を構成するとともに、上記各
吸気ポートにそれぞれ連通する２つの通路に対し
て１つの燃料噴射弁から燃料を分配供給するよう
にしたエンジンが知られている。例えば実開昭58
−178454号公報に示されたエンジンでは、共通吸
気通路（上記公報中でいう吸気ポート入口端）か
ら分岐した２つの分岐吸気通路を、燃焼室に開口
する２つの吸気ポート（上記公報中でいう吸気ポ
ート出口端）に連通させ、上記共通吸気通路に１
つの燃料噴射弁を臨ませるとともに、上記共通吸
気通路の上流に主吸気通路と副吸気通路とを形成
し、副吸気通路にシヤツター弁を設けている。そ
して低速，低負荷運転時には上記シヤツター弁を
閉じて一方の吸気ポートに連通する分岐吸気通路
への吸気の流入を抑制し、高速、高負荷運転時に
は上記シヤツター弁を開いて主，副両吸気通路か
ら両吸気ポートに連通する各分岐吸気通路にそれ
ぞれ吸気を流入させるようにしている。

また、特開昭59−43922号公報に示されたエン
ジンでは、２つの吸気ポートに連通する２つの独
立吸気通路を合流部で連通させ、合流部上流にも
２つの吸気通路を形成するとともに、合流部下流
の両独立吸気通路のうちの一方にのみ吸気を導く
状態と、合流部上流の両吸気通路のうちの一方か
ら合流部下流の両独立吸気通路に吸気を導く状態
と、合流部上流の両吸気通路から合流部下流の両
独立吸気通路に吸気を導く状態とに切換えられる
吸気制御弁装置を配設し、このような吸気系の上
記合流部に燃料噴射弁を設けている。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところで、低負荷時のスワール強化等の効果を
より一層高める吸気系の構造として、共通吸気通
路から互いに分岐して２つの吸気ポートに各々連
通する２つの分岐吸気通路と、上記共通吸気通路
に位置して特定運転域で共通吸気通路から上記両
分岐吸気通路への吸気の流通を制限する制御弁
と、上流端が上記制御弁より上流の共通吸気通路
に通じるとともに下流端が一方の分岐吸気通路の
吸気ポート近傍に開口するスワール生成用の補助
吸気通路とを配設した構造が考えられている。

このような構造の吸気系において、燃料噴射弁
を上記共通吸気通路に設けて両分岐吸気通路に燃
料を分配供給するようにした場合、上記両分岐吸
気通路への吸気の流通が制限された状態で上記補
助吸気通路を通る吸気が一方の分岐吸気通路下流
に導入されるとき、各吸気ポートに対する燃料の
分配性、および分岐吸気通路での燃料の霧化等の
面で改善すべき点が残されている。

なお、前記の特開昭59−43922号公報に示され
ているような吸気系の構造であれば、吸気制御弁
装置の切換作動によつて変化する合流部付近に吸
気の流れに応じ、燃料噴射弁から噴射された燃料
の方向がある程度変化する。ところが、上記のよ
うに特定運転時に両分岐吸気通路への吸気の流通
が制限された状態で上記補助吸気通路から吸気が
導入されるようにした構造では、制御弁による吸
気流通状態の切換だけで燃料の方向まで変化させ
ることはできず、また燃料の霧化の促進も難し
い。

本考案はこのような事情に鑑み、特定運転時に
両分岐吸気通路への吸気の流入が制限された状態
で補助吸気通路から吸気を導入するように吸気系
を構成し、かつ１つの燃料噴射弁から両分岐吸気
通路へ燃料を供給する構造とする場合に、上記特
定運転時の燃料の分配性の改善および燃料の霧化
の促進を図り、燃焼性や燃費を向上することがで
きる燃料噴射式エンジンを提供することを目的と
する。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は上記目的を達成するため、各気筒に対
する吸気系に、共通吸気通路から互いに分岐し
て、燃焼室に開口する２つの吸気ポートに各々連
通する２つの分岐吸気通路と、上記共通吸気通路
に位置して特定運転領域で共通吸気通路から上記
両分岐吸気通路への吸気の流通を制限する制御弁
と、上流端が上記制御弁より上流の共通吸気通路
に通じるととももに下流端が一方の分岐吸気通路
の吸気ポート近傍に開口する補助吸気通路とを配
設し、上記共通吸気通路に、共通吸気通路を介し
て上記両分岐吸気通路に燃料を供給する燃料噴射
弁を設けるとともに、該燃料噴射弁により供給さ
れる燃料を上記特定運転領域では上記補助吸気通
路下流端が開口する側の分岐吸気通路へ多く偏向
させる偏向装置を装備したものである。

