JPH0350243Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、カムシヤフトとタイミングギヤの
取付装置に関する。

（従来技術） たとえばサイドバブル型エンジンに用いられる
カムシヤフトには、吸気および排気用の各バルブ
を駆動するためのカムが、一体的に形成されると
ともに、クランクシヤフト側のタイミングギヤに
かみ合うタイミングギヤが備えられる。

そのタイミングギヤは、従来鋳鉄またはアルミ
合金によりカムシヤフトと一体鋳造して形成され
ていたが、騒音が大きくなりやすいことから、タ
イミングギヤを樹脂により構成する傾向となりつ
つある。

その一方法として、第１図に示したもの（前
者）と、第２図に示したもの（後者）とがある。

前者の場合、鋳造製カムシヤフト１をインサー
トしてその外周に樹脂でタイミングギヤ２を鋳込
み成形するのであり、また後者の場合には、ブツ
シユ３を鋳込んだ樹脂製ギヤ２を、圧入などによ
りカムシヤフト１に固定する方式をとつている
（特開昭57−179422号公報参照）。

いずれの方式にせよ、特別な製造工程を必要と
するので、生産性の向上が図れず、またタイミン
グギヤ２が、カムシヤフト１の軸心に近いギヤ嵌
合部４の外周を介して固定されているから、ギヤ
２は、軸方向とか周方向の力に弱い状態となり、
とくに前者において、カムシヤフト１を鋳鉄製と
した場合には、樹脂と鋳鉄とでは熱膨張率が大き
く違うことから、熱影響にともなつてがたが大き
くなり、ギヤ２が周方向にずれたり、ギヤの幅方
向にがたついたりするおそれがある。

後者の場合にも前者と同様に生産性および安定
性の面で課題があるが、とくに後者の場合には、
カムシヤフト１の中心に近い部分、つまりギヤ嵌
合部４でギヤ２の周方向の取付角が決まるから、
ギヤ嵌合部４における角度が正規取付角に対して
微小にずれていても、外周の歯部においては、周
方向の長さとして大きなずれとなつてあらわれ、
カム５および６との関係でバルブ開閉のタイミン
グが狂いやすいものであつた。

（考案の目的） この考案は、上記従来の不都合を解消するため
になされたもので、生産性の向上を図るととも
に、タイミングギヤのカムに対する取付角度をよ
り正確なものとすることができ、しかも熱的影響
を受けてもほとんどがたが生じないようにするこ
とを目的とする。

（考案の構成） 上記目的を達成するために、この考案は、カム
シヤフトの外周部に一体的に形成したギヤ取付用
フランジに、樹脂製のタイミングギヤを軸方向の
一側方から当て付け、上記フランジとタイミング
ギヤの対応する位置に、少なくとも１以上が不等
ピツチとなつたリベツト穴を貫通して形成すると
ともに、上記リベツト穴にリベツトを挿通し、タ
イミングギヤの他面に当て付けたバツクアツププ
レートと共に上記タイミングギヤをギヤ取付用フ
ランジに締結したものである。

（実施例） 以下、この考案の実施例を図面にしたがつて説
明する。

第３図において、１は、サイドバルブ型エンジ
ンのカムシヤフトであり、このカムシヤフト１
は、両端に軸受部７および８を有し、また中途
に、図示しない吸気バルブと排気バルブを開閉す
るための第１カム５と第２カム６とを一体的に形
成し、ここでは鋳鉄によつて成形されている。も
ちろんアルミダイキヤストそのほかによつて形成
してもよい。

９は、ギヤ取付用フランジで、カムシヤフト１
に一体的に形成され、このフランジ９の一側に、
ギヤ嵌合部４を備えてある。

２は、丁字型の断面形状としたタイミングギヤ
で、樹脂成形されている。このギヤ２は、中心に
嵌合穴１０を備え、この嵌合穴１０を、ギヤ嵌合
部４に精度よく嵌着するようにしてある。

またこのタイミングギヤ２のウエブ１１は、上
記ギヤ取付用フランジ９に一側方から当て付けら
れた状態とされている。

上記ギヤ取付用フランジ９とウエブ１１のそれ
ぞれ４個所には、第４図にも示すようにリベツト
穴１２および１３が軸方向に対応すべく貫通して
形成されている。これら両リベツト穴１２および
１３を通じてリベツト１４を挿通し、第３図のウ
エブ１１の他側面に当て付けたバツクアツププレ
ート１５とともに締結されている。

