JPH0355943Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の技術分野］ 本考案は照明光の配光特性を向上した斜視型の
硬性内視鏡に関する。

［考案の技術的背景とその問題点］ 近年、細長の挿入部を体腔内等に挿入して、挿
入部先端側に形成された対物光学系にて体腔内の
臓器等の対象部位を結像し、像伝達手段を介して
体腔外の手元側接眼部にて観察できるようにした
内視鏡が観察及び診断等に広く用いられる状況に
ある。

上記内視鏡は挿入部が可撓性のもので、口腔等
から屈曲した経路を経て体腔内の対象部位を観察
可能とする軟性の内視鏡と、挿入部が硬性で略直
線状に挿入される硬性の内視鏡とがある。

上記硬性の内視鏡は屈曲した部位へは挿入でき
ないが、像伝達手段にリレーレンズ系等、軟性の
内視鏡に用いられている屈曲可能なイメージガイ
ドフアイババンドルの場合よりも鮮明な像が得ら
れるという利点を有する。しかしながら、体腔内
で屈曲できないので観察可能になる視野範囲が制
限されるため、対象部位に応じて直視型あるいは
斜視型等の視野方向を有する内視鏡が必要とされ
る。

上記斜視型の内視鏡の場合、特開昭58−190913
号公報に開示されている従来例のように斜視方向
用の対物光学系で観察可能になる範囲を照明する
ために、（照明光を伝達して出射するために）挿
入部内を挿通されたライトガイドの先端側を例え
ば先端チツプ部材を用いて屈曲させたり、ライト
ガイド等が挿通されるパイプの先端側を屈曲さ
せ、その屈曲部分を挿通したライトガイドの出射
端によつて所望とする（範囲を照明可能とする）
配光特性を実現していた。

しかしながらこれらの手段は挿入部の外径が比
較的太くて、先端チツプ部材を収納あるいは取付
けるスペースがあつたり、太径であるので先端部
分で折損することなく屈曲することによつて所望
とする方向への照明光を出射できる場合には有効
であるが、挿入部の外径が極めて細い硬性内視鏡
においては上述のような先端チツプ部材を取付け
たりするスペースがなく、又、屈曲成型したパイ
プ内を挿通してもあまり屈曲できないため、所望
とする方向への配光特性を得ることができなかつ
た。

［考案の目的］ 本考案は、これらの事情に鑑みてなされたもの
で、出射される照明光を屈折させて斜め前方であ
る視野方向を照明でき、また細径の挿入部のもの
に対しても簡単かつ低コストで観察範囲を照明で
きる配光特性の照明手段を実現することができ、
しかも斜視方向に異物があつても照明光学系の先
端の斜面で異物をよけることができ、観察窓が異
物で視野をさえぎられることがないようにした斜
視型の硬性内視鏡を提供することを目的としてい
る。

前記目的を達成するため本発明は、観察光学系
を配設し、先端を斜視にしたレンズ管と、このレ
ンズ管と外管との間にフアイババンドルを充填し
て形成した照明光学系とを有する外径の細い挿入
部を持つ斜視型の硬性内視鏡において、前記レン
ズ管の先端斜面に対して照明光学系の先端を内側
に対抗して斜面としている。

［考案の実施例］ 以下、図面を参照して本考案を具体的に説明す
る。

第１図ないし第５図は本考案の第１実施例に係
り、第１図は第１実施例の全体の構造を示し、第
２図は挿入部前端を拡大して示し、第３図は第１
図の挿入部先端側を斜視図にて拡大して示し、第
４図は挿入部の先端側を縦断面図にて拡大して示
し、第５図はライトガイドの出射端周辺をさらに
拡大して示す。

第１実施例の斜視型の硬性内視鏡１は、体腔内
に挿入可能となる細長の第１の挿入部２Ａと、該
挿入部２Ａより太径にされた第２の挿入部２Ｂ
と、この後端に連設されたさらに太径の操作部３
と、該操作部３の後端側に形成された接眼部４と
から構成されている。

上記第１の挿入部２Ａは、硬性で細径のパイプ
状の第１の外管５Ａで被覆され、この外管５Ａ後
端は、フランジ６を介して前記外管５Ａより太径
にした第２の外管５Ｂに連結され、該外管５Ｂの
後端は側部に図示しないライトガイドケーブルが
装着されるライトガイド口金７を設けた前記操作
部３の開口する前端内周面にろう付け等で固定さ
れている。

