JPH034605B2 - - Google Patents
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- JPH034605B2 JPH034605B2 JP61312457A JP31245786A JPH034605B2 JP H034605 B2 JPH034605 B2 JP H034605B2 JP 61312457 A JP61312457 A JP 61312457A JP 31245786 A JP31245786 A JP 31245786A JP H034605 B2 JPH034605 B2 JP H034605B2
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- micro
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-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C21—METALLURGY OF IRON
- C21D—MODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
- C21D5/00—Heat treatments of cast-iron
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Physics & Mathematics (AREA)
- Thermal Sciences (AREA)
- Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- Metallurgy (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Heat Treatment Of Articles (AREA)
- Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)
Description
[産業上の利用分野]
本願発明は球状黒鉛鋳鉄を恒温変態熱処理(以
下「オーステンパー」という)することによつ
て、ベイナイト組織を析出させ材質を強靭化させ
る技術に係るものである。 [従来の技術] 球状黒鉛鋳鉄は周知のように鋳鉄溶湯に、最も
一般的にはMgを少量爆発的に添加して通常は片
状(フレーキー)に析出する黒鉛を球状化し、強
度と靭性を賦与したものである。黒鉛の球状化に
成功後、さらにその強靭性を求めて対象は基地の
研究に絞られその最も有効な手段としてオーステ
ンパー処理が提案され各種機械構造部品として実
用化されるに至つている。 オーステンパー処理された球状黒鉛鋳鉄では多
量の黒鉛化促進元素であるSiを含有するため、靭
性に有害であると考えられる炭化物が析出しにく
く、また残留オーステナイトも多量に含有するこ
とが明らかとなり、それらが材質の機械的性質の
向上にきわめて有効であるため、ますますその適
用を拡大している原因とされている。 オーステンパー処理を施すに当たつては鉄鋼材
料の従来からの研究やその結果得られた原則を敷
衍し、前処理として鋳放し品の完全焼なましを行
なう。たとえば第9図a−1に示すように球状黒
鉛鋳鉄の鋳放し品を二段焼きなましを行なつて基
地を完全にフエライト化すると共に鋳放し状態で
はミクロ的に存在していた少量成分の偏析をすべ
て拡散し、材質を均質化する。場合によつてはこ
のフエライト化した熱処理材を前組織としてさら
にa−2に示すような二段焼ならしを施して基地
を完全にパーライト化してパーライト型に変換す
ることもある。 オーステンパーはこれらのフエライト基地、又
はパーライト基地を前組織として出発し、当該材
料のγ域まで加熱し基地が完全にオーステナイト
化し、かつ含まれる少量成分をすべて均質にオー
ステナイト中に完全に固溶させた後、所望の恒温
塩浴槽内へ投入してベイナイト変態が完了するま
で保持する。 以上に述べた方法が従来の強靭ベイナイト球状
黒鉛鋳鉄の製造方法であつた。 これに対し球状黒鉛鋳鉄を鋳放しの状態からオ
ーステンパーによつて従来の焼ならしや焼入焼戻
など既知の熱処理によつて得られる以上の強靭性
を得ようとする特表昭60−500217号公報がある。 この技術の特徴は成分上はSi3.5〜5.0%をふく
み(その他Ni、Moなど)、熱処理上は857〜898
℃の完全γ域から急冷熱浴、さらに二段的に保持
するものであり、組織上の特徴としては70〜85%
ベイナイト、15〜30%フエライト、0〜2%のオ
ーステナイトよりなり、特にSiのさざなみ状の偏
析を確保してフエライト中のSiがベイナイト中の
Siより少くとも1.5%多いことを目標とする。 結局、従来の熱処理でフエライトを得るには除
冷が、またベイナイトを得るには急冷がそれぞれ
必要であつたのを、特殊な成分と熱処理によつて
相反する目標を同時に達成する効果がある。 また鋳放し状態におけるフエライトの存否に関
係なく成分や肉厚に変動があつても厳重な温度制
御の必要性から解放される技術としては、特開昭
59−59825号公報や特開昭59−56518号公報も見出
される。 両出願とも成分的にはCu0.4〜2%又はNi0.7〜
3%又はその双方をふくみSiは2.2〜3.7%であつ
て、前者については共析変態温度間(α+γ+
G)における保持がこの中の任意の温度における
第一段階と、Si含有量に対応しCu、Ni量で算出
される式で補正した温度における第二段階とを組
合せ、最終的にフエライト30〜70%の何れか所望
の組織にコントロールしようとするものである。 また後者については、同成分でα+γ+Gの温
