JPH0349996Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 Ａ 考案の目的 (1) 産業上の利用分野 本考案は、エンジンのオイルパン下面に結着さ
れるエクステンシヨンケースの中空部に、エンジ
ンのクランク軸に連結されてプロペラ軸を駆動す
る駆動軸を収容し、エンジンのシリンダヘツドと
エクステンシヨンケースとの間にシリンダヘツド
の排気ポートをエクステンシヨンケースの中空部
に開放する排気路ブロツクを介装し、エンジンの
水ジヤケツトの入口通路にエクステンシヨンケー
スの中空部を縦走する送水管を連通し、またその
出口通路をエクステンシヨンケースの中空部に開
放した船外機の水冷装置に関する。

(2) 従来の技術 従来、かかる船外機の水冷装置では、エンジン
の水ジヤケツト入口通路と送水管との間を連通す
る給水路をエンジンのオイルパンに設けていた。

(3) 考案が解決しようとする問題点 そのような水冷装置では、送水管から給水路に
送出された冷却水は、高温になり難いオイルパン
をまず冷却してしまうため、潤滑油の温度上昇が
遅れ、エンジンの暖機運転時間を長くする欠点が
ある。

本考案は、そのような欠点を解消すると共に、
排ガスを冷却してエンジン出力を向上させるよう
にした水冷装置を提供することを目的とする。

Ｂ 考案の構成 (1) 問題点を解決するための手段 そして上記目的を達成するために本考案は、エ
ンジンのオイルパン下面に結着されるエクステン
シヨンケースの中空部に、エンジンのクランク軸
に連結されてプロペラ軸を駆動する駆動軸を収容
し、エンジンのシリンダヘツドとエクステンシヨ
ンケースとの間に、シリンダヘツドの排気ポート
をエクステンシヨンケースの中空部に開放する排
気路ブロツクを介装し、エンジンの水ジヤケツト
の入口通路に、エクステンシヨンケースの中空部
を縦走する送水管を連通し、またその出口通路を
エクステンシヨンケースの中空部に開放してな
る、船外機の水冷装置において、前記送水管内の
水がオイルパンを避けて前記入口通路に向かい且
つ前記出口通路内の水が同オイルパンを避けてエ
クステンシヨンケースの中空部に向かうように、
その両通路を排気ポートに隣接してシリンダヘツ
ドに、また該入口通路に送水管を連通させる給水
路と該出口通路をエクステンシヨンケースの中空
部に開放する排水路とを前記排気路ブロツクにそ
れぞれ形成したことを特徴とする。

(2) 作用 送水管から送られる冷却水は、排気路ブロツク
の給水路を経てシリンダヘツドの入口通路に流入
し、水ジヤケツトに至る。したがつて、冷却水を
オイルパンに通すことなく水ジヤケツトに供給す
ることができる。

水ジヤケツトを通過した水はシリンダヘツドの
出口通路、排気路ブロツクの排水路を順次経てエ
クステンシヨンケースの中空部に排出される。そ
の際、冷却水はシリンダヘツドの排気ポート及び
排気路ブロツクの排気路の傍を通過することにな
るので、エンジンの排ガスを効果的に冷却するこ
とができる。

(3) 実施例 以下、図面により本考案の一実施例について説
明すると、第１図において船外機のエンジンＥは
クランク軸１が垂直になるように配置され、この
クランク軸１の回転トルクは垂直配置の駆動軸２
及び傘歯車伝動装置３を介して水平配置のプロペ
ラ軸４に伝達し、プロペラ５を回転駆動する。

エンジンＥの下面には、前記駆動軸２を中空部
７ａに収容するエクステンシヨンケース７が、ま
た該ケース７の下面には前記傘歯車伝動装置３を
油密に収容するギヤケース８が順次結着される。

エクステンシヨンケース７には、その前方へ突
出する上下一対のエクステンシヨンブラケツト
９，９′が弾性支持部材１０，１０を介して取付
けられており、これらエクステンシヨンブラケツ
ト９，９′は、略垂直配置のスイベル軸１１を介
してスイベルケース１２に操向可能に連結され
る。またスイベルケース１２は、船体Ｓの船尾板
Saにクランパ１７により着脱自在に固定される
左右一対のスターンブラケツト１３，１３の上部
に水平の枢軸１４を介して上下方向チルト可能に
連結される。

