JPH03503287A - 生体に適切なウィルス不活性化アルブミン - Google Patents

生体に適切なウィルス不活性化アルブミン

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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるため要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 生体に適切なウィルス不活性化アルブミン発明の分野 この発明は、具体例がグリシルリチン、グリシルリチン酸またはグリシルレチン 酸配糖体であるグリシルリチン化合物としてここに示される1種以上の化合物な らびにその類似テルペン、たとえばカルベンオキソロン、シクロオキソロンおよ びそれらの誘導体によって、供給源の体液中に存在するウィルスが不活性化され ている生体に適切なアルブミンの調製に関する。
発明の背景 シトメガロウィルス(CMV)は、動物の体液や細胞中に認められる病原性ウィ ルスで、おそらく最も頻繁に存在するものである。実際、開発途上国に住む人々 のほとんどが生まれてから早い時期にCMVに感染するようになる。
そして、世界の開発途上国において、人口の半分はCMVに感染している。CM Vは、最初の感染の後、生体内で本質的に不活性となり得る一方、いかなる場合 でも活性な感染として発病し得る。この発病は、病気、放射線療法、投薬療法、 外科手術による外傷などによって多かれ少なかれ免疫系が危険にさられさている 場合、最もしばしば見られる。CMVは免疫系が抑制された個体においてしばし ば致命的な病気と関連し、その致命的な病気を引き起こしたり、またはそれに寄 与したりする要因となり得、肺炎、神経疾患、発熱、眼疾患および肝炎を引き起 こす主な要因となり得る。CMVの感染は、1個体から他の個体へ器官、組織お よび細胞ならびに血液および血漿の輸注において、深刻な制限因子である。腎臓 移植患者は、移植臓器からもたらされる深刻で、稀ではなく、致命的なCMVの 感染にかかる高度な危険を冒している。全血、血漿、骨髄、角膜、心臓および精 液の受容者は、CMV感染疾患の深刻な危険を冒しており、この危険はよそから の器官や細胞に対する拒絶を阻止するために受容者の免疫系が抑制されている場 合や免疫抑制が自然にかかっている場合に増加させられる。
CMVは、しばしばカリニ肺炎と関連し、また脳炎および大腸炎を引き起こし得 るか、またはそれらに寄与し得、またエイズ患者においてカボージ肉腫と関連す る。さらに、CMVはしばしば感染の徴候を示さない供与者の血液および器官に 頻繁に存在し、感染患者において直接寄与する結果が幅をきかせたり、逆にとら えにくかったりするため、もし他の原因を確立することができないならば、その 原因をCMVと仮定すべきである。
CMVの感染に対する確立された治療法や一般的に効果のある薬剤は存在しない 。ある薬剤たとえばガンシクロビルは、あるCMV感染たとえばCMV網膜炎の 治療に限られた効果を有することが示されてきたが、CMv肺炎の治療にはわず かな効果しか有さない。生きた弱毒化CMVワクチンが開発されてきたが、通常 存在するCMVによる感染を防ぐことができず、また、弱毒化されたCMVが妊 娠中に活性を取り戻したり、胎児に感染したりし得る危険が現実に存在する。
器官、組織、細胞もしくは体液の移植または輸注によるCMVの転移の可能性を なくしたり、または減じたりする方法が医療科学にとり多大な利益となるであろ うと同時に、この発明はCMVの感染を阻止するための処方にとどまらず、動物 の体液および組織中に見られる他の種類のウィルスに対しても適用できるもので ある。
CM Vはヒトヘルペス(HV)群の仲間であり、人体に引き起こされる不快や 痛みの多くの原因となっている。ヘルペスウィルスは、口辺ヘルペス、帯状庖疹 、性病、単球増加症、眼感染症、先天的欠損症およびおそらくいくつかの癌の原 因となったり、またはそれらに関連する非常に大きく、はっきり特徴付けられる ウィルス群を指し示している。3つの亜科が特に重要である。アルファ亜科は、 口辺ヘルペス、単純ヘルペスならびに眼および脳感染の原因となるHV−1(単 純ヘルペスウィルス1)、生殖器潰瘍の原因となるHV−2(単純ヘルペスウィ ルス2)ならびに水痘、帯状庖疹および脳感染の原因となるHV−3(HVバリ セラシスター(varicella xo+te+)を含む。ベータ亜科は、上 記CMVの主要なウィルスであるHV−5を含む。
ガンマ亜科は、感染性単球増加症を引き起こしたり、また、バーキットリンパ腫 および鼻咽頭箱に関係するHV−4(エプスタイン−パール)を含む。さらに、 病原性の可能性のあるヘルペスウィルスが確実に存在しており、その1つの型と して病原性について未知のまま確立されていないHV−6がある(Niede+ aman、  I、  C,e+ al、、The Lancet。
Oct、  訳 19H,817)。この発明の方法が動物の体液や組織中に見 られる病原性ヘルペスウィルスの多く、おそらくほとんどによって引き起こされ る感染の転移を抑制することに効果的であるという根拠が存在している。
血液銀行は危険性の高い集団における潜在的な供与者を排除するために厳格な基 準を設けてきたが、このことは数十年後の健康に配慮する社会に直面する最も重 大な脅威に対して、十分満足のいく解決法ではない。ヒト免疫不全ウィルス(H I V)試験を設定することにより、血液製剤はより安全になっているが、血液 および血液製剤を汚染するHIVを現在の情報および技術で完全に排除すること は今のところ不可能である。たとえば、ELISAテストは、HIV感染供与者 200中、約1 (0,5%)を見落としてしまう。また、動物の体液および組 織中に見られる肝炎やその他のウィルスの保持者を供与者から排除するための確 実な方法は存在しない。血液供給の安全性を向上させるため、ますます努力がな されており、たとえば代理指標体を用いるレトロウィルスのスクリーニング、モ ノクローナル抗体法およびDNA系統的分類法により血液の特異的成分を抽出す るより新しい試薬での、より衛生的な方法を用いた集団検診を念頭に置いたHI Vおよび他のレトロウィルスのスクリーニング、血友病患者の治療のための凝固 因子を有する血漿の必要性をなくすような組換えDNA生産物の開発がなされて いる。抗体試験に従った供与者の慎重なスクリーニングは、血液に混入したエイ ズおよびその他のウィルスの危険を減少させたが、その方法は絶対確実ではない 。それらの方法は、試験に必要な備品と訓練を受けた検査員を必要とし、それら は人口の3分の1以上がエイズに感染している中央アフリカおよび他の第三世界 の国々のようなところでは、手に入らない上、利用に余りにも費用がかかりすぎ る。世界のこのような地域では、より簡便で費用がかからない血液検査方法が必 要とされている。
