JPH0353148Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 Ａ 産業上の利用分野 本考案はシヤシダイナモメータで車輌の試験を
行う場合に、該車輌の車輪毎に任意の荷重を付加
し得る車輌荷重付加装置に関する。

Ｂ 考案の概要 本考案の車輌荷重付加装置はシヤシダイナモメ
ータ上に車輌を拘束し、該車輌の車輪毎に任意の
荷重を付加するものである。

Ｃ 従来の技術 シヤシダイナモメータは実際の路上での走行に
相当する実験を室内で、再現性よく容易に実施で
きるため、排気ガス特性や燃料消費特性の試験な
どに広く使用されている。

このシヤシダイナモメータを用いたシユミレー
シヨン試験で乗員数や積荷量等の重量的な条件を
設定する場合には、車輌に砂袋等の重りを積込む
ことにより行つていた。

Ｄ 考案が解決しようとする問題点 従来にあつては、シユミレーシヨン試験におい
て重量的な条件を設定しようとする場合には、車
輌に重りを積込んだり積下したりしなければなら
ず作業性が極めて悪かつた。また、上記のような
重りによると車輌の総重量は調製することができ
るが、車輌の車輪毎に荷重が異なる走行条件（坂
道の上り下り、バンクした路面の走行等）を設定
することはできなかつた。

本考案は上記従来の事情に鑑みなされたもの
で、シヤシダイナモメータを用いたシユミレーシ
ヨン試験において種々の車輌走行条件を正確に再
現することができる車輌荷重付加装置を提供する
ことを目的とする。

Ｅ 問題点を解決するための手段 本考案の車輌荷重付加装置は、シヤシダイナモ
メータの負荷装置に載置される車輪のホイールハ
ブに固定されるフランジを有する取付軸と、該取
付軸を回転自在かつ任意の方向に摺動自在に支持
する回転揺動装置と、該回転揺動装置を左右方向
及び上下方向に移動自在に支持するリンク機構と
を備えるので、シヤシダイナモメータ上において
車輌はヨーイング、チヨツピング及びローリング
が自由に許容されると共に、前記リンク機構に連
結されて前記車輌に任意の荷重を付加し得る付加
手段を備えるので、シヤシダイナモメータ上の車
輌に坂道の上り下り等の種々の走行条件を設定す
ることができる。

Ｆ 実施例 本考案に係る車輌荷重付加装置の一実施例を第
１図〜第６図に基づいて説明する。

第１図及び第２図に示すように、床面であるピ
ツトカバー１０の下方には前後左右にローラ１１
ａ，１１ｂ，１２ａ，１２ｂが各々回転自在に配
置されると共に前方のローラ１２ａ，１２ｂが前
後方向に移動不能であるのに対し後方のローラ１
１ａ，１１ｂはスライドレール９に摺動自在に載
置されて前後方向に移動できるようになつてい
る。即ち、後方のロール１１ａ、１１ｂを支持す
るスライダ８がスライドレール９に前後に摺動自
在に載置されると共に該スライダ８を貫通して螺
合するねじ軸１３が回転自在に支持され、モータ
１４に連結している。従つて、モータ１４により
ねじ軸１３を回転させると、これに螺合するスラ
イダ８及びローラ１１ａ，１１ｂは前後に螺進す
る。ローラ１１ａ，１１ｂ，１２ａ，１２ｂに増
速機、フライホイールを介して吸収装置（いずれ
も図示省略）が接続され負荷装置が構成されてお
り、ピツトカバー１０から露出するローラ１１
ａ，１１ｂ，１２ａ，１２ｂの上側面に４輪駆動
車１５の車輪６，１６が載置されている。従つ
て、車輪６，１６を駆動回転すると、これに伴い
ローラ１１ａ，１１ｂ，１２ａ，１２ｂが回転す
るが、本考案を採用し得るシヤシダイナモメータ
としてはこのようなものに限られるものでない。
例えば、後輪駆動車を試験対象とするシヤシダイ
ナモメータの場合は、前後のローラ１１ａ，１１
ｂ，１２ａ，１２ｂを揃速ギア等により同期して
回転させフライホイールを共用するようにした負
荷装置を用いても良く、またローラ１１ａ，１１
ｂ，１２ａ，１２ｂに代えてスチールベルト等を
回転自在に張り渡し、このスチールベルト等に車
輪６，１６を載置できるように負荷装置を構成し
ても良い。