上記操作部３を形成する操作部本体９の後端側
にはこの後端内周面に前端側外周面が嵌合する連
結部材１０が接着剤あるいはろう付け等で接続さ
れ、この連結部剤１０の外周には凹部を形成して
水密用のＯリング１１が収納され、この凹部を形
成した外周は、その前端側内周が嵌装されるよう
に、第１の接眼カバー１２Ａで覆われている。

上記第１の接眼カバー１２Ａは略筒状となるそ
の略中央の外周に凹部が形成されて水密用のＯリ
ング１３が収納され、後端外周に雄ねじが形成さ
れており、前記凹部を形成した外周にその前端側
内周が嵌合し、その後方内周に前記雄ねじに螺合
する雌ねじを形成した第２の接眼カバー１２Ｂが
取付けてある。この第２の接眼カバー１２Ｂはそ
の後端外周に、後方に拡径となる接眼枠（アイピ
ース）１４が接着剤等用いて嵌合固着され、又接
眼カバー１２Ｂの後端内周にはカバーガラス１５
が取付けてある。

ところで、体腔内に実際に挿入される部分の上
記挿入部２Ａを形成する第１の外管５Ａ内には、
該外管５Ａの例えば上部側内周面に接して光学系
収納管としての第１のレンズ管１６Ａが配設さ
れ、該レンズ管１６Ａは、上記第２の外管５内に
嵌装された連結部材１７にその後端外周が嵌着さ
れ、該連結部材１７はその後端が前記第１のレン
ズ管１６Ａより太径の内管１９に嵌合固着されて
いる。この内管１９内には第２のレンズ管１６Ｂ
が嵌合するように挿通され、前記内管１９の後端
は、上記操作部３内の連結部材１０前端内周に接
着剤あるいはろう付け等で嵌合固着されている。

上記第１の外管５Ａ内における上記第１のレン
ズ管１６Ａが挿通された残部の（断面が）略三日
月状部分（第２図参照）には細径のフアイババン
ドル（光学繊維束）で形成された照明光の伝達手
段としてのライトガイド２０が挿通され、このラ
イトガイド２０はさらに第２の外管５Ｂ内を挿通
された後、操作部本体９内で屈曲され、ライトガ
イド口金７にてその後端が固定されている。

上記第１の外管５Ａ内に挿通されたレンズ管１
６Ａの前端は、第３図あるいは第４図に拡大して
示すように挿入部２Ａの軸方向と直角にならない
斜面状に切欠かれて、凹ガラス２１で閉塞され、
その奥にプリズム２２，２３、凸レンズ２４、ロ
ツドレンズ２５等を配設して第４図に示すように
凹ガラス２１の端面と垂直となる斜め下方前方方
向を視野方向Ｃとする対物レンズ系２６が形成さ
れ、前記ロツドレンズ２５に接するようにしてそ
の奥に屈折率等勾配型リレーレンズ（セルフオツ
クレンズ）２７が挿通されて、挿入部２Ａの後方
に前記対物レンズ系２６で結像された像を伝達す
るようにしてある。

上記セルフオツクレンズ２７の後端には、上記
内管１９が前端付近において、該セルフオツクレ
ンズ２７の外径より太径で、内管１９内周に嵌合
し、肉厚にしたカバーガラス２７′が前記セルフ
オツクレンズ２７の光軸にその中心軸が一致する
ように密着されている。このセルフオツクレンズ
２７で伝送された像は、太径にされた第２のレン
ズ管１６Ｂ内にそれぞれ間隔環２８，２９，３０
等で適宜間隔に保持された例えば二重レンズ（ダ
ブレツト）３１，３２で形成されたリレーレンズ
系にて伝送され、フイールドレンズ３３により、
該フイールドレンズ３３後方の視野絞り３９の前
面の位置に結像するようにしてある。

上記第２のレンズ管１６Ｂの前端側のレンズ３
１は例えば圧入あるいは螺着されるレンズ押え金
具３４で固定され、レンズ３１，３２の途中には
明るさ絞り３５が設けてある。

上記内管１９内に嵌入可能で、内側にリレーレ
ンズ系が配設された第２のレンズ管１６Ｂの後端
は、操作部３内の連結部材１０の内径に嵌合する
外径を有し、且つ該連結部材１０の後端内周に形
成した雌ねじに螺合する雄ねじ３６を形成した接
眼レンズ枠３７の前端内周に嵌合固着されてい
る。

