JPH036822Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、渦流室式デイーゼルエンジンの副燃
焼室の下壁を形成する口金を、セラミツクス製
（以下セラミツクス口金という）とすると共にこ
れに金属リングを焼ばめしたものから構成した内
燃機関の副燃焼室構造に関する。

〔従来の技術〕

渦流室式デイーゼルエンジンの副燃焼室下壁を
形成する口金を、耐熱性に優れ、熱伝導性の低い
セラミツクスから構成する場合、耐熱衝撃性を向
上させるためセラミツクス口金の外周に金属リン
グを焼ばめする（たとえば実開昭53−106506号、
得公昭55−4938号）。

このようなセラミツクス口金は、通常シリンダ
ヘツド下面に形成されたセラミツクス口金挿入用
の凹部の段面とヘツドガスケツトを介してシリン
ダブロツクとにより挾持されて前記凹部内に固定
される。セラミツクス材料は切削加工が難しいた
め、ガスケツトに金属リングを焼ばめしたセラミ
ツクス口金においては、従来、セラミツクス口金
下端面を金属リング下端面より上方に引込め、セ
ラミツクス口金を凹部内に圧入後にシリンダヘツ
ド下端面を機械加工するときに工具の刃はセラミ
ツクス材にあたらないようにするのがよいとされ
ていた（たとえば実開昭53−106506号）。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかし、このようにセラミツクス口金を金属リ
ングより上方に引込めた構造においては、金属リ
ングが下端より熱を受けやすくなり、この下端よ
り受ける熱のため、十分な焼ばめ効果が得られな
い他、金属リング自身も耐久性が低下してしまう
という問題があつた。

本考案は、上記問題を解消するために、金属リ
ングを焼ばめしたセラミツクス口金を用いる内燃
機関の副燃焼室構造において、セラミツクス口金
下端面の、金属リング下端面およびシリンダヘツ
ド下面からの突出量または後退量を最適にするこ
とによつて金属リングの焼ばめ効果の維持、耐久
性の向上をはかると共に、セラミツクス口金装着
後のシリンダヘツド下面の加工性も良好に保つこ
とを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

この目的を達成するために、本考案の内燃機関
の副燃焼室構造においては、シリンダヘツド下面
に形成した凹部に、金属リングを焼ばめしたセラ
ミツクス口金が挿入されており、該セラミツクス
口金は凹部とヘツドガスケツトを介してシリンダ
ブロツクとにより挾持されている。そして、この
構造において、金属リングの下端面はセラミツク
ス口金の下端面より上方に引込められており、セ
ラミツクス口金の下端面はシリンダヘツドの下端
面より上方に引込められている。

〔作用〕

このような構成の内燃機関の副燃焼室構造にお
いては、金属リングはシリンダヘツド凹部に組み
付けられたときにシリンダヘツド下面およびセラ
ミツクス口金下面より上方に引込められている。
したがつて、金属リング下面は燃焼室内の火炎か
ら遠ざけられ、金属リング下端の受熱量が減少さ
れる。そのため、金属リングは、その下端が直接
火炎にさらされる場合に比べて、熱膨張量が小と
なり、セラミツクス口金に対する焼ばめ効果が向
上される。また、金属リング下端が火炎を受けて
溶損あるいは酸化腐触されることを防止されるの
で、耐久性も向上される。さらに、セラミツクス
口金の下端面がシリンダヘツド下端面より上方に
位置しているので、セラミツクス口金装着後に、
シリンダヘツド下面を加工しても、工具の刃が難
加工性のセラミツクス口金にあたることはない。

〔実施例〕

以下に、本考案に係る内燃機関の副燃焼室構造
の望ましい実施例を、図面を参照して説明する。

第１図は本考案の実施例に係る内燃機関の副燃
焼室構造を示している。図中、シリンダヘツド１
の下面には段付き状の凹部２が形成されており、
該凹部２に口金３が嵌着される。凹部２のほぼ半
球状の天井面と口金３上面との間の空間に副燃焼
室４が形成される。副燃焼室４は口金３に形成さ
れた噴孔５を介して主燃焼室６と連通している。
口金３は、上端が凹部２の段７に当接され、下端
はヘツドガスケツト８に接触しており、凹部２の
段７の下面とヘツドガスケツト８を介してシリン
ダブロツク９とにより挾持されている。

