JPH0356717Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、ガス導管のような地下敷設管路にお
いて、漏洩現象が発生または起り易い管継手部な
どの管体一部を、漏洩修理あるいは予防保全の目
的からシール補修する際に用いる地下敷設管路の
管体シール用カバーに関するものである。

〔従来の技術〕

上述のようなシール用カバーを用いた地下管路
の補修は、補修個所（管継手部）の管体一部を掘
削により地上に開口する穴内に露出させ、その管
体露出部の外側に、外部よりシールカバーを包被
するように巻き付けて密封補修するものである
が、この場合、シール用カバーとしては、例え
ば実公昭53−44104号公報に記載されているよう
に、熱収縮性合成樹脂シート部材でカバー本体を
構成し、外側から火災を吹き付けて加熱による収
縮作用によりカバー本体を管体に密着させ、密封
するように補修するもの、また例えば特公昭53
−3099号公報に記載されているように、可撓性シ
ート部材からなるカバー本体を管体に巻き付け、
両端を締付バンドにより締着した後、カバー内の
環状空間にシール用樹脂を充填、固化させてシー
ル補修するようにしたもの、などが知られてい
る。

前者の先行技術の場合、火災を吹付けて加熱
する関係から、補修対象の管路がガス導管で補修
個所にガス漏洩が起つている管体では、引火の危
険性があり、補修に際して管路内のガスの流通を
中断した状態で作業しなければならないから補修
個所周辺のガス需要先に多大の迷惑を及ぼす不都
合がある。

この点、後者の先行技術では、漏洩が起つて
いる管体においてもガスの流通を中断する必要が
ないから上記した前者の先行技術のよあな不都
合はないが、反面、カバー内の環状空間にシール
用樹脂を充填し、樹脂に充填圧をかけて漏洩個所
を塞ぐよう樹脂を固化させる関係から、注入樹脂
が充填圧によりカバー外に漏出しない対策が不可
欠となる。

〔考案が解決しようとする課題〕

本考案は上記後者の先行技術にみられるよう
にカバー内に樹脂を充填、固化させて補修を行う
形態のシール用カバーを前提とする。

そして、このようなシール用カバーでは、上述
したように充填樹脂がカバー外に漏出しない対策
が必要で、この対策として、管体に巻付けられた
カバーの接合端縁をフアスナーにより結着する構
成とする場合、そのフアスナー結着部からの樹脂
漏出が起こらないように、例えば前記の先行技
術にみられるように一方のカバー接合端縁に、他
方側の接合端縁の内側に向けて延びる架橋シート
片を延出しておき、フアスナーを結着した時、上
記架橋シート片が、その外面に塗布された粘着剤
により他方のカバー接合端縁の内側内面に貼着さ
れてシール性を向上するような対策が望まれる。

この場合、問題となるのは、上記架橋シート片
をその延出巾の全巾にわたつて他方のカバー接合
端縁の内側内面に貼着される構成にすると、フア
スナー結着部においてスライダーの動きが悪くな
る上に、スライダーが架橋シート片の外面に塗布
された粘着剤に接触、付着する等の現象が起きて
その滑りが悪くなることより、フアスナーによる
カバー接合縁の結着操作が円滑に行われ難くなる
という不都合が派生する。

本考案は、上記の問題点を課題とし、カバー内
に注入された樹脂がフアスナー結着部から外部に
漏出する問題を解決すると同時に、併せてフアス
ナーによるカバー接合縁の結着操作も円滑に行わ
れるように改良された管体シール用カバーを提供
しようとするものである。

〔課題を解決するための手段〕

この目的を達成するため、本考案にかかる管体
シール用カバーは、 (A) 補修対象の管体に巻付けたシート状カバー本
体の接合端縁に、両接合端縁を結着するフアス
ナーを縫着してあり、 (B) 且つ一方のカバー本体の接合端縁に、他方の
接合端縁の内側内面に向けて延びる所要巾の架
橋シート片を延出させる共に、該架橋シート片
には、その延出巾の自由端側における半巾部分
にはその外面に塗布された粘着剤を介して剥離
可能な剥離シートが、また基端側のフアスナー
結着部に対応する半巾部分には剥離しない非剥
離シートを貼着していることを特徴とする。

