JPH036837Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、内燃機関の燃料噴射のタイミング
をコントロールする装置に関するものである。

従来、内燃機関において運転状況に応じて例え
ば、最適燃焼を得るために噴射ポンプやカムシヤ
フトの前部にタイミング調整装置、いわゆるオー
トタイマーを設置して駆動ギヤーとカムシヤフト
との位相差によつてタイミング調整を行なうこと
は広く知られている。しかしオートタイマーは大
きな取付けスペースを必要とするため、噴射ポン
プやカムシヤフトの前部に直接取付けることはエ
ンジン全長が長くなり、エンジンルームに収容で
きない場合もあつた。これに代るものとして特開
昭53−59136号公報、実開昭51−114526号公報に
示す燃料噴射タイミング調整装置が開示されてい
るが、前者の装置は従来と同様エンジン前部に大
きな取付スペースが必要であると共に調時カム面
の変位でカムギヤを揺動させることは大きな操作
力が必要で円滑に作動しうるものではない。また
後者の装置はタペツトに取付けられたローラーは
プランジヤとカム軸芯を結ぶ線上より右あるいは
左にズレるように移動させるものであるから、高
速で回転するカムに応答してタペツトは一端を支
点にして揺動するため、微振動を起し或いはクリ
アランスを生じてプランジヤを確実に作動できな
い上、従来と同様エンジン前部に大きなスペース
を占める欠点がある。

そこで、この考案は、上記した問題点に鑑みな
されたものであつて、ケースに回動自在に配設さ
れたカム軸の上方に、該カム軸に設けられたカム
によつて作動せしめられる燃料噴射ポンプ本体
を、特に、プレートと本体の左右側面の張出支持
縁の円弧状受座間にスプリングを介してボルトに
よりプレートから吊持し、突当ボスとプレートの
受片を当接させて揺動可能に支持すると共に、該
燃料噴射ポンプ本体を前記カム軸に対して揺動せ
しめる作動手段を具えることによつて、エンジン
の振動が揺動作用に影響を及ぼすことなく、僅か
の力により噴射ポンプの噴射タイミングを確実、
かつ円滑に制御できる上、エンジンにコンパクト
に取付けでき、大きなスペースを占める等のない
噴射ポンプのタイマー装置を得ることを目的とし
たものである。

この考案の構成を図面に示す実施例について以
下詳細に説明すると、第１図乃至第３図はこの考
案の基本的な第１実施例であつて、１は噴射ポン
プで、上方部位の前後側面に上面が円弧状に形成
された略蒲鉾状の突当ボス２を穿設し、同じく左
右側面に張出支持縁３を突設する。張出支持縁３
には支持孔４が穿設され、該支持孔４の下面側に
円弧状の受座５を凹設する。６はプレートであつ
て、中央に遊嵌孔７が穿設され、その内周面に弾
性のパツキング８を囲繞固着する。また遊嵌孔７
の左右外側には前記支持孔４に対応する位置に挿
着孔９を穿設すると共に、遊嵌孔７の前後外側の
下面には前記突当ボス２に対応する位置にＶ溝を
形成した受片１０を突設する。そして噴射ポンプ
１をプレート６の遊嵌孔７に挿入してパツキング
８で弾性保持し、受片１０を突当ボス２のＶ溝に
接すると共に、挿着孔９、および支持孔４にボル
ト１１を挿通し、該ボルト１１下方より球面ワツ
シヤー１２、スプリング１３を嵌装してナツト１
４で締付け球面ワツシヤー１２を受座５に弾接
し、突当ボス２を支点とし噴射ポンプ１をプレー
ト６に対して左右に円弧状に回動しうるように組
付け、さらにこの組付けた噴射ポンプ１をケース
１７上に載置してボルト１８で固定する。１５は
カム１６を有するカム軸で、ケース１７に回転自
在に取付けられ、該カム１６を噴射ポンプ１のプ
ランジヤー（図示省略）下端の受けローラー１９
に当接する。２０はカムギヤーでカム軸１５の先
端に取付けられており、駆動ギヤーに噛合して回
転駆動される。２１はフライトウエイトで、先端
にウエイト部２２、基端に作動部２３を有し、そ
の中央部をカムギヤー２０に設けた軸受片２４に
回動自在に枢着すると共に、作動部２３をカム軸
１５に摺動自在に嵌合したスリーブ２５に当接す
る。２６はＬ形状の作動レバーで、中央部をケー
ス１７に回動自在に枢着すると共に、スプリング
２７によつて一端をスリーブ２５に常時当接する
ように付勢する。２８はアームで、一端を作動レ
バー２６の他端と連結すると共に、他端に設けた
ポールジヨイント２９を噴射ポンプ１に突設した
連結片３０に連結する。

