JPH0348144Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野〕 本考案は、上部にクレーン等の作業機を搭載
し、既設杭上を走行移動できる自走装置に関し、
特に、直線的乃至曲線式に地中に打設された既設
杭の上端に沿つて走行移動し所定場所で既設杭に
固持定着し、重量物を持ち上げ移動したり、溝を
掘削する等の作業を行う自走装置に関するもので
ある。

（従来の技術） 殊に、土木建設工事において、既設杭上を走行
移動する自走装置として各種構成のものがある。

既設杭上を自走しながら順次杭を打設していく
反力式の静荷重式圧入引抜機にクレーン装置を付
加した構造のものが使用されている。このような
従来の構造のものでは比較的曲率の小さいカーブ
であれば既設杭に沿つて自走移動できるが、直角
的に曲がるコーナーでは昇降マストの構造上全周
回転が不能であるため補助杭を１本捨て打ちし
て、この補助杭を足掛かりに本体を載せて移動方
向を直角に変更するる必要があつた。また、こう
した従来装置では杭打ち込みのための上下昇降ス
トロークが小さいため上端を平坦に打設した既設
杭上を走行できなかつた。

一方、本考案者は特開昭59−17491号で反力装
置付き自力移動型クレーンを既に提案している。
このクレーンは前端の先進用第一クランプと複数
の反力アンカ用第２クランプを有するサドル上に
進行方向前後に摺動するスライドベースを設けて
なるもので、上端が平坦に打設された既設杭上を
走行移動できるが大きな曲率を持つカーブ乃至直
角に曲がるコーナーを移動することは不可能であ
つた。

（発明が解決しようとする問題点） 上述した従来構成の自走装置による自走式クレ
ーンは大きい曲率のカーブ乃至コーナーで走行移
動が不能となる問題があつた。静荷重式圧入引抜
機にクレーン装置を付加した従来装置では、コー
ナー部近傍に補助杭を１本捨て打ちすればこれを
足掛りにコーナーを通過することも可能である
が、 補助杭の打設及びクレーン装置をこの補助杭に載
置させる手間、労力が大きく、作業性が低かつ
た。

（問題点を解決するための手段） 上述した従来の問題点を解消するため、本考案
による既設杭上の自走装置は、サドルの下面にガ
イド部材を設け、該ガイド部材に左右駆動シリン
ダを介してクランプを摺動自在に取付けると共
に、該クランプを、内蔵した杭つかみ部により既
設杭列方向に対し直交する方向から杭上端を挾持
可能とし、上記サドル上に前後水平移動可能に設
けたスライドフレーム上にクレーン等を載置する
と共に、該スライドフレーム前部に上下移動可能
に設けた昇降ヘツドに回転駆動機構を設け、該回
転駆動機構により全周回転自在に設けられ、かつ
内蔵した杭つかみ部で杭上端を左右方向から挾持
する旋回クランプを取付けたことを特徴とする。

（作用） 予め地中に線形状に打設された既設杭の上端を
サドル下部のクランプで挾持してクレーン装置等
を既設杭上に固定保持させた状態でスライドフレ
ームを伸長させるためにサドルに対して前進移動
させる。スライドフレームが所定量伸びたところ
で昇降ヘツドを下降させて旋回クランプを下方移
動させ対応する既設杭を挾持する。

次に、サドル下部のクランプを弛緩させて既設
杭を解放し、この状態で旋回クランプを更に下降
させる。結果として、クレーン及びサドルが相対
的に上昇する。そこで、スライドフレームをサド
ルに対して収縮させ、サドルを前進させる。これ
により、サドル下のクランプは前進しクレーン装
置等自体が既設杭上を前進移動したことになる。

既設杭の配列が曲率を持つ非直線部をクレーン
装置等が前進する場合、サドル下のクランプを左
右水平方向に適宜移動させると同時に旋回クラン
プを曲率に合わせて回転させ方向を変えれば上述
の直線前進時と同様にしてカーブを前進できる。

