JPH0219288B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 Ａ 発明の目的 (1) 産業上の利用分野 本発明は船外機、特に、中空部が喫水線下の排
出口に連なるエクステンシヨンケースの上面にバ
ーチカル型四サイクルエンジンのクランクケース
を結着すると共に、前記中空部に配設されてプロ
ペラ軸を駆動する駆動軸にエンジンのクランク軸
を連結し、エンジンの排気系を前記中空部に開放
したものに関する。

(2) 従来の技術 この種船外機では、シリンダヘツドの位置がエ
クステンシヨンケースの中空部の中心線から大き
くずれているので、従来では、エンジンの排ガス
を温度降下させて前記中空部まで誘導するために
は、エクステンシヨンケース上面に結着されるク
ランクケースの下面まで排気ポートを延ばし、そ
の排気ポートに連なる排気管を前記中空度に長く
垂下させ、その両端をクランクケース及びエクス
テンシヨンケースに結着していた（例えば特開昭
58−43895号公報参照）。

(3) 発明が解決しようとする問題点 そのような従来の船外機では、排気系の整備を
行う際には、エンジン全体をエクステンシヨンケ
ースから取り外さなければならず、整備性が悪い
ばかりでなく、排気系の構造が複雑で製作費が高
くつく欠点がある。

本発明は、そのような欠点を解消すべく提案さ
れたもので、エンジンの排気系の分解が容易でそ
の整備性が良好であり、しかも構造が簡単な前記
船外機を提供することを目的とする。

Ｂ 発明の構成 (1) 問題点を解決するための手段 上記目的を達成するために、本発明は、クラン
クケースの後方に向けて水平に配置されるシリン
ダブロツクの後端面にシリンダヘツドをボルトに
より結着し、このシリンダヘツドの下面に排気路
ブロツクをボルトにより結着し、エクステンシヨ
ンケースの上部には、前記排気路ブロツク直下に
突出する延長部を連設すると共に、この延長部及
び排気路ブロツク間をボルトにより結着し、シリ
ンダヘツドに形成された排気ポートと、排気路ブ
ロツクに形成されて前記排気ポートに連なる排気
路と、前記延長部に形成されて前記排気路をエク
ステンシヨンケースの中空部に連通させる排出路
とから排気系を構成したことを特徴とする。

(2) 作用 エンジンの燃焼室から排出される排ガスはシリ
ンダヘツドの排気ポート、排気路ブロツクの排気
路及びエクステンシヨンケース延長部の排出路を
順次経てエクステンシヨンケース中空部に排出さ
れる。この間に排ガスは、圧力を下げると同時に
シリンダヘツド、排気路ブロツク及び延長部に熱
を奪われて温度を降下させるので、排ガスがエク
ステンシヨンケース中空部の駆動軸に接しても、
これに障害を及ぼすこともない。前記中空部に排
出された排ガスは排出口から外部の水中に排出さ
れる。

エンジンの排気系の整備に際しては、シリンダ
ブロツクとシリンダヘツドと排気路ブロツク、排
気路ブロツクとエクステンシヨンケース延長部の
各間のボルトによる結着を解けば、エンジンの主
要部をエクステンシヨンケースに結着したまま
で、シリンダヘツド及び排気路ブロツクをそれぞ
れ取り外すと共にエクステンシヨンケース延長部
の上面を解放することができ、したがつて排気ポ
ート、排気路及び排出路の整備を容易に行うこと
ができる。

(3) 実施例 以下、図面により本発明の一実施例について説
明すると、第１図において船外機の四サイクルエ
ンジンＥはクランク軸１が垂直になるように配置
され、即ちバーチカル型に構成され、このクラン
ク軸１の回転トルクは垂直配置の駆動軸２及び傘
歯車伝動装置３を介して水平配置のプロペラ軸４
は伝達し、プロペラ５を回転駆動する。

エンジンＥの下面には、前記駆動軸２を中空部
７ａに収容するエクステンシヨンケース７が、ま
た該ケース７の下面には前記傘歯車伝動装置３を
油密に収容するギヤケース８が順次結着される。

エクステンシヨンケース７には、その前方へ突
出する上下一対のエクステンシヨンブラケツト
９，９′が弾性支持部材１０，１０を介して取付
けられており、これらエクステンシヨンブラケツ
ト９，９′は、略垂直配置のスイベル軸１１を介
してスイベルケース１２に操向可能に連結され
る。またスイベルケース１２は、船体Ｓの船尾板
Saにクランパ１７により着脱自在に固定される
左右一対のスターンブラケツト１３，１３の上部
に水平の枢軸１４を介して上下方向チルト可能に
連結される。

