JPH0345225Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、Ｘ線撮影に用いられるフイルムを封
入する包装体に関し、特に歯科用に好適なＸ線フ
イルム包装体に関する。

〔従来の技術〕

Ｘ線フイルム包装体は、Ｘ線フイルムとこのＸ
線フイルムの感光を防止する包装体とで構成され
ている。このようなＸ線フイルム包装体としては
種々の形態のものが提案されているが、Ｘ線撮影
後のＸ線フイルム現像処理に便利なものとして特
開昭61−156114号公報に示されたＸ線フイルム包
装体がある。これを図により説明する。

第２図ａは従来の歯科用Ｘ線フイルム包装体の
平面図、第２図ｂは第２図ａの線ｂ〜ｂに沿
う断面図であるが、理解を容易にするため、ま
ず、第３図ａ，ｂを用いて第２図ａ，ｂに示す歯
科用Ｘ線フイルム包装体の基本構成を説明する。

第３図ａは歯科用Ｘ線フイルム包装体の基本構
成の平面図、第３図ｂは第２図ａの線ｂ〜ｂ
に沿う断面図である。図で、１はＸ線フイルム、
５はＸ線フイルム１の周縁より僅かに大きな周縁
を有し、Ｘ線フイルム１の下面を覆う第１のシー
トである。６はＸ線フイルム１の図で右方端部付
近に残部１ａを残し、Ｘ線フイルム１の上面のそ
の他の部分を覆う第２のシートであり、その上、
下および図の左側の周縁は第１のシート５とほぼ
同一の大きさを有する。７は第２のシート６およ
びＸ線フイルム１の残部１ａを覆う第３のシート
であり、その上、下および図の右側の周縁は第１
のシート５とほぼ同一の大きさを有する。しか
し、当該第３のシート７の図で左側縁部７ｄは第
１のシート５の縁部５ｄおよび第２のシート６の
縁部６ｄより僅かに短い。第１のシート５の縁部
５ａと第３のシート７の縁部７ａが溶着され、
又、第１のシート５の縁部５ｂ，５ｃ、第２のシ
ート６の縁部６ｂ，６ｃ（いずれの縁部も図には
現れていない）、第３のシート７の縁部７ｂ，７
ｃが溶着され、さらに、第１のシート５の縁部５
ｄと第２のシート６の縁部６ｄが溶着される。

以上の構成において、Ｘ線フイルム１の下面は
第１のシート５で覆われ、上面は第２のシート６
と第３のシート７で覆われる。そしてＸ線フイル
ム１は、第２のシート６と第３のシート７の間隙
を介して外部と通じている。

このような歯科用Ｘ線フイルム包装体に対し
て、第２図ａ，ｂに示す歯科用Ｘ線フイルム包装
体は現像処理に便利なような構成が施されてい
る。第２図ａ，ｂで、第３図ａ，ｂに示す部分と
同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
８，９は第２のシート６と第３のシート７を溶着
する第１の溶着部および第２の溶着部である。第
１の溶着部８は第３のシート７の縁部７ｄの隅部
付近から各シートの下方縁部５ｃ，６ｃ，７ｃの
方に向かつて斜めに延びる傾斜線８ａと、この傾
斜線８ａと連続し、Ｘ線フイルム１の残部１ａの
近くにおいて上方に折り返されて縁部７ｂに達す
る折り返し線８ｂとで形成されている。又、第２
の溶着部９は第１の溶着部８の傾斜線８ａとほぼ
平行な傾斜線９ａと、この傾斜線９ａと連続し、
第１の溶着部８の折り返し線８ｂの折り返し点よ
り手前で下方に折り返されて縁部７ｃに達する折
り返し線９ｂとで形成されている。傾斜線８ａ，
９ａ、折り返し線８ｂ，９ｂに沿つて第２のシー
ト６と第３のシート７とが溶着されていることに
なる。１０は傾斜線８ａと傾斜線９ａとの間に形
成された通路、１１は折り返し線９ｂの折り返し
により通路１０が終了する開放部である。１２は
通路１０の中途に設けられた遮断部であり、通路
１０を横切つて第２のシート６と第３のシート７
とを接着力の弱い接着剤で接着することにより形
成される。

上記の構成から明らかなように、第１の溶着部
８と第２の溶着部９が形成されることにより、Ｘ
線フイルム１と外部とは通路１０のみにより通じ
ることとなり、通路１０に形成された遮断部１２
により、Ｘ線フイルム１は外部から完全に遮断さ
れ、第１のシート５、第２のシート６および第３
のシート７により密封されることになる。