上記接眼レンズ枠３７内には、レンズ枠３８を
介してフイールドレンズ３３が配設され、該フイ
ールドレンズ３３の後方に視野絞り３９が形成さ
れ、さらにその後方に接眼レンズ４０が配設さ
れ、該接眼レンズ４０は環状の押えナツト４１で
前方に押圧するように固定されている。この接眼
レンズ枠３７内に配設された接眼レンズ４０の視
野絞り３９の前面からの間隔は適宜間隔に設定さ
れている。

またフイールドレンズ３３は、第２の接眼カバ
ー１２Ｂの後端を径方向内側に突出させた凸部前
端４２を接眼レンズ枠３７後端面に当接させた状
態のときに、接眼枠１４に略眼を接するようにし
て観察する場合、強く押し付ける等して近づけす
ぎたり、又は遠ざけすぎたりしないで観察する場
合におけるその観察位置が像を最も観察し易いア
イポイントになるよう設定されている。

又、上記接眼レンズ枠３７にその後端が固着さ
れた第２のレンズ管１６Ｂ内のリレーレンズ系は
第１のレンズ管１６Ａより太径にして加工し易い
外径のレンズ３１，３２を用いると共に、間隔環
２８，２９，３０を所定の長さのものを用いる等
してフイールドレンズ３３を通り、視野絞り３９
前面に像を伝送するようになつている。

上記リレーレンズ系を挿通した第２のレンズ管
１６Ｂと、接眼レンズ４０等の接眼レンズ系を取
付けた接眼レンズ枠３７は、内管１９を固定した
連結部材１０に対して螺合させる部分の長さを変
えることによつて、前後に移動調整できるように
なつている。従つて、細径の第１のレンズ管１６
Ａ内を挿通されたセルフオツクレンズ２７による
リレーレンズ系が製造上のばらつき等によつて、
その長さあるいは像伝送位置にずれが生じた場合
であつても、連結部材１０にその後端が固定され
た内管１９内に挿通される第２のレンズ管１６Ｂ
を回転操作することによつて接眼レンズ系と共に
移動されて、挿入長さを調整でき、調整後におけ
る適切な設定位置において、連結部材１０のねじ
孔に螺合する押えビス４３にて接眼レンズ枠３７
において固定できるようになつている。

ところで、上記挿入部２Ａ，２Ｂ内を挿通され
たライトガイド２０の前端の照明光の出射端
（面）４４は、第４図あるいは第５図に拡大して
示すように、各フアイバの端面における視野方向
Ｃ部分側（つまり図示の場合、下部側となる側）
が突出するように、例えば外管５Ａと共に斜めに
切欠かれている。換言すれば、第１のレンズ管１
６Ａの先端斜視に対して、照明光の出射端を内側
に対抗した斜面となるように切欠くことによつ
て、第５図に示すようにフアイバの中心を通つ
て、その端面から出射される照明光は視野方向Ｃ
側に屈折するようにしてある。尚、各フアイバの
端面の斜め方向の切断面は、ライトガイド２１を
形成する各フアイバの屈折率を考慮して、挿入部
２Ａの軸方向に進行した光が端面から出射される
方向が視野方向Ｃとなるように設定してある。こ
の場合、ライトガイド２０で伝送される照明光
は、各フアイバの側面で全反射されることを繰り
返しながら伝送されるので、実際に出射端４４か
ら出射される照明光は視野方向Ｃの周囲に拡開さ
れ、対物レンズ系２６で結像され、接眼部４を経
て観察可能となる範囲を照明できるようにしてあ
る。

このように構成された第１実施例によれば、照
明光を伝達して該照明光を出射する端面をレンズ
管１６Ａの先端斜視に対して、内側に対向した斜
面に形成してあるので、第５図の２点鎖線で示す
ようにフアイバで伝送された照明光は、端面から
屈折して、視野方向Ｃを中心とする適宜範囲の角
度で出射される。

従つて、第１実施例によればライトガイド２０
の出射端４４を単に斜めに切欠くことによつて、
観察可能になる範囲を照明することができる。

第６図は本考案の第２実施例の斜視型の硬性内
視鏡における挿入部の前端の一部を拡大して示
す。

この実施例においてはフアイババンドルで形成
されたライトガイド２０′の前端はその長手方向
と直角に切欠かれて、外管５Ａの先端より内側に
あり、そのライトガイド２０′の前端に接するよ
うに透明部材５１が第１のレンズ管１６Ａ外周に
おける外管５Ａ内に収納されている。