車輌を拘束しておく手段は第１図及び第２図に
示すように、４輪駆動車１５の後輪１６を拘束す
べく、後輪１６の左右両側において各々構成され
ている。即ち、第３図〜第５図に示すように、基
台１８、左右リンク１９、上下リンク２０からな
るリンク機構１７及び取付軸２７を回転自在且つ
任意の方向に揺動自在に支持する回転揺動装置２
１から構成されている。基台１８は、ピツトカバ
ー１０を支える前後方向に設けられたフレーム２
２に固着されており、左右リンク１９を前後方向
に水平な軸を中心として回動自在に枢支し、しか
も前後方向の位置調製を行うオフセツト装置２３
を内蔵している。左右リンク１９は第５図に示す
ように縦枠１９ｃ、下部枠１９ｄおよび上部枠１
９ｅから成る方形に枠組まれたものであり、その
下部枠１９ｄを中心として回転できるよう前記基
台１８に軸受を介して連結している。左右リンク
１９の対角間には、前後方向の剛性を高めるため
の補強材１９ａ，１９ｂが取り付けられている。
前記オフセツト装置２３は、第５図に示すよう
に、左右リンク１９の下部枠１９ｄの突出部に軸
受を介し装着されたピストン２４がシリンダ２５
に摺動自在に嵌着されると共にシリンダ２５を貫
通する六角ボルト２６の先端がピストン２４に固
定されてなるものである。従つて、六角ボルト２
６の頭部をスパナにより回動することで、手動に
より左右リンク１９、上下リンク２０及び回転揺
動装置２１を車輌１５のホイールベースに応じ前
後に移動させることができる。上下リンク２０は
第３図に示すように二等辺三角形に枠組まれたも
のであり、その底辺両側に設けた軸受部２０ａ，
２０ｂにより左右リンク１９の上部枠１９ｅに連
結され、前後方向に水平な軸まわりに回動できる
ようになつている。このように左右リンク１９及
び上下リンク２０が前後方向に水平な軸まわりに
回動自在に連結されている結果、上下リンク２０
の頂部に支持された回転揺動装置２１を前後方向
に移動不能かつ上下方向及び左右方向に移動自在
とすることができる。

回転揺動装置２１は、フランジ部２７ａを有す
る取付軸２７が車輪１６のホイールハブ３０に固
定されることにより、このホイールハブ３０に取
付けられるようになつている。即ち、車輪１６に
おいてはホイールハブ３０にブレーキドラム３
１、ホイール２９が取り付けられ、ハブボルト３
２にボルトナツト３３が締め付けられている。一
方、取付軸２７の図中左端にはフランジ部２７ａ
が形成され、このフランジ部２７ａはホイール２
９の環状突起２９ａに当接すると共に、貫通する
ボルトナツト３３にナツト３４にて締め付けられ
てホイールハブ３０に固定されている。シヤフト
２７の外周にはボス３５が固着されると共にボス
３５の外周には２個の玉軸受２８が嵌合され、更
にその外周には球面軸受３６が嵌合されている。
そして球面軸受３６の外輪が前記左右リンク２０
の頂部に固定されている。この結果車輪１６は前
後方向の移動が拘束される他は全く拘束されず、
自由に回転でき、任意の方向に揺動することがで
きる。従つて、車輪１６を駆動回転させてローラ
１１ａ〜１２ｂを回転させ、各種の試験を行う際
に、車輪１５がヨーイング、ピツチングおよびロ
ーリングを起こした場合でも、左右リンク１９及
び上下リンク２０並びに回転揺動装置２１が動作
し車輌は前後方向に拘束される以外、実際の路上
走行と同様にふるまうのである。