度域へ600℃以上では10℃/分以下の低速度の昇
温し、保持温度については出発時(鋳放し)のフ
エライト量に関係なくSi値によつて示される計算
図表とそれを補正するNi、Cu量によつて決定し、
前例と同様フエライト30〜70%の混合組織を得よ
うとするものである。 これによつて引張り強さはフエライトの増加と
共に低下し、伸びはその逆であり、衝撃値はフエ
ライトが50%でピークであるという経験に基い
て、対象とする製品の使用目的に適応した材質上
の要請に応えれるように熱処理を設定したもので
ある。 [発明が解決しようとする課題] 従来の強靭ベイナイト球状黒鉛の一層の強靭化
を目指すとき、前記のとおり基地の改善に着目し
たいくつかの研究がなされたが、ここに発明者自
らが球状黒鉛鋳鉄を破壊した破面観察から確認し
た亀裂の発生と伝播についての報告を引例する。
「鋳鉄の破壊靭性」(小林俊郎:日本金属学会会報
18(1979)512第10図AおよびB)A図は延性亀
裂の場合で球状黒鉛1と界面剥離によつて大きな
ボイド2(デインプル)を形成し介在物3などが
存在する場合には小ボイドを形成して連結する。
一方、低温域で直接劈開が発生する場合には基地
と黒鉛界面そのものよりもこの近傍付近の境界
(たとえば共晶セル境界、介在物など)が発生点
となることが多いようである。すなわちB図に示
すのは、(1):すべりにより転位が堆積し、(2):共
晶セル境界4での介在物、炭化物3が応力集中を
生じ、(3):劈開5が発生する場合である。球状黒
鉛鋳鉄では凝固時の偏析によつて共晶セル境界が
脆性亀裂の発生点になることが多い。 以上の観察により、延性亀裂は必然的に黒鉛部
から発生しやすいが、低温の劈開の場合には基地
組織の影響が大きく、そのため従来から偏析によ
る脆硬相の除去、フエライト粒の微細化を目的と
する完全焼なまし又は完全焼きならしをオーステ
ンパーの前処理として必須にしてきた。しかし、
この着想に基づく一連の効果は限界に達し、この
限界を超えてより強靭性の高い水準に到達するた
めには全く新規な着想が必要となる。 また先に引用した3件の従来技術については、
予備的な熱処理を経由せず、鋳放しから直ちにオ
ーステンパー処理に入るが、主としてSiの含有量
に着目して最終組織をコントロールしようとする
もので、第一の引例は70〜85%ベイナイト15〜30
フエライト、0〜2%のオーステナイトを目標組
織にSiの最大偏析を特徴とし、後二者については
30〜70%フエライトを目標組織とするにとどま
る。 しかるに球状黒鉛鋳鉄の破壊靭性については前
述のように球状黒鉛界面から共晶セル境界にかけ
ての領域に最大のウイークポイントがあるから、
基地全体の組織比率のコントロールだけでは静的
な機械的性質のバランスを整えるに留まり、構造
材料として求められる真の強靭性向上に対しては
必ずしも正鵠を得たものとは言い難い。 本願発明は以上の課題を解決するため黒鉛と基
地の海面から共晶セル部の範囲にかけて集中的に
安定強靭な組織に強化した強靭ベイナイト球状黒
鉛鋳鉄の製造方法の提供を目的とする。 [課題を解決するための手段] 本願発明に係る強靭ベイナイト球状黒鉛鋳鉄の
製造方法は、球状黒鉛鋳鉄であつて、溶解時に鉄
のオーステナイト化温度を低下させる成分を添加
溶製し、凝固後に黒鉛と基地の界面にNi1%〜5
%および/又はCu0.5%〜3.0%をミクロ偏析さ
せ、同時に共晶セル部にもMn0.3%〜1.5%をミ
クロ偏析させ、短時間オーステナイト化後油焼入
して前記鋳放し状態におけるミクロ偏析がなお残
留したままで組織を微細化し、さらに当該球状黒
鉛鋳鉄の(α+γ)域の上限(Af点)より低く
下限(As点)との中間点(Af−As/2)よりは
高温で前記鋳放し状態におけるミクロ偏析のなお
完全に拡散均質化しない温度域より恒温変態熱処
理を施すことにより、黒鉛周囲と共晶セル部をふ
くむ範囲に安定強靭な残留オーステナイトを形成
したことによつて前記の課題を解決した。 [作用と実施例] 以上に述べた経時的過程によつて製造される強
靭ベイナイト球状黒鉛鋳鉄の各過程別の作用を説
明する。 溶解成分中に鉄のオーステナイト化温度を低下
させる成分を含み鋳造凝固するときは黒鉛と基地
の界面および共晶セル部にその成分がミクロ偏析
している。 黒鉛と基地の界面にミクロ偏析するオーステナ
イト化温度低下成分の最も好ましい実施例はNi
およびCuである。 Niは典型的なオーステナイト安定化元素とし
て、また恒温変態曲線(TTTカーブ)における
パーライトノーズを長時間側に移行させベイナイ
ト組織を有効的に得るために1%は必要であるが
5%を越えると鋳放し状態でマルテンサイト化
し、残留オーステナイトのコントロールが難しく
なるので5%を上限と定める。 CuはNiと同様のオーステナイト安定化のため
に少なくとも0.5%は必要であり、3%を越える
と球状化が阻害されるので上限を3%と定める。 一方、共晶セル部にミクロ偏析するオーステナ
イト化温度低下成分の最も好ましい実施例はMn
である。Mnはオーステナイト安定化元素として
12%Mn鋼などが有名であり、本願発明に関して
は少なくとも0.3%は必要であるが、1.5%を越え
ると白銑化傾向が強く、そのセメントタイトの分
解が困難なため靭性を低下させる原因となるので
1.5%を上限とした。 第1図A上段は本願実施例の鋳放し状態におけ
るNiの分布測定地をX線マイクロアナライザー
(以下「EPMA」という)によつて検出した連続
線であり、同じく下段は本願実施例の鋳放し状態
におけるMnの分布測定値をEPMAで検出表示し
たものである。 第1図Bはこの分析の対象となつた部分の顕微
鏡写真であり、写真を横切る直線は検出の走査線
を示す。顕微鏡写真と対比してみると、Niの偏