汚染ウィルスを根絶する方法として、光力学的な方法が評価されてきた(MNt bews、  I、 L、  el al、、 Transfusion。
28.11988)。しかし、この方法は広く認められるような効果と安全性を 有するまで改良されてこなかった。熱または溶剤−洗浄剤法により、因子■(フ ァクタ■)生産物について非感染性とすることができる一方、全血、細胞構成物 および血漿の安全性を保証する方法は知られていない。
しかしながら、全血受容者にとって唯一合理的に信頼性のある安全な方法は、緊 急でない手術に先立った自らの血液の供与と、計画的な供与者からの血液の使用 を可能にするプログラムである。しかし、このようなプログラムは計画を遂行す る上で途方もなく無理がある。ウィルスに汚染された血液の供給に対処するため 、多大な努力がなされてきたにもかかわらず、輸注に使用するための全血を取り 扱う方法は、急を要する課題として存在している。以上述べてきたことより、移 植または輸注に用いられようとする器官、組織、細胞および体液中の病原性ウィ ルスを殺すかまたは不活性化する方法が医療において大きな進歩となるであろう ことは明らかである。この発明の目指すところは、このような国内および世界に 広がる重要な健康保全への挑戦である。
マメ科カンゾウとしてよく知られるグリシルリチア(GlycHrhira ) からの抽出物、グリシルリチアグラブラ(GIB7+rhiza glab+a )の乾燥した根茎および根からの抽出物グリシルリチン、グリシルリチン酸また はグリシルレチン酸配糖体(ビオソン、エノオキソロンおよびグリシルレチンと も呼ばれる)として一般的に知られる、グリシルリチン酸、20B−カルボキシ −11−オキソ−30−フルオレアン−12−エン−3B−イル−2−0−B− D−グルコピランウロンシル−α−D−グルコピランオシデュロン酸(21)B −carboxy−11−o!o−30−norolean−12−en−3B −71−2−0−B−D−glucop7+anuronsyl−a−D−gl ucopy+anosidu+onic acid)は、トリテルペンであり、 この発明が関与するトリテルペンの典型例である。この発明が関与する類似トリ テルペンは、カルベンオキソロンおよびシクロオキソロンを含む。
この発明は、したがって、グリシルリチン酸および酸、塩、エステルならびにそ の他の誘導体の形態をとるその類似体に関与している多くのこのような誘導体は 知られており、たとえば、ステアリン酸グリシルレチン;グリシルレチン−カリ ウム;グリシルレチン酸カリウム;1]−デオキシグリシルレチン酸、マレイン 酸水素ナトリウム塩;α−D−グルコピランオシデュロン酸モノアルギニングリ シルリチン酸塩;18α−グリシルリチン酸−ナトリウム塩;18−α−グリシ ルリチン酸−カリウム塩;18−α−グリシルリチン酸ニナトリウム;グリシル リチン酸−(トリエタノールアミン)塩;グリシルリチン酸三ナトリウム、グリ シルリチン酸ナトリウム:グリシルリチン酸アンモニウム;カルベンオキソロン ナトリウム(ビオガストロン:グリンルレチン酸コハク酸水素ニナトリウム塩) ;およびアセチルグリシルレチン酸(酢酸グリシルレチン)がある。
グリシルリチン、その殺ウイルス性類似化合物およびそれらの誘導体は、ここに おいてグリシルリチントリテルペノイド(G T P D)と便宜的に示す。現 在、GTPD化合物の中で重要なものは、グリシルリチン(本発明の研究におい てTPD−1と記号化)、カルベンオキソロン(本発明の研究においてTPD〜 2と記号化)およびシクロオキソロンである。
GTPDの環−置換誘導体化合物は、予期されこの発明中に含まれるものである 。GTPD化合物の環構造への、たとえば、フルオロ−およびクロロ−置換基の ようなハロゲン環−置換基、硫酸ならびにその他の活性化および/または不活性 化置換基は、GTPD化合物の他の環−置換誘導体を排除することなく、特定的 にこの発明に含まれる。
香味料としての使用に加えて、カンゾウは咽頭炎の治療のための共通の民間薬と して長く用いられてきた。広くは知られていない一方、カンゾウからの種々の抽 出物および調製物、たとえばグリシルリチンおよびその誘導体、主としてグリシ ルリチン酸の塩は、消化性潰瘍の治療に用いる経口投与薬(Chandlu、  R,F、、 Can、 Pharm、  j、、 Vl18. NO,9,19 85)として多年にわたり限られた範囲で使用されてきた。また、サポニンおよ びサボニゲンによる溶血を抑制するために、サポニン抗炎症薬と同時にグリシル リチンを経口投与することが報告されている(Segal、 R,ej al、 。
[1iochem、 Phatmacol、 26. 71977) 。GTP Dは、生体外(in vit+o)で広く評価されてきているとともに、経口的 に、筋肉注射で、および静脈注射によって投与されてきている。グリシルリチン の限られた短い期間での投与からは、何も顕著な毒性は報告されていない。長期 経口接種したある例では、有害な作用が報告されてきている。また、ストロンガ ーネオーミナファゲンC(SHonge+ Neo−Minaphagen C )(SNMC)溶液、グリシルリチン(0,2%)、システィン(0,1%)お よびグリシン(2%)の静脈投与の急な中断後のわずかな症状の再発は、グリシ ルリチンのステロイド環が原因とされていた(Fuiisawa K、 at  at。
、  As1an Med、  J、 (Japan ) 、  23.101 980) o  60m1/日(〜12mg/日のグリシルリチン)相当量のS NMC投与が報告されている(Iwaa+ura k、、 TherspIew oche (W、 Ge+many) 30.341980 )。
ある条件下における生体外(in  vice )でのウィルスの不活性化につ いて報告されている(参照、たとえば、Pompei R,、Exp+1ent ia (Switxe+1and) 36/31980) o GTPD化合物 が時に示すような抗ウイルス特性は、トランスクリプターゼ阻害活性の逆転(N aka+hima 、 H,et ai、、  Jpn、  I、Cance+ 、Res、  78.81987 )およびγ−インターフェロン生産の促進( Shinada、 M、et al、、Proc、  Soc、Exp、  B i。
1、 181.21986 )によるとされている。しかし、その抗ウイルス機 構の確かなメカニズムは確立されていない。
Da+gxn、 D、 I、、  and 5ubak−8ha+pe、 I、  H,、(1,Gen、 Virol、、 1985−1986)は、単純ヘル ペスウィルスについて、カルベンオキソロンおよびシクロオキソロンの抗ウィル ス作用を報告した。彼らの用量−作用実験は、シクロオキソロンナトリウムまた はカルベンオキソロンナトリウムが、H3Vの複製サイクルを妨害し、感染ウィ ルスの量を1万分の1〜10万分の1まで減少させたこと、シクロオキソロンが より強い抗−ヘルペス剤であること、しかし、H8■のDNA合成に対する一貫 した効果は確認されなかったことを示していた。細胞のDNA合成についである 阻害か認められたが、これは相対的にわずかであった。
