JPH0357161Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 この考案は、たとえば車両のシートにおけるリ
クライニングアジヤスタに関する。

〔考案の技術的背景とその問題点〕

車両のたとえばフロントシートはそのシートバ
ツクが乗員の好みに応じた傾斜角に保持できるよ
うにリクライニング機能を備えている場合が多
く、また、シートバツクを後方へほぼ水平に、さ
らに前方へ倒すことができるものも周知である。

このようなリクライニング機能を持たせるため
には、シートクツシヨンのシートフレームに対し
てシートバツクのフレームが回動自在に枢着さ
れ、この枢着部に傾斜角を調節できるリクライニ
ングアジヤスタが設けられている。このリクライ
ニングアジヤスタは、セクタギヤとロツクギヤと
からなり、セクタギヤに設けられた歯形部分にロ
ツクギヤが係脱自在になつており、ロツクギヤを
ロツク解除レバーによつて操作することによつて
セクタギヤの歯形部分の任意の位置に係合してい
る。

したがつて、セクタギヤの歯形部分の位置およ
び範囲によつてリクライニングの範囲が決定する
ため、従来は、複数種のリクライニングアジヤス
タに対応できるように、複数種のセクタギヤを製
作し、車種によつて選択的に使用していた。第６
図は従来のセクタギヤを示すもので、半円状ある
いは扇状のセクタギヤａの円周部に１か所もしく
は２箇所に歯形部分ｂ，ｂを設け、この歯形部分
ｂの位置および範囲が異なるセクタギヤａを複数
種製作し、多種の車種に対応することができるよ
うにしていた。

したがつて、多数種類のセクタギヤａを製作す
る必要と部品の管理の面でコストアツプの原因に
なつている。

〔考案の目的〕

この考案は、前記事情に着目してなされたもの
で、その目的とするところは、車種およびシート
によつてシートバツクの直立位置、回転角度およ
び調節段数が異なつても新たにセクタギヤを製作
する必要がなく、１種類のセクタギヤによつて対
応することができ、製作および管理面で大幅にコ
ストダウンを図ることができるリクライニングア
ジヤスタを提供することにある。

〔考案の概要〕

この考案は、前記目的を達成するために、円板
状のセクタギヤ本体の円周部の複数箇所に歯形部
分と歯形なし部分を設け、前記セクタギヤ本体の
周方向の固定位置および裏返し固定を選択的に変
更することによつて多種類のシートに適用するこ
とができるようにしたことにある。

〔考案の実施例〕

以下、この考案の一実施例を図面に基づいて説
明する。

第１図中１は車両用シートを示すもので、この
シート１はシートクツシヨン２とシートバツク３
とから構成されている。そして、シートバツク３
はフレーム４に設けた主軸５に回動自在に枢支さ
れており、この主軸５を軸心としてシートバツク
３が前後方向に回動自在に構成されている。ま
た、前記主軸５には第２図および第３図に示すよ
うにセクタギヤ６が固定されており、シートバツ
ク３にはこれと一体的に回動するブラケツト７が
設けられている。そして、このブラケツト７には
前記セクタギヤ６と係脱するロツクギヤ８および
このロツクギヤ８をロツク方向に付勢する付勢ば
ね９が設けられている。さらに、このロツクギヤ
８の近傍にはロツクギヤ８とセクタギヤ６との係
合を解除するロツク解除レバー１０が設けられ、
リクライニングアジヤスタを構成している。

また、前記セクタギヤ６は、第４図に示すよう
に、円板状に形成されたセクタギヤ本体１１とこ
の円周部に形成した第１の歯形部１２、第２の歯
形部１３および第１の歯形なし部１４、第２の歯
形なし部１５とから構成されている。そして、前
記第１の歯形部１２および第１の歯形なし部１４
はほぼ120°に亙つて設けられ、残りが第２の歯形
部１３および第２の歯形なし部１５に形成されて
いる。

したがつて、前記第１の歯形部１２の任意の位
置に前記ロツクギヤ８が係合してシートバツク３
の後方への傾斜角が設定されるようになつてお
り、ロツク解除レバー１０によつてロツクギヤ８
を付勢ばね９に抗してセクタギヤ６から退避する
ことによつて第２の歯形なし部１５を摺動させる
ことができるようになつている。したがつて、シ
ートバツク３を前方へ倒すことによつてロツクギ
ヤ８が第２の歯形部１３に係合してシートバツク
３を前倒し状態に保持されるようになつている。

また、前記セクタギヤ６はそのセクタギヤ本体
１１が円板状に構成されているため、主軸５を軸
心として周方向に回転することによつて前記歯形
部１２，１４および歯形なし部１３，１５の位置
を変更することができるとともに、第５図に示す
ようにセクタギヤ６を裏返して取付けることによ
つても歯形部１２，１４およひ歯形なし部１３，
１５の位置を変更することができる。したがつ
て、車種およびシート１の構造、つまりシートバ
ツク３の直立位置、回転角度および調節段数に設
計変更があつても１枚のセクタギヤ６を対応する
ことができる。

〔考案の効果〕

以上説明したように、この考案によれば、セク
タギヤに係脱するロツクギヤが設けられるブラケ
ツトが回転自在に支持される主軸に、セクタギヤ
の中心が固定され、このセクタギヤが円板状に形
成されているため、セクタギヤの取付け角度を変
更したり、あるいはセクタギヤを裏返しに固定し
ても、セクタギヤが他の部分に干渉したりするこ
とがなく、セクタギヤの取付角度を自由に設定す
ることができるし、裏返し固定を行うか否かも自
由に行うことができる。

そして、セクタギヤの円周部の複数箇所に歯形
部分と歯形なし部分を設けてあるので、セクタギ
ヤの周方向の固定位置および裏返し固定を選択す
ることにより歯形部分と歯形なし部分の位置を自
由に選択することができ、ロツクギヤのセクタギ
ヤへの係合角度範囲を自由に設定することができ
るものである。したがつて、セクタギヤを従来の
ように多数種類製作して保管する必要がなく、車
種およびシートに設計変更があつても１枚で対処
することができ、製作費および管理費の大幅な低
減を図ることができるという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第５図はこの考案の一実施例を示す
もので、第１図はシートの側面図、第２図および
第３図はリクライニングアジヤスタの側面図、第
４図はセクタギヤの正面図、第５図はセクタギヤ
の裏返しした状態のリクライニングアジヤスタの
側面図、第６図は従来のセクタギヤの正面図であ
る。 ６……セクタギヤ、８……ロツクギヤ、１１…
…セクタギヤ本体、１２，１４……歯形部、１
３，１５……歯形なし部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 主軸に固定されるセクタギヤと、前記主軸に回
   転自在に支持されたブラケツトに設けられ前記セ
   クタギヤに係脱するロツクギヤとからなるリクラ
   イニングアジヤスタにおいて、前記セクタギヤは
   円板状に形成されてその中心が前記主軸に固定さ
   れると共に、前記セクタギヤの円周部の複数箇所
   に歯形部分と歯形なし部分を設け、前記セクタギ
   ヤの周方向の固定位置および裏返し固定を選択し
   て前記歯形部分の位置を変更できるようにしたこ
   とを特徴とするリクライニングアジヤスタ。