JPH0357965B2 - - Google Patents
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- JPH0357965B2 JPH0357965B2 JP59028639A JP2863984A JPH0357965B2 JP H0357965 B2 JPH0357965 B2 JP H0357965B2 JP 59028639 A JP59028639 A JP 59028639A JP 2863984 A JP2863984 A JP 2863984A JP H0357965 B2 JPH0357965 B2 JP H0357965B2
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Landscapes
- Artificial Filaments (AREA)
- Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
Description
本発明は高い結節強度を有し、とくに釣糸や漁
網などの漁獲用途および種々の産業用途に適した
ポリフツ化ビニリデンモノフイラメントの製造方
法に関するものである。 ポリフツ化ビニリデンモノフイラメントは強靭
性、耐衝撃性、透明性および耐光性などがすぐ
れ、しかも高比重(1.8)で水中に沈み易く、水
の屈折率(1.33)に近い屈折率(1.42)を有し、
水中での表面反射が極めて少ないため、とくに釣
糸材料として有効に用いられている。一般に釣糸
に要求される物理特性としては、上記の如き特徴
と共に、引張強度と結節強度が均衡して高いこと
が挙げられるが、従来のポリフツ化ビニリデンモ
ノフイラメントは結節強度が比較的低いという欠
点がある。すなわち従来のポリフツ化ビニリデン
モノフイラメントの製法としては、溶融紡糸後、
一段または二段延伸し、次いで80℃以上の緊張熱
処理を行なう方法(特公昭43−13399号公報)、溶
融紡糸後、一段または多段で2.5〜1.0倍に延伸配
向させる方法(特公昭44−5359号公報)および複
屈折率値曲線またはヤング率曲線の1次変曲点と
2次変曲点との間で一次延伸し、次いで二次延伸
する方法(特公昭53−22574号公報)などが挙げ
られるが、これらの方法では引張強度は十分なも
のが得られるものの、結節強度は線径0.15mmで
高々4.2g/d程度のものしか得ることができな
い。そして一般にモノフイラメントの結節強度は
その線径に反比例して小さくなるため、上記従来
法で線径をさらに太くする場合には、結節強度は
一層低下してしまう。 しかるに最近では、釣糸に用いられるポリフツ
化ビニリデンは増々高線径化の傾向があり、線径
0.2mm以上においても、結節強度が4.2g/d以上
の特性が強く要求されるようになつている。 そこで本発明者らは、直径の広い範囲にわたつ
て結節強度の高いポリフツ化ビニリデンモノフイ
ラメントの取得を目的として鋭意検討した結果、
溶融紡糸後のモノフイラメントを二段延伸するに
際し、一段目延伸の後で、特定条件からなる弛緩
熱処理を行ない、次いで二段目の延伸を行なうこ
とにより、上記目的が効果的に達成できることを
見出し、本発明に到達した。 すなわち本発明はポリフツ化ビニリデンを溶融
紡糸後、冷却して得た未延伸モノフイラメントを
二段延伸するに際し、まず(Tm−60℃)以上
〔ただしTmはポリフツ化ビニリデンの融点(℃)
を示す………以下同様〕の温度で、延伸倍率
(E1)が4.0〜6.0の範囲になるよう一段延伸し、
次いで(Tm−30℃)以上の温度で、熱処理倍率
(E2)が0.85〜1.0となる条件下に弛緩熱処理した
後、さらに(Tm−30℃)以上の温度で、総延伸
倍率(E1×E2×E3)が5.5以上となる延伸倍率
(E3)に二段延伸することを特徴とする高結節強
度ポリフツ化ビニリデンモノフイラメントの製造
方法を提供するものである。 本発明で用いるポリフツ化ビニリデンとは、フ
ツ化ビニリデン成分を95重量%以上含有するポリ
フツ化ビニリデンホモ重合体または共重合体であ
る。ここで5重量%未満を占める場合の共重合成
分としてはテトラフロロエチレン、トリフロロモ
ノクロロエチレン、トリフロロエチレン、モノフ
