JPH0351039B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本発明は、入力データの信号処理時に混入する
ノイズの除去方法に関する。

(ロ) 従来技術 一般に、信号処理の対象とする入力信号には、
波形がある基準レベル値について対称で、かつ、
周期性を有するものがある。たとえば、電磁流量
計においては、励磁コイルに、所定のタイミング
周周期性で正負両向きの電流I₁I₂を流すと、励磁
コイル間に設けた電極に、第１図に示すように、
その電流I₁，I₂に比例し、かつ、被測定物の流量
に比例した流量信号S₁が得られる。そして、定常
状態のときには単位時間当りの流量は一定なの
で、電極に得られる流量信号S₁は上述のごとく、
基準レベル値E_BOについて対称で、かつ、一定周
期T₁の信号となる。従つて、この流量信号S₁を
所定のサンプリング幅W₁でサンプリングすれば、
正方向に励磁したときの励磁電流の値をI_i、その
時に得られる流量信号S₁のレベル値をE_i、また、
負方向に励磁したときのそれらをI_i+1，E_i+1とす
ると、これらの信号の値から、被測定物の流量Ｑ
が関係式Ｑ＝ｋ・（E_i−E_i+1）／（I_i−I_i+1）によ
り算出される。その際、流量信号S₁は基準レベル
値E_BOからのバイアス分を増幅器内で加算され、
流量信号S₁の両レベル値の差（E_i−E_i+1）を演算
することでオフセツト誤差が除去される。

ところで、このような従来の信号処理において
流量信号S₁のサンプリング中に、ノイズが混入す
ると、それが流量信号S₁に重畳される結果、ノイ
ズ分だけレベル値が変化する。また、電極に汚物
が付着した場合には、直流ノイズによつて急激に
流量信号S₁の直流成分が変化し、流量信号S₁全体
がレベルシフトする。さらに、電源が瞬断された
場合には流量信号S₁自体が一時的に消滅する。従
つて、このような場合に単にサンプリングした流
量信号S₁に基づいて流量Ｑを算出したのでは、正
確な流量の情報が得られない。

(ハ) 目的 本発明は上記の問題点に鑑み、信号処理時の入
力信号にノイズが混入した場合には、その入力信
号を無効とし、信頼性の高い必要な情報のみ得る
ことができる信号処理におけるノイズ除去方法を
提供することを目的とする。

(ニ) 構成 本発明は、このような目的を達成するため、あ
る基準レベル値について対称な波形を有し、か
つ、周期性を有する入力信号をこれと同期したタ
イミングで出力されるサンプリング信号によつて
サンプリングし、サンプリングした入力信号のレ
ベル値の差と対称性判定しきい値とを比較して入
力信号の波形の対称性を判定した後、この入力信
号のレベル値及び基準レベル値の差とシフト判定
しきい値とを比較して入力信号のレベルシフトを
判定し、判定結果が対称性判定しきい値及びシフ
ト判定しきい値のいずれかを越えている場合には
ノイズ成分ありと見做して出力しないことを特徴
とするものである。

(ホ) 実施例 以下、本発明を実施例について、図面に基づい
て説明する。

第２図は本発明の方法に係る装置の構成図であ
る。同図において符号１は入力信号S₁を増幅する
増幅器、２はこの入力信号S₁をデジタル化する
Ａ／Ｄ変換器である。また３は、演算記憶手段
で、この演算記憶手段３は、入・出力信号をを制
御するとともに、入力信号を演算処理する中央制
御演算部４（以下CPUと略称する）と、この
CPU４での演算結果や初期条件などを記憶する
記憶部５と、２つのインターフエイス７，８とを
備える。１０は演算記憶手段３で演算処理されて
出力される信号をアナログ化するＤ／Ａ変換器で
ある。