〔作用〕

上記構成によると、上記両分岐吸気通路への吸
気の流通が制限された状態で上記補助吸気通路か
ら吸気が導入される特定運転時には、補助吸気通
路下流端が開口する側の分岐吸気通路へ燃料が多
く送られ、この燃料が、補助吸気通路下流端開口
箇所で補助共通からの気流により充分に霧化され
る。

〔実施例〕

第１図および第２図は本考案の一実施例を示す
ものである。これらの図において、１はエンジン
本体であつて、シリンダブロツク２、シリンダヘ
ツド３およびシリンダヘツドカバー４等で構成さ
れており、このエンジン本体１の各気筒５内には
ピストン６が装備され、このピストン６の上方に
燃焼室７が形成されている。この燃焼室７には第
１および第２の２つの吸気ポート８，９と排気ポ
ート１０とが開口している。上記両吸気ポート
８，９にはそれぞれ吸気弁１１（第２吸気ポート
側の吸気弁は図示せず）が装備され、排気ポート
１０には排気弁１２が装備されており、これらの
弁は動弁機構１３によつて作動され、それぞれ所
定のタイミングで各ポート８，９，１０を開閉す
るようになつている。また燃焼室７には点火プラ
グ１４が具備されている。

また、１６はサージタンク、１７はサージタン
ク１６に接続された気筒別の吸気管であり、上記
サージタンク１６にはエアクリーナ１８およびス
ロツトル弁１９を介して外気が導入されるように
なつている。上記吸気管１７はシリンダヘツド３
に連結され、この吸気管１７とシリンダヘツド３
の内部所定範囲とにわたつて共通吸気通路２１が
形成されており、シリンダヘツド３内においてこ
の共通吸気通路２１の下流端側から互いに分岐し
た第１および第２の分岐吸気通路２２，２３が前
記両吸気ポート８，９に連通している。上記共通
吸気通路２１の所定位置にはこの共通吸気通路２
１を開閉する制御弁２４が設けられており、この
制御弁２４は図外のアクチユエータにより特定運
転領域で全閉もしくは微少開度に閉じられ、例え
ば所定負荷未満の低負荷運転領域で閉じられて、
高負荷運転領域では開かれるようにしている。

さらに吸気系には、スワール生成用の補助吸気
通路２５が設けられている。この補助吸気通路２
５は比較的通路断面積が小さく形成され、共通吸
気通路２１の所定位置から第１の分岐吸気通路２
２の下流端近傍にわたる部分の下側部に沿つて設
けられており、その上流端側の入口部分２５ａが
上記共通吸気通路２１所定箇所に開口する一方、
下流端側の出口部分２５ｂが第１吸気ポート８の
近傍において第１の分岐吸気通路２２に、燃焼室
７の円周方向に向かつて開口している。

上記制御弁２４より下流の共通吸気通路２１に
は１つの燃料噴射弁２６が装備され、この燃料噴
射弁２６から共通吸気通路２１を介し、前記第１
および第２の分岐吸気通路２２，２３内に燃料が
供給されるようにしている。そして、上記制御弁
２４が開かれて共通吸気通路２１から各吸気ポー
ト８，９に吸気が送られるときに、第１の分岐吸
気通路２２に流入する吸気およびこれに補助吸気
通路２５からその出口部分２５ｂで合流する吸気
と、第２の分岐吸気通路２３に流入する吸気とに
対し、均等な割合で燃料が分配供給されるよう
に、予め燃料噴射弁２６の位置および噴射方向等
が設定されている。

また共通吸気通路２１の下流端付近には、偏向
装置としての偏向部材３０が設けられている。こ
の偏向部材３０は、第１および第２の分岐吸気通
路２２，２３の分岐点付近に設けられた回転軸３
１と、この回転軸３１に一端が取付けられた偏向
板３２とからなつている。そしてこの偏向板３２
が、共通吸気通路２１の中心線とほぼ平行に位置
して上記両分岐吸気通路２２，２３を塞がない非
偏向状態（２点鎖線で示す状態）と、第２の分岐
吸気通路２３をほぼ塞ぎ、かつ燃料を第１の分岐
吸気通路２２へ偏向させて補助通路２５の出口部
分２５ｂ側へ案内するように所定角度に傾斜した
偏向状態（実線で示す状態）とにわたり、回動可
能となつている。

上記回転軸３１はレバー３３およびロツド３４
を介してアクチユエータ３５に連結され、制御弁
２４が閉じられたときはこのアクチユエータ３５
により偏向板３２が前記偏向状態に作動され、制
御弁２４が開かれたときは偏向板３２が非偏向状
態に作動されるように構成されている。なお、上
記制御弁２４と偏向板３２とは所定負荷で同時に
切替作動されるようにしておいてもよいが、制御
弁２４のアクチユエータと偏向板３２のアクチユ
エータ３５とをそれぞれ、サージタンク１６等か
ら導入される吸気負圧に応じて作動するダイヤフ
ラム装置により形成して、これらの設定条件を等
しくしておくことにより、所定範囲の負荷領域で
負荷の変動に応じて制御弁２４の開度と偏向板３
２の角度とが相対応して連続的に変化するように
構成することもできる。また、これらのアクチユ
エータには、制御回路によつて制御される電磁式
のアクチユエータを用いてもよい。