〔作用〕

このような構成では、剥離シートを剥がした状
態で、フアスナーによりカバー本体の接合端縁を
相互に結着する時、一方の接合端縁より延出する
架橋シート片の延出部が、他方の接合端縁の内側
内面に跨がるよう延びて、その自由端側における
半巾部分が外面に塗布された粘着剤により他方の
接合端縁の内側内面に貼着されることでこの部分
でのシール性が確保され、フアスナー結着部から
の樹脂漏出が防止できる。

またフアスナー結着に際しては、その結着部に
対応する架橋シート片の基端側における半巾部分
に非剥離シートが貼着され、この部分では非剥離
シートによりカバー内面への貼着が阻止されてい
るから、フアスナー結着部におけるスライダーの
動きがよくなり、またスライダーが粘着剤に接触
付着する現象も起こらないのでスライダーの滑り
もよくなり、フアスナー結着によるカバー接合端
縁の接合操作が円滑に行なわれるようになる。

この結果、フアスナー結着部からの樹脂漏出が
防止され、併せてフアスナーによるカバー本体の
接合操作が円滑に行われるようになる。

〔実施例〕

以下、本考案の一実施例を添付図面に基いて説
明する。

第１図は本考案の一実施例を示す管体シール用
カバーの斜視図、第２図はそのカバー本体の接合
部を拡大して示す斜視図で、図中、符号１は管体
シール用カバー本体を示し、このカバー本体１は
内面を樹脂でコーテイングされた気密性織布で作
られている。そしてカバー本体１は、従来のもの
と同様に管体の補修個所となる管継手部Ａ（第２
〜４図参照）の周囲を囲繞するように巻き付けら
れるもので、管継手部Ａを挟んで一方の管体に巻
き付られる右端部１ａと、他方の管体に巻き付け
られる左端部１ｂとの中間部には管継手部Ａのフ
ランジ部を包囲できる大きさの膨出部１ｃが形成
されている。なお上記カバー本体１の右端部１ａ
および左端部１ｂの各内面には、後述の巻締バン
ド８，８による締付けの際に管体への密接性を良
くするため発泡樹脂からなるクツシヨンシート２
ａ，２ｂがそれぞれ貼着されている。

また管体に巻き付けられるカバー本体１の接合
端縁には、フアスナー３による結着部を構成する
ため、一方の接合端縁には片側の凸形チヤツク爪
を有するフアスナーベルト片３ａが、他方の接合
端縁にはこれと組合される他方側の凹形チヤツク
爪を有するフアスナーベルト片３ｂがそれぞれ縫
着固定されている。そしてこれら一対のフアスナ
ーベルト片３ａ，３ｂは、シール用カバー本体１
の左右巾よりもその両側へ長く延びており、一端
側には結着用のスライダー３ｃが具備され、スラ
イダー３ｃの移動によつて両フアスナーベルト片
３ａ，３ｂのチヤツク爪が互いに結着されてカバ
ー本体１の接合端縁が相互に接合される構成にな
つている。

本考案では上記フアスナーベルト片３ａ，３ｂ
の結着により相互に接合されるカバー本体１の接
合端縁において、その一方側（図示の実施例では
フアスナーベルト片３ａを固着した側）の接合端
縁に、他方側の接合端縁に跨つてその内側内面に
延びる架橋シート片４が延出されてあり、フアス
ナー３の結着によるカバー本体１の端縁接合時
に、上記架橋シート片４の延出端が他方側のフア
スナーベルト片３ｂを固着した接合端縁の側に延
びてその内面裏側に貼着される構成としている。
なお、上記架橋シート片４は、図示の実施例では
発泡樹脂等からなるクツシヨン材で構成され、第
１図に示されるように前記カバー本体１の右端部
１ａおよび左端部１ｂの各内面に貼着された左右
のクツシヨンシート２ａ，２ｂと一体的に連続し
た形態で上記一方の接合端縁の巾方向全巾にわた
つて所要長さ延出されている。