上部のエクステンシヨンブラケツト９にはハン
ドルブラケツト１５が一体的に形成されており、
これに操舵ハンドル１６が枢着される。

第２図に示すように、エンジンＥの本体は、前
記クランク軸１の上端部を支承する上部クランク
ケース２０ａと、このクランクケース２０ａの下
面に結着されてクランク軸１の下端部を支承する
下部クランクケース２０ｂと、クランク軸１に連
接されるピストン２１を収容するシリンダブロツ
ク２２と、このシリンダブロツク２２の端面に結
着されるシリンダへツド２３と、シリンダヘツド
２３の下面にガスケツト３６を介して重合され、
ボルトB₁で固着される排気路ブロツク３５とよ
り構成され、シリンダブロツク２２は船体Ｓの後
方を向いた位置で上部クランクケース２０ａと一
体に形成される。下部クランクケース２０ｂは、
それに潤滑油を貯留させてオイルパンに兼用され
る。

クランク軸１の上端に固着されるフライホイー
ル２４の下面には始動用のリングギヤ２５が固設
され、このリングギヤ２５を駆動するためのリコ
イル式スタータ２６が上部クランクケース２０ａ
の前壁に取付けられる。

シリンダヘツド２３には、ピストン２１の上端
面が臨む燃焼室２７と、この燃焼室２７に開口す
る吸気ポート２８及び排気ポート２９とが形成さ
れ、排気ポート２９の出口２９ａはシリンダヘツ
ド２３の下面に開口される。吸、排気ポート２
８，２９は吸、排気弁３０，３１によつて開閉さ
れるようになつている。

また、シリンダブロツク２２及びシリンダヘツ
ド２３には一連の冷却用水ジヤケツト３２が形成
され、この水ジヤケツト３２の入口通路３２ａ及
び出口通路３２ｂは排気ポート２９と並んでシリ
ンダヘツド２３の下面に開口される。

シリンダヘツド２３の上部には、水ジヤケツト
３２と出口通路３２ｂ間の連通及び遮断を制御す
るサーモスタツトＴが設置される。

排気路ブロツク３５には排気ポート２９に連な
る排気路３３が形成され、排気路３３は、下部ク
ランクケース２０ｂ側に膨出する膨出部３３ａを
有する靴形をなしている。

また、第３図ないし第５図に示すように、排気
路ブロツク３５には、水ジヤケツト３２の入、出
口通路３２ａ，３２ｂにそれぞれ連なる給、排水
路３４ａ，３４ｂとが設けられ、これらは排気路
３３と共に排気路ブロツク３５の鋳造時に形成さ
れる。

一方、第２図及び第６図に示すように、エクス
テンシヨンケース７の上端にはその後方へ突出す
る延長部３７が一体に連設されており、この延長
部３７には、前記排気路３３及び排水路３４ｂを
共にエクステンシヨンケース７の中空部７ａに開
放する排出路３８と、前記バイパス３９に連なる
排水室４３とが形成され、この排水室４３の側壁
上面には排気路３３に向かつて排出路３８に開口
する切欠状のバイパス出口３９ａが、またその底
壁には外部に開口する検水孔４４が設けられる。

排気路ブロツク３５の下面は下部クランクケー
ス２０ｂの下面と面一に、また延長部３７の上面
はエクステンシヨンケース７の上面と面一にそれ
ぞれ形成されており、これら対向面間にステンレ
ス鋼板製の一連の仕切板４１と、該板４１の上下
両面に重合される一対のガスケツト４２ａ，４２
ｂとが介装され、そして下部クランクケース２０
ｂとエクステンシヨンケース７はボルトB₂によ
り、また排気路ブロツク３５と延長部３７はボル
トB₃により結着される。

第２図及び第７図に示すように、前記仕切板４
１には駆動軸２に貫通される第１透孔４６₁と、
ゴム製のグロメツト状弾性ジヨイント４５が装着
される装着孔４７と、バイパス３９及び排水室４
３間を連通する第２透孔４６₂と、排気路３３の
膨出部３３ａ及び排出路３８間を連通する第３透
孔４６₃と、排水路３４ｂ及び排出路３８間を連
通する第４透孔４６₄とが穿設される。そして、
仕切板４１の第１及び第３透孔４６₁，４６₃間の
部分は、エクステンシヨンケース７の中空部７ａ
に突入して駆動軸２に迫る第１隔壁４８₁とされ、
また第３及び第４透孔４６₃，４６₄間の部分は、
その両透孔４７，４８間を前記排気路３３及び排
水路３４ｂ間の隔壁の厚さより大きく離隔させる
第２隔壁４８₂とされる。