上部ののエクステンシヨンブラケツト９にはハ
ンドルブラケツト１５が一体的に形成されてお
り、これに操舵ハンドル１６が枢着される。

第２図に示すように、エンジンＥの本体は、前
記クランク軸１の上端部を支承する上部クランク
ケース２０ａと、このクランクケース２０ａの下
面に結着されてクランク軸１の下端部を支承する
下部クランクケース２０ｂと、クランク軸１に連
接されるピストン２１を収容するシリンダブロツ
ク２２と、このシリンダブロツク２２の端面にガ
スケツト１８を介して重合され、ボルトB₀で結
着されるシリンダヘツド２３（第８図及び第９図
参照）と、シリンダヘツド２３の下面にガスケツ
ト３６を介して重合され、ボルトB₁で固着され
る排気路ブロツク３５とより構成され、シリンダ
ブロツク２２は船体Ｓの後方に向つて水平に配置
されるように上部クランクケース２０ａと一体に
形成される。したがつて、シリンダヘツド２３は
エンジンＥの後部位置を占める。下部クランクケ
ース２０ｂは、それに潤滑油を貯留させてオイル
パンに兼用される。

クランク軸１の上端に固着されるフライホイー
ル２４の下面には始動用のリングギヤ２５が固設
され、このリングギヤ２５を駆動するためのリコ
イル式スタータ２６が上部クランクケース２０ａ
の前壁に取付けられる。

シリンダヘツド２３には、ピストン２１の上端
面が臨む燃焼室２７と、この燃焼室２７に開口す
る吸気ポート２８及び排気ポート２９とが形成さ
れ、排気ポート２９の出口２９ａはシリンダヘツ
ド２３の下面に開口される。吸、排気ポート２
８，２９は吸、排気弁３０，３１によつて開閉さ
れるようになつている。

また、シリンダブロツク２２及びシリンダヘツ
ド２３には一連の冷却用水ジヤケツト３２が形成
され、この水ジヤケツト３２の入口通路３２ａ及
び出口通路３２ｂは排気ポート２９と並んでシリ
ンダヘツド２３の下面に開口される。

シリンダヘツド２３の上部には、水ジヤケツト
３２と出口通路３２ｂ間の連通及び遮断を制御す
るサーモスタツトＴが設置される。

排気路ブロツク３５には排気ポート２９に連な
る排気路３３が形成され、排気路３３は、下部ク
ランクケース２０ｂ側に膨出する膨出部３３ａを
有する靴形をなしている。

また、第３図ないし第５図に示すように、排気
路ブロツク３５には、水ジヤケツト３２の入、出
口通路３２ａ，３２ｂにそれぞれ連なる給、排水
路３４ａ，３４ｂとが設けられ、これらは排気路
３３と共に排気路ブロツク３５の鋳造時に形成さ
れる。

一方、第２図及び第６図に示すように、エクス
テンシヨンケース７の上端には前述の排気路ブロ
ツク３５直下に突出する延長部３７が一体に連設
されており、この延長部３７には、前記排気路３
３及び排水路３４ｂを共にエクステンシヨンケー
ス７の中空部７ａに開放する排出路３８と、前記
バイパス３９に連なる排気室４３とが形成され、
この排水室４３の側壁上面には排気路３３に向か
つて排出路３８に開口する切欠状のバイパス出口
３９ａが、またその底壁には外部に開口する検水
孔４４が設けられる。

以上において、排気ポート２９、排気路３３及
び排出路３８はエンジンＥの排気系を構成する。

排気路ブロツク３５の下面は下部クランクケー
ス２０ｂの下面と面一に、また延長部３７の上面
はエクステンシヨンケース７の上面と面一にそれ
ぞれ形成されており、これら対向面間にステンレ
ス鋼板製の一連の仕切板４１と、該板４１の上下
両面に重合される一対のガスケツト４２ａ，４２
ｂとが介装され、そして下部クランクケース２０
ｂとエクステンシヨンケース７はボルトB₂によ
り、また排気路ブロツク３５と延長部３７はボル
トB₃により結着される（特に第８図及び第９図
参照）。

