JPH0356163B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、金型を上・下ドームにより密封し、
その内部に蒸気を導入して加熱するようにしたド
ーム型のタイヤ加硫機に関するものである。金型
をドームと称する圧力容器で密封し、その内部に
蒸気を導入して金型の外側を加熱する型式のドー
ム型タイヤ加硫機においては、タイヤの金型内へ
の出し入れのため、ドームは、上下２つ割り構造
となつており、その上下突合せ面で、ゴム製パツ
キンを用いることにより蒸気を密封するようにし
ている。

一方、収容される金型には、プレス機構により
締付荷重を負荷する必要があり、ままた、金型は
タイヤサイズに応じて交換され、その高さは種々
異なるが、ドームの収容高さは一定のため、ドー
ムに対して金型高さを調整する機構が必要であ
る。

第１図は従来公知のドーム型タイヤ加硫機の一
例を示すもので、昇降されるビームａに上ビーム
ｂ、ビームスクリユーｃが固設されビームスクリ
ユーｃに大歯車を具備したナツトｄが螺合され、
同ナツトｄに加圧板ｅが螺合され、同加圧板に上
金型ｆがボルトｇで固定される、一方、ベースｈ
に下ドームｉおよび下金型ｊが固設されている。

そして、前記ビームスクリユーｃ、ナツトｄ、
加圧板ｅのネジ結合をビームａに固設された駆動
装置ｋで調整して、収納される金型厚みの変化に
対応するとともに加圧力の調整も行なうようにさ
れている。

しかし、前記構造は場合には、 (1) ネジ部分が加硫中蒸気にさらされるため潤滑
剤が劣化したりして調整しようとする時に旨く
動かないという不具合がある。

(2) また、金型を取付けるボルトがドーム内にあ
るため、ドームに施された作業孔から手作業で
行なうメクラ作業となり、極めて作業性が悪い
という不具合がある。

(3) ドーム表面には、加硫中に熱が放散しないよ
うに断熱材がはりつけられるが、前記作業孔お
よび金型厚み調整機構部分における断熱効果が
悪く、効果的な保温ができない。

(4) さらに、加圧のためにビームａに加えられた
加圧力は、加圧板ｅを介して金型に伝えられる
一方、ドームにも伝えられるようになつている
ため、調整が悪いと、必要以上にドーム側に加
圧力を消費しドームが変形したり、加圧板への
加圧力が減少したりして、金型加圧にどの程度
伝えられているかを把持できず、加硫中に金型
合せ面からのゴムのはみ出しが発生するという
不具合を有するため、加圧力調整の際は、ドー
ムへの加圧力の消費を考慮した注意深い調整を
必要とする。

など多くの欠点を有している。

このため、金型厚さの変化に対するドームと金
型との高さ調整機構をドーム外部に設けて蒸気に
さらされないようにしたり、さらにはドームに金
型締付時の加圧力が伝わらないようにするための
提案が特願昭56−193717号、特願昭57−179776号
等にみられる。

第２図はその一つを示したもので、上部フレー
ム１、下部フレーム２、および上、下フレームを
連結するサイドフレーム３により一体に構成され
たプレスフレーム、前記上部フレーム１の下部に
固設されたドーナツ状の加圧シリンダー４、前記
上部フレーム１あるいはサイドフレーム３の適所
に水平方向に揺動自在とされた邪魔板５、前記サ
イドフレーム３に固設された軌道６、該軌道６に
組込まれ上下移動可能に案内された複数個のロー
ラー７、前記ローラー７を回転自在に装架し、か
つ下部フレーム２（図示と逆に上記フレーム１で
も可）に固設された液圧シリンダー８で昇降され
る昇降テーブル９、前記昇降テーブルが下降限に
ある時に、同テーブル端に装備された突起部９ａ
に係合するように前記サイドフレーム３の適所に
固設されたシリンダー１０で可動とされたロツク
爪１１よりなるロツク装置、前記昇降テーブル９
に断熱材１２を介して固設されかつ断熱材１３で
覆われた上ドーム１４、前記上ドーム１４の中央
部に位置し、昇降テーブル９に断熱材１５を介し
て装備された軸受１６、昇降される金型を取付け
同金型を加圧する加圧板１７、前記加圧板１７上
に立設され前記軸受１６に摺動自在に案内される
立設部材１８、前記立設部材に連結、解除自在と
されたアーム１９、一端が前記アーム１９に固設
され他端にロツド２０を有する複数組のシリンダ
ー２１、前記アーム１９の適所に固設されて下方
に突出し、下端が昇降テーブル９の適所に固設さ
れたガイドブロツクに案内されるとともに、昇降
テーブル９の適所に固設されたシリンダーで可動
とされたＵ字型キーにその下部フランジが係合さ
れて固定された複数組のストツパー２２、下部フ
レーム２に断熱材２６を介して固設された下ドー
ム２７とで構成されており、前記加圧板１７と下
ドーム２７の受圧板２８との間に公知の割金型装
置が介装され、その上金型部分は加圧板１７に下
金型部分は受圧板２８に各々固定されるようにな
つていて、上ドーム１４と下ドーム２７の合せ部
分には図示省略した公知のシール部材が下ドーム
側に装備されている。