ロロエチレン、ヘキサフロロプロピレンおよびこ
れらの混合物などが挙げられるが、なかでもテト
ラフロロエチレンおよびトリフロロモノクロロエ
チレンが好ましい。またフツ化ビニリデン成分が
95重量%以上であるポリフツ化ビニリデンに、他
のフツ化ビニリデンホモポリマおよび/または共
重合ポリマをブレンドして用いることもできる。
ただし重合体または重合体混合物においてフツ化
ビニリデン成分の含有量が95重量%未満になる
と、結晶性が低下し、本発明の目的とする特性の
達成が困難になるため好ましくない。 なお本発明で用いるポリフツ化ビニリデンはジ
メチルホルムアミドの0.4g/c.c.溶液で測定した
固有粘度指数(ηinh)が0.8以上、とくに1.0以上
のものが好ましく、ηinhが0.7以下の場合には十
分な物性が得られない場合がある。 さらに本発明で用いるポリフツ化ビニリデンに
は、たとえば顔料、染料、耐光剤、紫外線吸収
剤、酸化防止剤、結晶化抑制剤および可塑剤など
の添加剤を、目的とする特性を阻害しない範囲
で、その重合過程、重合後あるいは紡糸直前に添
加することができる。 本発明において、ポリフツ化ビニリデンを溶融
紡糸するに際しては、押出紡糸機を用いる通常の
条件を採用することができ、たとえばポリマ温度
230〜320℃、押出圧力10〜500Kg/cm2、口金孔径
0.1〜3mm、紡糸速度0.3〜100m/分などの範囲
を適宜選択することができる。 紡出されたモノフイラメントは短かい気体ゾー
ンを通過した後、冷却浴中で冷却されるが、ここ
で用いる冷却媒体としては水、グリセリンおよび
ポリエチレングリコールなどのポリフツ化ビニリ
デンに不活性な液体化合物が挙げられる。 冷却されたモノフイラメントは通常の方法で冷
却媒体を除去された後、一段目の延伸ゾーンに送
られるが、本発明の延伸および熱固定時の雰囲気
(浴)としては、たとえばポリエチレングリコー
ル、グリセリンおよびシリコーン・オイルなどの
液体を加熱した熱媒浴、乾熱気体浴および過熱あ
るいは加圧水蒸気浴などが用いられる。 本発明の一次延伸条件は延伸温度が(Tm−60
℃)以上、とくに(Tm−40℃)以上の温度で、
一次延伸倍率(E1)が4.0〜6.0、とくに4.3〜5.0
の範囲となる条件を選択する必要がある。なお本
発明でいうTmとはポリフツ化ビニリデンの融点
(℃)であり、チツプないしはバルク状のポリマ
をパーキンエルマー社製DT−2B型示差走査熱量
計を用い、窒素雰囲気中、昇温速度10℃/分で測
定した際の結晶融解ピーク温度(ただし融解ピー
クがいくつか重つて出現する場合は最も吸熱ピー
クの高いピーク温度)(℃)を意味する。一段目
延伸において、延伸温度が(Tm−50℃)未満で
は、モノフイラメントにフイブリル化や白化を生
ずるため好ましくない。一段目延伸温度の上限に
関しては、延伸雰囲気として熱効率の高い、たと
えば液体熱媒を使用する場合にはほぼポリフツ化
ビニリデンの融点以下が好ましく、熱効率の低い
たとえば乾熱気体を使用する場合には、ポリフツ
化ビニリデンの融点を大巾に越える温度も許容さ
れる。これは以降の弛緩熱処理および二次延伸に
おける上限温度にも同様に適用できることであ
る。 また一次延伸倍率が4.0未満では延伸ムラを生
じて糸質が阻害され、6.0を越えると最終的に結
節強度が高いモノフイラメントを得ることが困難
になるため好ましくない。 本発明は上記一次延伸が終了後、モノフイラメ
ントを一旦弛緩状態となし、そのままの状態で熱
処理することにより、一次延伸時に生じた繊維内
部の不安定構造(横方向の脆さ、伸びの低下、ク
ラツク)を是正することを特徴とするものであ
る。この弛緩熱処理における温度は(Tm−30
℃)以上、とくに(Tm−20℃)以上で、熱処理
倍率(E2)は0.85〜1.0、とくに0.9〜0.98の範囲
となる条件を選択することが重要である。ここで
熱処理温度が上記よりも低いと高結節強度が達成
できないため好ましくない。また(E2)が0.85未
満では糸のたるみが起き易くて線径ムラを生じ、
1.0を越えると繊維内部の不安定構造が是正でき
ず、高結節強度化が達成できないため好ましくな
い。 本発明においては次いで二段目の延伸を行な
い、さらに延伸倍率を高めてモノフイラメントを