析は黒鉛と基地の境界に、またMnの偏析は共晶
セル部に顕著に突出していることが理解される。 ここでその他の含有成分についての臨界的意義
も簡単に言及すると、CとSiは炭素分の黒鉛化の
為に必要なものであるが靭性を高める上で望まし
い。しかしCは2.2%未満ではチルが入り易くな
る一方、3.2%を越えると靭性を損なうのでその
含有量は2.2〜3.2%が最も望ましい。 Siは1.8%未満ではチルが入り易く、4.0%を越
えるとSiによる脆化作用が悪影響を及ぼし靭性を
損なうので含有量は1.8%〜4.0%が望ましい。従
来の鋳鉄に比べてSiを高くしているのはオーステ
ナイト安定元素のMn添加量が増えた場合の白銑
化傾向を抑止するためである。 Mgは黒鉛の球状体のために最も一般的に使用
される成分で0.02%未満では球状化が不完全とな
り鋳造性が劣化するので含有量は実施上0.02%〜
0.10%の範囲が最も好ましい。 本願発明の第二の特徴は以上に述べたミクロ偏
析を残した状態を前組織としてオーステンパー処
理に出発することである。すなわちNi、Cu、Mn
などがそれぞれ黒鉛と基地の界面および共晶セル
部にミクロ偏析した状態が残るような短時間オー
ステナイト化後の油焼入を経て組織を微細化し、
さらにこれを出発組織として(α+γ)域上限付
近からのオーステンパー処理を施したものであ
る。 第2図A,Bおよび第3図A,Bはそれぞれ第
1図A,Bと同じ材料をフエライト化処理(第9
図のa−1処理)したもの、およびそれをさらに
パーライト化処理(第9図のa−2処理)したも
ののNi、Mnのミクロ偏析の状態をEPMAにによ
つて示したもので、第1図との差は歴然たるもの
がある。 このような偏析状態はその後のオーステンパー
によつても受け継いでその歴然たる差はそのまま
残る。たとえばこの3種を前組織として、オース
テンパー処理のためのオーステナイト化温度をミ
クロ偏析のなお完全に拡散的質化しない温度域に
とどめ具体的には(α+γ)域の上限直下からオ
ーステンパー処理した結果を見たものが第4図a
A、B、同b A、B、同c A、Bであり、
各図のAはNi(上段)およびMn(下段)の分布測
定値をEPMAで検出した連続図、各図のBはこ
の対象とする金属組織の顕微鏡写真である。 顕微鏡組織のうち白色部がフエライト6、灰色
部は残留オーステナイトを含有するベイナイト相
7である。第4図aは鋳放し状態からのオーステ
ンパー材で前組織のミクロ偏析状態(第1図)を
受け継いで、黒鉛周囲(写真中左端)と共晶セル
境界部を含む元パーライト相に相当する部分のベ
イナイト相中にNi、Mnが著しく濃化偏析してい
る。濃化の最大値と最小値との差はNiで約2%、
Mnで約1%である。 一方、第4図b,cのフエライト、パーライト
前組織のオーステンパー材ではMnの濃化、偏析
は認められず、Niのみベイナイト中に約1%濃
化、偏析しているにとどまる。 この点から見れば鋳放しであつてもその偏析状
態を保つたままで本願に特定するオーステンパー
処理を施せば、Ni、Mnの濃化偏析が残り、相当
な好結果が得られることは事実である。 すなわち前組織にNiおよびMnのようなオース
テナイト化温度低下成分が特異な偏析状態で含ま
れているときに、(α+γ)域で加熱保持すれば
他の基地に先駆けて偏析部分が優先的選択的にオ
ーステナイト化することは当然理解されるところ
である。さらにこのオーステナイト相中へ、Ni、
Mnが優先的に拡散濃化してオーステナイトを安
定化しベイナイト化後も安定な残留オーステナイ
トとして靭性向上の効果へ結びつく作用が生じ
る。 これに反しγ相に達する温度で保持するとき
は、残留オーステナイトは増加する筈であるがオ
ーステナイト粒が粗大化する上、破壊起点近傍の
みならず組織全体に亘つてオーステナイト化が同
時進行、同時拡散ですすむから、破壊起点付近の
オーステナイトの重点的安定化は望むべくもな
い。 このような関係を具体的な実施例で示すと、ま
ず第1表は試供品の化学成分である。
下「オーステンパー」という)することによつ
て、ベイナイト組織を析出させ材質を強靭化させ
る技術に係るものである。 [従来の技術] 球状黒鉛鋳鉄は周知のように鋳鉄溶湯に、最も
一般的にはMgを少量爆発的に添加して通常は片
状(フレーキー)に析出する黒鉛を球状化し、強
度と靭性を賦与したものである。黒鉛の球状化に
成功後、さらにその強靭性を求めて対象は基地の
研究に絞られその最も有効な手段としてオーステ
ンパー処理が提案され各種機械構造部品として実
用化されるに至つている。 オーステンパー処理された球状黒鉛鋳鉄では多
量の黒鉛化促進元素であるSiを含有するため、靭
性に有害であると考えられる炭化物が析出しにく
く、また残留オーステナイトも多量に含有するこ
とが明らかとなり、それらが材質の機械的性質の
向上にきわめて有効であるため、ますますその適
用を拡大している原因とされている。 オーステンパー処理を施すに当たつては鉄鋼材
料の従来からの研究やその結果得られた原則を敷
衍し、前処理として鋳放し品の完全焼なましを行
なう。たとえば第9図a−1に示すように球状黒
鉛鋳鉄の鋳放し品を二段焼きなましを行なつて基
地を完全にフエライト化すると共に鋳放し状態で
はミクロ的に存在していた少量成分の偏析をすべ
て拡散し、材質を均質化する。場合によつてはこ
のフエライト化した熱処理材を前組織としてさら
にa−2に示すような二段焼ならしを施して基地
を完全にパーライト化してパーライト型に変換す
ることもある。 オーステンパーはこれらのフエライト基地、又
はパーライト基地を前組織として出発し、当該材
料のγ域まで加熱し基地が完全にオーステナイト
化し、かつ含まれる少量成分をすべて均質にオー
ステナイト中に完全に固溶させた後、所望の恒温