口金３は、セラミツクスから成るセラミツクス
口金１０とその外周に焼ばめされた耐熱性の高い
金属リング１１とから成る。金属リング１１の下
端面１２はセラミツクス口金１０の下端面１３か
ら上方に引込められている。また、セラミツクス
口金１０の下端面１３はシリンダヘツド１の下端
面より上方に位置されている。したがつて、金属
リング１１はセラミツクス口金１０およびシリン
ダヘツド１の下面より上方に引込められている。

このように構成された副燃焼室構造における金
属リング１１の下端部における温度は構成諸元に
応じて第２図、第３図に示すように変化する。第
２図は諸元を示す図であり、Ｘは金属リング１１
の下端面１２のセラミツクス口金１０の下端面１
３からの引込み量を示している。Ｘは上方への引
込み量が正の値にとられている。また、Ｙはセラ
ミツクス口金１０のシリンダヘツド１の下端面か
らの上方への引込み量を示している。Ｙは上方へ
の引込み量が正の値にとられている。第３図は横
軸にセラミツクス口金引込み量Ｙ（μ）をとると
共に、熱焼時における金属リング下端部温度
（℃）をとり、金属リング１１のセラミツクス口
金下端面からの引込み量Ｘをパラメータにとつた
ときの前記温度の変化を示している。図から明ら
かなように、金属リング引込み量Ｘが有るとき
（実線）の方が、Ｘが０のとき（破線）よりも、
金属リング下端温度が小である。したがつて、金
属リング１１の下端の熱膨張量も小で、金属リン
グ１１のセラミツクス口金１０に対する焼ばめ効
果が減少され難い。また、金属リング１１の下端
面１２がセラミツクス口金１０の下端面１３とシ
リンダヘツド１の下端面より上方に引込められて
いることにより、金属リング１１の酸化腐触、溶
損等の問題はなくなる。

〔考案の効果〕

したがつて、上記の実施例によつて代表される
ような本考案によるときは、金属リングの下端面
をセラミツクス口金下端面より上方に引込め、セ
ラミツクス口金の下端面をシリンダヘツド下端面
より上方に引込めたので、金属リング下端部の受
熱量は小となり焼ばめ効果が良好に維持されると
共に金属リングの耐久性も向上し、これらを通し
て内燃機関の副燃焼室構造の信頼性が向上すると
いう効果が得られる。

また、セラミツクス口金の下端面をシリンダヘ
ツドの下端面より上方に位置させておくことによ
り、セラミツクス口金組付後にシリンダヘツド下
面を加工しても工具がセラミツクス口金にあたる
という問題は生じない。さらに、ヘツドガスケツ
トを介してセラミツクス口金を押えたときに、セ
ラミツクス口金がシリンダヘツド下面より引込ん
でいるので、金属リングが締めつけ圧を負担しな
いにもかかわらずセラミツクス口金に加わる締め
付け圧も従来より小さく抑えられ、セラミツクス
口金の応力分布の偏りが低減されて耐久性がさら
に向上される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係る内燃機関の副
燃焼室構造の断面図、第２図は第１図の構造の諸
元を示す部分断面図、第３図は金属リング引込み
量Ｘ、セラミツクス口金引込み量Ｙ、金属リング
下端部温度との関係を示す特性図、である。 １……シリンダヘツド、２……凹部、３……口
金、４……副燃焼室、５………噴孔、６……主燃
焼室、７……段、８……ヘツドガスケツト、９…
…シリンダブロツク、１０……セラミツクス口
金、１１……金属リング、１２……金属リング下
端面、１３……セラミツクス口金下端面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダヘツド下面に形成した凹部に、金属リ
   ングを焼ばめしたセラミツクス口金を挿入し、セ
   ラミツクス口金を凹部とヘツドガスケツトを介し
   てシリンダブロツクとにより挾持した内燃機関の
   副燃焼室構造において、前記金属リングの下端面
   を前記セラミツクス口金の下端面より上方に設
   け、前記セラミツクス口金の下端面を前記シリン
   ダヘツドの下端面より上方に設けたことを特徴と
   する内燃機関の副燃焼室構造。