JPH0354236Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案はシールド掘進機の排土装置に関する。

従来の技術 従来、シールド堀進機の排土装置として、土砂
排出量を調整して切羽の崩壊土圧に対向し得る圧
力を発生させるために、スクリユウコンベア式の
排土装置が採用されるとともに、地山に混在する
巨礫を排出し易くするために、中心軸の無いリボ
ン状スクリユウ羽根が採用されている。そして、
排土する場合、リボン状スクリユウ羽根のケーシ
ング後方に空間部を設けて、ここで切羽崩壊土圧
に対抗し得るサンドプラグを形成するとともに、
排出ゲートを徐々に開けて土砂を排出している。
この時、リボン状スクリユウ羽根には中心軸が無
いため、スクリユウ羽根外径2/3程度の巨礫まで
排出することができる。

考案が解決しようとする問題点 上記従来の排土装置によると、地山に巨礫例え
ば玉石を含んでいる場合には、透水性が大きくな
り、また地下水圧が高い場合には、地下水がリボ
ン状スクリユウ羽根の中心穴部を直接通過するた
め、後部に形成されるサンドプラグだけでは十分
に地下水の逸水を防止することができないという
問題があつた。

そこで、本考案は上記問題を解消し得るシール
ド掘進機の排土装置を提供することを目的とす
る。

問題を解決するための手段 上記問題を解消するため、本考案のシールド掘
進機の排土装置は、一端部入口がシールド本体前
部の圧力室隔壁に接続開口されるとともに他端部
排出口に排出ゲートが設けられた筒状ケーシング
と、この筒状ケーシング内に回転自在に配置され
た中心軸の無いリボン状スクリユウ羽根とから構
成するとともに、上記筒状ケーシング内の複数箇
所に、リボン状スクリユウ羽根が存在しないサン
ドプラグ形成用の空間部を設けたものである。

作 用 圧力室内に取込まれた土砂は、泥漿と混合さ
れ、リボン状スクリユウ羽根によつて、筒状ケー
シング内をその排出口まで搬送されるが、その途
中で複数個のサンドプラグが形成されるため、透
水性の大きい土質の場合、また地下水圧が高い場
合でも、地下水の逸水を防止することができる。

実施例 以下、本考案の一実施例を第１図に基づき説明
する。

１は泥漿式シールド掘進機のシールド本体で、
その前部にはカツタヘツド２が旋回軸受３を介し
て回転自在に支持され、またこのカツタヘツド２
後部には土砂取込用の圧力室４が形成されてい
る。なお、５はカツタヘツド２を回転させるため
のモータ（油圧または電動式）で、その出力軸に
取付けられたピニオン６は、カツタヘツド２の後
部筒状部２ａに取付けられたリングギア７に噛合
わされている。８は上記圧力室４内の掘削土砂を
大気圧室９側に排出するための本考案に係る排土
装置で、筒状ケーシング１０とこの筒状ケーシン
グ１０内に回転自在に配置された中心軸の無いリ
ボン状スクリユウ羽根１３とから構成されてい
る。上記筒状ケーシング１０は、前部および後部
筒状ケーシング１１，１２とから構成されるとと
もに、互いにその軸心方向で移動可能に接続され
ている。即ち、前部筒状ケーシング１１の前端部
入口１１ａは圧力室４形成用の隔壁１６に接続開
口されるとともに、後端開口部にはケーシング本
体より少し大きい径の受口部１１ｂが形成され、
また後部筒状ケーシング１２の前端開口部１２ａ
は上記受口部１１ｂ内に移動可能に嵌入されると
ともに、後端部排出口１２ｂにはスライドゲート
（排出ゲート）１７が設けられ、さらに両方の筒
状ケーシング１１，１２に亘つて油圧シリンダー
１８が設けられている。そして、上記リボン状ス
クリユウ羽根１３も、前後に分割されるととも
に、前部リボン状スクリユウ羽根１４は前部筒状
ケーシング１１内に、また後部リボン状スクリユ
ウ羽根１５は後部筒状ケーシング１２内にそれぞ
れ回転自在に配置され、さらに各スクリユウ羽根
１４，１５の後端部が短くされて、各筒状ケーシ
ング１１，１２の後端寄りにサンドプラグ形成用
の空間部S₁，S₂が設けられている。なお、前部筒
状ケーシング１１は支持部材１９を介してシール
ド本体１に支持され、さらに後部筒状ケーシング
１２は受材２０を介して前部筒状ケーシング１１
に支持されている。２１は前部筒状ケーシング１
１と後部筒状ケーシング１２との嵌入端部間に挿
入されたシール材である。２２および２３は、上
記各リボン状スクリユウ羽根１４，１５を回転さ
せる回転駆動装置で、各筒状ケーシング１１，１
２後部外周に突出するようにして形成された環状
凹部１１ｃ，１２ｃ内に回転自在に配置されると
ともに各リボン状スクリユウ羽根１４，１５の後
部外周（または任意位置の外周）に固着された回
転環２４，２５と、この回転環２４，２５外周に
取付けられたリングギア２６，２７と、このリン
グギア２６，２７に噛合うピニオン２８，２９
を、その出力軸３０ａ，３１ａに有するモータ
（油圧または電動式）３０，３１とから構成され
ている。上記各モータ３０，３１はそれぞれ筒状
ケーシング１１，１２に支持されている。

