JPH0345841Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は自動車用ホイールの改良に関するもの
である。

〔従来の技術〕

従来から自動車用ホイールとしては種々の構造
のものが開発されており、例えば、適度の強度を
維持した上で軽量化を図ると共にホイールに装着
されるチユーブレスタイヤのクツシヨン性を向上
させる目的で、実開昭58−164801号公報に記載さ
れているように、中央のハブ部からリム部に向か
つて放射状に突設した複数本のスポーク部を中空
に形成し、その中空内部をリムの外周面に連通さ
せてなるホイールが知られている。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記のような構造のホイールによれば、チユー
ブレスタイヤ内に封入される空気がスポーク部の
中空内部にも充満して空気の封入量が増大し、そ
の分だけタイヤの変形が容易となると共にクツシ
ヨン性が向上するという利点を有するが、該スポ
ーク部の表面積が比較的小さいために、タイヤか
らの発熱をスポーク部を介して外部に強制的に放
散させる効果は殆ど期待できなく、又、ホイール
が回転しても、隣接するスポーク部間の開口部に
ホイールの裏面側から表面側に向かう空気流を積
極的に発生させることができなく、ブレーキ機構
を冷却させることが困難であつた。

このため、ホイールの表面側又は裏面側に複数
枚の傾斜羽根を放射状に設けたカバー体を別に取
付け、走行中にホイールと一体回転する傾斜羽根
によつてホイールの裏面側から表面側に向かう気
流を発生させることも行われているが、ホイール
の形状によつては該カバー体の装着が困難である
場合や装着しても充分な冷却効果が得られないが
生じると共に表面側に装着した場合にはホイール
の外観を損し、又、裏面側に装着する場合にはそ
の作業に著しい手間を要する等の問題点があつ
た。

本考案はこのような問題点を全面的に解消し得
る自動車用ホイールの提供を目的とするものであ
る。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、本考案の自動車用
ホイールは、ハブ部５と、このバス部５の外周か
ら外径方向に向かつて放射状に突設している複数
本のスポーク部６と、これらのスポーク部６の外
端面を内周面に一体に連設させ且つ外周面にチユ
ーブレスタイヤを装着させるようにしているリム
Ｒとからなるホイールであつて、前記各スポーク
部６をハブ部５からリムＲに向かうに従つてホイ
ールの回転方向に彎曲させていると共にその内部
を中空空洞７に形成して該空洞７をリムＲの外周
面に連通させてあり、さらに、各スポーク部６に
おけるホイール回転方向の彎曲面に、先端に向か
うに従つてホイールの表面側から裏面側に向かつ
て傾斜し且つリムＲからハブ部５に向かつて徐々
に幅広く形成してなる傾斜フイン壁８を突設して
あり、各フイン壁８の先端とその先端側に隣接す
るスポーク部６間に通気孔Ｓを設けた構造を有す
るものである。

〔作用〕

上記のように構成したホイールの各スポーク部
６は中空に形成されているから、所定の強度を維
持した上で軽量化が図られると共に、リムＲにチ
ユーブレスタイヤを装着して該タイヤに空気充填
すると、リムＲの外周面に連通する各スポーク部
６の空洞７内にも空気が充満し、タイヤ内に対す
る空気の封入量が増大してタイヤのクツシヨン性
が良好となる。

さらに、各スポーク部６をハブ部５からリムＲ
に向かうに従つてホイールの回転方向に彎曲させ
てあり、このスポーク部６のホイール回転方向の
彎曲面に、先端に向かうに従つてホイールの表面
側から裏面側に向かつて傾斜しているフイン壁８
を突設しているから、ホイールが回転すると、そ
の回転方向に彎曲したスポーク部６と傾斜フイン
壁８とによつて該傾斜フイン壁８表面側の風切り
が良好となり、先端に向かうに従つてホイールの
表面側から裏面側に向かつて傾斜しているフイン
壁８によりホイール裏面側の外気が各フイン壁８
の先端とその先端側に隣接するスポーク部６間に
設けた通気孔Ｓからホイール表面側に強制的に排
出され、この気流によつてホイール裏面側に配設
されているブレーキ機構を効果的に冷却すると共
にタイヤからの発熱をスポーク部６からフイン壁
８によつて効率良く放散させることができるもの
である。