さらに高ヤング率化、高強力化する。二段目延伸
条件は延伸温度が(Tm−30℃)以上、とくに
(Tm−20℃)以上で、総合延伸倍率(E1×E2×
E3)が5.5以上、とくに5.8以上となるような延伸
倍率(E3)を選択する。ここで延伸温度が上記
より低いと所望の延伸倍率に到達できず、また総
合延伸倍率が5.5未満では延伸効果が小さく、目
的とする物性が得られないため好ましくない。 なお本発明における一次延伸および二次延伸に
おいては、上記の延伸温度(T1およびT3)およ
び延伸倍率(E1およびE3)を満足する範囲であ
れば、そのいずれか一方又は両者を二段以上に分
割して行なうことができる。また二次延伸終了後
は、付着熱媒を完全除去し、さらに安定な繊維構
造を形成させるために、モノフイラメントを弛緩
状態で温水浴中に通過せしめるのが好ましい。 かくして本発明の方法で工業的に安定に製糸し
て得られるポリフツ化ビニリデンモノフイラメン
トは、たとえば線径0.2mmでも4.2g/d以上と結
節強度が高く、しかも透明で、ヤング率が高く、
引張特性もすぐれているため、とくにハリスや道
糸としての釣糸や漁網などの漁獲用途や各種産業
用途に有用である。 以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳述す
る。 なお実施例中の引張強伸度および結節強伸度は
それぞれJIS−L10705.1.1(標準引張強伸度)およ
び同5.2.1(標準結節強伸度)の測定方法に準じて
測定した値である。 実施例 1 0.4g/c.c.のジメチルホルムアミド溶液の30℃
における固有粘度指数(ηinh)が1.2のポリフツ
化ビニリデン重合体チツプ(融点Tm=177℃)
をエクストルーダー型紡糸機で260℃で溶融し、
孔径1.0mmの口金を通して紡糸し、さらに20℃の
ポリエチレングリコール浴中で冷却した。ここで
得られた未延伸糸の複屈折率△nは1.5×10-3で
あつた。 次にこの未延伸糸を160℃のポリエチレングリ
コール一段目延伸浴中で4.5倍(E1)に延伸し、
引続いて165℃のポリエチレングリコール浴中で
0.95倍(E2)で弛緩熱処理した後、さらに165℃
のポリエチレングリコール二段目延伸浴中で1.50
倍(E3)に再度延伸し、更に80℃の温水浴中で
5%弛緩熱固定することにより、総合延伸倍率
(E1×E2×E3)6.4のモノフイラメントを得た。 得られたモノフイラメントは表−1に示すよう
に各物性がすぐれるものであつた。 実施例2および比較例1〜4 実施例1と同一条件で得た未延伸糸を使つて延
伸条件および熱処理条件を表−1のように種々変
更して得たモノフイラメントの特性は表−1に併
せて示すとおりであつた。
網などの漁獲用途および種々の産業用途に適した
ポリフツ化ビニリデンモノフイラメントの製造方
法に関するものである。 ポリフツ化ビニリデンモノフイラメントは強靭
性、耐衝撃性、透明性および耐光性などがすぐ
れ、しかも高比重(1.8)で水中に沈み易く、水
の屈折率(1.33)に近い屈折率(1.42)を有し、
水中での表面反射が極めて少ないため、とくに釣
糸材料として有効に用いられている。一般に釣糸
に要求される物理特性としては、上記の如き特徴
と共に、引張強度と結節強度が均衡して高いこと
が挙げられるが、従来のポリフツ化ビニリデンモ
ノフイラメントは結節強度が比較的低いという欠
点がある。すなわち従来のポリフツ化ビニリデン
モノフイラメントの製法としては、溶融紡糸後、
一段または二段延伸し、次いで80℃以上の緊張熱
処理を行なう方法(特公昭43−13399号公報)、溶
融紡糸後、一段または多段で2.5〜1.0倍に延伸配
向させる方法(特公昭44−5359号公報)および複
屈折率値曲線またはヤング率曲線の1次変曲点と
2次変曲点との間で一次延伸し、次いで二次延伸
する方法(特公昭53−22574号公報)などが挙げ
られるが、これらの方法では引張強度は十分なも
のが得られるものの、結節強度は線径0.15mmで
高々4.2g/d程度のものしか得ることができな
い。そして一般にモノフイラメントの結節強度は
その線径に反比例して小さくなるため、上記従来
法で線径をさらに太くする場合には、結節強度は