公知の割金型装置は、背面に傾斜面を有する複
数組のトレツドセグメントＡ１、前記受圧板２８
に固定された下金型Ａ２、および前記トレツドセ
グメントＡ１の傾斜面に係合される傾斜面を有す
るアウターリングＡ３が加圧板１７に複数組のボ
ルト２９で固設され、上金型Ａ４が取付けられた
プレートＡ５で構成されており、前記複数組のロ
ツド２０の各々は上ドーム１４の適所に設けられ
たガイド１４ａを貫通しさらに加圧板１７の穴１
７ａを貫通して、プレートＡ５に螺合されてい
る。

前記ドーナツ状のシリンダー４の孔４ａは前記
立設部材１８の外径より少しく大径とされ、さら
に上部フレーム１にも同様に孔１ａが設けられて
おり、邪魔板５が立設部材１８の側部外方に回避
された時、立設部材１８が前記孔４ａ，１ａを貫
通してその中に収納されるようになつている。ま
た、立設部材１８の中間部には断熱材１８ａが介
装され、ドーム内の熱が立設部材を介して外部へ
放散されないようになつている。また、立設部材
１８が上昇された時、断熱材１８ａの下方部の立
設部材１８が大気に露出しないよう断熱材３０が
装備されている。

上記のように、ドームを装架する昇降テーブル
を昇降用の液圧シリンダーで上下し、その下限位
置で前記昇降テーブルにプレスフレームより出入
可能とされたロツク装置の部材を係合することに
より、加硫中にドーム内に導入される圧力によつ
て生ずる押上圧力に抗するようにするとともに、
ドーム内の加圧板に立設部材を設け、立設部材が
前記昇降テーブルに対してある範囲内で摺動可能
となるように装架し、プレスフレームの上部フレ
ームの下側に加圧シリンダーを取付け、同加圧シ
リンダーと立設部材との間に、出入可能な邪魔板
を設け、金型に付与すべさ必要最少限の適切加圧
力を前記邪魔板、立設部材および加圧板を介して
金型のみ伝えるようにし、加圧シリンダーの加圧
力がドームに伝わらないようにしていると共に、
金型厚みの変化に対応する調整機能を、ドーム外
の前記立設部材あるいは邪魔板部分、あるいは加
圧シリンダーの取付部分で行なうことが可能な構
造にしている。

しかしながら、上記したような改善案において
も上ドームの中央部を調整機構が貫通し、かつ構
造上保温がしにくいため、この貫通部からの放熱
量が多くエネルギー消費面で改善の余地があると
共に、貫通部に密封用パツキンを必要としその保
守が面倒であつた。また構造が複雑で保守性、経
済性に問題があると共に上・下ドームの熱膨張に
より上・下ドームのクリアランスが変化し、パツ
キンのシール性に問題が残されていた。

本発明は、上記した点に鑑み提案されたもの
で、その目的とするところは、金型高さの変化に
対して金型とドームとの高さ調整を不要とするこ
とができると共に構造が簡単で、しかもドーム貫
通部をなくし、保温性能を高めて省エネルギー化
を計ることのできるタイヤ加硫機を提供すること
にある。

本発明は、金型を上・下ドームにより密封し、
その内部に蒸気を導入して加熱するようにしたド
ーム型タイヤ加硫機において、相対的に上下動し
て離接する上・下ドームを、互に嵌合可能に構成
すると共に、下ドーム胴部の外周には保温材を固
設し、上ドーム胴部の外周には上ドーム胴部又は
下ドームの前記保温材に対し摺動自在に保温材を
設け、かつ嵌合部をシールするシール部材を上・
下ドームの少なくとも一方に設けたことを特徴と
するタイヤ加硫機を要旨とするもので、上・下ド
ームを嵌合可能とし、その内外周面で密封できる
ように少なくとも一方にシール部材を配置したこ
とにより、一方ドームに対して、他方ドームが、
任意の高さを取ることができ、このため、金型高
さの変化に対し、金型とドームとの高さ調整を不
要とすることができ、調整機構不要により構造が
簡素化されるだけでなく高温加熱される金型を収
容するドームをその外周で貫通部を無くし完全に
保温できるため、省エネルギー化を計ることがで
きる。