さて、このような構成のＸ線フイルム包装体を
用いてＸ線撮影を行つた後の現像処理は次のよう
にしてなされる。即ち、前述のような注射器に現
像液を吸い込み、針を通路１０に挿入する。この
際、第３のシート７の縁部ｄは第２のシート６の
縁部６ｄより僅かに短く形成されているので通路
１０の入り口も明確であり、針の挿入は極めて容
易になされる。針の挿入を進めると、接着力の弱
い接着剤で接着された遮断部の接着は直ちに剥が
され、通路１０は開通する。さらに針を挿入して
ゆくと、針の先端は逐には通路１０を抜けて開放
部１１に達する。この間、針は第２のシート６と
第３のシート７との間を進む事になり、Ｘ線フイ
ルム１とは接触しない。しかも、第２のシート６
と第３のシート７に平行に挿入されるため、注射
針が第２のシート６を刺し通してＸ線フイルム１
を傷付けるおそれは全くない。針の先端が開放部
１１に達したところで、現像液を放出すると、現
像液はＸ線フイルム１の残部１ａから第２のシー
ト６とＸ線フイルム１との間にり込み、さらに、
各縁部からＸ線フイルム１の下面に入り込み、こ
れにより現像が行なわれる。定着液の注入も同様
にして行なわれる。現像処理後は第３のシート７
を引きはがすことにより容易にＸ線フイルムを取
り出す事ができる。この際、第３のシート７の引
きはがしは、第３のシート７と第２のシート６と
の間に指を挿入する事により容易に行うことがで
きる。

なお、針は必ずしも開放部１１に達するまで挿
入する必要はなく、通路１０の中途までであつて
も差し支えなく、遮断部１２を剥ぎとればよい。
又、遮断部１２が接着力の弱い接着剤により接着
形成されているので、針でなく先端が丸くなつた
注入器を用いてもよい。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上記歯科用Ｘ線フイルム包装体は、前述のよう
に、Ｘ線撮影後の現像、定着処理に便利な構成と
なつている。しかしながら、遮断部１２の存在の
ため、処理液を注入する注入体の挿入に円滑さを
欠き、かつ、遮断部１２を構成するため製造が面
倒であるという欠点があつた。

本考案の目的は、上記従来技術の欠点を解消
し、処理液注入体の挿入が容易で、かつ、構成が
簡素なＸ線フイルム包装体を提供するにある。

〔問題点を解決するための手段〕

上記の目的を達成するため、本考案は、４つの
辺を有するＸ線フイルムを包装して成るＸ線フイ
ルム包装体おいて、前記Ｘ線フイルムの一方の面
全部を覆う柔軟な合成樹脂の第１のシートと、前
記各辺のうちの１つの辺側に残部を残して前記Ｘ
線フイルムの他方の面の他の部分を覆うとともに
前記第１のシートと前記１つの辺以外の３辺側で
接合する柔軟な合成樹脂の第２のシートと、前記
残部および前記第２のシートを覆うとともに前記
１つの辺側で前記第１のシートと、かつ、当該辺
と反対側の辺側を除く他の２つの側辺側で前記第
１のシートおよび前記第２のシートと接合する柔
軟な合成樹脂の第３のシートと、互いに接近平行
し、かつ、前記１つの辺と対向する辺側の端部近
くから斜めに延び途中で互いに逆方向に折返して
前記各側辺まで延びる前記第２のシートと前記第
３のシートとの２つの溶着線により貫通形成され
る通路とを設けたことを特徴とする。

〔作用〕

上記１つの辺と反対の辺側においては、第３の
シートの縁部に沿う第２のシートとの接合はなさ
れていないので、通路は外部と通じている。一
方、上記１つの辺側においても、第２のシートの
縁部に沿う第３のシートとの接合はなされていな
いので、通路は包装体内部と通じている。結局、
通路はＸ線フイルム包装体の外部と内部をなんら
の阻止部分もなく連絡している。そして、通常は
第２のシートと第３シートとはその柔軟性により
通路において密着していて光や湿気を通さない。
Ｘ線撮影終了後の現像処理において、通路に処理
液注入体の先端を挿入して、Ｘ線フイルム包装体
内に処理液を注入する。