一層低下してしまう。 しかるに最近では、釣糸に用いられるポリフツ
化ビニリデンは増々高線径化の傾向があり、線径
0.2mm以上においても、結節強度が4.2g/d以上
の特性が強く要求されるようになつている。 そこで本発明者らは、直径の広い範囲にわたつ
て結節強度の高いポリフツ化ビニリデンモノフイ
ラメントの取得を目的として鋭意検討した結果、
溶融紡糸後のモノフイラメントを二段延伸するに
際し、一段目延伸の後で、特定条件からなる弛緩
熱処理を行ない、次いで二段目の延伸を行なうこ
とにより、上記目的が効果的に達成できることを
見出し、本発明に到達した。 すなわち本発明はポリフツ化ビニリデンを溶融
紡糸後、冷却して得た未延伸モノフイラメントを
二段延伸するに際し、まず(Tm−60℃)以上
〔ただしTmはポリフツ化ビニリデンの融点(℃)
を示す………以下同様〕の温度で、延伸倍率
(E1)が4.0〜6.0の範囲になるよう一段延伸し、
次いで(Tm−30℃)以上の温度で、熱処理倍率
(E2)が0.85〜1.0となる条件下に弛緩熱処理した
後、さらに(Tm−30℃)以上の温度で、総延伸
倍率(E1×E2×E3)が5.5以上となる延伸倍率
(E3)に二段延伸することを特徴とする高結節強
度ポリフツ化ビニリデンモノフイラメントの製造
方法を提供するものである。 本発明で用いるポリフツ化ビニリデンとは、フ
ツ化ビニリデン成分を95重量%以上含有するポリ
フツ化ビニリデンホモ重合体または共重合体であ
る。ここで5重量%未満を占める場合の共重合成
分としてはテトラフロロエチレン、トリフロロモ
ノクロロエチレン、トリフロロエチレン、モノフ
ロロエチレン、ヘキサフロロプロピレンおよびこ
れらの混合物などが挙げられるが、なかでもテト
ラフロロエチレンおよびトリフロロモノクロロエ
チレンが好ましい。またフツ化ビニリデン成分が
95重量%以上であるポリフツ化ビニリデンに、他
のフツ化ビニリデンホモポリマおよび/または共
重合ポリマをブレンドして用いることもできる。
ただし重合体または重合体混合物においてフツ化
ビニリデン成分の含有量が95重量%未満になる
と、結晶性が低下し、本発明の目的とする特性の
達成が困難になるため好ましくない。 なお本発明で用いるポリフツ化ビニリデンはジ
メチルホルムアミドの0.4g/c.c.溶液で測定した
固有粘度指数(ηinh)が0.8以上、とくに1.0以上
のものが好ましく、ηinhが0.7以下の場合には十
分な物性が得られない場合がある。 さらに本発明で用いるポリフツ化ビニリデンに
は、たとえば顔料、染料、耐光剤、紫外線吸収
剤、酸化防止剤、結晶化抑制剤および可塑剤など
の添加剤を、目的とする特性を阻害しない範囲
で、その重合過程、重合後あるいは紡糸直前に添
加することができる。 本発明において、ポリフツ化ビニリデンを溶融
紡糸するに際しては、押出紡糸機を用いる通常の
条件を採用することができ、たとえばポリマ温度
230〜320℃、押出圧力10〜500Kg/cm2、口金孔径
0.1〜3mm、紡糸速度0.3〜100m/分などの範囲
を適宜選択することができる。 紡出されたモノフイラメントは短かい気体ゾー
ンを通過した後、冷却浴中で冷却されるが、ここ
で用いる冷却媒体としては水、グリセリンおよび
ポリエチレングリコールなどのポリフツ化ビニリ
デンに不活性な液体化合物が挙げられる。 冷却されたモノフイラメントは通常の方法で冷
却媒体を除去された後、一段目の延伸ゾーンに送
られるが、本発明の延伸および熱固定時の雰囲気
(浴)としては、たとえばポリエチレングリコー
ル、グリセリンおよびシリコーン・オイルなどの
液体を加熱した熱媒浴、乾熱気体浴および過熱あ
るいは加圧水蒸気浴などが用いられる。 本発明の一次延伸条件は延伸温度が(Tm−60
℃)以上、とくに(Tm−40℃)以上の温度で、
一次延伸倍率(E1)が4.0〜6.0、とくに4.3〜5.0
の範囲となる条件を選択する必要がある。なお本
発明でいうTmとはポリフツ化ビニリデンの融点
(℃)であり、チツプないしはバルク状のポリマ
をパーキンエルマー社製DT−2B型示差走査熱量
計を用い、窒素雰囲気中、昇温速度10℃/分で測
定した際の結晶融解ピーク温度(ただし融解ピー
クがいくつか重つて出現する場合は最も吸熱ピー
クの高いピーク温度)(℃)を意味する。一段目