又、各スポーク部６に一体の傾斜フイン壁８に
よつてホイール全体の強度が増大する。

〔実施例〕

本考案の実施例を図面について説明すると、第
１〜６図において、ホイールはアルミニウム合金
などの軽合金から一体鋳造、又は高強度の合成樹
脂から一体成形された所謂ワンピース形態をなし
ており、ハブ部５と、このハブ部５の外周から外
径方向に向かつて放射状に突設している複数本
（図例では４本）のスポーク部６と、これらのス
ポーク部６の外端面を内周面に一体に連設させ且
つ外周面にチユーブレスタイヤを装着させるよう
にしているリムＲとを有している。

リムＲは第５図に示すように、ホイールの表裏
面側に対応する両端周縁をフランジ部１，１に形
成していると共にこれらのフランジ部１，１から
ピートシート部３，３を連設してあり、さらに、
ピートシート部３，３間にハンプ部２とウエル部
４を形成してなるものである。

又、複数本のスポーク部６は、ホイールのデイ
スク部Ｄと称される部分に設けられているもの
で、ホイールの中心部に設けられたハブ部５の外
周から四方に向かつて放射状に突設し、その外端
をリムＲの表面側フランジ部１からウエル部４を
含む部分の内周面に一体に連らなつてリムＲを支
持してある。

これらの各スポーク部６は第６図に示すように
内部に中空の空洞７を有する断面角筒形状、或い
は第７図に示すような断面楕円形状に形成されて
あり、その外端開口部を第４図及び第５図に示す
ようにリムＲのウエル部４の外周面に連通させて
ある。

さらに、各スポーク部６は、ホイールの表面側
から見た場合、ハブ部５からリムＲに向かうよう
に従つてホイールの回転方向に緩やかな円弧状を
画くように彎曲してある。

又、各スポーク部６におけるホイール回転方向
の彎曲面には、先端に向かうに従つてホイールの
表面側から裏面側に向かつて傾斜し且つリムＲか
らハブ部５に向かつて徐々に幅広く形成してなる
傾斜フイン壁８を一体に突設してあり、各フイン
壁８の先端とその先端側に隣接するスポーク部６
間に通気孔Ｓを設けてある。

ホイールの中心部に設けられているハブ部５に
は、円形の中心孔１０が形成されていると共にそ
の中心孔１０のホイール表面側の開口端に円形フ
ランジ１１を一体突設してあり、この円形フラン
ジ１１の外周にリング状の凹所９を形成してある
（第２，３，５図参照）。

このハブ部５の前記凹所９の溝底面にはホイー
ルの裏面側に連通する複数個のボルト取付孔１２
が穿設されてあり、このボルト取付孔１２を通じ
て車軸（図示せず）に固定されるボルト（図示せ
ず）によりホイールの取付けが行われる。

１３は上記凹所９を施蓋するセンターキヤツプ
であり、第８図のようにその中心から内向きに突
出された取付脚１４が上記フランジ１１の開口内
周面に設けている係止条溝に自己の弾力性により
係脱自在に係止固定されるようになつている。１
５はその係止爪である。

なお、合成樹脂や軟質金属に代わる非弾力性の
材料からキヤツプ１３に作成して、その取付脚１
４を上記フランジ１１へ着脱自在に螺合させた
り、或いはその他の取付手段を採用しても勿論良
い。

１６はキヤツプ１３の周縁部を受け止める切欠
であり、上記凹所９の開口縁部に形成されてい
る。

このように構成したホイールは、そのリムＲに
チユーブレスタイヤを装着して自動車の車軸に取
付けられる。

そして、各スポーク部６は、ハブ部５からリム
Ｒに向かうに従つてホイールの回転方向に彎曲し
ていると共に、このスポーク部６のホイール回転
方向の彎曲面に、先端に向かうに従つてホイール
の表面側から裏面側に向かつて傾斜しているフイ
ン壁８を突設しているから、このホイールが第１
図の矢印Ａで示す方向に回転すると、その回転方
向に彎曲したスポーク部６と傾斜フイン壁８とに
よつて該傾斜フイン壁８表面側の風切りが良好に
行われ、且つ、先端に向かうに従つてホイールの
表面側から裏面側に向かつて傾斜しているフイン
壁８によりホイール裏面側の外気が各フイン壁８
の先端とその先端側に隣接するスポーク部６間に
設けた通気孔Ｓからホイール表面側に強制的に排
出され、この気流によつてホイール裏面側の熱気
が排出されると共にその裏面側に配設されている
ブレーキ機構が冷却される。