塩浴槽内へ投入してベイナイト変態が完了するま
で保持する。 以上に述べた方法が従来の強靭ベイナイト球状
黒鉛鋳鉄の製造方法であつた。 これに対し球状黒鉛鋳鉄を鋳放しの状態からオ
ーステンパーによつて従来の焼ならしや焼入焼戻
など既知の熱処理によつて得られる以上の強靭性
を得ようとする特表昭60−500217号公報がある。 この技術の特徴は成分上はSi3.5〜5.0%をふく
み(その他Ni、Moなど)、熱処理上は857〜898
℃の完全γ域から急冷熱浴、さらに二段的に保持
するものであり、組織上の特徴としては70〜85%
ベイナイト、15〜30%フエライト、0〜2%のオ
ーステナイトよりなり、特にSiのさざなみ状の偏
析を確保してフエライト中のSiがベイナイト中の
Siより少くとも1.5%多いことを目標とする。 結局、従来の熱処理でフエライトを得るには除
冷が、またベイナイトを得るには急冷がそれぞれ
必要であつたのを、特殊な成分と熱処理によつて
相反する目標を同時に達成する効果がある。 また鋳放し状態におけるフエライトの存否に関
係なく成分や肉厚に変動があつても厳重な温度制
御の必要性から解放される技術としては、特開昭
59−59825号公報や特開昭59−56518号公報も見出
される。 両出願とも成分的にはCu0.4〜2%又はNi0.7〜
3%又はその双方をふくみSiは2.2〜3.7%であつ
て、前者については共析変態温度間(α+γ+
G)における保持がこの中の任意の温度における
第一段階と、Si含有量に対応しCu、Ni量で算出
される式で補正した温度における第二段階とを組
合せ、最終的にフエライト30〜70%の何れか所望
の組織にコントロールしようとするものである。 また後者については、同成分でα+γ+Gの温
度域へ600℃以上では10℃/分以下の低速度の昇
温し、保持温度については出発時(鋳放し)のフ
エライト量に関係なくSi値によつて示される計算
図表とそれを補正するNi、Cu量によつて決定し、
前例と同様フエライト30〜70%の混合組織を得よ
うとするものである。 これによつて引張り強さはフエライトの増加と
共に低下し、伸びはその逆であり、衝撃値はフエ
ライトが50%でピークであるという経験に基い
て、対象とする製品の使用目的に適応した材質上
の要請に応えれるように熱処理を設定したもので
ある。 [発明が解決しようとする課題] 従来の強靭ベイナイト球状黒鉛の一層の強靭化
を目指すとき、前記のとおり基地の改善に着目し
たいくつかの研究がなされたが、ここに発明者自
らが球状黒鉛鋳鉄を破壊した破面観察から確認し
た亀裂の発生と伝播についての報告を引例する。
「鋳鉄の破壊靭性」(小林俊郎:日本金属学会会報
18(1979)512第10図AおよびB)A図は延性亀
裂の場合で球状黒鉛1と界面剥離によつて大きな
ボイド2(デインプル)を形成し介在物3などが
存在する場合には小ボイドを形成して連結する。
一方、低温域で直接劈開が発生する場合には基地
と黒鉛界面そのものよりもこの近傍付近の境界
(たとえば共晶セル境界、介在物など)が発生点
となることが多いようである。すなわちB図に示
すのは、(1):すべりにより転位が堆積し、(2):共
晶セル境界4での介在物、炭化物3が応力集中を
生じ、(3):劈開5が発生する場合である。球状黒
鉛鋳鉄では凝固時の偏析によつて共晶セル境界が
脆性亀裂の発生点になることが多い。 以上の観察により、延性亀裂は必然的に黒鉛部
から発生しやすいが、低温の劈開の場合には基地
組織の影響が大きく、そのため従来から偏析によ
る脆硬相の除去、フエライト粒の微細化を目的と
する完全焼なまし又は完全焼きならしをオーステ
ンパーの前処理として必須にしてきた。しかし、
この着想に基づく一連の効果は限界に達し、この
限界を超えてより強靭性の高い水準に到達するた
めには全く新規な着想が必要となる。 また先に引用した3件の従来技術については、
予備的な熱処理を経由せず、鋳放しから直ちにオ
ーステンパー処理に入るが、主としてSiの含有量
に着目して最終組織をコントロールしようとする
もので、第一の引例は70〜85%ベイナイト15〜30
フエライト、0〜2%のオーステナイトを目標組
織にSiの最大偏析を特徴とし、後二者については
30〜70%フエライトを目標組織とするにとどま
る。 しかるに球状黒鉛鋳鉄の破壊靭性については前
述のように球状黒鉛界面から共晶セル境界にかけ
ての領域に最大のウイークポイントがあるから、
基地全体の組織比率のコントロールだけでは静的
な機械的性質のバランスを整えるに留まり、構造
材料として求められる真の強靭性向上に対しては
必ずしも正鵠を得たものとは言い難い。 本願発明は以上の課題を解決するため黒鉛と基
地の海面から共晶セル部の範囲にかけて集中的に
安定強靭な組織に強化した強靭ベイナイト球状黒
鉛鋳鉄の製造方法の提供を目的とする。 [課題を解決するための手段] 本願発明に係る強靭ベイナイト球状黒鉛鋳鉄の
製造方法は、球状黒鉛鋳鉄であつて、溶解時に鉄
のオーステナイト化温度を低下させる成分を添加
溶製し、凝固後に黒鉛と基地の界面にNi1%〜5
%および/又はCu0.5%〜3.0%をミクロ偏析さ
せ、同時に共晶セル部にもMn0.3%〜1.5%をミ
クロ偏析させ、短時間オーステナイト化後油焼入
して前記鋳放し状態におけるミクロ偏析がなお残
留したままで組織を微細化し、さらに当該球状黒
鉛鋳鉄の(α+γ)域の上限(Af点)より低く
下限(As点)との中間点(Af−As/2)よりは
高温で前記鋳放し状態におけるミクロ偏析のなお
完全に拡散均質化しない温度域より恒温変態熱処
理を施すことにより、黒鉛周囲と共晶セル部をふ
くむ範囲に安定強靭な残留オーステナイトを形成