延伸において、延伸温度が(Tm−50℃)未満で
は、モノフイラメントにフイブリル化や白化を生
ずるため好ましくない。一段目延伸温度の上限に
関しては、延伸雰囲気として熱効率の高い、たと
えば液体熱媒を使用する場合にはほぼポリフツ化
ビニリデンの融点以下が好ましく、熱効率の低い
たとえば乾熱気体を使用する場合には、ポリフツ
化ビニリデンの融点を大巾に越える温度も許容さ
れる。これは以降の弛緩熱処理および二次延伸に
おける上限温度にも同様に適用できることであ
る。 また一次延伸倍率が4.0未満では延伸ムラを生
じて糸質が阻害され、6.0を越えると最終的に結
節強度が高いモノフイラメントを得ることが困難
になるため好ましくない。 本発明は上記一次延伸が終了後、モノフイラメ
ントを一旦弛緩状態となし、そのままの状態で熱
処理することにより、一次延伸時に生じた繊維内
部の不安定構造(横方向の脆さ、伸びの低下、ク
ラツク)を是正することを特徴とするものであ
る。この弛緩熱処理における温度は(Tm−30
℃)以上、とくに(Tm−20℃)以上で、熱処理
倍率(E2)は0.85〜1.0、とくに0.9〜0.98の範囲
となる条件を選択することが重要である。ここで
熱処理温度が上記よりも低いと高結節強度が達成
できないため好ましくない。また(E2)が0.85未
満では糸のたるみが起き易くて線径ムラを生じ、
1.0を越えると繊維内部の不安定構造が是正でき
ず、高結節強度化が達成できないため好ましくな
い。 本発明においては次いで二段目の延伸を行な
い、さらに延伸倍率を高めてモノフイラメントを
さらに高ヤング率化、高強力化する。二段目延伸
条件は延伸温度が(Tm−30℃)以上、とくに
(Tm−20℃)以上で、総合延伸倍率(E1×E2×
E3)が5.5以上、とくに5.8以上となるような延伸
倍率(E3)を選択する。ここで延伸温度が上記
より低いと所望の延伸倍率に到達できず、また総
合延伸倍率が5.5未満では延伸効果が小さく、目
的とする物性が得られないため好ましくない。 なお本発明における一次延伸および二次延伸に
おいては、上記の延伸温度(T1およびT3)およ
び延伸倍率(E1およびE3)を満足する範囲であ
れば、そのいずれか一方又は両者を二段以上に分
割して行なうことができる。また二次延伸終了後
は、付着熱媒を完全除去し、さらに安定な繊維構
造を形成させるために、モノフイラメントを弛緩
状態で温水浴中に通過せしめるのが好ましい。 かくして本発明の方法で工業的に安定に製糸し
て得られるポリフツ化ビニリデンモノフイラメン
トは、たとえば線径0.2mmでも4.2g/d以上と結
節強度が高く、しかも透明で、ヤング率が高く、
引張特性もすぐれているため、とくにハリスや道
糸としての釣糸や漁網などの漁獲用途や各種産業
用途に有用である。 以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳述す
る。 なお実施例中の引張強伸度および結節強伸度は
それぞれJIS−L10705.1.1(標準引張強伸度)およ
び同5.2.1(標準結節強伸度)の測定方法に準じて
測定した値である。 実施例 1 0.4g/c.c.のジメチルホルムアミド溶液の30℃
における固有粘度指数(ηinh)が1.2のポリフツ
化ビニリデン重合体チツプ(融点Tm=177℃)
をエクストルーダー型紡糸機で260℃で溶融し、
孔径1.0mmの口金を通して紡糸し、さらに20℃の
ポリエチレングリコール浴中で冷却した。ここで
得られた未延伸糸の複屈折率△nは1.5×10-3で
あつた。 次にこの未延伸糸を160℃のポリエチレングリ
コール一段目延伸浴中で4.5倍(E1)に延伸し、
引続いて165℃のポリエチレングリコール浴中で
0.95倍(E2)で弛緩熱処理した後、さらに165℃
のポリエチレングリコール二段目延伸浴中で1.50
倍(E3)に再度延伸し、更に80℃の温水浴中で
5%弛緩熱固定することにより、総合延伸倍率
(E1×E2×E3)6.4のモノフイラメントを得た。 得られたモノフイラメントは表−1に示すよう
に各物性がすぐれるものであつた。 実施例2および比較例1〜4 実施例1と同一条件で得た未延伸糸を使つて延
伸条件および熱処理条件を表−1のように種々変