C5onka、 G、 W、  and Tyrrelf、 D、A、  (B r、  l、Vene「、 DIs1984、 60(3) p17g)は、初 期および再発した陰部ヘルペスにおいてプラシーボとカルベンオキソロンおよび シクロオキソロンクリームの有効性を比較するため、二重盲目臨床試験を企て、 シクロオキソロンを用いた場合、痛みの消失および障害の治癒に至る時間に顕著 な差異があることを報告した。しかし、カルベンオキソロンは有利な効果を顕著 に示さなかった。
GTPDは、後天性免疫不全症候群(エイズ)の化学治療(Ito、 M、、  Yamanoto、 N、、 Yakaguaku 2asshi (Japa n)188.21988) 、−1−プスタインーバールウィルス(EBv)の 感染の治療(Van Ben+chojen、 M、 M、、  Am、  1 . Acupunct、  16.1988 )および慢性肝炎の治療(Fui isawa、に、  et al。
、  As1an Med、  1. (Japan)、  23.10198 0)において抗ウィルス剤として治療上の評価がなされてきた。
GTPDの抗−ウィルス活性が予測できないほど変わるため、その化合物が一般 的な抗−ウィルス効果を有しているかどうかや、立証されていない環境における 所定のウィルスに関してそのような化合物が抗−ウィルス価を一般的に有するか どうかに関してまでもが、一般化されたどのような説をも排除している。
血漿の主成分はアルブミンであり、その第1の役割は浸透圧の制御である。アル ブミンは、血漿の浸透圧の75−80%を受は持っている。また、アルブミンは 薬剤のような小さな分子の輸送においても重要な役割を果たしている。
クリスタロイドやその他のコロイドとアルブミンとを区別する重要な特徴は、ア ニオンおよびカチオンの両方に可逆的に結合するそのユニークな能力である。し たがって、アルブミンは脂肪酸、ホルモン、酵素、色素、微量金属および薬剤を 含む多くの化合物を輸送することができる。結合せず遊離した状態では毒性を示 す物質も、アルブミンに結合された場合、一般的に毒性ではない。このような結 合の性質は、アルブミンが多くの内因性および外因性の投与された物質の細胞外 の濃度を制御することを可能にしている。
一般的に、アルブミンは3つの型の結合部位を有する(1つは酸性、1つは塩基 性、もう1つは中性化合物に対して)。また、アルブミンは脂質および脂質−可 溶性物質の結合および輸送において重要な役割を果たしている。アルブミンは多 くの投与された薬剤に結合し輸送する。類似したタイプの物質の相互置換という 現象のために、有害な薬剤の相互作用が起こり得る。この現象は、敗血症、火傷 、および種々の原因、特に高濃度で毒性となり得る薬剤を用いた治療に関係する 種々の原因による循環系ショックのような症状において、重大な派生効果をもた らし得る。
ヒト血清アルブミンは、酸素フリーラジカルの除去物質と考えられている。また この重要な現象は、脂質の過酸化に必要とされるラジカルの除去にも及んでいる 。
内毒素によるヒツジ成体呼吸困難症候0 (ARDS)モデルにおける予備的な 研究は、ヒト血清アルブミンによる前処理が、内毒素によって通常引き起こされ る300%から400%の肺リンパの流出の増加、血管内タンパク質の欠損およ び血管内タンパク質の流出を著しく減することを明らかにしり(UNIQUE  FEATURES OF ALBIININ: ABRIEF REVIEW、 Thomas E、  Eme+son、  It、、 t’h、D、、 Cr 口1cal CaIe Medicine、  Yol、  17.  No、  7 (1989))。
炎症性の疾患の状態において生成される毒性物質を結合するためにヒト血清アル ブミンで処理することは、広範な注目を浴びてこなかった。しかしながら、数少 ない研究と血漿の多くの毒性物質と結合するアルブミンの本来の能力が、この発 明の考えを支持している。
アルブミンは、多数の物質、特に水不溶のものの輸送にとって重要である。アル ブミンは、イオンおよび脂質と結合し、またその他の潜在的に毒性のある物質、 たとえばビリルビンに結合する。したがって、アルブミンは潜在的に細胞毒性で 内因性の脂質−可溶性物質と結合し、これらの物質の血漿および間質液中の濃度 の増加を制限することにより、これらの物質の増加を抑制する緩衝剤として働い ている。
アルブミン−結合薬剤のその他のものによる置換に加えて、内因性の物質が結合 せずすなわち遊離した血漿および間質液の薬剤の濃度に取って変わることもあり 得る。たとえば、ある疾患の状態においてビリルビンの濃度が増加した場合、ビ リルビンと同じ結合部位を占有している薬剤は、ビリルビンによって置換される ようになり、遊離した薬剤の血漿中の濃度は毒性を示すレベルにまで上昇し得る であろう。さらに、アルブミンの血漿中の濃度が減少すると、血漿および間質液 中の結合されていない(遊離した)薬剤の濃度は上昇するであろう。
血漿アルブミン濃度は、通常、敗血症、火傷および循環系ショックのような症状 において様々な程度に減少される。
アルブミンを含まないコロイドやクリスタロイド溶液を多量に使用する組成は、 既に存在する低いアルブミンの濃度をさらに減少させ、治療の目的で投与された 薬剤または毒性物質の遊離濃度および輸送を調節するアルブミンの能力をさらに 制限し得るであろう。
アルブミンのその他の特徴は、病理のある血小板の凝集について抑制的効果を示 すことである。それは、アラキドン酸の親和性が、血小板で形成されるシクロオ キシゲナーゼに対してよりもアルブミンに対してより大きいことによるものであ ろう。抗トロンビン−III (AT−III)によりファクタXaの抑制をア ルブミンが促進することが明らかにされてきている。
コロイド浸透圧を生成するアルブミンのよく知られた役割に加えて、アルブミン は微小血管の完全さを保持することにより、肺および他の器官を浮腫から守るこ ともできる。
非常に最近の研究は、タンパク質に対して微小血管の正常な透過性を維持するこ とにおけるアルブミンの役割を支持している。
アルブミンはグリシルリチントリテルペノイドに結合することが知られている。
カルベンオキソロンは非常に有効な潰瘍治療薬であって、広範に血漿プロティン に結合し、そのため置換相互作用のための潜在能力を有する。カルベンオキソロ ンは、生体外で多くの他の薬剤に対して、異なる種類の結合部位においてヒト血 清アルブミン結合することが示されてきており、またラットにおいて、バルファ リン、トルブトアミド、クロルプロパミドまたはフェニトインの薬理学的活性を 増強しない(Thuuon [’C1Papouchad。
M; Reed PI 5cand J Ga5t+oenterol 5up pl 1980 、 65 p35−9)。