〔実施例〕

以下、本考案を図示の実施例に基づいて説明す
る。

第１図ａは本考案の実施例に係る歯科用Ｘ線フ
イルム包装体の平面図、第１図ｂは第１図ａに示
す線ｂ〜ｂに沿う断面図である。各図で、第
２図ａ，ｂに示す部分と同一部分には同一符号を
付して説明を省略する。本実施例の歯科用Ｘ線フ
イルム包装体と第２図ａ，ｂに示す従来の歯科用
Ｘ線フイルム包装体とを比較すると、従来のもの
が遮断部１２を有するのに対し、本実施例のもの
は遮断部が設けられていない点でのみ相違し、そ
の他の構成は同じである。

第２図ａ，ｂに示される従来の構成において、
通路１０を形成したとき、この通路１０を通つて
外部から包装体内部に光線や湿気等が侵入すると
考えるのが通常であり、これを防止するため通路
１０の中途に遮断部１２が、設けられている。し
かしながら、本出願人は、遮断部１２を構成する
手間が面倒であることから、遮断部１２を除去す
ることを考え、その場合、光線や湿気の侵入がど
の程度のものであるか確かめるため、種々の環境
下で実験を行つた。その結果、極度の多湿下、強
力な光線下以外の通常環境下にあつては、第２図
ａ，ｂに示す構成から遮断部１２を除去した構成
のものを長時間放置しても、歯科用Ｘ線フイルム
包装体内への光線や湿気の侵入は認められないと
いう予期しない結果を得た。

このように、通路１０からの光線や湿気の侵入
がないのは、通路１０を形成する第２のシート６
と第３のシート７とが柔軟な合成樹脂材料で作成
されているため、通路１０の形成後、第２のシー
ト６および第３のシート７における通路１０を構
成している部分が互いに密着することが主たる原
因であると考えられる。さらに、これに加え、通
路１０自体の幅が処理液注入体の先端が挿入され
るのに充分なだけの幅とされ、この幅が極めて狭
いこと、および通路１０の長さが長いこともその
原因となつているものと思われる。

したがつて、通常の環境下で使用される歯科用
Ｘ線フイルム包装体にあつては、通路１０の中途
に遮断部１２を設ける必然性はなく、遮断部１２
を除去してもＸ線フイルム１には何等の悪影響も
生じない。そして、これにより遮断部１２を構成
するという面倒な工程を省略することができ、歯
科用Ｘ線フイルム包装体を安価に製造することが
でき、又、処理液注入体の先端の挿入も極めて円
滑に行うことができる。

なお、上記実施例の説明では、歯科用Ｘ線フイ
ルム包装体を例示して説明したが、歯科用に限る
ことなく、他の用途のＸ線フイルム包装体にも適
用可能である。又、各シート部は別体でなく連続
した一体のシートを使用することもできる。

〔考案の効果〕

以上述べたように、本考案では、通路から遮断
部を除去したので、構成が簡素化され、遮断部を
構成するための面倒な工程を省略することがで
き、これによりＸ線フイルム包装体を安価に製造
することができる。又、処理液注入体の先端の挿
入が極めて円滑となり、取扱いが容易となる。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ，ｂは本考案の実施例に係る歯科用Ｘ
線フイルム包装体の平面図および断面図、第２図
ａ，ｂは従来の歯科用Ｘ線フイルム包装体の平面
図および断面図、第３図ａ，ｂは歯科用Ｘ線フイ
ルム包装体の基本構成を示す平面図および断面図
である。 １……Ｘ線フイルム、５……第１のシート、６
……第２のシート、７……第３のシート、８……
第１の溶着部、９……第２の溶着部、１０……通
路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ４つの辺を有するＸ線フイルムを包装して成る
   Ｘ線フイルム包装体において、前記Ｘ線フイルム
   の一方の面全部を覆う柔軟な合成樹脂の第１のシ
   ートと、前記各辺のうちの１つの辺側に残部を残
   して前記Ｘ線フイルムの他方の面の他の部分を覆
   うとともに前記第１のシートと前記１つの辺以外
   の３辺側で接合する柔軟な合成樹脂の第２のシー
   トと、前記残部および前記第２のシートを覆うと
   ともに前記１つの辺側で前記第１のシートと、か
   つ、当該辺と反対側の辺側を除く他の２つの側辺
   側で前記第１のシートおよび前記第２のシートと
   接合する柔軟な合成樹脂の第３のシートと、互い
   に接近平行し、かつ、前記１つの辺と対向する辺
   側の端部近くから斜めに延び途中で互いに逆方向
   に折返して前記各側辺まで延びる前記第２のシー
   トと前記第３のシートとの２つの溶着線により貫
   通形成される通路とを設けたことを特徴とするＸ
   線フイルム包装体。