上記構成を有する装置を適用して入力信号S₁の
処理を行なう場合のノイズ除去方法について、さ
らに、第３図のフローチヤートを参照して説明す
る。

まず、電磁流量計などから出力される信号S₁が
増幅器１に入力される。この入力信号S₁の波形は
ある基準レベル値（E_BO）について対称で、かつ、
一定周期T₁をもつ。入力信号S₁は増幅器１で増
幅された後Ａ／Ｄ変換器２に送出される。一方、
演算記憶手段３のCPU４からはインターフエイ
ス７を介してＡ／Ｄ変換器２に第１図に示すよう
なパルス状のサンプリング信号S₂が出力される。
このサンプリング信号S₂は増幅器１から送出され
た信号S₁と同期し、かつ、所定のサンプリング幅
W₁を有している。そして、このサンプリング信
号S₂がＡ／Ｄ変換器２に入力されると、Ａ／Ｄ変
換器２は、先の入力信号S₁をサンプリング信号S₂
のサンプリング幅W₁の期間のみデジタル化する。
デジタル化した信号S₁はインターフエイス７を介
してCPU４に入力される。従つて、CPU４には、
たとえば、信号S₁のレベルとしてE_i，E_Bi，E_i+1，
E_Bi+1，…の値をもつデータが入力される。次い
で、CPU４は得られたデータ値から入力信号S₁
の波形の基準レベル値E_BOについての対称性を判
定する。この判定にあたつては、まず、サンプリ
ングした入力信号S₁のレベル値の差、すなわち、
絶対値Ａ＝｜（E_i−E_Bi）−（E_Bi+1−E_i+1）｜を算出す
る。入力信号S₁の波形が対称形であればこの絶対
値Ａは本来零であるが、多少のドリフトの影響も
あるので、さらに対称性判定しきい値K₁を設け、
この対称性判定しきい値K₁と絶対値Ａとを比較
する。今、Ａ≦K₁ならば入力信号S₁にはノイズ
成分がないものと見なされる。入力信号S₁にノイ
ズが重畳されていると、Ａ＞K₁となるので、こ
の場合には入力信号S₁から得られたデータは無効
とする。従つてCPU４では次の演算が行なわれ
ず、新たに入力信号S₁をＡ／Ｄ変換器２から取り
込む。入力信号S₁にノイズ成分がないと見なされ
た場合、CPU４は、引き続いて入力信号S₁全体
の基準レベル値E_BOからのシフトの有無を判定す
る。この判定は次のようにして行なわれる。入力
信号S₁の基準レベル値E_BOは設計時に予じめ決定
されるので、その値は演算記憶手段３の記憶部５
に記憶されている。従つて、レベルシフトを判定
する際には、CPU４は記憶部５からその記憶さ
れた基準レベル値E_BOを読み出し、次いでこの基
準レベルE_BOと入力信号S₁から得られたレベル値
E_Biとの差｜E_BO−E_Bi｜を算出する。そして、この
差の値｜E_BO−E_Bi｜を記憶部５に記憶されたシフ
ト判定しきい値K₂と比較する。｜E_BO−E_Bi｜≦K₂
ならば入力信号S₁にレベルシフトがなかつたもの
とみなされ、CPU４はさらに流量の算出などの
必要な演算処理を続行し、得られた演算結果のデ
ータはCPU４からインターフエイス８を介して
Ｄ／Ａ変換器１０に送出され、ここでアナログ化
された後出力される。一方、入力信号S₁がレベル
シフトしていると、｜E_BO−E_Bi｜＞K₂となるので、
この場合にはノイズが重畳したときと同様に入力
信号S₁から得られたデータは無効とされ、CPU
４では次の演算が行なわれず、新たに入力信号S₁
をサンプリングすることになる。従つて、演算記
憶手段３からは、ノイズの影響が除去された必要
な情報のみが出力されることになる。

(ヘ) 効果 以上のように本発明によれば、入力信号に混入
したノイズが除去されて必要な情報のみ取り出せ
るので得られたデータの信頼性が高くなるなどの
優れた効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示し、第１図は入力信
号およびサンプリング信号の特性図、第２図は本
発明の実施に際して適用される装置の構成図、第
３図は本発明を説明するフローチヤートである。 S₁…入力信号、S₂…サンプリング信号、E_BO…
基準レベル値。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ある基準レベル値について対称な波形を有
   し、かつ、周期性を有する入力信号をこれと同期
   したタイミングで出力されるサンプリング信号に
   よつてサンプリングし、サンプリングした入力信
   号のレベル値の差と対称性判定しきい値とを比較
   して入力信号の波形の対称性を判定した後、この
   入力信号のレベル値及び基準レベル値の差とシフ
   ト判定しきい値とを比較して入力信号のレベルシ
   フトを判定し、判定結果が対称性判定しきい値及
   びシフト判定しきい値のいずれかを越えている場
   合にはノイズ成分ありと見做して出力しないこと
   を特徴とする信号処理におけるノイズ除去方法。