ヒト血清およびヒト血清アルブミン(I S A)へのグリシルリチンの結合は 、限外濾過法によって試験された。特異的および非特異的結合がヒト血清および H3Aの両方において認められた。特異的な結合のための結合定数(K)は非常 に似ており、ヒト血清においては1.31X105M−’ であり、H8Aでは 3.87X105 M−1であった。グリシルリチンはアルブミン画分にのみ結 合している。
ヒト血清においてグリシルリチン−結合部位は主としてアルブミンに存在し、約 2mMの濃度より高くても低くてもそれぞれ、グリシルリチンは特異的および非 特異的結合部位に結合することが推断された(Isbida S; 5akiy a Y; Ichikawa T、Kinosh自a M、Awaxu S、   Cbem Pha+m Bull  (Tokyo)  37(1)、198 9. 226−228 )。
血漿タンパク質の平衡透析により、40歳より下と65歳より上の人のカルベン オキソロンに対する結合部位を比較した結果、年長者において結合部位の数が減 少されていることおよびこの低下が血漿アルブミンの水準の縮小と関係している こ上が示された□1ayes Mノ; 5prackliB M; l。
angman M、 Gut 1H12N9771054−1058. )。
アルブミンは、浦−水エマルジョンでの注入可能な医薬の調製においてエマルジ ョン安定剤として、たとえばフルオルビプロフェン、ミズシマら、米国特許No 、  4. 613.505.9月23日、1966年;トリプトファンに対す る結合分子として、ボラック、米国特許No、4,650.789.3月17日 、1987年:コレステロール誘導体に対する複合剤として化学修飾を用いて、 アラカワ、米国特許No、4,442,037,4月10日、1984年;抗体 に化学的に架橋された酵素を用いる共役剤として、ボツナンスキー、米国特許N o、4,749,570゜6月7日、1988年:およびロイコトリエンの化学 的に結合された共役剤として、ヤングら、米国特許No、  4゜767.74 5.8月30日、1988年、用いられてきた。
ヒト血清アルブミンは、環境内部の維持に対して重要な多(の課題を実行する注 目すべきタンパク質である。アルブミンの最もよく知られた機能は、血管内の液 体の流れの制御、血管内部および外部の液体の体積の制御ならびに脂質および脂 質−可溶性物質の輸送の制御を含む。しかしながら、その機能はさらに生命維持 に必要なその他の機能を多く含んでおり、それらのいくつかはご(最近示唆され 、おそらくそのほかのものは未だに認知されていない。アルブミンの認知された ユニークな特徴のいくつかは、:a)結合、およびそれによる毒性産物の不活性 化;b)血漿および間質液の内因性および外因性の投与された物質および薬剤の 濃度の制御:c)抗凝血における巻込み、d)タンパク質に対する微小血管の透 過性の維持;およびe)フリーラジカルの除去および脂質過酸化の阻止である。
特に、組織の酸化によって直接的な損傷のある場合およびα1−PIおよびA” r−IIIのような重要な抗プロテイナーゼの不活性化による直接的でない組織 の損傷の場合において、フリーラジカルがその主犯と考えられるような炎症性の 症状において、このような後者の性質は非常に重要になってくるであろう。参照 UNIQUE FEATURES OF ALBLIMIN: A BRIEF REVIEW、 Thomas E、  Emerson ++、、 [’h、  D、、 Cr1tical CareMedicine、 Vol、  17 .  No、 7 (1989)。
大量規模のための工程、すなわち少なくとも1ユニツトの血液、全血のその構成 細胞のタイプおよび血漿への分画ならびに血漿から単離された血漿タンパク質画 分の調製のための方法は、よく知られている。沈澱分離を促進するための原理、 すなわち遠心分離およし′付着は、抗凝血化された全血を血小板濃縮物、白血球 濃縮物、濃縮された赤血球の豊富なまたは血小板の少ない血漿に分離するため用 いることができる。これらの原理に基づく手法は、血小板の選択的な単離(血小 板分離交換法)、白血球(白血球分離交換法)および血漿(血漿分離交換法)の ために使用することができ、また、異なる白血球細胞のタイプ(顆粒球、リンパ 球および単球)の分離のために利用することができる。
血漿を通常用いられる治療用血漿タンパク質の調製物。
アルブミン、抗血友病因子、フィブリノーゲン、免疫血清グロブリン(通常およ び特異的なものの双方)、血漿タンパク質画分、ならびにプロトロンビン複合体 へ分画する方法は知られている。もっとも共通して用いられる分画の工程は、冷 エタノールまたはポリエチレングリコール法、熱変性ならびにイオン交換クロマ トグラフィーを含む。
血漿画分の肝炎ウィルスまたはパイロジエンによる汚染の危険は必ず存在し、こ れらの危険を最小にするため予防措置が講じられなければならない。
血漿タンパク質を分類するために2つの方法が用いられてきた。第1の方法は、 塩溶液中の溶解度に基づくものである。この方法に基づけば、次の3つの種類が 得られる。
(1)真性グロブリン、これらのタンパク質は等電点において水に不溶で、33 %飽和(1,3M)硫酸アンモニウムにより沈澱させられる; (2)色性グロ ブリン、これらのタンパク質は等電点において水に溶け、33%から48%の間 の飽和(2M)濃度の硫酸アンモニウムで沈澱させられる。;および(3)アル ブミン、これらのタンパク質は等電点で水に溶け、沈澱させるためには50%飽 和(2゜06M)以上の濃度の硫酸アンモニウムが必要である。第2番目の分類 方法は、電気泳動移動度に基づくものである。
通常のヒト血漿の遊離境界電気泳動から得られたシュリーレンパターンは6つの ピークを有している。また通常のヒトの血清を用いて得られるパターンは5つの ピークを有している。それぞれのピークは、類似の電気泳動移動度を有するタン パク質の種類を代表している。50%飽和硫酸アンモニウム中で不溶であるすべ てのタンパク質を沈澱することにより、最も早く動くピークがアルブミンとして 同定された。血漿中に存在し血清中には存在しないピークは、フィブリノーゲン として同定された。残りのピークは、移動度が減少する順に、アルファ1−、ア ルファ2−、ベーター、およびガンマ−グロブリンとして名付けられるグロブリ ンとして同定された。これらの分類のそれぞれは、溶解度または電気泳動移動度 に基づいて分類されたタンパク質(7r、、テロジニアスな混合物を代表してい る。
血漿タンパク質は、ヒトの器官内で広範な種類の機能を提供している。血液の体 積の維持や粘性のような血液の他の物理的な性質における血漿タンパク質の役割 は非常に重要である。なぜならば、血液は、その多くの機能をすべて果たすため に、媒質を速やかに循環していなければならないからである。もし、血漿の体積 が減少するならば、心臓のポンプ活動に無理がかかり、血漿に対して赤血球の濃 度が相対的に増加するために流れの抵抗か増す。血液の体積は、血管から組織中 に液体を放出するような毛管内の血液の静水圧と、血管内に逆に液体を取入れる ような浸透圧(血漿タンパク質による)との間の平衡に依存している。