更に、オフセツト装置２３により車輌の前後方
向の位置調整が可能なためホイールベースの異な
る場合でもそのホイールベースに応じて調整で
き、又上下リンク１９及び左右リンク２０からな
るリンク機構１７により回転揺動装置２１が上下
動自在に支持されているので車輪の径の異なる場
合でも対応できるなど汎用性にも優れる。また、
フランジ部２７ａのホイール２９に対する接触面
が大きいので強度上有利であり、又ボルトナツト
３３を用いたためホイール２９にフランジ部２７
を容易に芯合せして取り付けることができ、又そ
の締付状態を直視できるので点検が容易である。
尚、ホイール２９及びハブボルト３２等の形状が
車種により異なる場合には、これに応じフランジ
部２７ａの形状を任意に設計変更すれば良い。

一方、第３図及び第４図に示すように、左右リ
ンク１９の下部枠１９ｄと上下リンク２０の補強
材２０ｃとの間には付加手段４０が揺動自在に介
装されている。この付加手段４０は、荷重検出セ
ンサ４１と、油圧や空気圧等による流体圧シリン
ダ４２と、流体圧シリンダ４２への流体圧の給排
を制御する制御装置４３とから構成されている。
従つて、流体圧シリンダ４２を縮み方向に駆動さ
せるとリンク機構１７を介して車輪１６に荷重を
付加することができ、しかもこの荷重の大きさは
検出センサ４１により検出されているため任意の
大きさに設定することができる。従つて、車輪１
５をローラ１１ａ〜１２ｂ上に載置して各種の試
験を行う際に、付加手段４０により車輪１６毎に
荷重を調整して付加することができ、坂道やバン
ク路等の種々な走行条件を自動的に設定すること
ができると共に、この荷重を試験運転中にも自由
に変更することができる。尚、前車輪６側にも上
記と同様な車輌荷重付加装置を設定すれば車輌の
全車輪に付加する荷重を調整することができ、よ
り実際的なシユミレーシヨンを実現することがで
きる。

第７図は本考案の他の一実施例を示す図面であ
る。尚、上記実施例と同一部分には同一符号を付
加してある。

この実施例においては付加手段５０を上下リン
ク２０に吊り下げられた重りにより構成してあ
り、この重りの重量により車輪１６に荷重を付加
する。従つて、この重りの重量を調整することに
より車輪１６に付加する荷重の大きさを任意に調
整することができる。

Ｇ 考案の効果 本考案の車輌荷重付加装置によれば、車輌をシ
ヤシダイナモメータ上にヨーイング等を許容した
状態で拘束し、該車輌の車輪毎に荷重を設定する
ことができるので、種々の車輌走行条件を正確に
再現することができ、シユミレーシヨン試験の信
頼性を向上することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第６図は本考案の一実施例に係り、第
１図はシヤシダイナモメータの平面図、第２図は
その側面断面図、第３図〜第５図はそれぞれ車輌
荷重付加装置の平面図、側面図、正面図、第６図
は回転揺動装置部の断面図、第７図は本考案の他
の一実施例に係る車輌荷重付加装置の側面図であ
る。図面中、１１ａ，１１ｂ，１２ａ，１２ｂは
ローラ、１５は車輌、１７はリンク機構、１８は
基台、２１は回転揺動装置、２７は取付軸、２７
ａはフランジ部、３０はホイールハブ、４０，５
０は付加手段である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シヤシダイナモメータの負荷装置に載置された
   車輪のホイールハブに固定されるフランジを有し
   た取付軸と、前記取付軸を回転自在且つ任意の方
   向に揺動自在に支持する回転揺動装置と、基台に
   取付けられて前記回転揺動装置を左右方向及び上
   下方向に移動自在に支持するリンク機構と、前記
   リンク機構に連結されて前記車輪に任意の大きさ
   の荷重を付加し得る付加手段とを備えたことを特
   徴とする車輌荷重付加装置。