JPH0226484B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、遊星歯車機構を巧みに利用して用い
ることによりシートクツシヨンに対するシートバ
ツクの傾動位置を調節可能に構成したリクライニ
ング機構に関する。

たとえば車両用シートなどにあつては、シート
クツシヨンとシートバツクとの間にリクライニン
グ機構を設け、シートバツクをシートクツシヨン
に対し傾動可能に構成することが一般に行なわれ
ている。そして、このようにすれば、シートを着
座者の体型または好みに応じて自由に調節し得る
もので、その利点は大きい。

ところで、この種のリクライニング機構におい
て要求されることは、できるだけ簡単な構成で、
その成形加工性、組立性に優れ、コスト的に安価
であるばかりでなく、シートバツクを自由にかつ
適切な角度にて傾動調節することができ、しかも
その操作が容易で、また着座者による荷重に抗し
てその係止状態を確実に維持し得ることである。

そして、これらの点を考慮して従来から種々な
構成のものが提案されているが、いずれも一長一
短があり、上述した要求をすべて満足し得るもの
は末だ提案されていない。

たとえば実公昭58−26602号公報には、遊星歯
車機構を採用することにより上述した要請に応え
ようとしたリクライニング機構が示されている
が、この従来例は、歯先円が同一で歯数の異なる
内歯歯車部をもつ２枚の蝶番板を用い、その両歯
車部に同一形状にて形成された遊星歯車の歯部を
噛合させるようにしたものであり、蝶番板側の成
形加工が面倒でコスト高となるばかりでなく、組
立時において特に遊星歯車の組付けが面倒かつ困
難であり、またロツク時において２枚の蝶番板の
うち少なくとも一方は転位歯車（非インボリユー
ト歯）なので遊星歯車に噛合する一方の蝶番板側
の歯車部との間にはガタが生じ、適切な動作を期
待し得ないといつた問題を有するものであつた。

本発明はこのような事情に鑑みてなされたもの
であり、一対のプレートに歯先円が異なり同数の
歯数をもつインボリユートな内歯歯車部を形成
し、これら各歯車部に噛合する歯先円および歯数
が異なる第１および第２のインボリユートな歯車
部を有する複数の段付遊星歯車を設けるととも
に、これら遊星歯車のいずれか一方の歯車部に噛
合させて制御歯車を軸支するという簡単な構成に
よつて、遊星歯車機構により減速された小さな操
作力で制御歯車を所望の角度分回動操作するだけ
で各遊星歯車の第１および第２の歯車部間の歯数
差により一対のプレートの相対角度を自由にかつ
無段階に調節することができ、しかも各噛合部で
の適切な噛合を得てガタ付きを小さくし、円滑な
回転を得ることができ、また各部の成形加工性お
よび組立性を向上させ、全体の薄型化を図れる等
の利点を有する安価なリクライニング機構を提供
するものである。

第１図および第２図は本発明に係るリクライニ
ング機構の一実施例を示し、これらの図におい
て、全体を符号１０で示すリクライニング機構
は、シートを構成するシートクツシヨンとシート
バツク（共に図示せず）にそれぞれ取付けられる
一対のプレートとしてのベース１１およびアーム
１２を備えている。そして、これらベース１１お
よびアーム１２には、シートの軸支部と同一軸線
上に並設されその歯先円が異なりしかも同数の歯
数を有する内歯歯車部１３，１４がそれぞれ形成
されている。なお、本実施例では、ベース１１側
の内歯歯車部１３を小径とした場合を示してい
る。なお、ベース１１およびアーム１２の内歯歯
車部１３，１４の形成された外側にはカバー部１
１ａ，１２ａが夫々形成されており、このカバー
部１１ａ，１２ａは内歯歯車部１３，１４のプレ
ス成形の際に一体に形成されている。

１５は上述した小、大内歯歯車部１３，１４に
それぞれ噛合する第１および第２の歯車部１６，
１７を軸線方向に並設して形成された複数（本実
施例では４個）の段付遊星歯車で、その第１およ
び第２の歯車部１６，１７は、第２図からも明ら
かなように、異なる歯先円と歯数とを有する段付
形状にて形成されている。勿論、これら各歯車部
１６，１７はそれぞれ噛合する内歯歯車部１３，
１４に対応してインボリユート歯部同士の噛合を
得て無理なく円滑にガタ付きの小さい回転伝達を
得るように構成されている。