血漿の浸透圧への主な寄与は、アルブミンの濃度および性質からきている。
アルブミンは、重量で血漿タンパク質の50%以上を含む。アルブミンは比較的 低分子量を有し、生理的pHにおいて高い正味の負の電荷を有する。アルブミン 溶液は、その分子の球状の形のため、比較的低い粘性を有する。分画方法の開発 に太き(弾みがついたのは、第2次世昇天戦中、戦場の負傷者の治療のために多 量の血液増量剤を供給する必要があったことである。生産物は、必要な膨張作用 を供給すること、冷却が必要でないこと、および病気かもたらされないことを必 要とした。ヒトアルブミンは、最も受容できる治療上の両分として見出された。
分画方法は、1940年代においてバーバードメディカルスクールのコーンを中 心とするグループにより開発され、米国海軍に対する下請けの下、軍隊のために 血液誘導物を提供することか商業的な研究室において可能となった。この期間中 、いくつかの改良によって開発されたこの方法は、今もなおアルブミンおよびI SGの調製のための最も一般的な方法である。
コーンおよび共同研究者は、ヒトの血漿のタンパク質および脂質タンパク質成分 の分離および生成のための方法を示した。これらの方法のそれぞれにおいては、 血漿のタンパク質成分を、主な成分が分離される少数の画分にまず分離し、次に これらの成分がさらに濃縮および生成される多数のザブフラクションに分画した 。この方法では、エタノールの添加により溶液の比誘電率を減少させて、タンパ ク質の溶解度を低下させていた。したがって分画は、電解質によるタンパク質の 相互作用かお互いに著しく異なるような低いイオン強度の範囲の中で行なうこと ができた。分離されるべきタンパク質は、系のその他の成分が低い溶解性を有す るかまたは反対の溶解性を有する場合に、高い溶解性を有する必要があった。
これらの方法の開発において使用された血漿は、クエン酸ナトリウム抗凝血剤中 に集められた血液から得られた。
酢酸および炭酸バッファ系は、pHおよびイオン強度を調整するために用いられ た。沈降は、最も低い都合のよいエタノール濃度および温度下、それぞれの分画 にとって最適なpHおよびイオン強度において行なわれた。
上述した分画沈澱法が、血漿タンパク質治療用濃縮物を大量に生産する目的のた めに適切であることが見出されたとはいえ、新しい方法では、固体状態において タンパク質の安定性が増加するという利点があった。このタンパク質のすべては 、エタノールおよび亜鉛イオンの効果の組合わせにより速やかに沈澱させられる 。固体状態からの分画は、分画抽出によりなされる。極端なpHおよびエタノー ル濃度を減じることにより、特異的な金属−タンパク質相互作用は、非変性タン パク質の分画を好都合にする。用いられる最も低いp Hは5.5であり、最も 高いエタノール濃度は19%である。この方法は、そのままでは大量規模の使用 に応用されてこなかった。95%エタノールの使用は、必要なエタノールの量を 減しまた、処理される溶液の体積を減じる。
多くの治療表示のために、血漿タンパク質画分(P P P)と呼ばれる調製物 がアルブミンと交換可能に使用される。
PPPは、上述した方法で生産されるアルブミンに比へ、わずかに純粋さが劣る アルブミンである。その不純物は、アルファーおよびベータグロブリンならびに 塩類である。
PPPは■4沈澱物の除去および■4およびV画分の単一工程による沈澱によっ て生産され得る。これがなされると、上清相■1の濾過が必要とされる。PPP はアルブミンに比べより経済的に生産することができ、また高い収率で回収され 得る。治療用のすべての免疫血清グロブリン(ISG)は、多数の供与者からの 血漿の大量の貯留液から調製されるので、最終生産物は抗体のブロードなスペク トルを含むようになる。
アルブミンおよびISGの生産のための代替的な方法も知られている。アルブミ ンの調製のため経済的な方法として、血漿の非アルブミン成分の熱変性がある。
この方法では、血漿または血清はカプリル酸イオンの存在下で706Cまで加熱 され、この条件の下でグロブリンおよびフィブリノーゲンは変性されるようにな る。カプリル酸塩はアルブミンを熱変性に対して安定化するのを助ける。pHの 操作により、変性されたタンパク質のすべては沈澱および除去され、溶液中にア ルブミンが残る。
非アルブミン成分の熱変性によりアルブミンを生産するための改良法も開発され てきている。この方法は、凝固因子とISGの分離を可能にし、望むならば、ど の工程においてもアルブミンの分離を始めることができる。生産されたアルブミ ンはポリエチレングリコール沈澱または限外濾過により、さらに濃縮される。血 漿増量剤として使用されるべきアルブミンに富んだ熱安定性を有する血漿画分の 調製のため、いくつかの方法が使用されてきている。
分画のために、亜鉛複合物が使用されてきており、イオン交換樹脂により脱塩さ れた血漿から得られた画分およびそれによって沈澱した真性グロブリンが示され てきているとともに、沈澱剤としてポリリン酸を用いる分画手順が用いられてき た。これらの方法のどれもが、アルブミンまたは血漿タンパク質画分(P P  P)のためのFDAの制御を兼ね備えるような十分な高いアルブミンの含有量を 有する両分を産出しない。ポリエチレングリコール(PEG)は非常に一般的な タンパク質沈澱剤となった。ポリエチレングリコールは内部のPEG空間におい て置換の機構により、タンパク質成分を濃縮することによって働く。
アルブミンおよびISGの分離のためにエタノールまたはPEG以外の沈澱剤を 用いる血漿分画の手順も開発されてきており、最初ヨーロッパにおいてうまく利 用された。
英国では、エチルエーテルが沈澱剤として用いられてきた。
ドイツではりパノールおよび硫酸アンモニウムが用いられてきており、またフラ ンスでは、胎盤の血液がクロロフォルム、トリクロロ酢酸およびエタノールを沈 澱剤として用いることにより分画されている。最近、プルロニックポリオール( BASP Wyandotte corp )および固相無水マレイン酸高分子 電解質が実験規模においてうまく用いられてきている。
ISOの生成のために吸着クロマトグラフィーか用いられてきている。PEGを 利用するアルブミンの生産のための大規模な方法として、吸着クロマトグラフィ ーおよびゲルクロマトグラフィーが最近開発されてきている。連続的で予備的な 電気泳動、分極クロマトグラフィー、等速電気泳動および等電点電気泳動は、血 漿タンパク質の大規模な生成にとって、すべて将来有望な手法である。
血漿の大量の貯留液から分画物を生産する場合の大きな危険性は、ウィルス、最 も深刻なのは肝炎ウィルスの持込みである。このことは、この分画物の受容者お よび分画工場の労働者の両方にとって危険である。分画を行なう労働者、特に血 漿貯留物の調製に従事するものは、B型肝炎に罹る高い危険性にさらされている ことが示されてきた。危険性の高い生産物はフィブリノーゲン、AHFおよびプ ロトロンビン複合物である。危険性の低い生産物は、ISG。