仕切板４１に装着される弾性ジヨイント４５の
上端部は前記給水路３４ａに密合され、該ジヨイ
ント４５の中空部にはエクステンシヨンケース７
の中空部７ａを縦走する送水管４０の上端が密合
され、こうして送水管４０及び給水路３４ａは相
互に連通される。

再び第１図において、ギヤケース８には、その
側部に複数の小さな吸水口５０が、またその後部
に排出口５１がそれぞれ設けられる。さらにギヤ
ケース８には駆動軸２により駆動される水ポンプ
５２が設置され、この水ポンプ５２の吸入側に前
記吸水口５０が連通され、その吐出側に前記送水
管４０の下端が固定される。

尚、第２図中５３は下部クランクケース２０ｂ
の下部とこれを貫通するクランク軸１との間に装
着されたウオータシール、５４はエンジンカバー
である。

次にこの実施例の作用を説明する。

エンジンＥの運転中、駆動軸２から駆動される
水ポンプ５２は吸水口５０から外部の水、例えば
海水を吸い込んで送水管４０に圧送するので、エ
ンジンが冷機状態にあれば、サーモスタツトＴは
閉弁して水ジヤケツト３２と出口通路３２ｂ間を
遮断している。したがつて送水管４０に圧送され
た水は給水路３４ａに進入するも、直ちにバイパ
ス３９から排水室４３へ移り、バイパス出口３９
ａ及び検水孔４４から排出される。したがつて水
ジヤケツト３２では水の流通が生じないため、エ
ンジンＥの暖機が促進される。

バイパス出口３９ａを出た水は排出路３８から
エクステンシヨンケース７の中空部７ａへと流下
し、排出口５１から外部に排出される。また、検
水孔４４から出た水は操縦者の目に止まり、これ
により水ポンプ５２の作動状態が確認される。

エンジンＥが暖機状態となり、サーモスタツト
Ｔが開弁すると、送水管４０から給水路３４ａに
送られた大部分の水は入口通路３２ａから水ジヤ
ケツト３２に進入し、一部の水は先刻と同様にバ
イパス３９へ流出する。

水ジヤケツト３２に進入した水は、シリンダブ
ロツク２２の上部及びシリンダヘツド２３を冷却
した後、サーモスタツトＴを経て出口通路３２
ｂ、排水路３４ｂ、排出路３８、中空部７ａへと
流下し、排出口５１から外部に排出される。

ところで、このような冷却系において、水ジヤ
ケツト３２の入、出口通路３２ａ，３２ｂはシリ
ンダヘツド２３に、また給、排水路３４ａ，３４
ｂは排気路ブロツク３５にそれぞれ形成されるも
ので、送水管４０から送られる冷却水は下部クラ
ンクケース２０ｂ、即ちオイルパンを経ることな
く水ジヤケツト３２に送られる。したがつて冷却
水によるオイルパン２０ｂの過冷却が回避される
から、潤滑油の速やかな温度上昇を得て、エンジ
ンＥの暖機を促進することができ、同時に排気ポ
ート２９周辺部、したがつて排ガスを冷却水によ
り効果的に冷却することができる。

一方、エンジンＥの燃焼室２７より排気ポート
２９に排出される排ガスは、排気路３３を通過し
た後、排出路３８に流出し、前記冷却水に接して
温度降下しながら、エクステンシヨンケース７の
中空部７ａに移るので、駆動軸２等に接しても、
これらを過熱するようなことはない。また排出路
３８の下流側開口部上方には第１隔壁４８₁が配
設されるので、この隔壁４８₁により排ガスの上
方への流れが阻止され、ウオータシール５３を高
温の排ガスから保護することができる。