なお、上記リベツト１４のうちの１つは、第４
図に示すように水平中心線Ｘと垂直中心線Ｙから
はずれた位置に設けられ、つまり均等ピツチでは
なく不等ピツチとなるように配置することによ
り、タイミングギヤ２のカムシヤフト１に対する
取付角が常に一定となるようにし、カムシヤフト
１に対する誤つた取付を防止するようにしてあ
る。なお、１以上が不等ピツチでも差支えはな
い。

上記構成において、タイミングギヤ２は、ギヤ
取付用フランジ９に当て付けてリベツト止めすれ
ば固定できるので、組立てが非常に簡単になり、
生産性を向上させることができる。

また、タイミングギヤ２は、カムシヤフト１の
中心からかなり離れた位置でリベツト止めされて
いるので、ギヤ嵌合部４で位置決めされるものに
比べて、ギヤ２とカムシヤフト１の取付角度に誤
差が生じにくい。つまり、従来のものより、さら
に外径寄りの位置で位置決めがなされるので、位
置決めされた位置が若干ずれたとしても、ギヤ歯
部における誤差は、さほど大きなずれとして現わ
れない。

また、タイミングギヤ２は、リベツト１４によ
つて締め付けて固定されているので、軸方向に倒
れにくく、しかも周方向にずれにくい。さらに熱
影響を受けても締結されているから、がたを生じ
るおそれがなく、とくに、カムシヤフト１をアル
ミ製とすれば樹脂製のタイミングギヤ２との熱膨
張差は微小となり、がたを十分抑え、正常なタイ
ミングでバルブを開閉することができる。

さらに回転力を伝える固定部が、カムシヤフト
１のギヤ嵌合部４よりも外径方向に離れているの
で、リベツト１４が小さいピン径であつたとして
も、十分大きな力を伝えることができる。

さらに上記バツクアツププレート１５を用いる
と、リベツト締結時に、樹脂製タイミングギヤ２
を保護するとともに、ギヤ２がバツクアツププレ
ート１５によつてサンドイツチ状、つまりバツク
アツププレートがたわんで、柔軟な樹脂製タイミ
ングギヤにくい込み、またリベツトがバツクアツ
ププレートにくい込むように締め付けられるか
ら、ウエブ１１を補強し、ギヤ２の熱変形も効果
的に防止する。

また、上記リベツト１４に代えてボルトによる
固定が考えられたが、ボルト穴とボルトとの間に
クリアランスがあるため、がたの発生は避けられ
ず、また、ねじのゆるみもあつて好ましくない。
さらにボルトの頭が重量を増大させるとともに、
ナツトなしでボルトのみで締結しようとすると、
ギヤ取付用フランジ９にボルト用のめねじを形成
しなければならず、そうするとめねじの山数があ
る程度必要となることから、フランジ９の幅も増
大し、重量アツプを招きやすい。こうした理由に
より、リベツト締結方式を採用した。

なお、リベツト１４の１つを、ノツクピンとし
て機能するように構成すれば、回転方向の取付精
度を向上させることができる。

（考案の効果） 以上説明したように、この考案によれば、カム
シヤフトのギヤ取付用フランジに、タイミングギ
ヤを一側方から当て付け、上記フランジとタイミ
ングギヤの対応する位置に、少なくとも１以上が
不等ピツチとなるように形成したリベツト穴を通
じてリベツトを挿通し、タイミングギヤを、ギヤ
取付用フランジに締結して構成したので、生産性
の向上が図れるとともに、タイミングギヤのカム
に対する取付角度を、より正確なものとすること
ができ、しかも熱的影響を受けても、締結によ
り、がたを生ずるおそれがないという効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例を示す断面図、第２図は他の従
来例を示す断面図、第３図はこの考案の一実施例
を示す断面図、第４図は第３図Ａ方向からの矢視
図である。 １……カムシヤフト、２……タイミングギヤ、
９……ギヤ取付用フランジ、１２，１３……リベ
ツト穴、１４……リベツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. カムシヤフトの外周部に一体的に形成したギヤ
   取付用フランジに、樹脂製のタイミングギヤを軸
   方向の一側方から当て付け、上記フランジとタイ
   ミングギヤの対応する位置に、少なくとも１以上
   が不等ピツチとなつたリベツト穴を貫通して形成
   するとともに、上記リベツト穴にリベツトを挿通
   し、タイミングギヤの他面に当て付けたバツクア
   ツププレートと共に上記タイミングギヤをギヤ取
   付用フランジに締結してなるカムシヤフトとタイ
   ミングギヤの取付装置。