PPFおよびアルブミンである。PPPおよびアルブミンの感染性を欠如させる のは、60℃で10時間最終生産物を加熱することによっている。
現在、アメリカ合衆国では血液または血漿の提供者のすべてが、ラジオイムノア ッセイまたは逆受身赤血球凝集反応によってB型肝炎表面抗原の存在について試 験される必要がある。このスクリーニングはB型肝炎ウィルスの持込みを減する がしかしながら、これを阻止しない。大きな問題は、スクリーニングの試験が存 在しない非B型肝炎の持込みである。最近、非−A1非−B型肝炎もウィルスが 原因であることが明らかにされている。
血漿分画のほかの危険性は、分画法によって引き起こされるたとえばISGのよ うないくつかの画分の部分的な変性である。これらの変性されたタンパク質は、 毒性の効果を有するかもしれず、また受容者にとって免疫原となるかもしれない 。これらの好ましくない側面の効果の中で、生物学的な能力の損失はかなりな程 度を占め、低温殺菌、または加熱過程から生じる固有の変性によりアルブミンの 多くの結合部位が損われる。現在の技術に従えば、変性による不利な点は、濃縮 された画分の安定性や能力を高めることによって補うもの以上であり、ウィルス の感染からの危険から解放されたより生体に適切なアルブミンの大きな必要性が 残っている。
発明の要約 現在、グリシルリチン、グリシルリチン酸、カルベンオキソロンおよびシクロオ キソロンならびにそれらの類似化合物と結合するアルブミンが、グリシルリチン トリテルペノイド化合物のウィルス不活性化能力を減じることなく一般的に促進 すること、およびGTPDまたはGTPD化合物として以下に示される、グリシ ルリチントリテルペノイド化合物を用いたウィルスの不活性化により、従来の技 術に従って生産されるアルブミンよりも生体活性がより高い非−ウィルス感染性 アルブミンが得られることが発見されてきた。
現在、GTPD化合物とアルブミンとの組合わせ(GTPD−アルブミン)が、 ウィルスの不活性化において顕著でしかも全く予期しない利点を示すことが発見 されてきた。
ここにおいて用いられるようなウィルスの不活性化は、ウィルスを非−感染性に することを意味し、たとえば患者においてウィルスが病気を誘発しないことを意 味する。ウィルス集団の成長および減少を定量する最もよく用いられてきた方法 において、たとえば対数死滅(log kill) 、参照 (Prenkel −Conrat、  H,、Kimball、  P、C,、and  Lev y、  J、A。
VIROLOGY、 5econd Edltlon、  Prentice  Hall、 EnglevoodC1lf’f’s、Nu、、  1988.  and Jakoby、  V、H,and Pa5tan、  1.H。
(Eds)、 CELL CULTURE、  (Volume LVIII  of’″Methods in Enzysology”)^cademlc  Press、  Inc、、 New York、 Chapter 11)は 、ウィルスの不活性化のよい指標である。しかしながら、残存するどのウィルス も患者に感染することができず、さらに複製することもできないゆえに、対数死 滅(10g kill)測定以上にGTPD−アルブミンによりウィルスの不活 性化が達成された。
現在入手可能なデータに従って、少なくともレトロウィルス科の1つは、この発 明の処理に適用できる。レトロウィルス科の中で最も札付きの、HiV−1、ヒ トにおいてエイズを誘発し得るとして同定された唯一のウィルスは、この発明の 方法および構成物を用いて不活性化および/または死滅させられる。その他のレ トロウィルス科は、この発明に適用できると考えられ、さらにレトロウィルスで 感染された器官、組織、細胞および体液のウィルスの持込みを阻止するための処 理は、この発明の範囲内である。
好ましい実施例の記載 たとえばカプリル酸塩を用いたり、加熱したりするような従来の方法によって安 定化されていないアルブミンを用いて、特に顕著な結果が達成される。従来の技 術に従えば、そのようなアルブミンの生産物は病原性ウィルスの潜在的な存在の ために安全ではないとみなされるであろう。しかしながら、安定化および加熱の 工程がアルブミンへのGTPDの添加に置換えられるならば、ウィルスは不活性 化され、さらにアルブミンは生体に適切である。この方法によって形成されたG TPD−アルブミンは、従来のアルブミンから調製されたGTPD−アルブミン よりもより高い生体活性を有する。
低温殺菌しない(ウィルス不活性化のために加熱処理しない)アルブミンから調 製されたGTPD−アルブミンの抗ウィルス活性において、劇的で予期できない 増加が実証された。この実証においては、細胞が対数増殖期にあるVSV/BV D感受性細胞系が用いられ、サンプルは水泡性口炎ウィルス(V S V)の1 09pfuが接種され、−夜培養された後、10%FBS (胎仔ウシ血清)が 添加されたMEM中で連続的に希釈され、その後、vSvを接種された。0.1 0%GTPD (カルベンオキソロン)単独および種々のアルブミンの5%溶液 中に0.10%GTPD(カルベンオキソロン)は、1:102から1:109 までの希釈率で導入された。細胞はCPEが起こされるウィルスのために5日間 毎日検査された。次に示す表は比較した結果を要約している。
TPDによるvSvの対数死滅 非特定                   4.6バクスターブミネー1・ (USP Lot 2746M0IIAA)  1. 3マイルスヒユーマンア ルブミン脂肪酸フリー(Lot82−324 )                  1. 6ハイランド1s9988ヒトアルブミン       2.0安 定化されておらず、低温殺菌されていない溶媒洗浄アルブミン               5.6+ヒト血清アルブミンはコーン分画により調製され、溶媒− 洗浄剤沈澱およびアルコール限外濾過を行ない、加熱せずしかもカプリル酸塩ま たはトリプトファンのような安定剤を添加しなかった。
アルブミンに結合するGTPDの最大希釈濃度では抗ウィルス活性が実際上減少 し得るが、GTPDのより高い濃度は使用することができ、さらにアルブミンの 生物学的能力が最も小さいときでさえもウィルスの不活性化は減少されず、一般 的に促進が認められることは注目すべきことである。
しかしながら、安定化されておらず、かつ加熱されてい−ないアルブミンは、「 従来の」すなわち安定化および低温殺菌されているアルブミンに比べ非常に優れ ている。これはおそらく、より大きな生物学的効果の結果としてGTPD−アル ブミンが形成される能力が非常に増加したためであろう。最大に希釈された濃度 においてさえも、およそ6対数死滅が見られた。より少ない希釈(GTPDのよ り高い濃度)では、対数死滅は約7から9で明らかに完全なものであった。
