JPH036414Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、射出成型装置等に付設された金型搬
送装置の端部へ金型を搬入したり搬出するため
に、クロス方向に車輪を備え、その一方方向の車
輪が昇降可能であることによりクロスレール上を
走行し得るように成つた金型搬送台車に関するも
のである。

〔従来の技術と考案が解決しようとする問題点〕

この種の従来の金型搬送台車では、昇降させる
のに油圧シリンダやウオームジヤツキを用いてい
た。しかしながら、油圧シリンダ機構では四輪に
対する昇降の同調が難しく、油圧源を搭載するた
めに台車も大型化していた。一方ウオームジヤツ
キ機構では、ウオーム効率が良くないために動力
源が大型化し、コスト高にもなつていた。そこ
で、クロス部のレールを昇降させることも行われ
ていたが、同様に構造上複雑高価になつていた。

よつて、本考案は、簡単な機構の冒頭に述べた
種の金型搬送台車を提供することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、この目的を達成するために、昇降可
能な車輪の車軸を支承するアームにおける車軸に
対して走行方向の一方側端部を、台車底面に下設
されたブラケツトに枢着させ、その他方側端部を
別のアームの一端に枢着させ、モータで回転駆動
されるねじシヤフトに噛合することによりこのシ
ヤフトに沿つてスライドする従動体に、スライド
ブロツクを遊嵌させた。そして、台車底面に、ス
ライドブロツクの上面へこのスライドブロツクを
滑動させ得るように接触するブロツクガイドと、
ねじシヤフトに沿つてスライドブロツクを滑動可
能に支承するガイド部材ととを形成し、スライド
ブロツクに別のアームの他端を車輪下降状態でこ
のアームがほぼ垂直状態になるように枢着させて
ある。

〔作用〕

双方のアームはリンクを構成し、別のアームの
他端がねじシヤフトに沿つて移動すと、一方のア
ームの他方側端部は一方側端部を支点として回動
する。したがつて、モータがねじシヤフトを回転
させることにより、従動体をスライドさせると、
別のアームの他端が枢着されたスライドブロツク
に連行され、これにより一方のアームに支承され
た車輪が昇降する。スライドブロツクは従動体に
遊嵌しているために、車輪の下降使用時にブロツ
クガイドから金型搬送台車の荷重が加わつても、
ねじシヤフトに曲げ力として加わることもなく、
ほぼ垂直方向を向いたリンクを介して車輪で受圧
される。車輪の上昇時にはスライドブロツクがガ
イド部材で支承されているために、車輪の荷重は
ねじシヤフトに加わらない。

〔考案の実施例〕

第１図による金型搬送台車において、１は前後
左右の４隅に取付けられた４個の高さ固定の車輪
である。２はこれらとクロス方向にそれぞれ並置
さてレール４上を走行する昇降可能な車輪である
（前側２個のみ図示する）。３は車輪２の車軸２ａ
を支承するアームであり、車軸２ａに対して走行
方向の一方側端部は台車底面に下設されたブラケ
ツト５に枢着され、その他方側部端は別のアーム
６の下端に枢着されている。アーム６の他端は、
台車底面下方にレール４の方向に延在するねじシ
ヤフト７に沿つてスライドするスライドブロツク
９の下端に枢着されている。

このスライドブロツクの上面９ｃは、第２図ａ
に示すように、台車底面に取付けられブロツクガ
イド１１のオイルレス滑面として形成された下面
に接触している。また、スライドブロツク９の上
端両側のフランジ９ａは、台車底面に取付けられ
たチヤンネル１２に係合している。

スライドブロツク９にはねじシヤフト７の方向
に穿孔９ｂが形成され、第２図ｂに示すように、
ねじシヤフト７に噛合した従動体としてのナツト
８に隙間を置いて挿入されている。また、ボルト
８ａがナツト８の孔に隙間を置いて挿入されてス
ライドブロツク９にねじ込まれている。これによ
り、このブロツクはナツト８に遊嵌している。