上記架橋シート片４には、その外面に粘着剤４
ｃが塗布され、この粘着剤４ｃを介してシート外
面側には、第２図に示されているように延出長さ
方向において、自由端側の半巾部分には剥離可能
な剥離シート４ａが、また基端側の半巾部分（フ
アスナー３の結着部に対応する部分）には剥離し
ない非剥離シート４ｂが貼着されている。この実
施例では上記剥離シート４ａと、非剥離シート４
ｂとは、両者の境界部に切り込んだミシン目４ｄ
に沿つて切離し可能な剥離紙で構成されており、
剥離シート４ａを剥がすことによつて粘着剤４ｃ
の塗布面が露出し、その露出する粘着剤により架
橋シート片４の自由端側が、他方側のカバー接合
端縁の内面に貼着され、この貼着によりフアスナ
ー３の結着部（カバー本体１の接合部）のシール
性が確保される構成としている。

なお図示の実施例では、前記クツシヨンシート
２ａ，２ｂおよび架橋シート片４の各内面側には
気密のための非通気膜２a′，２b′，４′が形成さ
れている。またカバー本体１の外表面には、前記
カバー右端部１ａおよび左端部１ｂにおいて巻締
バンド８，８による締付けの際、そのバンド位置
を規則するガイド突条５が突設され、また、その
ガイド突条５に隣接してフツク片９が設けられて
いる。

またカバー本体１には、前記膨出部１ｃの上部
に位置して膨出部１ｃ内に開口連通する通気チユ
ーブ６が連結してあり、また、上記膨出部１ｃの
下部に位置して同じく膨出部１ｃ内に開口連通す
るシール用樹脂の充填チユーブ７が連結してあ
る。

上記のように構成されたシール用カバー本体１
を用いて地下敷設管の補修例を説明すると、先ず
前段の前作業工程として補修個所（管継手部Ａの
部分）の管体を、必要最小限の範囲で掘削により
地上に開口する掘削穴内に露出させる（第３図参
照）。

シール用カバー本体１は、一対のフアスナーベ
ルト片３ａ，３ｂを切り離した状態でカバー本体
１を展開し、第４図に示すように、カバー本体１
の左右巾より両側へ長く延びるフアスナーベルト
片３ａ，３ｂの一方側または他方側の何れか一方
（図示の実施例ではフアスナーベルト片３ｂ，３
ｂの側）を２本一組として、その両端を地上から
掘削穴内にたらし込み、引掛け棒などによつて管
継手部Ａの下を迂回して反対側から引き上げる。
そしてこの引き上げられたフアスナーベルト片３
ｂ，３ｂの両端を引くことで、展開された状態の
シール用カバー本体１が補修箇所の管継手部Ａの
下を通した状態にセツトされる（第５図参照）。

この状態では一対のフアスナーベルト片３ａ，
３ｂの各両端部（４本）が掘削穴外に延びて地上
に位置し、次いで、一対のフアスナーベルト片３
ａ，３ｂ同士を、その一端側に備えたスライダー
３ｃの移動により結着して行くと、第６図のよう
にしてフアスナー３が結着され、その結着により
シール用カバー本体１の巻付け接合端縁が相互に
接合された状態となつてシール用カバー本体１が
管継手部Ａを包被するように巻付けセツトされ
る。

この場合、フアスナー３の結着に先だつて剥離
シート４ａを剥がした状態にしておくと、フアス
ナー３の結着によりカバー本体１の接合端縁が相
互に接着される時、一方の接合端縁より延出する
架橋シート片４の自由端縁が、他方の接合端縁の
内側内面にブリツジするように延び、その自由端
側の半巾部分が、外面に塗布された粘着剤４ｃに
より他方側の接合端縁の内側内面に貼着されるこ
とでこの部分でのシール性が確保され、フアスナ
ー３の結着によるカバー本体１の接合端縁の接合
部が気密にシールされる。

また、フアスナー３の結着に際しては、そのフ
アスナー結着部に対応する架橋シート片４の基端
側の半巾部分に非剥離シート４ｂが貼着された侭
になつていることで、この部分では非剥離シート
４ｂによりカバー内面への貼着が阻止されている
からフアスナー３の結着に際し、そのスライダー
３ｃの動きがよくなり、またスライダー３ｃが粘
着剤４ｃに接触付着する現象も起らないのでスラ
イダー３ｃの滑りもよくなる結果、フアスナー３
によるカバー本体１の接合端縁の接合動作が円滑
に行われるようになる。