既設杭が直角状に屈曲したコーナー部では、サ
ドル下のクランプを左右水平移動させサドル前部
の旋回クランプをサドル下のクランプに対して直
角に回転させ直角状に屈曲した既設杭の１本を挾
持する。この状態で上記同様の手順でサドルを持
ち上げ、旋回クランプを回転させる。この時旋回
クランプは杭に固定しているため相対的にサドル
が旋回し、直角状に屈曲した既設杭配列に並置さ
せる。しかる後サドル下のクランプを対抗するク
ランプに挾着させ、上述した直進前進運動に移動
し、コーナー部通過が完了する。

（実施例） 第１図は本考案の一実施例たる自走式クレーン
装置の側面概略図、第２図及び第３図は同部分拡
大側面図と正面図である。

図中、１はサドルである。サドル１の下面には
左右方向に延設したガイド部材２，２が設けら
れ、このガイド部材２，２の夫々に左右方向水平
摺動可能にクランプ３ａ，３ｂが設けられてい
る。これらクランプ３ａ，３ｂの左右方向移動は
これらに並設した左右駆動シリンダ４，４の動力
で行われる。

この実施例ではサドル下に２本のクランプを有
しているが、１本或いは３本以上でもよく、従つ
て、クランプの本数を限定するものではない。

クランプ３ａ，３ｂの夫々には杭を挾持する杭
つかみ部５，５…は従来のこの種の装置でみられ
る機構と同様にサデル１の横幅の範囲内のどの位
置でも杭乃至矢板Ｐを挾持できる構成となつてい
る。

従つて、連続的に配列された既設杭Ｐをこれら
クランプ３ａ，３ｂの杭つかみ部５，５…で挾持
固定した状態で上記駆動シリンダ４，４を作動さ
せることで既設杭Ｐに対してサドル１が相対的に
横方左右方向に移動することになる。図中、これ
ら杭つかみ部５，５…の駆動系は特に示していな
い。

６はサドル１の上に前後方向（進行方向）に水
平移動可能なスライドフレームである。このスラ
イドフレーム６は、これとサドル１との間に設け
られた前後駆動シリンダ７の動力によつて駆動さ
れる。

スライドフレーム６にはクレーン機構８及び駆
動系の制御装置９を載置している。これらクレー
ン機構８及び制御装置９の構成作用は従来装置に
依るものでここでは敢えて言及しない。ここでの
クレーン機構８は先端にフツク8′を適用したもの
であるが、開閉バケツト等であつてもよい。

また第６図に示す他の実施例のように、クレー
ン機構８に代えて、パワーシヨベル２０や小型の
バツクホー等を備えたものとしてもよい。

スライドフレーム６の前端には案内マスト１０
を一体に設けている。この案内マスト１０には上
下駆動シリンダ１１がが固定され、この上下シリ
ンダ１１によつて上下昇降駆動せられる昇降ヘツ
ド１２を案内保持している。シリンダ１１による
昇降ストロークは十分に長いものとする。昇降ヘ
ツド１２には下方から垂下する旋回クランプ１３
を回転させる回転駆動系１４が内臓されている。
この回転駆動系１４は駆動モータ１５と駆動モー
タ１５の回転を減速伝達する歯車機構１６より成
る。