以上説明した２個の車輪関連構造は、後側にも
同様に２個構成されており、台車底面の中央部に
は共通の昇降駆動用モータ（図示せず）が１個取
付けられ、伝動軸で前後両側のギヤボツクス１６
を駆動する。このギヤボツクスは、それぞれ一方
のねじシヤフト７を直接そして他方を伝動軸１５
を介して回転駆動する。

動作は次の通りである。

金型搬送台車をレール４に沿つて走行させる場
合、車輪２は、アーム６がほぼ垂直方向に位置し
ていることにより車輪１より距離βだけ下方に在
る。この状態で金型搬送台車の荷重は、ブラケツ
ト５からと、ブロツクガイド１１、スライドブロ
ツク９、及びアーム６を経由してアーム３の両側
から車輪２に加わる。車輪駆動モータが駆動され
ることにより車軸２ａが回転駆動されると、金型
搬送台車はレール４上を走行する。

交差方向に走行させたい場合、走行を中止して
昇降駆動用モータを回転駆動させてねじシヤフト
７を回転させる。これにより、ナツト８が第１図
で右方向へこの軸に沿つて移動し、スライドブロ
ツク９をブロツクガイド１１の下面に接触滑動さ
せつつ連行する。そしてアーム６が徐々に右方へ
移動すると共にアーム３との枢着位置をブラケツ
ト５との枢着位置を支点として上方へ回動させ
る。これにより、第２図ｃに示すように車輪２が
距離βだけ上昇すると車輪１がクロス方向のレー
ルと接触し、さらに距離αまで上昇した状態でモ
ータ駆動が停止する。再度車輪２を使用する場
合、モータを逆転駆動して第１図に示す位置にス
ライドブロツク９を復帰させる。

第２図ｃに示す車輪２の上昇・不使用状態で車
輪２の荷重はチヤンネル１２に加わり、ねじシヤ
フト７に曲げ力が加わらないように成つている。

尚、前述の実施例で、ねじシヤフト７に沿つて
スライドブロツク９を支承するガイド部材として
は、チヤンネル１２の代わりロツドをスライドブ
ロツク９に貫通させることも考えられる。従動体
としてはラツクにする等も考えられる。

〔考案の効果〕

以上、本考案によれば、基本的にねじシヤフ
ト、スライドブロツク及びリンク機構を利用した
簡単な構造で車輪の昇降が可能となり、製造コス
ト上も有利となる。しかも、車輪の下降使用時に
ブロツクガイドから金型搬送台車の荷重が垂直方
向のリンクに加わり、シヤフトに曲げ力として加
わらず、また車輪の上昇時にも車輪の荷重はスラ
イドブロツク用のガイド部材で支承され、ねじシ
ヤフトには加わらない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例による金型搬送台車の
側面図並びに第２図はその要部を示す図であり、
ａはそのスライドブロツクの断面図、ｂはそのス
ライドブロツクの縦断面図及びｃはその車輪上昇
時の側面図である。 １，２……車輪、３，６……アーム、５……ブ
ラケツト、７……ねじシヤフト、８……ナツト、
９……スライドブロツク、１１……ブロツクガイ
ド。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 クロス方向に車輪を備え、その一方方向の車輪
   が昇降可能であることによりクロスレール上を走
   行し得るように成つた金型搬送台車において、 前記の昇降可能な車輪の車軸を支承するアーム
   における前記車軸に対して走行方向の一方側端部
   を、前記台車底面に下設されたブラケツトに枢着
   させ、その他方側端部を別のアームの一端に枢着
   させ、 モータで回転駆動されるねじシヤフトに噛合す
   ることによりこのシヤフトに沿つてスライドする
   従動体に、スライドブロツクを遊嵌させ、 前記台車底面に、前記スライドブロツクの上面
   へこのスライドブロツクを滑動させ得るように接
   触するブロツクガイドと、前記ねじシヤフトに沿
   つて前記スライドブロツクを支承するガイド部材
   とを形成し、 前記スライドブロツクに、前記別のアームの他
   端を前記車輪の下降状態でこのアームがほぼ垂直
   状態になるように枢着させた、ことを特徴とする
   金型搬送台車。