エクステンシヨンケース７の中空部７ａに移つ
た排ガスは下方へ流し、前記冷却水と共に、排出
口５１から外部へ排出される。

Ｃ 考案の効果 エンジンのオイルパン下面に結着されるエクス
テンシヨンケースの中空部に、エンジンのクラン
ク軸に連結されてプロペラ軸を駆動する駆動軸を
収容し、エンジンのシリンダヘツドとエクステン
シヨンケースとの間に、シリンダヘツドの排気ポ
ートをエクステンシヨンケースの中空部に開放す
る排気路ブロツクを介装した形式の船外機の水冷
装置において、エクステンシヨンケースの中空部
を縦走する送水管内の水がオイルパンを避けてエ
ンジンの水ジヤケツトの入口通路に向かい且つ水
ジヤケツトの出口通路内の水が同オイルパンを避
けてエクステンシヨンケースの中空部に向かうよ
うに、その両通路を排気ポートに隣接してシリン
ダヘツドに、また該入口通路に送水管を連通させ
る給水路と該出口通路をエクステンシヨンケース
の中空部に開放する排水路とを排気路ブロツクに
それぞれ形成したので、エンジンのオイルパンと
は別体の排気路ブロツクを利用して、エンジンの
水ジヤケツトへの冷却水の供給及び排出を行うこ
とができ、従つて冷却水によるオイルパンの過冷
却を防止してエンジンの暖機促進に寄与すること
ができる。しかも上記冷却水によつて、燃焼室よ
り排出直後の排ガスをシリンダヘツド及び排気路
ブロツク内において冷却することができるから、
エクステンシヨンケース内で大きく膨張する前の
高温状態の排ガスに対して効果的な冷却を行うこ
とができ、その結果、背圧低下に有効であり、エ
ンジン出力の向上に寄与することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図
は船外機の一部縦断側面図、第２図はエンジン部
の拡大縦断側面図、第３図は第２図の−線断
面図、第４図は第３図の−線断面図、第５図
は第２図の−線断面図、第６図はエクステン
シヨンケースの平面図、第７図は仕切板の平面図
である。 Ｅ……エンジン、１……クランク軸、２……駆
動軸、４……プロペラ軸、７……エクステンシヨ
ンケース、７ａ……中空部、２０ｂ……オイルパ
ンとしての下部クランクケース、２２……シリン
ダブロツク、２３……シリンダヘツド、３２……
水ジヤケツト、３２ａ……入口通路、３２ｂ……
出口通路、３３……排気路、３４ａ……給水路、
３４ｂ……排水路、３５……排気路ブロツク、３
８……排出路、３９……バイパス、４０……送水
管、４１……仕切板、４３……排水室、４４……
検水孔、５０……吸水口、５１……排出口、５２
……水ポンプ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) エンジンＥのオイルパン２０ｂ下面に結着さ
   れるエクステンシヨンケース７の中空部７ａ
   に、エンジンＥのクランク軸１に連結されてプ
   ロペラ軸４を駆動する駆動軸２を収容し、エン
   ジンＥのシリンダヘツド２３とエクステンシヨ
   ンケース７との間に、シリンダヘツド２３の排
   気ポート２９をエクステンシヨンケース７の中
   空部７ａに開放する排気路ブロツク３５を介装
   し、エンジンＥの水ジヤケツト３２の入口通路
   ３２ａに、エクステンシヨンケース７の中空部
   ７ａを縦走する送水管４０を連通し、またその
   出口通路３２ｂをエクステンシヨンケース７の
   中空部７ａに開放してなる、船外機の水冷装置
   において、前記送水管４０内の水が前記オイル
   パン２０ｂを避けて前記入口通路３２ａに向か
   い且つ前記出口通路３２ｂ内の水が同オイルパ
   ン２０ｂを避けてエクステンシヨンケース７の
   中空部７ａに向かうように、その両通路３２
   ａ，３２ｂを排気ポート２９に隣接してシリン
   ダヘツド２３に、また該入口通路３２ａに送水
   管４０を連通させる給水路３４ａと該出口通路
   ３２ｂをエクステンシヨンケース７の中空部７
   ａに開放する排水路３４ｂとを前記排気路ブロ
   ツク３５にそれぞれ形成したことを特徴とす
   る、船外機の水冷装置。 (2) 前記オイルパン２０ｂ及びその一側に並設し
   た前記排気路ブロツク３５の各下面には、その
   両下面に跨がる仕切板４１を介して前記エクス
   テンシヨンケース７の上端部が接合されて、該
   仕切板４１により前記中空部７ａの開放上面が
   閉塞され、前記仕切板４１には、前記排気路ブ
   ロツク３５の排気路３３及び前記排水路３４ｂ
   を前記中空部７ａに連通させる透孔４６₃．４
   ６₄が該排気路ブロツク３５の直下において穿
   設されてなる、前記実用新案登録請求の範囲第
   (1)項記載の、船外機の水冷装置。