GTPD−アルブミンとしてGTPDを添加することにより、脂質タンパク質お よび/または脂肪酸によるGTPDの抗−ウィルス活性の失活が、排除されるか または非常に減じられることが見出されてきた。
アルブミンの(a)GTPDと結合する能力、(b) GTPDのウィルス不活 性化能力を減少させずかつ一般的に促進する能力および(C)低い濃度でGTP Dが赤血球を溶血させる傾向を排除するかまたは大きく減じる能力は非常に重要 なことである。これらの結果は、GTPDがそのウィルス抑制能力を失うことな くアルブミンを介して系内に運ばれ得ること、GTPDが他の態様で可能な濃度 よりより高い濃度で使用し得ること、およびGTPDが溶血が容認できないとこ ろでも使用し得ることを意味している。
従来の技術で報告されたように、GTPDがアルブミンと結合するであろうこと が知られている。GTPD−アルブミンをもたらす結合の性質は完全に理解され ていない。
アルブミンに結合されたGTPDは化学的および生物学的に、より劣る活性を有 するだろうと考えられた。しかしながら、非常に驚いたことにアルブミンに結合 したGTPDのウィルス不活性化能力は、減少されないばかりか、少なくともい くつかの例において促進されることが見出された。
しかしながら、最も興味のある発見は、血液または濃縮された赤血球において、 GTPDの高い濃度での赤血球を溶解する傾向が非常に減じられるということで あった。低い濃度では、GTPD単独は実際赤血球を安定化する。しかし高い濃 度では、GTPDは赤血球を溶解する傾向にある。
このことは、血液および血液製剤において、GTPDの濃度を実際に狭い範囲の 中にとどめておく必要があった。しかしながら、GTPDはGTPD−アルブミ ンとして血液に添加することで、GTPDを単独で添加したならば細胞を溶解す るであろう濃度の2倍から5倍の濃度で、RBCの溶解が認められずに添加する ことができる。このことは、GTPDのより高い濃度での使用を可能にし、ウィ ルス不活性化をより確実にし、しかも混合時の溶血の危険性をより少なくする。
安定化されず、加熱されていないアルブミンから調製されたGTPD−アルブミ ンは、従来のアルブミンから調製されたGTPDアルブミンよりも溶血の傾向が より少なくなっている。安定化されず、加熱されていないアルブミンからのGT PD−アルブミンによるウィルス−不活性化は、従来のアルブミンからのGTP D−アルブミンのウィルス−不活性化に比べてより高くなっていた。
たとえば、濃縮された赤血球において、0. 5%濃度のカルベンオキソロンの GTPDと10%アルブミンを与えるGTPD−アルブミン溶液を添加すること により、45°Cで約1時間の待機の後、水庖性口炎ウィルス(V S V)の 5−6対数(完全な)死滅が顕著な溶血を見ることなく達成された。
GTPDおよびアルブミンの割合に関して、制限はない。
しかしながら、一般的にアルブミンは重量%ベースで、約5コ1から100:1 またはそれ以上の割合で存在し得る。
たとえば、一般的にGTPDは、アルブミン中で、約0゜0001から約10重 量%の濃度範囲にあり、好ましくは、約0.05重量%から約3重量%の範囲に ある。
1つ以上のグリシルリチントリテルペノイド化合物に十分飽和されたアルブミン は、H8A1.:GTPDを添加シ、GTPDで飽和された実質的なアルブミン を含む沈澱物を回収することにより、簡単にヒトの血清血漿から調製される。し たがって、調製されたアルブミンは、非常に純粋なものではないが、感染性ウィ ルスが排除され、また多くの用途に対して非常に安定である。たとえば、このよ うな生体に適切で感染性ウィルスが排除されたアルブミンは、ヘモグロビンのた めの担体としてGTPD−アルブミンを用い、ヘモグロビンおよび必要とされ得 るであろう化合物を加えることにより、血液代替物の調製において用いることが できるであろう。そのようなGTPD−アルブミンの濃度は約0.25重量%か ら15重量%であろう。飽和に近いアルブミンの溶液を調製し、モしてGTPD を最大量加え、これをGTPD−アルブミンとして用い、そして必要なときに希 釈すれば非常に便利である。
この発明のGTPD−アルブミン構成物は、たとえばクエン酸デキストロース、 クエン酸リン酸デキストロース、EDTA、ヘパリンなどの通常の抗凝血剤を添 加されることができ、それらの抗凝血効果を促進したり、またはその効果につい て全体または部分においてそのような抗凝血剤と置換したりする。
簡単に入手可能なGTPD化合物において、カルベンオキソロンはその抗ウイル ス性効果のためにより好まれている。しかしながら、特にグリシルリチンおよび シクロオキソロンならびにその他のGTPD化合物は、それぞれの化合物に応じ て種々の利点のために用いることができる。
GTPDが脂質および脂質タンパク質を実質的に含む全血に添加される場合、あ る期間を過ぎると、GTPDは吸着さもなくば活性な化合物として溶液から除去 される。しかしながら、GTPD−アルブミンとして添加される場合、GTPD を単独で添加する場合に比べ、より長期間効果的なウィルス不活性化剤としてG TPD化合物は血液中にとどまっている。
GTPD化合物は、GTPD−アルブミンを形成するために酸の形で使用し得る が、GTPD化合物を添加した後は必ずpHを検査する必要がある。また、ある 酸の形のGTPD化合物は血漿のpHを顕著にpH4から5の範囲に低下させる ので、必要ならば、アルブミン溶液を使用する前に、たとえば水酸化ナトリウム または水酸化カリウムでpHを約7.0−8.0に調製する。
GTPD化合物の酸の形態のものは、水に唯一わずかに溶けるが、グリセロール 、アルコール、ジメチルスルホキシドおよびその他の有機溶媒にはよく溶ける。
GTPD化合物の塩、例えばアンモニウム、ナトリウムまたはカリウム塩は、一 般的に水に溶け、ナトリウムおよびカリウム塩がアンモニウム塩よりもより溶け やすい。したがって、GTPD化合物をナトリウムまたはカリウム塩として購入 もしくは調製した方が便利である。
GTPD化合物がウィルスを死滅させるかまたは不活性化させる効果は、胎仔ウ シ血清(F B S)において検証されてきた。この検証において、グリシルリ チン酸は0.05から0.7%の濃度で添加され、続いてpHが6.5から7. 4の間に調整され、それぞれについて検査された結果、すべての場合において比 較的抵抗性を有する水庖口炎ウィルス(V S V)の確立した100%の死滅 が達成された。
この発明は、低温殺菌されていないアルブミンおよび0゜0001から10重量 %好ましくは約0.05から約3重量%の量で含まれる1つ以上のグリシルリチ ントリテルペノイド化合物から本質的に成る商業品において具体化されている。