第２図及び第７図に示すように、前記仕切板４
１には駆動軸２に貫通される第１透孔４６₁と、
ゴム製のグロメツト状弾性ジヨイント４５が装着
される装着孔４７と、バイパス３９及び排水室４
３間を連通する第２透孔４６₂と、排気路３３の
膨出部３３ａ及び排出路３８間を連通する第３透
孔４６₃と、排水路３４ｂ及び排出路３８間を連
通する第２透孔４６₄とが穿設される。そして、
仕切板４１の第１及び第３透孔４６₁，４６₃間の
部分は、エクステンシヨンケース７の中空部７ａ
に突入して駆動軸２に迫る第１隔壁４８₁とされ、
また第３及び第４透孔４６₃，４６₄間の部分は、
その両透孔４７，４８間を前記排気路３３及び排
水路３４ｂ間の隔壁の厚さより大きく離隔させる
第２隔壁４８₂とされる。

仕切板４１に装着される弾性ジヨイント４５の
上端部は前記給水路３４ａに密合され、該ジヨイ
ント４５の中空部にはエクステンシヨン７の中空
部７ａを縦走する送水管４０の上端が密合され、
こうして送水管４０及び給水路３４ａは相互に連
通される。

再び第１図において、ギヤケース８には、その
側部に複数の小さな吸水口５０が、またその後部
に排出口５１がそれぞれ喫水線の下方に開口する
ように設けられる。さらにギヤケース８には駆動
軸２により駆動される水ポンプ５２が設置され、
この水ポンプ５２の吸水側に前記吸水口５０が連
通され、その吐出側に前記送水管４０の下端が固
定される。

尚、第２図中５３は下部クランクケース２０ｂ
の下部とこれを貫通するクランク軸１との間に装
着されたウオータシール、５４はエンジンカバー
である。

次にこの実施例の作用を説明する。

エンジンＥの運転中、駆動軸２から駆動される
水ポンプ５２は吸水口５０から外部の水、例えば
海水を吸い込んで送水管４０に圧送するので、エ
ンジンが冷機状態にあれば、サーモスタツトＴは
閉弁して水ジヤケツト３２と出口通路３２ｂ間を
遮断している。したがつて送水管４０に圧送され
た水は給水路３４ａに進入するも、直ちにバイパ
ス３９から排出室４３に移り、バイパス出口３９
ａ及び検水孔４４から排出される。したがつて水
ジヤケツト３２では水の流通が生じないため、エ
ンジンＥの暖機が促進される。

バイパス出口３９ａを出た水は排出路３８から
エクステンシヨンケース７の中空部７ａへと流下
し、排出口５１から外部に排出される。また、検
水孔４４から出た水は操縦者の目に止まり、これ
により水ポンプ５２の作動状態が確認される。

エンジンＥが暖機状態となり、サーモスタツト
Ｔが開弁すると、送水管４０から給水路３４ａに
送られた大部分の水は入口通路３２ａから水ジヤ
ケツト３２に進入し、一部の水は先刻と同様にバ
イパス３９へ流出する。

水ジヤケツト３２に進入した水は、シリンダブ
ロツク２２の上部及びシリンダヘツド２３を冷却
した後、サーモスタツトＴを経て出口通路３２
ｂ、排水路３４ｂ、排出路３８、中空部７ａへと
流下し、排出口５１から外部の水中に排出され
る。

一方、エンジンＥの燃焼室２７から排出される
排ガスは、排気ポート２９、排気路３３及び排出
路３８を順次経てエクステンシヨンケース７の中
空部７ａに排出される。この間に排ガスは、圧力
を下げると同時にシリンダヘツド２３、排気路ブ
ロツク３５及び延長部３７に熱を奪われ、更に排
出路３８で前記冷却水により冷却されることによ
り、温度を降下させるので、これが中空部７ａに
おいて駆動軸２等に接しても、これらを過熱する
ようなことはない。また排出路３８の下流側開口
部上方には第１隔壁４８₁が配設されるので、こ
の隔壁４８₁により排出ガスの上方への流れが阻
止され、ウオータシール５３を高温の排ガスから
保護することができる。

エクステンシヨンケース７の中空部７ａに移つ
た排ガスは下方へ流れ、前記冷却水と共に排出口
５１から外部の水中に排出される。

以上の排気系においては、シリンダヘツド２
３、排気路ブロツク３５及び延長部３７が上下方
向に直列配置されるので、シリンダヘツド２３の
位置がエクステンシヨンケース７の中心線から大
きくずれているにも拘らず、排気ポート２９、排
気路３３及び排出路３８を短く、しかも単純な形
状に形成することが可能であり、したがつてこれ
らの製作が容易となり、コストの低減に寄与し得
る。

