JPH0345834Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、万年筆、水性ボールペン、繊維ペ
ン等インクを用いた筆記具、液体を用いたアイシ
ヤドー、口紅等の化粧品、記録装置、コンピユー
ター端末印刷装置等の印字装置に取付けられる流
量調整具に関するものである。

従来、この種の毛管体流路に用いる流量調整具
としては、例えば筆記具にあつては環状溝を櫛歯
状に多数形成したペン芯体が用いられていた。

しかしこのペン芯体による流量調整体は複雑な
切削加工、成形加工等の多くの加工工程と機械設
備が必要であるため、生産能率が悪くコスト高で
ある欠点があつた。

そこで、この考案は上記従来の欠点に鑑みなさ
れたものであつて、断面形状ほぼ円形又は角形と
した線状体を螺旋状に巻回すると共に、該線状体
はその壁面が相隣れる線状体の壁面との間、誘導
パイプとの間において互に毛細管作用を生ずる液
体貯溜域を形成し、かつ、線状体の軸方向の間隙
を断面の径方向内又は外に行くにしたがい大きく
して、切削、成形加工を省略し生産性を向上しう
ると共に、使用する液体のバラツキに対しても確
実に流量を調整しうる毛管体流路に用いる流量調
整具を安価に提供することを目的としたものであ
る。

この考案の構成を図面に示す実施例について以
下詳細に説明する。

第２図は、水性ボールペンに第１図のインキ調
整具を施した実施例であつて、１は軸筒で内部に
水性インクＡを貯溜するインク収容室２とインク
調整室３を設け、またインク収容室２よりインク
調整室３内に誘導パイプ４を突設する。５は先軸
であつて、先端にはボール６を回転自在に嵌合し
たチツプ７を取付けると共に、誘導孔８を穿設
し、誘導孔８に繊維芯よりなるインク誘導芯９を
挿入する。この先軸５は軸筒１の先端に連結固定
すると共に、誘導孔８より突出するインク誘導芯
９を誘導パイプ４内に挿入する。１０はインク調
整具であつて、誘導パイプ４の外周のインク調整
室３内にそのままで、または圧縮して装着すると
共に、このインク調整具１０は断面円形の線材１
１を螺旋状に巻回し、線材１１の壁面は相隣れる
線材１１と壁面との間にまた誘導パイプとの間に
毛細管作用を生じる間隙を設けて両線材間にイン
ク貯溜域１２を形成するとともに、軸方向の線材
間の間隙を径方向内又は外方に行くにしたがい大
きくする。

なお、１３は誘導パイプ４に穿設した流通孔、
１４は軸筒１の先端に形成した外気取入口を示
す。

このように構成されているので、インク収容室
２内のインクＡはインク誘導芯９内を通つてチツ
プ７のボール６に供給されており、筆記によるボ
ール６の回転につれてインクＡは次々と送られ
る。しかし気圧、温度変化等によつてインク収容
室２内の圧力が高まり、多量のインクＡがインク
誘導芯９に供給されると、該インクＡは誘導パイ
プ４の流通孔１３よりインク調整室３のインク調
整具１０の線材１１間に形成されているインク貯
溜域１２に保留され、チツプ先端のボール６より
のインクＡの溢出は防止され、またボール６から
インクＡが急速に多量に消費された場合にはイン
ク調整具１０のインク貯溜域１２に保留されてい
るインキＡは毛細管作用によりインク誘導芯９に
供給され、インク収容室２からのインクＡの供給
前にボール６に補給されインク切れを防止する。

特に、インク調整具１０のインク貯溜域１２は
両線材１１，１１の円弧面間に形成されているの
で、使用するインクＡの性質、温度、バラツキ等
による粘度の変化があつてもその粘度に合致する
毛細間隙における毛細管作用によつて確実にイン
クＡを保留させることができる。また、インク調
整具１０の形状は、上記実施例のほか、第３図の
如く断面菱形状の線材２１を、その頂点で隣接す
る線材２１と接し角形のインク貯溜域２２を形成
しても良く、また断面三角形の線材３１を第４図
の如く巻回してインク貯溜域３２を形成しても、
或は断面楕円形状の線材４１を第５図の如く巻回
してインク貯溜域４２を形成しても良い。

また、上記実施例は水性ボールペンについて述
べたが、この他のインクを用いた筆記具は勿論、
液体を用いた化粧品、或は記録装置の記録ペン装
置、コンピユーター端末の印刷装置の印字具に用
いても勿論良い。

以上、詳述したように、この考案は、線材を螺
旋状に巻回して適宜長さに切断するのみで構成で
きるので、従来の如く複雑な切削加工を施す必要
もなく、またインジエクシヨン等による高価な成
形型を用いて成形加工する必要がないので製造工
程が単純化され、生産性を極めて向上させること
ができる。その上巻回された線材間に形成された
インク貯溜域は毛細管作用の強い線材密接部から
径方向内又は外に向かつて順次毛細管作用が弱く
形成されるので、使用されるインクの性質、温
度、バラツキ等による粘度の変化に対しても確実
に毛細管作用が働きインクを保留し流量を自動的
に調整することができる等、種々の優れた効果を
有する製品を安価に提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一部切欠縦断面図、第２図
は同じく水性ボールペンに用いた状態の縦断面
図、第３図乃至第５図は他の実施例の一部切欠縦
断面図を示す。 １０……インク調整具、１１……線材、１２…
…インク貯溜域。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 線状体を螺旋状に巻回すると共に、該線状体は
   断面形状をほぼ円形又は角形とし、その壁面が相
   隣れる線状体の壁面との間で毛細管作用を生じる
   間隙をもち、軸方向の間隙が断面の径方向内又は
   外に行くにしたがい大きくなるものとし、上記線
   状体を軸筒前部のインク調整室内に収容し、か
   つ、線状体内を線状体との間に毛細管作用を生じ
   る間隙もつて挿通し、線状体内に連通する流通孔
   を具え、先端塗布部分に接続する誘導パイプを設
   けてなる毛管体流路に用いる流量調整具。