したことによつて前記の課題を解決した。 [作用と実施例] 以上に述べた経時的過程によつて製造される強
靭ベイナイト球状黒鉛鋳鉄の各過程別の作用を説
明する。 溶解成分中に鉄のオーステナイト化温度を低下
させる成分を含み鋳造凝固するときは黒鉛と基地
の界面および共晶セル部にその成分がミクロ偏析
している。 黒鉛と基地の界面にミクロ偏析するオーステナ
イト化温度低下成分の最も好ましい実施例はNi
およびCuである。 Niは典型的なオーステナイト安定化元素とし
て、また恒温変態曲線(TTTカーブ)における
パーライトノーズを長時間側に移行させベイナイ
ト組織を有効的に得るために1%は必要であるが
5%を越えると鋳放し状態でマルテンサイト化
し、残留オーステナイトのコントロールが難しく
なるので5%を上限と定める。 CuはNiと同様のオーステナイト安定化のため
に少なくとも0.5%は必要であり、3%を越える
と球状化が阻害されるので上限を3%と定める。 一方、共晶セル部にミクロ偏析するオーステナ
イト化温度低下成分の最も好ましい実施例はMn
である。Mnはオーステナイト安定化元素として
12%Mn鋼などが有名であり、本願発明に関して
は少なくとも0.3%は必要であるが、1.5%を越え
ると白銑化傾向が強く、そのセメントタイトの分
解が困難なため靭性を低下させる原因となるので
1.5%を上限とした。 第1図A上段は本願実施例の鋳放し状態におけ
るNiの分布測定地をX線マイクロアナライザー
(以下「EPMA」という)によつて検出した連続
線であり、同じく下段は本願実施例の鋳放し状態
におけるMnの分布測定値をEPMAで検出表示し
たものである。 第1図Bはこの分析の対象となつた部分の顕微
鏡写真であり、写真を横切る直線は検出の走査線
を示す。顕微鏡写真と対比してみると、Niの偏
析は黒鉛と基地の境界に、またMnの偏析は共晶
セル部に顕著に突出していることが理解される。 ここでその他の含有成分についての臨界的意義
も簡単に言及すると、CとSiは炭素分の黒鉛化の
為に必要なものであるが靭性を高める上で望まし
い。しかしCは2.2%未満ではチルが入り易くな
る一方、3.2%を越えると靭性を損なうのでその
含有量は2.2〜3.2%が最も望ましい。 Siは1.8%未満ではチルが入り易く、4.0%を越
えるとSiによる脆化作用が悪影響を及ぼし靭性を
損なうので含有量は1.8%〜4.0%が望ましい。従
来の鋳鉄に比べてSiを高くしているのはオーステ
ナイト安定元素のMn添加量が増えた場合の白銑
化傾向を抑止するためである。 Mgは黒鉛の球状体のために最も一般的に使用
される成分で0.02%未満では球状化が不完全とな
り鋳造性が劣化するので含有量は実施上0.02%〜
0.10%の範囲が最も好ましい。 本願発明の第二の特徴は以上に述べたミクロ偏
析を残した状態を前組織としてオーステンパー処
理に出発することである。すなわちNi、Cu、Mn
などがそれぞれ黒鉛と基地の界面および共晶セル
部にミクロ偏析した状態が残るような短時間オー
ステナイト化後の油焼入を経て組織を微細化し、
さらにこれを出発組織として(α+γ)域上限付
近からのオーステンパー処理を施したものであ
る。 第2図A,Bおよび第3図A,Bはそれぞれ第
1図A,Bと同じ材料をフエライト化処理(第9
図のa−1処理)したもの、およびそれをさらに
パーライト化処理(第9図のa−2処理)したも
ののNi、Mnのミクロ偏析の状態をEPMAにによ
つて示したもので、第1図との差は歴然たるもの
がある。 このような偏析状態はその後のオーステンパー
によつても受け継いでその歴然たる差はそのまま
残る。たとえばこの3種を前組織として、オース
テンパー処理のためのオーステナイト化温度をミ
クロ偏析のなお完全に拡散的質化しない温度域に
とどめ具体的には(α+γ)域の上限直下からオ
ーステンパー処理した結果を見たものが第4図a
A、B、同b A、B、同c A、Bであり、
各図のAはNi(上段)およびMn(下段)の分布測
定値をEPMAで検出した連続図、各図のBはこ
の対象とする金属組織の顕微鏡写真である。 顕微鏡組織のうち白色部がフエライト6、灰色
部は残留オーステナイトを含有するベイナイト相
7である。第4図aは鋳放し状態からのオーステ
ンパー材で前組織のミクロ偏析状態(第1図)を
受け継いで、黒鉛周囲(写真中左端)と共晶セル
境界部を含む元パーライト相に相当する部分のベ
イナイト相中にNi、Mnが著しく濃化偏析してい
る。濃化の最大値と最小値との差はNiで約2%、
Mnで約1%である。 一方、第4図b,cのフエライト、パーライト
前組織のオーステンパー材ではMnの濃化、偏析
は認められず、Niのみベイナイト中に約1%濃
化、偏析しているにとどまる。 この点から見れば鋳放しであつてもその偏析状
態を保つたままで本願に特定するオーステンパー
処理を施せば、Ni、Mnの濃化偏析が残り、相当
な好結果が得られることは事実である。 すなわち前組織にNiおよびMnのようなオース
テナイト化温度低下成分が特異な偏析状態で含ま
れているときに、(α+γ)域で加熱保持すれば
他の基地に先駆けて偏析部分が優先的選択的にオ
ーステナイト化することは当然理解されるところ
である。さらにこのオーステナイト相中へ、Ni、
Mnが優先的に拡散濃化してオーステナイトを安
定化しベイナイト化後も安定な残留オーステナイ
トとして靭性向上の効果へ結びつく作用が生じ
る。 これに反しγ相に達する温度で保持するとき
は、残留オーステナイトは増加する筈であるがオ
ーステナイト粒が粗大化する上、破壊起点近傍の
みならず組織全体に亘つてオーステナイト化が同
時進行、同時拡散ですすむから、破壊起点付近の
オーステナイトの重点的安定化は望むべくもな
い。 このような関係を具体的な実施例で示すと、ま