エンジンＥの排気系の整備に際しては、ボルト
B₀，B₁，B₃を外すことにより、シリンダブロツ
ク２２とシリンダヘツド２３、シリンダヘツド２
３と排気路ブロツク３５、排気路ブロツク３５と
延長部３７の各間を分離すれば、エンジンＥの主
要部をエクステンシヨンケース７に結着したまま
で、シリンダヘツド２３及び排気路ブロツク３５
をそれぞれ取り外すと共に延長部３７の上面を解
放することができ、したがつて排気ポート２９、
排気路３３及び排出路３８の整備を容易に行うこ
とができる。

Ｃ 発明の効果 以上のように本発明によれば、クランクケース
の後方に向けて水平に配置されるシリンダブロツ
クの後端面にシリンダヘツドをボルトにより結着
し、このシリンダヘツドの下面に排気路ブロツク
をボルトにより結着し、エクステンシヨンケース
の上部には、前記排気路ブロツク直下に突出する
延長部を連設すると共に、この延長部及び排気路
ブロツク間をボルトにより結着し、シリンダヘツ
ドに形成された排気ポートと、排気路ブロツクに
形成されて前記排気ポートに連なる排気路と、前
記延長部に形成されて前記排気路をエクステンシ
ヨンケースの中空部に連通させる排出路とから排
気系を構成したので、シリンダヘツドの位置がエ
クステンシヨンケースの中心線から大きくずれて
いても、長い排気管を用いることなくエンジンの
排ガスを温度降下させながらエクステンシヨンケ
ースの中央部に排出することができる。しかも排
気ポート、排気路及び排出路を短く儡つ単純な形
状に形成することが可能であり、したがつて、こ
れらの製作が容易となり、コストの低減に寄与し
得るものである。

またエンジンの排気系は、エンジンの主要部と
エクステンシヨンケースとの結着状態で、ボルト
を外すことによりシリンダヘツド及び排気路ブロ
ツクをそれぞれ取り外すと共にエクステンシヨン
ケース延長部の上面を解放することができるの
で、排気ポート、排気路及び排出路の整備を容易
に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示すもので、第１図
は船外機の一部縦断側面図、第２図はエンジン部
の拡大縦断側面図、第３図は第２図の−線断
面図、第４図は第３図の−線断面図、第５図
は第２図の−線断面図、第６図はエクステン
シヨンケースの平面図、第７図は仕切板の平面図
第８図及び第９図は構成部材相互の結着状態を示
す船外機上部の側面図及び背面図である。 B₀，B₁，B₃……ボルト、Ｅ……エンジン、１
……クランク軸、２……駆動軸、４……プロペラ
軸、７……エクステンシヨンケース、７ａ……中
空部、２０ａ，２０ｂ……クランクケース、２２
……シリンダブロツク、２３……シリンダヘツ
ド、２９……排気ポート、３５……排気路ブロツ
ク、３７……延長部、３８……排出路、５１……
排出口。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 中空部７ａが喫水線下の排出口５１に連なる
   エクステンシヨンケース７の上面にバーチカル型
   四サイクルエンジンＥのクランクケース２０ａ，
   ２０ｂを結着すると共に、前記中空部７ａに配設
   されてプロペラ軸４を駆動する駆動軸２にエンジ
   ンＥのクランク軸１を連結し、エンジンＥの排気
   系を前記中空部７ａに開放した船外機において、 クランクケース２０ａ，２０ｂの後方に向けて
   水平に配置されるシリンダブロツク２２の後端面
   にシリンダヘツド２３をボルトB₀により結着し、
   このシリンダヘツド２３の下面に排気路ブロツク
   ３５をボルトB₁により結着し、エクステンシヨ
   ンケース７の上部には、前記排気路ブロツク３５
   直下に突出する延長部３７を連設すると共に、こ
   の延長部３７及び排気路ブロツク３５間をボルト
   B₃により結着し、シリンダヘツド２３に形成さ
   れた排気ポート２９と、排気路ブロツク３５に形
   成されて前記排気ポート２９に連なる排気路３３
   と、前記延長部３７に形成されて前記排気路３３
   を前記中空部７ａに連通させる排出路３８とから
   前記排気系を構成したことを特徴とする船外機。