さらに、タイヤからの発熱がスポーク部６から
フイン壁８に伝達し、このフイン壁８の回転によ
る気流からの冷却作用と相俟つてフイン壁８の大
きな表面から放散させられる。

又、各スポーク部６の中空空洞７がタイヤ内に
連通しているので、その分だけタイヤ内に対する
空気の封入量が増大し、タイヤを変形作用を容易
にして、クツシヨン性能を向上させることができ
るものである。

〔考案の効果〕

以上のように本考案は、リムＲと複数本のスポ
ーク部６とハブ部５とを一体に成形しているホイ
ールにおいて、各スポーク部６をハブ部５からリ
ムＲに向かうに従つてホイールの回転方向に彎曲
させていると共に、このスポーク部６のホイール
回転方向の彎曲面に、先端に向かうに従つてホイ
ールの表面側から裏面側に向かつて傾斜している
フイン壁８を突設しているので、ホイールが回転
すると、その回転方向に彎曲したスポーク部６と
傾斜フイン壁８とによつて該傾斜フイン壁８表面
側の風切り作用が良好に行われると共に先端に向
かうに従つてホイールの表面側から裏面側に向か
つて傾斜しているフイン壁８により、ホイール裏
面側の外気を各フイン壁８の先端とその先端側に
隣接するスポーク部６間に設けた通気孔Ｓからホ
イール表面側に気流として強制的に排出せること
ができ、この気流によつてホイール裏面側の熱気
を外部に排出してホイール裏面側に配設されてい
るブレーキ機構を効果的に冷却することができる
ものである。

さらに、走行中に発生するタイヤの発熱をスポ
ーク部６から表面積の広いフイン壁８によつて放
散させることができると共にこのフイン壁８の回
転により生じる気流によつて熱を積極積に放散さ
せることができ、一層効果的な冷却が可能となる
ものである。

その上、各スポーク部６から突設したフイン壁
８は、その突出幅をリムＲからハブ部５、即ち周
速度が遅くなる中心部に向かうに従つて幅広く形
成しているので、内外径方向の全長に亘つて均一
な排気能力を発揮させることができ、上記冷却作
用が効率良く行えるものである。

又、各スポーク部６に空洞７を設けているの
で、所定の強度を維持した上でホイールの軽量化
を図ることができると共に、その中空空洞７がチ
ユーブレスタイヤ内に連通しているので、その分
だけタイヤ内に対する空気の封入量が増大し、タ
イヤを変形作用を容易にして、クツシヨン性能を
向上させることができるものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すもので、第１図は
その正面図、第２図は背面図、第３図はそのセン
ターキヤツプを取り外した状態の正面図、第４図
は第１図の拡大側面図、第５図は第１図のＸ−Ｘ
線に沿う拡大断面図、第６図は同じくＹ−Ｙ線の
拡大断面図、第７図は第６図に対応する変形例の
断面図、第８図はセンターキヤツプの拡大背面図
である。 ５……ハブ部、６……スポーク部、７……空
洞、８……傾斜フイン壁、Ｒ……リム、Ｓ……通
気孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ハブ部５と、このハブ部５の外周から外径方向
   に向かつて放射状に突設している複数本のスポー
   ク部６と、これらのスポーク部６の外端面を内周
   面に一体に連設させ且つ外周面にチユーブレスタ
   イヤを装着させるようにしているリムＲとからな
   るホイールであつて、前記各スポーク部６をハブ
   部５からリムＲに向かうに従つてホイールの回転
   方向に彎曲させていると共にその内部を中空空洞
   ７に形成して該空洞７をリムＲの外周面に連通さ
   せてあり、さらに、各スポーク部６におけるホイ
   ール回転方向の彎曲面に、先端に向かうに従つて
   ホイールの表面側から裏面側に向かつて傾斜し且
   つリムＲからハブ部５に向かつて徐々に幅広く形
   成してなる傾斜フイン壁８を突設してあり、各フ
   イン壁８の先端とその先端側に隣接するスポーク
   部６との間に通気孔Ｓを設けていることを特徴と
   する自動車用ホイール。