ず第1表は試供品の化学成分である。
【表】
第1表に示す組織のオーステナイト化温度は
As690℃、Af810℃である。この材料を通常のオ
ーステンパー処理(γ域である900℃および850
℃)した場合と、それより低い(α+γ)域であ
る770℃、750℃からオーステンパーした場合の最
高破壊強度(Kgf)を第5図上段に、吸収エネル
ギー(Kgf−m)を同下段にそれぞれ示した。な
お恒温塩浴温度は何れも300℃とした。 第5図の2種類の物性値は何れもオーステンパ
ー処理が同一成分の場合には、γ域よりも(α+
γ)域における加熱保持の方が優れた靭性が得ら
れることを示す。 また別の例として上の第1表に示す同一材料を
第6図に示す3種類の条件で熱処理した。 すなわち図におけるB1は第1表成分の材料を
鋳放しを前組織としてγ域よりオーステンパー処
理(従来法、比較例)したのに対し、B′は鋳放
しを前組織として(α+γ)域からのオーステン
パー処理であり、QB′は短時間γ域保持油焼入を
前組織として(α+γ)域からのオーステンパー
処理(本願実施例)したものである。第7図の
B1、B′、QB′はこれらの材料の物性値を記録し
たもので吸収エネルギーEt(J)、最高強度Pm
(kN)ともにB1に比べB′もQB′もバランスがよ
く優れている。 しかし本願発明の最大の特徴はこのような残留
オーステナイトの安定強化だけに留まらず、鋳放
しにおける偏析状態を損なわないで焼入れによつ
て組織を微細化したのち、前記特定のオーステン
パー処理によつて一層顕著な強靭性を確保する点
にある。発明者は同じような鋳放しの偏析から出
発してα+γ域からのオーステンパー処理等を施
すに際し、鋳放しのままを前処理等するもの
(B′)とその前に不完全油焼入(短時間オーステ
ナイト化)の工程を挟んだ場合(QB′)の差にさ
らに踏み込んでいる。
As690℃、Af810℃である。この材料を通常のオ
ーステンパー処理(γ域である900℃および850
℃)した場合と、それより低い(α+γ)域であ
る770℃、750℃からオーステンパーした場合の最
高破壊強度(Kgf)を第5図上段に、吸収エネル
ギー(Kgf−m)を同下段にそれぞれ示した。な
お恒温塩浴温度は何れも300℃とした。 第5図の2種類の物性値は何れもオーステンパ
ー処理が同一成分の場合には、γ域よりも(α+
γ)域における加熱保持の方が優れた靭性が得ら
れることを示す。 また別の例として上の第1表に示す同一材料を
第6図に示す3種類の条件で熱処理した。 すなわち図におけるB1は第1表成分の材料を
鋳放しを前組織としてγ域よりオーステンパー処
理(従来法、比較例)したのに対し、B′は鋳放
しを前組織として(α+γ)域からのオーステン
パー処理であり、QB′は短時間γ域保持油焼入を
前組織として(α+γ)域からのオーステンパー
処理(本願実施例)したものである。第7図の
B1、B′、QB′はこれらの材料の物性値を記録し
たもので吸収エネルギーEt(J)、最高強度Pm
(kN)ともにB1に比べB′もQB′もバランスがよ
く優れている。 しかし本願発明の最大の特徴はこのような残留
オーステナイトの安定強化だけに留まらず、鋳放
しにおける偏析状態を損なわないで焼入れによつ
て組織を微細化したのち、前記特定のオーステン
パー処理によつて一層顕著な強靭性を確保する点
にある。発明者は同じような鋳放しの偏析から出
発してα+γ域からのオーステンパー処理等を施
すに際し、鋳放しのままを前処理等するもの
(B′)とその前に不完全油焼入(短時間オーステ
ナイト化)の工程を挟んだ場合(QB′)の差にさ
らに踏み込んでいる。
【表】
第2表は一連の実験に使用した試験片の化学成
分であつて符号,,が本願実施例、他は特
定した成分条件を満たさない比較例である。この
試料によつて数多くのテストを繰返したが、この
うち本材料の如き延性の高い材料の破壊現象を最
も端的に表象すると言われる弾塑性破壊靭性J1c、
jdと静的な引張強さσBをプロツトしたものが第
8図である。 図に見られるように、(実施例)においては
−B′よりも−QB′がはるかに勝つた数値を示
しており、油焼入による破壊靭性に限つて言え
ば、NiおよびMnが特定された範囲を満たさない
と、所望の改善が期待できないと言う特徴に到達
する。 [発明の効果] 本願発明の効果を治金学的に総括する。本願発
明の要旨は破壊発生点となる黒鉛部と共晶セル部
へ、外力に対し安定したオーステナイト相を導入
し、いわゆるTRIP現象によつて強靭化しようと
するものである。不安定なオーステナイトでは小
さな荷重によつても容易にマルテンサイト変態を
起しその部分を亀裂が通過するので靭性の向上に
はむしろ逆行する。このときは主亀裂先端の歪エ
ネルギーが相変態エネルギーによつて解放される
ので相変態が亀裂進展と同時進行する点がポイン
トであり、残留オーステナイトの外力に安定性の
大きいことが重要な要素となる。 オーステナイト化温度を低下させるNi、Mnの
両者をふくむ鋳鉄を短時間オーステナイト化して
油焼入したQB′材では残留オーステナイトを20%
以上ふくみ、(α+γ)域での加熱によつてα中
のNi、Mnはγ中に濃化してγの安定化作用を発
揮する。 さらに次の要素として鋳放しの偏析を留保した
ままで短時間のγ化後、急冷してマルテンサイト
化すると組織は微細化し、その後の(α+γ)域
からのオーステンパーによつて一種の記憶効果
(遺伝現象)のために残留オーステナイトもまた
きわめて微細で安定化した組織に変更する。この
ために温度を変えて材料試験を行うとMs点とMd
点の間に異常な伸びが発現しTRIP現象が−75℃
付近に認められて、特に低温における靭性を必要
とする部材に好適な物性値を担保することとな
る。