上述のようにしてシール用カバー本体１が補修
個所の管継手部Ａを包被するように巻付けセツト
された後、第７図に示すように、掘削穴内におい
てカバー本体１の右端部１ａおよび左端部１ｂを
その周囲に巻回した巻締ベルト８により締着固定
し、その後、第８図に示すようにチユーブ７より
シール用樹脂をカバー本体１内に充填すると、膨
出部１ｃと管継手部部分Ａの外表面との間の空隙
に滞留する空気は、チユーブ６を介して上方に排
出されつつ、膨出部１ｃ内の環状空間にシール用
樹脂が充填される。

以後は、時間の経過によるシール用樹脂の固化
後、第９図に示すようにチユーブ６，７およびフ
アスナー３などをカバー本体１ともども補修管体
に巻き付けた侭の状態にして掘削穴を埋め戻し、
補修が完了される。

〔考案の効果〕

以上に説明したように、本考案によるシール用
カバーによれば、フアスナー３により結着される
カバー本体の接合端縁の一方側に、他方側の接合
端縁に跨つてその内側に延びる架橋シート片４が
設けられ、その架橋シート片４には、その自由端
側の半巾部分に、外面に塗布した粘着剤を介して
剥離可能な剥離シート４ａが、また基端側のフア
スナー結着部に対応する半巾部分には非剥離シー
ト４ｂが貼着された構成であるから、 (1) 剥離シート４ａを剥がした状態でもつてフア
スナー３を結着する時、架橋シート片４の延出
自由端側の半巾部分が、その外面に露出する粘
着剤により他方側の接合端縁の内側内面に貼着
されることで、カバー本体の巻付け接合部ひい
てはフアスナー結着部におけるシール性が確保
され、シール用カバー内に充填された樹脂がフ
アスナー結着部から外部に漏出する問題が起ら
ない。

(2) またフアスナー３の結着に際しては、そのフ
アスナー結着部に対応する架橋シート片４の基
端側における半巾部分に非剥離シート４ｂが貼
着されこの部分ではカバー内面への貼着が非剥
離シート４ｂにより阻止されているから、フア
スナー結着部におけるスライダー３ｃの動きが
よくなり、またスライダー３ｃが粘着剤に接
触、付着する現象も起らないのでスライダー３
ｃの滑りもよくなる。

(3) この結果、本考案によれば、シール用カバー
内に注入された樹脂がフアスナー結着部から外
部に漏出する問題が解決でき、併せてフアスナ
ーによるカバー本体の接合操作も円滑に行われ
るという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例にかかる管体シール
用カバーの斜視図、第２図は同カバー本体のフア
スナー接合部を拡大して示す斜視図、第３図は補
修箇所の管継手部を露出するための掘削穴を形成
した状態を示す透視斜視図、第４図ないし第９図
は作業工程を示す透視斜視図である。 １……シール用カバー本体、１ａ……カバー本
体の右端部、１ｂ……カバー本体の左端部、１ｃ
……カバー本体の中間膨出部、２ａ，２ｂ……ク
ツシヨンシート、３……フアスナー、３ａ，３ｂ
……フアスナーベルト片、３ｃ……スライダー、
４……架橋シート片、４ａ……剥離シート、４ｂ
……非剥離シート、４ｃ……粘着剤、５……ガイ
ド突条、６……通気チユーブ、７……シール用樹
脂充填チユーブ、８……巻締ベルト、９……フツ
ク、Ａ……補修箇所となる管継手部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 補修すべき地下敷設管の管体一部を掘削により
   地上に開放する穴内に露出させ、その管体露出部
   の外側にシール用カバーを巻付け、両端部を巻締
   バンドで締着した後、カバー内にシール用樹脂を
   充填、固化させて密封補修するものにおいて、 上記シール用カバーには、管体を包被するよう
   巻付けたシール状カバー本体の接合端縁に、両接
   合端縁を結着するフアスナーを縫着してあり、 且つ一方のカバー本体の接合端縁に、他方の接
   合端縁に跨つてその内側に延びる架橋シート片を
   延出させ、該架橋シート片には、その延出巾の自
   由端側における半巾部分にはその外面に塗布され
   た粘着剤を介して剥離可能な剥離シートが、また
   基端側のフアスナー結着部に対応する半巾部分に
   は剥離しない非剥離シートを貼着していることを
   特徴とする地下敷設管の管体シール用カバー。