このように構成されているので、駆動ギヤーに
よつてカムギヤー２０が回転し、これと一体のカ
ム軸１５が第２図において左回転（矢印方向）す
ると、カムギヤー２０に取付けたフライトウエイ
ト２１のウエイト部２２はカムギヤー２０の回転
速度に応じ遠心力で外方に押拡げられ、これに従
つて作動部２３はスリーブ２５を移動させるの
で、作動レバー２６はスプリング２７の張力に抗
して回動し、先端に連結したアーム２８は噴射ポ
ンプ１を引寄せ、突当ボス２を支点として下端を
右方向に回動する。これにより受けローラー１９
はカム１６による作動点をカム１６の回転方向に
対してθ角前進させるため、燃料噴射タイミング
を早めることができる。したがつて、カム軸１５
の回転速度に応じて噴射ポンプ１は左右に移動
し、受けローラー１９とカム１６との作動点を自
動的にコントロールして燃料噴射タイミングを調
整することができる。

第４図はこの考案の第２実施例であつて、油圧
により噴射ポンプを作動させるもので、３１は噴
射ポンプ、３２は突当ボス、３３は受け座、３４
は受けローラー、３５はプレート、３６は受片、
３７はケース、３８はカム軸、３９はカムであ
り、第１実施例と同様に組立てられている。４０
は油圧アクチユエーターで、ケース３７に取付け
られ、該油圧アクチユエーター４０の作動ロツド
４１をアーム４２を介して噴射ポンプ３１に連結
する。また油圧アクチユエーター４０は電磁切換
弁４３、絞り弁４４、油圧ポンプ４５よりなる油
圧回路４６を構成し、この電磁切換弁４３にはカ
ム軸３８の回転数またはポンプコントロールレバ
ーの作動角度を検出するセンサー４７と、これに
よつて検出された出力を電磁切換弁４３を作動さ
せる出力にコントロールする制御器４８を有する
制御回路４９を形成する。

このように構成されているので、カム軸３８の
回転数の変化に応じ、またはポンプコントロール
レバーを回動させることによつてセンサー４６は
その変化量を検出し、その変化量に応じて電磁切
換弁４３は作動して、油圧アクチユエーター４０
の作動ロツド４１を動かし、噴射ポンプ３１を左
右に回動させるため、これによつて受けローラー
３４とカム３９の作動点を所定の角度位置に変化
させることができ、燃料噴射タイミングを調節す
ることができる。

第５図はこの考案の第３実施例であつて、電気
的に噴射ポンプを作動させるもので、第２実施例
の油圧回路、制御回路の代りに、カム軸の回転数
またはポンプコントロールレバーの作動角度を検
出するセンサー５０を介して電磁アクチユエータ
ー５２に接続した電気回路５３を形成し、電磁ア
クチユエーター５２の作動ロツド５４をアーム５
５を介して噴射ポンプ５６に第２実施例と同様に
連結構成したものである。

このように構成することによつて、カム軸の回
転数の変化、またはポンプコントロールレバーの
回動変化量をセンサー５０で検出し、その変化量
に応じて電磁アクチユエーター５２は作動ロツド
５４を動かし、噴射ポンプ５６を左右に回動して
カムとの作動点を所定の角度位置に変化させ、燃
料噴射タイミングを調節することができる。 以
上、各種実施例について詳述したように、この考
案は、エンジン前部に取付けられる噴射ポンプの
タイマー装置を簡潔に構成して占有面積を小さく
でき、エンジン全体をコンパクトに構成すること
ができる。また噴射ポンプはエンジン回転数に応
じて自動的に、かつ確実に燃料噴射タイミングを
制御することができると共に、ケースに対してエ
ンジンの振動を阻止するようにポンプ本体を支承
してあるので揺動作用がエンジンの振動に影響さ
れることなく、ポンプ本体に正確に伝えることが
でき、しかも、その制御手段として噴射ポンプ自
体を円弧状に移動させカムでプランジヤーをダイ
レクトに作動させるものであるから、ビビリ、ク
リアランス等を生じることなく円滑に作動させる
ことができる等の種々の優れた効果を生ずるもの
である。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図はこの考案の第１実施例であ
つて、第１図は要部の分解斜視図、第２図は同じ
く一部切欠側面図、第３図は同じく一部省略平面
図、第４図はこの考案の第２実施例で一部省略側
面図、第５図はこの考案の第３実施例で一部省略
側面図を示す。 １……噴射ポンプ、２……突当ボス、５……受
座、６……プレート、１０……受片、１２……球
面ワツシヤー、１５……カム軸、１６……カム、
１９……受けローラー、２０……カムギヤー、２
１……フライウエイト、２５……スリーブ、２６
……作動レバー、２８……アーム。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ケースに回動自在に配設されたカム軸の上方
   に、該カム軸に設けられたカムによつて作動せし
   められる燃料噴射ポンプ本体を、ケース上に固定
   するプレートと上記本体の左右側面の張出支持縁
   の円弧状受座間にスプリングを介してボルトによ
   りプレートから吊持し、かつ、同様本体前後に設
   ける突当ボスと上記プレートの受片と当接するこ
   とにより揺動可能に支持すると共に、該燃料噴射
   ポンプ本体下方を前記カム軸に対して、エンジン
   の回転数に応じて自動的に揺動せしめる作動手段
   を具えた燃料噴射ポンプ本体のタイマー装置。