分であつて符号,,が本願実施例、他は特
定した成分条件を満たさない比較例である。この
試料によつて数多くのテストを繰返したが、この
うち本材料の如き延性の高い材料の破壊現象を最
も端的に表象すると言われる弾塑性破壊靭性J1c、
jdと静的な引張強さσBをプロツトしたものが第
8図である。 図に見られるように、(実施例)においては
−B′よりも−QB′がはるかに勝つた数値を示
しており、油焼入による破壊靭性に限つて言え
ば、NiおよびMnが特定された範囲を満たさない
と、所望の改善が期待できないと言う特徴に到達
する。 [発明の効果] 本願発明の効果を治金学的に総括する。本願発
明の要旨は破壊発生点となる黒鉛部と共晶セル部
へ、外力に対し安定したオーステナイト相を導入
し、いわゆるTRIP現象によつて強靭化しようと
するものである。不安定なオーステナイトでは小
さな荷重によつても容易にマルテンサイト変態を
起しその部分を亀裂が通過するので靭性の向上に
はむしろ逆行する。このときは主亀裂先端の歪エ
ネルギーが相変態エネルギーによつて解放される
ので相変態が亀裂進展と同時進行する点がポイン
トであり、残留オーステナイトの外力に安定性の
大きいことが重要な要素となる。 オーステナイト化温度を低下させるNi、Mnの
両者をふくむ鋳鉄を短時間オーステナイト化して
油焼入したQB′材では残留オーステナイトを20%
以上ふくみ、(α+γ)域での加熱によつてα中
のNi、Mnはγ中に濃化してγの安定化作用を発
揮する。 さらに次の要素として鋳放しの偏析を留保した
ままで短時間のγ化後、急冷してマルテンサイト
化すると組織は微細化し、その後の(α+γ)域
からのオーステンパーによつて一種の記憶効果
(遺伝現象)のために残留オーステナイトもまた
きわめて微細で安定化した組織に変更する。この
ために温度を変えて材料試験を行うとMs点とMd
点の間に異常な伸びが発現しTRIP現象が−75℃
付近に認められて、特に低温における靭性を必要
とする部材に好適な物性値を担保することとな
る。
第1図A,Bから第3図A,B迄はそれぞれ鋳
放し、フエライト処理、パーライト処理後のNi、
(各図Aの上段)、およびMn(各図Aの下段)の
分布状態をEPMAにて示した線図とそれに対応
する金属組織の顕微鏡写真(各図B)である。第
4図a A、B、第4図b A、B、第4図c
A、Bは第1図から第3図までの組織を前組織と
してオーステンパー処理したときのNi(各図Aの
上段)およびMn(各図Aの下段)の分布状態を
EPMAにて示した線図とそれに対応する金属組
織の顕微鏡写真(各図B)である。第5図は実施
例の材料試験成績を比較例との対比において示
す。第6図は別の実施例と比較例のオーステンパ
ー処理の曲線、第7図は第6図の各例の材料試験
の成績、第8図は実施例と比較例について弾塑性
破壊靭性と静的引張荷重との関係を示した図表、
第9図は従来技術の熱処理曲線、第10図A,B
は球状黒鉛鋳鉄の破壊原理を示す説明図。 1……球状黒鉛、2……ボイド、3……炭化
物、介在物、4……共晶セル境界、5……劈開、
6……フエライト相、7……ベイナイト相。
放し、フエライト処理、パーライト処理後のNi、
(各図Aの上段)、およびMn(各図Aの下段)の
分布状態をEPMAにて示した線図とそれに対応
する金属組織の顕微鏡写真(各図B)である。第
4図a A、B、第4図b A、B、第4図c
A、Bは第1図から第3図までの組織を前組織と
してオーステンパー処理したときのNi(各図Aの
上段)およびMn(各図Aの下段)の分布状態を
EPMAにて示した線図とそれに対応する金属組
織の顕微鏡写真(各図B)である。第5図は実施
例の材料試験成績を比較例との対比において示
す。第6図は別の実施例と比較例のオーステンパ
ー処理の曲線、第7図は第6図の各例の材料試験
の成績、第8図は実施例と比較例について弾塑性
破壊靭性と静的引張荷重との関係を示した図表、
第9図は従来技術の熱処理曲線、第10図A,B
は球状黒鉛鋳鉄の破壊原理を示す説明図。 1……球状黒鉛、2……ボイド、3……炭化
物、介在物、4……共晶セル境界、5……劈開、
6……フエライト相、7……ベイナイト相。
Claims (1)
- 1 球状黒鉛鋳鉄であつて、溶解時に鉄のオース
テナイト化温度を低下させる成分を添加溶製し、
凝固後に黒鉛と基地の界面にNi1%〜5%およ
び/又はCu0.5%〜3.0%をミクロ偏析させ、同時
に共晶セル部にもMn0.3%〜1.5%をミクロ偏析
させ、短時間オーステナイト化後油焼入して前記
鋳放し状態におけるミクロ偏析がなお残留したま
まで組織を微細化し、さらに当該球状黒鉛鋳鉄の
(α+γ)域の上限(Af点)より低く下限(As
点)との中間点(Af−As/2)よりは高温で前
記鋳放し状態におけるミクロ偏析のなお完全に拡
散均質化しない温度域より恒温変態熱処理を施す
ことにより、黒鉛周囲と共晶セル部をふくむ範囲
に安定強靭な残留オーステナイトを形成したこと
を特徴とする強靭ベイナイト球状黒鉛鋳鉄の製造
方法。
Priority Applications (3)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP61312457A JPS63166928A (ja) | 1986-12-26 | 1986-12-26 | 強靭ベイナイト球状黒鉛鋳鉄の製造方法 |
| US07/079,031 US4867804A (en) | 1986-12-26 | 1987-07-29 | Manufacturing process of toughened bainitic nodular graphite cast iron |