なお、３２，３３および３４は圧力室の隔壁１
６および各筒状ケーシング１１，１２に接続され
た泥漿注入管、３５は土砂搬出用コンベアであ
る。

次に、排出作用について説明する。

カツタヘツド２の圧力室４内に取込まれた土砂
は、泥漿と混合され、そして前部リボン状スクリ
ユウ羽根１４によつて前部筒状ケーシング１１内
に取込まれ、前部筒状ケーシング１１の後部の空
間部S₁でサンドプラグが形成されて第１止水が成
され、そしてさらに後部リボン状スクリユウ羽根
１５によつて後部筒状ケーシング１２内をその後
部の空間部S₂まで搬送され、ここで再びサンドプ
ラグが形成されて第２止水が成され、その後徐々
に排出口１２ｂからコンベア３５上に排出され
る。このように、筒状ケーシング１０内の２箇所
において切羽崩壊土圧に対抗し得るサンドプラグ
を形成したので、地山に玉石が混在している場合
でも、また高地水圧の場合でも、リボン状スクリ
ユウ羽根１３の中心穴部からの逸水を防止するこ
とができる。さらに、上記油圧シリンダー１８に
より、後部筒状ケーシング１２を移動させて前部
の空間部S₁の大きさを調整すれば、種々の地山土
質に対して最良の止水を行なうことができる。な
お、本実施例においては、各リボン状スクリユウ
羽根１４，１５を別個の回転駆動装置２２，２３
で駆動しているため、各リボン状スクリユウ羽根
１４，１５の回転差により、土砂の移動速度を調
整してサンドプラグの強度を調整することができ
る。

ところで、上記実施例においては、前部筒状ケ
ーシング１１と後部筒状ケーシング１２との接続
を嵌入式にしたが、第２図に示すように、両筒状
ケーシング１１′，１２′同志をフレキシブル管４
１を介して接続してもよく、また第３図に示すよ
うに、地山土質に対応する長さを有する短管４２
を両筒状ケーシング１１″，１２″間に挿入しても
よい。勿論、この場合、地山土質に応じて短管４
２は交換されるため、例えば２つ割りにされてい
る。さらに、上記実施例においては、空間部を２
個設けたが、地山の状態に応じて適宜増加するこ
ともできる。

考案の効果 上記本考案の構成によると、筒状ケーシング内
に、リボン状スクリユウ羽根が存在しないサンド
プラグ形成用の空間部を複数個設けたので、玉石
等の礫が混在するような透水性の大きい土質の場
合、または高地下水圧の場合でも、地下水の逸水
を確実に防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の断面図、第２図お
よび第３図は他の実施例の断面図である。 ４……圧力室、８……排土装置、１０……筒状
ケーシング、１１……前部筒状ケーシング、１２
……後部筒状ケーシング、１３……リボン状スク
リユウ羽根、１４……前部リボン状スクリユウ羽
根、１５……後部リボン状スクリユウ羽根、１６
……隔壁、S₁，S₂……空間部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一端部入口がシールド本体前部の圧力室隔壁に
   接続開口されるとともに他端部排出口に排出ゲー
   トが設けられた筒状ケーシングと、この筒状ケー
   シング内に回転自在に配置された中心軸の無いリ
   ボン状スクリユウ羽根とから構成するとともに、
   上記筒状ケーシング内の複数箇所に、リボン状ス
   クリユウ羽根が存在しないサンドプラグ形成用の
   空間部を設けたことを特徴とするシールド掘進機
   の排土装置。