このように旋回クランプ１３を回転駆動する駆
動系１４が昇降ヘツド１２の内部に収められてい
るため旋回クランプ１３は全周（360度）回転が
可能となる。

旋回クランプ１３は杭乃至矢板を挾持固定する
杭つかみ部１７を少なくとも１つ有している。

上記構成の実施例による自走式クレーン装置が
既設杭列のコーナー部を通過する場合の動作を第
４図乃至第５図に就いて以下説明する。

矢板Ｐを直線的に整列させた既設杭列Ａからこ
れと直角に屈曲した既設杭列Ｂにクレーン装置を
逆方向にして移行させる場合、先ずサドル１を列
ＡとＢのコーナーの直前まで移動させる。つま
り、サドル下の第一クランプ３ａをコーナーＣか
ら２番目の杭ａ２に挾持させ第２クランプ３ｂを
３番目の杭ａ３に挾持させる。そこで、スライド
フレーム６を前方に伸長させると共にサドル１を
適宜左右横方向に水平移動させて、旋回クランプ
１３がコーナーＣより１つ先の杭ｂ１に対向する
よう制御駆動する。旋回クランプ１３が所期の位
置に移動したら昇降ヘツド１２を下降させ旋回ク
ランプ１３に杭ｂ１を挾持させる。次にクランプ
３ａ，３ｂを弛緩させると共に昇降ヘツド１２を
更に下降させる。これによつてサドル１及びクラ
ンプ３ａ，３ｂが相対的に浮き上がる。この状態
で旋回クランプ１３を右回り乃至左回りに回転さ
せるといずれか一方の矢印の方向にサドルが相対
的に回転する。この回転方向の選択は周囲の状
況、つまり、障害物等の有無によつて近定すれば
よく、この動作を選択できることは本考案の特徴
のひとつである。

こうして、サドル１が既設杭列Ｂ側に位置した
ら昇降ヘツド１２を上昇させるよう駆動させると
相対的にサドル１が下降し直下の既設杭をクラン
プ３ａ，３ｂで挾持可能となる。以下は、クレー
ン装置を既設杭列Ｂに沿つて後退させる方向に移
動させればよい。このように杭列Ａでは正方向に
進行させ杭列Ｂでは逆方向に進行させると、杭列
Ｂからクレーン装置がが戻つてきて、コーナーＣ
を通過して再び杭列Ａに移動して戻ることができ
る。

しかし、杭列Ａから杭列Ｂ列に移行して再び杭
列Ａに戻る必要がない場合は第５図に示すように
杭列Ａ，Ｂの双方で正方向に進行させるようにし
てもよい。

即ち、第５図において、コーナーＣの手前の杭
ａ２，ａ３上にサドル１が位置した時、サドル１
を左側に寄せて旋回クランプ１３でコーナーＣの
前方の杭ｂ２を挾着する。次に、旋回クランプ１
３を回転させ相対的にサドル１をコーナーＣの上
方に位置させ、クランプ３ａで杭ｂ１を挾持す
る。

この状態のまま、旋回クランプ１３を解離し、
スライドフレーム６を前方に延出して杭ｂ３を挾
持する。以下は直進運動を行う。この実施例から
も明らかなように、サドル１の下部に設けるクラ
ンプの数は１本でもよく旋回クランプと相補的に
運動するることで直線のみならずカーブ乃至コー
ナー状の既設杭上を走行できる。

（考案の効果） 以上説明したように本考案によれば、左右水平
方向移動可能なクランプを有するサドル上に前後
方向移動可能なスライドフレームを設け、スライ
ドフレームの前部に設けた上下移動可能な昇降ヘ
ツドに全周回転自在な旋回クランプを設けたこと
により、直線状に配列した既設杭上を自走移動で
きると同時に、曲率の大きいカーブ乃至直角に屈
曲するコーナー状の既設杭上をも効率よく通過す
ることができる。また旋回クランプの上下移動ス
トロークを大きくできるため既設杭上端が平坦に
整つている場合、或いは逆に、不整列である場合
でも支障なく自走することができ、各種工事に好
適に用いることが可能となる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の自走式クレーン装置の一実施例
を示すもので、第１図は側面図、第２図は部分拡
大側面図、第３図は同じくその正面図、第４図及
び第５図は既設杭コーナーの通過説明図及び第６
図は他の実施例の側面図である。 １…サドル、３ａ，３ｂ…クランプ、６…スラ
イドフレーム、１２…昇降ヘツド、１３…旋回ク
ランプ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. サドルの下面にガイド部材を設け、該ガイド部
   材に左右駆動シリンダを介してクランプを摺動自
   在に取付けると共に、該クランプを、内蔵した杭
   つかみ部により既設杭列方向に対し直交する方向
   から杭上端を挾持可能とし、上記サドル上に前後
   水平移動可能に設けたスライドフレーム上にクレ
   ーン等を載置すると共に、該スライドフレーム前
   部に上下移動可能に設けた昇降ヘツドに回転駆動
   機構を設け、該回転駆動機構により全周回転自在
   に設けられ、かつ内蔵した杭つかみ部で杭上端を
   左右方向から挾持する旋回クランプを取付けた既
   設杭上の自走装置。