| DE19873730878 DE3730878A1 (de) | 1986-12-26 | 1987-09-15 | Herstellungsverfahren fuer ein zaehes, bainitisches gusseisen mit kugelgraphit |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP61312457A JPS63166928A (ja) | 1986-12-26 | 1986-12-26 | 強靭ベイナイト球状黒鉛鋳鉄の製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS63166928A JPS63166928A (ja) | 1988-07-11 |
| JPH034605B2 true JPH034605B2 (ja) | 1991-01-23 |
Family
ID=18029421
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP61312457A Granted JPS63166928A (ja) | 1986-12-26 | 1986-12-26 | 強靭ベイナイト球状黒鉛鋳鉄の製造方法 |
Country Status (3)
| Country | Link |
|---|---|
| US (1) | US4867804A (ja) |
| JP (1) | JPS63166928A (ja) |
| DE (1) | DE3730878A1 (ja) |
Families Citing this family (6)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| FR2712606B1 (fr) * | 1993-11-19 | 1996-02-09 | Tech Ind Fonderie Centre | Procédé d'élaboration d'une charge de fonte à graphite sphéroïdal à caractéristiques mécaniques élevées. |
| US5603784A (en) * | 1995-03-20 | 1997-02-18 | Dayton Walther Corporation | Method for producing a rotatable gray iron brake component |
| US5976709A (en) * | 1996-05-31 | 1999-11-02 | Hitachi Kinzoku Kabushiki Kaisha | Aluminum alloy member, with insert provided therein, possessing improved damping capacity and process for producing the same |
| JP4109761B2 (ja) * | 1998-08-18 | 2008-07-02 | 本田技研工業株式会社 | 高ヤング率高靱性Fe系部材の製造方法 |
| US6258180B1 (en) * | 1999-05-28 | 2001-07-10 | Waupaca Foundry, Inc. | Wear resistant ductile iron |
| DE10201218A1 (de) * | 2002-01-14 | 2003-07-24 | Fischer Georg Fahrzeugtech | Sphärogusslegierung |
Family Cites Families (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS5956518A (ja) * | 1982-09-25 | 1984-04-02 | Honda Motor Co Ltd | 強靭球状黒鉛鋳鉄の熱処理方法 |
| JPS5959825A (ja) * | 1982-09-29 | 1984-04-05 | Honda Motor Co Ltd | 強靭球状黒鉛鋳鉄の熱処理方法 |
| US4484953A (en) * | 1983-01-24 | 1984-11-27 | Ford Motor Company | Method of making ductile cast iron with improved strength |
| SE8502514L (sv) * | 1985-05-22 | 1986-11-23 | Volvo Ab | Forfarande for framstellning av ett bainitherdat segjern |
-
1986
- 1986-12-26 JP JP61312457A patent/JPS63166928A/ja active Granted
-
1987
- 1987-07-29 US US07/079,031 patent/US4867804A/en not_active Expired - Fee Related
- 1987-09-15 DE DE19873730878 patent/DE3730878A1/de not_active Withdrawn
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS63166928A (ja) | 1988-07-11 |
| US4867804A (en) | 1989-09-19 |
| DE3730878A1 (de) | 1988-07-07 |
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