このエンジンにおいては、低負荷時には前記制
御弁２４が閉じられることにより、第１および第
２の分岐吸気通路２２，２３への吸気の流入が阻
止もしくは抑制され、吸気は主に補助吸気通路２
５を通り、その出口部分２５ｂから第１の分岐吸
気通路２２の下流端部および第１の吸気ポート８
を経て燃焼室７に送り込まれる。これによつて吸
気流速が速められるとともに、燃焼室７にスワー
ルが生じ、低負荷時における燃焼性の向上に有利
な吸気条件が与えられる。

この場合に、前記偏向板３２は前記偏向状態に
回動されるため、燃料噴射弁２６から噴射された
燃料と殆どが第１の分岐吸気通路２２から補助吸
気通路２５の出口部分２５ｂへ案内され、適正に
燃料分配性が修正されることとなり、燃料の霧化
および空気との混合が効率良く行われる。つま
り、前記偏向部材３０が設けられていないと、低
負荷時に吸気の流入が制限されている第２の分岐
吸気通路２３を通して第２吸気ポート９側へも燃
料噴射弁２６からかなりの燃料が送られ、この燃
料は燃焼室７内に達したときに空気と混合される
こととなるが、燃焼室７内では吸気流速がある程
度低下するため、燃料の霧化や空気との混合が充
分に行われ難い。これに対し、低負荷時に前記偏
向部材３０の偏向板３２により補助吸気通路２５
下流端が開口する第１の分岐吸気通路２２へ燃料
を多く偏向させれば、この燃料は補助吸気通路２
５の出口部分２５ｂ付近で高速気流に混入するた
め、燃料の霧化が促進されるとともに、均一に燃
料と空気とが混合された状態で燃焼室７に送り込
まれることとなり、燃焼性が向上される。

また高負荷時には前記制御弁２４が開かれるこ
とにより、各分岐吸気通路２２，２３，２５から
前記両吸気ポート８，９に吸気が送られて充填効
率が高められ、この場合に前記偏向板３２は前記
非偏向状態に回動されるため、両吸気ポート８，
９へ送られる吸気に対して均等に燃料が分配供給
されることとなる。

〔考案の効果〕

以上のように本考案は、共通吸気通路から互い
に分岐して２つの吸気ポートに各々連通する２つ
の分岐吸気通路と、共通吸気通路に位置する制御
弁と、下流端が一方の分岐吸気通路の吸気ポート
近傍に開口する補助吸気通路とを配設して、特定
運転領域では上記制御弁により共通吸気通路から
両分岐吸気通路への吸気の流通を制限した状態で
補助吸気通路から吸気を導入するように吸気系を
構成し、上記両分岐吸気通路へ燃料を供給する燃
料噴射弁を設けるとともに、該燃料噴射弁により
供給される燃料を上記特定運転域では上記補助吸
気通路下流端が開口する側の分岐吸気通路へ多く
偏向させる偏向装置を装備しているため、上記特
定運転領域において、上記補助吸気通路から燃料
が導入される側の吸気ポートに燃料を多く分配
し、補助吸気通路から導入される吸気流を利用し
て燃料の霧化を促進することができる。従つて、
上記吸気系によるスワール強化作用等と相俟つ
て、燃焼性や燃費を向上することができるもので
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す平面説明図、
第２図は第１図の−線に沿つた断面図であ
る。 １……エンジン本体、５……気筒、８，９……
吸気ポート、２１……共通吸気通路、２２，２３
……分岐吸気通路、２４……制御弁、２６……燃
料噴射弁、３０……偏向部材（偏向装置）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 各気筒に対する吸気系に、共通吸気通路から互
   いに分岐して、燃焼室に開口する２つの吸気ポー
   トに各々連通する２つの分岐吸気通路と、上記共
   通吸気通路に位置して特定運転領域で共通吸気通
   路から上記両分岐吸気通路への吸気の流通を制限
   する制御弁と、上流端が上記制御弁より上流の共
   通吸気通路に通じるとともに下流端が一方の分岐
   吸気通路の吸気ポート近傍に開口する補助吸気通
   路とを配設し、上記共通吸気通路に、共通吸気通
   路を介して上記両分岐吸気通路に燃料を供給する
   燃料噴射弁を設けるとともに、該燃料噴射弁によ
   り供給される燃料を上記特定運転領域では上記補
   助吸気通路下流端が開口する側の分岐吸気通路へ
   多く偏向させる偏向装置を装備したことを特徴と
   する燃料噴射式エンジン。