更して得たモノフイラメントの特性は表−1に併
せて示すとおりであつた。
【表】
表−1の結果から明らかなように、本発明の方
法(実施例1および2)にすれば、結節強度が高
く、他の物性も均衡してすぐれたモノフイラメン
トが得られる。 一方弛緩熱処理を省略する場合(比較例1)お
よび一次延伸倍率(E1)が高すぎる場合(比較
例2)は結節強度の低いモノフイラメントしか得
られず、総合延伸倍率が5.5未満の場合(比較例
3)は結節強度と引張強度の両者が低いモノフイ
ラメントしか得ることができない。さらに熱処理
を緊張状態で行なう場合(比較例4)は引張強度
は高いものの、やはり結節強度の低いモノフイラ
メントしか得られない。 実施例3および比較例5 実施例1で用いたポリフツ化ビニリデン重合体
チツプを260℃で溶融し、口径0.5mmの口金から紡
糸し、さらに20℃のポリエチレングリコール浴中
で冷却することにより、複屈折率△n1.6×10-3の
未延伸糸を得た。 次にこの未延伸糸を160℃のポリエチレングリ
コール一段延伸浴中で5.31倍(E1)に延伸し、引
続いて163℃のポリエチレングリコール浴中で
0.95倍(E2)で弛緩熱処理した後、さらに163℃
のポリエチレングリコール二段延伸浴中で1.3倍
(E3)に再度延伸し、さらに80℃の温水浴中で5
%弛緩熱固定することにより、総合延伸倍率
(E1×E2×E3)6.30、太さ100デニールのモノフイ
ラメントを得た。 一方、比較のために、一段延伸倍率を5.2倍、
二段延伸倍率を1.2倍とし、延伸間弛緩熱処理を
省略した以外は上記と同様の条件で紡糸、延伸す
ることにより、総合延伸倍率6.24、太さ100デニ
ールのモノフイラメントを得た。 このようにして得た2種のモノフイラメントの
物性は表−2に示したとおりであり、延伸間弛緩
熱処理を施した場合(実施例3)は、延伸間弛緩
熱処理を省略した場合(比較例5)に比較して、
とくに結節強度が著しく向上していることが明ら
かである。
法(実施例1および2)にすれば、結節強度が高
く、他の物性も均衡してすぐれたモノフイラメン
トが得られる。 一方弛緩熱処理を省略する場合(比較例1)お
よび一次延伸倍率(E1)が高すぎる場合(比較
例2)は結節強度の低いモノフイラメントしか得
られず、総合延伸倍率が5.5未満の場合(比較例
3)は結節強度と引張強度の両者が低いモノフイ
ラメントしか得ることができない。さらに熱処理
を緊張状態で行なう場合(比較例4)は引張強度
は高いものの、やはり結節強度の低いモノフイラ
メントしか得られない。 実施例3および比較例5 実施例1で用いたポリフツ化ビニリデン重合体
チツプを260℃で溶融し、口径0.5mmの口金から紡
糸し、さらに20℃のポリエチレングリコール浴中
で冷却することにより、複屈折率△n1.6×10-3の
未延伸糸を得た。 次にこの未延伸糸を160℃のポリエチレングリ
コール一段延伸浴中で5.31倍(E1)に延伸し、引
続いて163℃のポリエチレングリコール浴中で
0.95倍(E2)で弛緩熱処理した後、さらに163℃
のポリエチレングリコール二段延伸浴中で1.3倍
(E3)に再度延伸し、さらに80℃の温水浴中で5
%弛緩熱固定することにより、総合延伸倍率
(E1×E2×E3)6.30、太さ100デニールのモノフイ
ラメントを得た。 一方、比較のために、一段延伸倍率を5.2倍、
二段延伸倍率を1.2倍とし、延伸間弛緩熱処理を
省略した以外は上記と同様の条件で紡糸、延伸す
ることにより、総合延伸倍率6.24、太さ100デニ
ールのモノフイラメントを得た。 このようにして得た2種のモノフイラメントの
物性は表−2に示したとおりであり、延伸間弛緩
熱処理を施した場合(実施例3)は、延伸間弛緩
熱処理を省略した場合(比較例5)に比較して、
とくに結節強度が著しく向上していることが明ら
かである。
【表】
【表】
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 ポリフツ化ビニリデンを溶融紡糸後、冷却し
て得た未延伸モノフイラメントを二段延伸するに
際し、まず(Tm−60℃)以上〔ただしTmはポ
リフツ化ビニリデンの融点(℃)を示す………以
下同様〕の温度で、延伸倍率(E1)が4.0〜6.0の