そして、前記遊星歯車１５のいずれか一方の歯
車部（本実施例では１７側）に噛合するようにし
て前記プレート側の内歯歯車部１３，１４と同一
軸線上に回転軸１８にて制御歯車１９が軸支さ
れ、この制御歯車１９は軸１８の外方端に設けら
れた操作ノブ２０により回転操作される。勿論、
この制御歯車１９と歯車部１７との関係も上述し
たと同様に適切な噛合となるようにされている。

なお、図中２１は各遊星歯車１５をその回転個
所で保持するスタビライザ、２４は回転軸１８他
端のナツト、２５はカバーである。

そして、上述した構成によれば、制御歯車１９
を適宜回転させることにより、各遊星歯車１５を
介してアーム１２側の内歯歯車部１４にてアーム
１２をベース１１に対し相対角度を自由にかつ無
段階で調節することが可能となる。この相対角度
は、遊星歯車１５の両歯車部１６，１７の歯数差
により決定されるもので、また制御歯車１９の回
転を止めると、アーム１２はその内歯歯車部１
４、遊星歯車１５の第２の歯車部１７を介してそ
の第１の歯車部１６がベース１１側に噛合される
ことによりその噛合位置でロツクされるものであ
る。

そして、上述した回動操作は、遊星歯車機構に
よる減速作用で小さな操作力とすることができ、
また各噛合部分がそれぞれ適切でインボリユート
な噛合状態とされていることから円滑でガタ付き
の小さな回転伝達を期待し得るものである。

なお、本発明は上述した実施例構造に限定され
ず、各部の形状、構造等を必要に応じて適宜変
形、変更することは自由である。たとえば各歯車
部の歯数や歯先円の大きさ、さらに遊星歯車の数
等は必要に応じて選択されるものであり、また制
御歯車を遊星歯車の第１および第２の歯車部のい
ずれか一方に噛合させるとよいことも明らかであ
ろう。さらに、一対のプレートでの内歯歯車部と
これに噛合する遊星歯車の第１、第２の歯車部等
を実施例と逆にしてもよいことも勿論である。

以上説明したように、本発明に係るリクライニ
ング機構によれば、一対のプレートに歯先円が異
なり同数の歯数をもつ内歯歯車部を形成し、これ
らに噛合する歯先円および歯数の異なる第１およ
び第２の歯車部を有する複数の段付遊星歯車を設
けるとともに、これら遊星歯車の一方の歯車部に
制御歯車を噛合させるようにしたので、簡単かつ
製造容易でしかもコスト的に安価な構成にもかか
わらず、小さな操作力による簡単な回動操作にて
一対のプレートの相対角度を自由にかつ無段階に
調節することができ、しかも各部の適切な噛合を
得てガタ付きも小さく、円滑な回転操作を得るこ
とができ、しかも所望のロツク状態を得ることも
でき、また全体の薄型化等を図れるといつた種々
優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係るリクライニング機構の一
実施例を示す概略分解斜視図、第２図はその要部
拡大図である。 １０……リクライニング機構、１１，１２……
一対のプレート（ベース、アーム）、１３，１４
……内歯歯車部、１５……段付遊星歯車、１６，
１７……第１および第２の歯車部、１８……回転
軸、１９……制御歯車。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ シートクツシヨンとシートバツクとにそれぞ
   れ取付けられかつ歯先円が異なり同数の歯数にて
   形成された内歯歯車部を有する一対のプレート
   と、これら各プレートの内歯歯車部にそれぞれ噛
   合する第１および第２の歯車部をその軸線方向に
   並設してなる複数の遊星歯車と、これら遊星歯車
   のいずれか一方の歯車部に噛合するようにして各
   プレートの内歯歯車部と同一軸線上に軸支される
   制御歯車を備え、前記遊星歯車はその第１および
   第２の歯車部がそれぞれ噛合する内歯歯車部の歯
   先円と歯数に応じて異なる歯先円と歯数とを有す
   る段付形状にて形成されていることを特徴とする
   リクライニング機構。