用語「本質的に成るJは通常の意味において一般的に使用され、すなわち(GT PD−アルブミンに適用されるように)この構成物の主要で大まかな生物学的特 徴は、アルブミンによって決定され、そのような生物学的特徴を破壊したり大き く変化させたりしないような他の物質は存在し得るが、実際、GTPD−アルブ ミンの多くの重要な使用に対する基本は、他の生物学的に活性な種のために、担 体、バッファ、浸透圧制御因子として働くアルブミンの能力にある。用語「低温 殺菌されていない」は、同様に、通常それに対して特徴的に用いられる意味にお いて一般的に使用され、すなわち、アルブミンは、微生物の汚染を除去するため にそのような熱処理から本質的に生じる部分的な変性を伴う加熱処理を受けてい ない。熱処理が排除されているので、カプリル酸塩またはトリプトファンのよう な安定剤を添加する必要はない。
しかしながら、ウィルスの不活性化を保証するために、アルブミンとグリシルリ チントリテルペノイド化合物の混合物を、37±7℃の温度に、典型的には37 から45℃の範囲で少なくとも約1時間またはそれ以上維持することは完全に実 行可能である。このような低温での処理は、アルブミンを変性させない。
この発明は、アルブミンの調製方法においても具体化され、その調製方法は、血 液からの血清の分離の工程および濃縮または血清からのアルブミンの分離の工程 を備え、ウィルスの熱による不活性化はなく、立証可能なウィルスを実質的に十 分、不活性化するために、そのようなアルブミンに0.0001から10.0重 量%好ましくは約0.5から約3重量%の濃度の範囲で1つ以上のグリシルリチ ントリテルペノイド化合物を混合することにより、ウィルスを不活性化する工程 を備えている。通常の分離および濃縮工程、たとえばコーン分画法、アルコール 限外濾過、ブタノールおよびエーテル抽出、カラム処理などは必要な精製度のア ルブミンを得るために用いることができ、しかしアルブミンを部分的に変性する 加熱工程は、ウィルスを不活性化するために利用しない。
産業上の応用 この発明は、血液の分画および血液誘導剤の産業において直接適用されるもので ある。
国際調査報告 国際調斎報告

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 1.1つ以上のグリシルリチントリテルペノイド化合物を含む低温殺菌されてい ないアルブミン。
  2. 2.アルブミンが得られた体液に存在する立証可能なウィルスを効果的に不活性 化するために、アルブミンに基づいて0.0001から10重量%までの量で、 1つ以上のグリシルリチントリテルペノイド化合物を含む低温殺菌されていない アルブミン。
  3. 3.グリシルリチントリテルペノイド化合物の濃度が、約0.05重量%から約 3重量%までである請求項2に記載の低温殺菌されていないアルブミン。
  4. 4.低温殺菌されていないアルブミン濃縮物に1つ以上のグリシルリチントリテ ルペノイド化合物を混合することを備える、生体に適切で、ウィルスが不活性化 されたアルブミンを調製するための方法。
  5. 5.立証可能なウィルスを実質的に十分不活性化するために、アルブミンに基づ いて0.0001から10.0重量%までの濃度で、1つ以上のグリシルリチン トリテルペノイド化合物を低温殺菌されていないアルブミン濃縮物に混合するこ とを備える、生体に適切で、ウィルスが不活性化されたアルブミンを調製するた めの方法。
  6. 6.アルブミン中に、グリシルリチントリテルペノイド化合物が、約0.05か ら約3重量%までの濃度で存在する請求項5に記載の方法。
  7. 7.ヘモグロビンと、1つ以上のグリシルリチントリテルペノイド化合物を含む 低温殺菌されていないアルブミンとを含む血液代替物。
  8. 8.ヘモグロビンと、アルブミンが得られた体液に存在する立証可能なウィルス を効果的に不活性化するために、0.0001から10重量%までの量で、1つ 以上のグリシルリチントリテルペノイド化合物を含む低温殺菌されていないアル ブミンとを含む血液代替物。
  9. 9.ヘモグロビンと、グリシルリチントリテルペノイド化合物の濃度が、約0. 05重量%から約3重量%までである請求項2に記載の低温殺菌されていないア ルブミンとを含む血液代替物。
  10. 10.(a)ヘモグロビン、(b)生体に適切で、ウィルスが不活性化された、 低温殺菌されていないアルブミンおよび(c)1つ以上のグリシルリチントリテ ルペノイド化合物を共に混合することを備える、血液代替物を調製するための方 法。
  11. 11.(a)ヘモグロビン、(b)生体に適切で、ウィルスが不活性化され、低 温殺菌されていないアルブミンおよび(c)立証可能なウィルスを実質的に十分 に不活性化するための、0.0001から10重量%までの濃度の1つ以上のグ リシルリチントリテルペノイド化合物、を共に混合することを備える血液代替物 を調製するための方法。
  12. 12.グリシルリチン化合物が、約0.05から約3重量%までの濃度で存在す る請求項11に記載の方法。
  13. 13.アルブミンを沈澱させるために、血清を含むアルブミンに約0.25重量 %から約15重量%までの量で1つ以上のグリシルリチントリテルペノイド化合 物を添加する工程と、 1つ以上のグリシルリチントリテルペノイド化合物で実質的に飽和されたアルブ ミンから本質的に成る沈澱物を回収する工程と、を備える1つ以上のグリシルリ チントリテルペノイド化合物で実質的に飽和されたアルブミンを調製する方法。
  14. 14.請求項13に記載の工程による製造物。
  15. 15.アルブミンを沈澱させるために、ヒト血清に約0.25重量%から約15 重量%までの量で、1つ以上のグリシルリチントリテルペノイド化合物を添加す る工程と、1つ以上のグリシルリチントリテルペノイド化合物で実質的に飽和さ れたヒト血清アルブミンから本質的になる沈澱物を回収する工程と、を備える1 つ以上のグリシルリチントリテルペノイド化合物で実質的に飽和されたヒト血清 アルブミンを調製する方法。
  16. 16.請求項15に記載の工程による製造物。
  17. 17.低温殺菌されていないアルブミン濃縮物に、1つ以上のグリシルリチント リテルペノイド化合物を混合することと、アルブミンおよびグリシルリチントリ テルペノイド化合物の混合物を37±7℃の温度で、少なくとも約1時間保持す ることとを備える、生体に適切で、ウィルスが不活性化されたアルブミンを調製 するための方法。
  18. 18.立証可能なウィルスを実質的に十分不活性化するために、アルブミンに基 づいて0.0001から10.0重量%までの濃度で、1つ以上のグリシルリチ ントリテルペノイド化合物を低温殺菌されていないアルブミン濃縮物に混合する ことと、アルブミンおよびグリシルリチントリテルペノイド化合物の混合物を3 7±7℃の温度で、少なくとも約1時間保持することとを備える、生体に適切で 、ウィルスが不活性化されたアルブミンを調製するための方法。
  19. 19.アルブミン中に、グリシルリチントリテルペノイド化合物が、約0.05 から約3重量%までの濃度で存在する請求項5に記載の方法。
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