上記透明部材５１は、フアイバと等しい屈折率
のものであつても良いし、さらにより大きな屈折
率のものを用いても良く、上記第１実施例におけ
る場合と同様に照明光を出射する前端の出射端５
２が斜視方向Ｃ（における挿入部２の軸方向と直
角となる成分）側が突出するように（外管５Ａと
同一の端面となるよう切断等して）成形してあ
る。

この実施例の作用効果も上記第１実施例と略同
様のものとなる。

尚、上記第２実施例において、透明部材５１と
してフアイババンドルを斜めに切欠いた部材を用
いても良い。又、上記第１実施例においては各フ
アイバを斜視方向Ｃにおける挿入部２の軸方向と
直角となる成分方向に突出する形状とすると共
に、各フアイバを比べた場合前端の斜めの切断角
は同一であるが、該成分方向側（第５図では下方
側）のもの程上部側のものより前方に突出させて
あるが、このように必ずしも成形しなければなら
ないものでなく、同一の長さでその斜め切断角が
同一であれば同一の配光特性を有し、この場合も
本考案に属するものである。この場合、端面に凹
凸が存在してごみ等がたまり易くなる場合にはカ
バーガラス等で閉塞しても良い。

又、上記各実施例においては各フアイバの切断
面あるいは透明部材５１の前端面の挿入部２Ａの
軸方向に対する角度は同一としてあるが、本考案
はこれに限定されるものでなく、部分的等で前記
角度が異るようにしたり、弧面状にしたりする等
して観察範囲を照明できる配光特性を実現するも
のは本考案に属するものである。

又、視野方向Ｃの回りの照明範囲を上記切断形
状で形成しても良いし、入射側で集光レンズを経
てフアイバに入射される開口角を調整して所望と
する照明範囲を実現できるようにすることもでき
る。

尚、本考案は、例えば第４図のように、第１の
レンズ管１６Ａが上部側（あるいは下部側）等に
偏心しているものに限定されるものでなく、同心
状でも良い。又、第１図に示すような構造の硬性
内視鏡１に限定されるものでないことは明らかで
ある。

［考案の効果］ 以上説明したように本考案によれば、出射され
る照明光を屈折させて斜め前方である視野方向を
照明でき、また細径の挿入部のものに対しても簡
単かつ低コストで観察範囲を照明できる配光特性
の照明手段を実現することができ、しかも斜視方
向に異物があつても照明光学系の先端の斜面で異
物をよけることができ、観察窓が異物で視野をさ
えぎられることがないといつた効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第５図は本考案の第１実施例に係
り、第１図は第１実施例の斜視型の硬性内視鏡を
示す縦断面図、第２図は挿入部の前端を示す正面
図、第３図は挿入部の前端側を示す斜視図、第４
図は第１図の挿入部先端側を拡大して示す対断面
図、第５図は第４図のライトガイド前端周辺をさ
らに拡大して示す縦断面図、第６図は本考案の第
２実施例におけるライトガイド前端周辺を示す縦
断面図である。 １……硬性内視鏡、２Ａ，２Ｂ……挿入部、３
……操作部、４……接眼部、５Ａ……第１の外
管、５Ｂ……第２の外管、７……ライトガイド口
金、９……操作部本体、１０……連結部材、１２
Ａ……第１の接眼カバー、１２Ｂ……第２の接眼
カバー、１６Ａ……第１のレンズ管、１６Ｂ……
第２のレンズ管、１９……内管、２０，２０′…
…ライトガイド、２１……カバーガラス、２６…
…対物レンズ系、２７……セルフオツクレンズ、
３１，３２……二重レンズ、３３……フイールド
レンズ、３５……明るさ絞り、３７……接眼レン
ズ枠、３９……視野絞り、４０……接眼レンズ、
４４，５２……出射端、５１……透明部材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 観察光学系を配設し、先端を斜視にしたレンズ
   管と、このレンズ管と外管との間にフアイババン
   ドルを充填して形成した照明光学系とを有する外
   径の細い挿入部を持つ斜視型の硬性内視鏡におい
   て、 前記レンズ管の先端斜面に対して照明光学系の
   先端を内側に対抗して斜面としたことを特徴とす
   る斜視型の硬性内視鏡。