JPH0364316B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ この発明は、一定の熱が加わると遠赤外線を放
出する層を各種基材上に設けることのできる転写
材に関する。たとえば、衣類に転写し、体温が加
わると遠赤外線を放出するものである。

＜従来の技術＞ 従来、遠赤外線を放出する物質としては、
TiO₂・SiO₂・ZrO₂・Fe₂O₃・CuO₂などの金属酸
化物、ZrC・TaC・SiCなどの炭化物、雲母・蛍
石・方解石・明礬・岩塩・水晶などの結晶、ある
いはこれらの物質中にタングステン・モリブデ
ン・ニツケル・鉄などの金属、ニクロム・ステン
レスなどの合金が含まれるものがある。これらの
物質にある一定以上の熱が加わると、遠赤外線が
放出されるものであつた。

＜発明が解決しようとする問題点＞ しかし、これらはすべて固体であり、焼成して
ブロツク状に加工することはできてもフイルム状
のものはなかつた。したがつて、遠赤外線を放出
する物質を各種の基材表面に形成するのは困難で
あつた。

この発明は以上のような問題点を解決し、種々
の基材表面上に、遠赤外線を放出することのでき
る物質層を形成することのできる遠赤外転写材を
提供することを目的とする。

＜問題点を解決するための手段＞ この発明は、以上の目的を達成するために、次
のように構成した。すなわちこの発明の遠赤外線
転写材は、剥離性を有するベースフイルム上の一
部分または全面に、遠赤外線を放出する遠赤外線
層が少なくとも形成されるように構成した。

図面を参照しながらこの発明をさらに詳しく説
明する。

第１図および第２図はこの発明の遠赤外線転写
材の一実施例を示す断面図である。１はベースフ
イルム、２は遠赤外線層、３は遠赤外線反射層、
４は接着層をそれぞれ示す。

ベースフイルム１としては、ポリエチレンテレ
フタレートやポリプロピレン・ポリエチレン・ナ
イロン・セロハンなどのプラスチツクフイルム、
あるいはこれらと紙との複合フイルムなど通常の
転写材のベースフイルムとして用いられるものを
使用する。ベースフイルム１に剥離性を付与する
ためには、このベースフイルム１にシリコンコー
トやワツクスコートを施したり、剥離層を設ける
とよい。剥離層としては、熱可塑性樹脂や天然ゴ
ム・合成ゴムなどを用い、グラビア印刷法・スク
リーン印刷法・ロールコート法など通常の印刷法
で形成される。

遠赤外線層２は、遠赤外線を放出する物質がバ
インダーに練り込まれインキ化された層が、ベー
スフイルム１の剥離性を有する面に印刷形成され
る。

遠赤外線を放出する物質としては、TiO₂・
SiO₂・ZrO₂・Fe₂O₃・CuO₂などの金属酸化物、
ZrC・TaC・SiCなどの炭化物、雲母・蛍石・方
解石・明礬・岩塩・水晶などの結晶、これらの物
質の中にタングステン・モリブデン・ニツケル・
鉄などの金属、またはニクロム・ステンレスなど
の合金が含まれたもの、あるいはこれらの混合物
を粉末状にしたものを用いるとよい。バインダー
としては、被転写体の種類に応じて任意に選択す
ればよい。たとえば、ポリエステル系・ナイロン
系・アクリル系・ビニル系・アクリル−ビニル共
重合体・ウレタン系・セルロース系などの樹脂を
用いるとよい。また顔料・染料などを添加して任
意に着色してもよい。

また、遠赤外線の放射効率を上げるため、遠赤
外線反射層３を、遠赤外線層２とベースフイルム
１との間に（第２図参照）、あるいは遠赤外線層
２のベースフイルム１と反対側の面に（第１図参
照）設けてもよい。遠赤外線反射層３としては、
遠赤外線層２に用いるものと同様のバインダー中
に遠赤外線の反射率の高い白色顔料を分散させた
ものを用いるとよい。

また、被転写体に対する転写性や密着力を向上
させるために、接着層４を設けてもよい。接着層
４としては、被転写体であるプラスチツク成形品
や布地などの表面素材に適した感熱性あるいは感
圧性の樹脂を適宜使用する。たとえば、被転写体
がポリスチレンの場合はアクリル系や塩化ビニル
酢酸ビニル系樹脂を、ポリプロピレンの場合は塩
素化ポリプロピレン系樹脂やエチレン酢酸ビニル
系樹脂などを用いるとよい。なお、遠赤外線層２
と被転写体との材質の組合せや転写条件によつて
は、接着層４を省略することもできる。

このような層構成の遠赤外転写材を基材に転写
することによつて、表面に遠赤外線を放出する物
質層の形成された基材を得ることができる。

被転写体である基材としては、各種プラスチツ
クや布地など、その用途により種々のものを用い
ることができる。たとえば、この発明の遠赤外線
転写材を衣類の人体のツボに当たる部分に転写し
た場合、この衣類を着用すると、体温で遠赤外線
層２が温められ、遠赤外線層２が遠赤外線を放出
し、体の芯まで効率よく温められるものである。
このような布地は、衣類のほか寝具・靴の中敷な
どに応用することができる。

＜実施例＞ シリコンコートにて剥離性を付与した紙をベー
スフイルム１とし、その上に組成１の遠赤外線層
２と、組成２の遠赤外線を放出しない図柄層５と
をスクリーン印刷法にて形成し、続いて組成３の
遠赤外線反射層３を遠赤外線層２に重ねてスクリ
ーン印刷法にて形成し、さらに組成４の接着層４
をスクリーン印刷法にて形成し、遠赤外転写材を
得た（第１図参照）。

組成１： 酸化ケイ素 20部（重量部） 酸化アルミニウム ５部 酸化鉄 １部 酸化亜鉛 １部 ウレタン樹脂 20部 水 53部 組成２： 赤色顔料 15部（重量部） ウレタン樹脂 10部 水 75部 組成３： 白色顔料 30部（重量部） ウレタン樹脂 10部 水 50部 ミネラルターベン 10部 組成４： ナイロン樹脂 30部（重量部） 水 60部 ミネラルターベン 10部 この遠赤外転写材をアクリル・ナイロン混紡の
靴下の裏面に重ね合わせ、160℃にて10秒間加
熱・加圧して転写した。この靴下を着用したとこ
ろ、体温が着用前に比べて0.9℃上昇した。

＜発明の効果＞ この発明の遠赤外転写材は、遠赤外線層中に遠
赤外線を放出する物質を含むものであるので、各
種の基材表面上に遠赤外線を放出する物質層を形
成することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は、この発明の遠赤外線転
写材の一実施例を示す断面図である。 １……ベースフイルム、２……遠赤外線層、３
……遠赤外線反射層、４……接着層、５……図柄
層。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 剥離性を有するベースフイルム１上の一部分
   または全面に、遠赤外線を放出する遠赤外線層２
   が少なくとも形成されていることを特徴とする遠
   赤外転写材。 ２ 遠赤外線層２とベースフイルム１との間に、
   遠赤外線反射層３が形成された特許請求の範囲第
   １項に記載の遠赤外転写材。 ３ 遠赤外線層２のベースフイルム１と反対側の
   面に、遠赤外線反射層３が形成された特許請求の
   範囲第１項に記載の遠赤外転写材。 ４ 最外層に接着層４が形成された特許請求の範
   囲第１〜３項のいずれかに記載の遠赤外転写材。