範囲になるよう一段延伸し、次いで(Tm−30
℃)以上の温度で、熱処理倍率(E2)が0.85〜
1.0となる条件下に弛緩熱処理した後、さらに
(Tm−30℃)以上の温度で、総延伸倍率(E1×
E2×E3)が5.5以上となる延伸倍率(E3)に二段
延伸することを特徴とする高結節強度ポリフツ化
ビニリデンモノフイラメントの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2863984A JPS60181314A (ja) | 1984-02-20 | 1984-02-20 | 高結節強度ポリフツ化ビニリデンモノフイラメントの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2863984A JPS60181314A (ja) | 1984-02-20 | 1984-02-20 | 高結節強度ポリフツ化ビニリデンモノフイラメントの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS60181314A JPS60181314A (ja) | 1985-09-17 |
JPH0357965B2 true JPH0357965B2 (ja) | 1991-09-04 |
Family
ID=12254094
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2863984A Granted JPS60181314A (ja) | 1984-02-20 | 1984-02-20 | 高結節強度ポリフツ化ビニリデンモノフイラメントの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS60181314A (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
NZ286943A (en) * | 1995-07-12 | 1998-07-28 | Kureha Chemical Ind Co Ltd | Fly fishing leader of vinylidene fluoride resin |
WO1997046088A1 (fr) | 1996-06-05 | 1997-12-11 | Kureha Kagaku Kogyo Kabushiki Kaisha | Avançon pour la peche a la mouche |
JP4565086B2 (ja) * | 2000-03-07 | 2010-10-20 | 東レ・モノフィラメント株式会社 | 釣糸およびその製造方法 |
US6725596B2 (en) * | 2001-02-08 | 2004-04-27 | Ferrari Importing Co. | Fishing line with enhanced properties |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS51133532A (en) * | 1975-05-16 | 1976-11-19 | Kureha Chem Ind Co Ltd | Poly vinylidene fluoride fibers with high knot strength |
-
1984
- 1984-02-20 JP JP2863984A patent/JPS60181314A/ja active Granted
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS51133532A (en) * | 1975-05-16 | 1976-11-19 | Kureha Chem Ind Co Ltd | Poly vinylidene fluoride fibers with high knot strength |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS60181314A (ja) | 1985-09-17 |
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