以下、本発明を実施例に基いて説明する。

第３図は一実施例を示すもので、加硫機本体構
造については、種々提案されているので、ここで
は、要部のみを説明する。

５０は、本体フレームでその一部をなすベース
５０ａには、下断熱材５１、下ドーム５２が取付
けられ、下ドーム５２の内側に下金型５３がボル
ト等で取付けられ、下金型５３と係合する上金型
５４は、やはりボルト等で、上ドーム５５の内側
に取付けられている。上ドーム５５の上面には昇
降アーム５６ａ，５６ｂが断熱材５７を介して取
付けられ、同アームを図示せざる公知のシリンダ
あるいはねじ駆動により昇降することにより、上
金型５４が、下金型５２に対し、開閉（昇降）さ
れ、公知の如く、タイヤの出入が行なわれるよう
になつている。

フレーム５０の上部構造ビーム５０ｂの中央に
は圧シリンダー５８が装着され、そのロツド５８
ａが同シリンダ押力により調整スペーサ５９（金
型厚に応じてその厚さを調整する）加圧ロツド６
０、断熱材５７、上ドーム５５を介して、上金型
５４を下金型５３へ押付ける。尚上ドーム５５の
昇降時には加圧ロツド６０は図示省略した装置に
より上ドーム５５の昇降の支障とならない位置へ
退避されるようになつている。下ドーム５２には
円筒胴部５２ａ、上部フランジ５２ｂが一体に構
成され、フランジ５２ｂの内周溝に、リツプ式パ
ツキン６１が装入されている。上ドーム５５には
やはり、円筒胴部５５ａが一体に構成され、上記
パツキン６１の内周と一定寸法関係をもつて、そ
の外周がパツキン６１と摺動自在に嵌合するよう
になつている。下ドーム胴部５２ａの外周には、
保温材６２が取付けられ、上ドーム胴部５５ａの
外周には、上ドーム上部に取付けられたガイドロ
ツド６３に案内されて、上ドーム胴部５５ａに対
し摺動自在の保温材６４が取付けられている。

なお、上記実施例のほか、第４図に示すように
構成することができる。第４図は中心線より左右
にわけて、２つの異なる実施例を示したもので、
左側部分においては、ドームの構造は前記と同様
であるが、下ドーム５２の保温材６５の上部内周
部に、上ドーム５５に固定された保温材６６の下
部外周が摺動自在に嵌合するものである。また、
第４図右側部分については、下ドーム５２には胴
部５２ａのみ構成され、上ドーム５５側に、前記
第３図の実施例での下ドーム側と同様の胴部５５
ａ、フランジ５５ｂ、パツキン６１が構成され
る。下ドーム胴部５２ａ外周には保温材６７が固
定され、上ドーム胴部５５ａ外周には保温材６８
が第３図と同様に取付けられている。

以上の説明で明らかな如く、上・下ドームの嵌
合により、嵌合部で、ドーム内の蒸気を密封する
ため、金型厚変更に際し、従来の如く、ドームと
金型の位置を調整する必要が無くなるため、前記
の種々の欠点がすべて、排除でき、経済的で高性
能なドーム型加硫機を得ることができるものであ
る。

なお、従来のクランク式のメカニカルプレス方
式の加硫機においては、ガイド用サイドプレート
の剛性不足、あるいは、駆動部軸受ブツシユの摩
耗等により上・下ドームの中心精度が必ずしもじ
ゆうぶんでなく、上記の如き、上・下ドームの嵌
合方式では、嵌合部クリアランスが一定せず、パ
ツキンシール性能に問題が生じやすいが、本実施
例の垂直作動方式においては、上ドームが、正確
にガイドされるため、実施が非常に容易となるも
のである。また、上記実施例では保温材を貫通す
るものがなくなるため、放散熱量を最少限に押え
ることができる。さらに、前記実施例では上ドー
ムを昇降させているが、下ドームを昇降させる形
式でも、実施可能であり、また、パツキンのシー
ル性能を、向上させるために、パツキンを空圧又
は蒸気圧により、シール面に圧着させることも可
能であるが、 その具体的方法は、公知ゆえ、ここでは説明を
省略する。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は、それぞれ異なる従来例を
示す部分断面図、第３図は本発明の一実施例を示
す主要部のみの部分断面図、第４図は中心線の左
右において、それぞれ異なる実施例を示している
主要部のみ部分断面図である。 ５２：下ドーム、５２ａ：下ドーム胴部、５２
ｂ：フランジ、５３：下金型、５４：上金型、５
５：上ドーム、５５ａ：上ドーム胴部、５５ｂ：
フランジ、６１：パツキン。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 金型を上・下ドームにより密封し、その内部
   に蒸気を導入して加熱するようにしたドーム型タ
   イヤ加硫機において、相対的に上下動して離接す
   る上・下ドームを、互に嵌合可能に構成すると共
   に、下ドーム胴部の外周には保温材を固設し、上
   ドーム胴部の外周には上ドーム胴部又は下ドーム
   の前記保温材に対し摺動自在に保温材を設け、か
   つ嵌合部をシールするシール部材を上・下ドーム
   の少なくとも一方に設けたことを特徴とするタイ
   ヤ加硫機。