JPH0344856B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は動植物等の自然物を原型として、これ
を複製した貴金属製装飾品の製造方法に関する。

（従来の技術） 従来、この種製造方法として彫金の技法を応用
した製造方法がある。この方法は、例えば第１図
に示すように、自然物の一例である松Ａの盆栽の
複製品を製造する場合には、まず彫金の技法で上
記松Ａの模造品を製作し、その模造品から型取り
した石膏型により貴金属製装飾品を鋳造するもの
である。

（発明が解決しようとする課題） 上記従来方法では、彫金に熟練を要し、彫金製
作期間が長く、製作費が高くつき、しかも自然物
どうりに製作することが困難であるという欠点が
ある。そこで松Ａから直接型取りした石膏型によ
り貴金属製装飾品を鋳造することも考えられる
が、その型取りによつて松が損傷させられるの
で、石膏型を複数個製作することができず、量産
性に欠け、また装飾品の内部にも貴金属が充填さ
れることから、貴金属の使用量が多く、高価なも
のになるという難点がある。

本発明は上記従来の問題点に鑑み、少量の貴金
属で自然物からなる原型の複製装飾品を量産する
ことができるようにした貴金属製装飾品の製造方
法を提供することを目的とする。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するために、本発明は、水溶性
芯材１の表面に、複製装飾品の元となる原型のう
ちその外皮部分または外皮部分の分割部片（以
下、原型外皮部片と称する）ａを付着させながら
原型外皮部片ａを互いに接着して原型近似見本２
を製作し、該原型近似見本２を溶液３中に浸漬し
て上記芯材１を溶解することによつて中空状原型
近似見本２を形成し、次に該中空状原型近似見本
２を液体ゴム４中に浸漬せしめ、該液体ゴム４が
硬化するのをまつて中空状原型近似見本２と硬化
ゴム型４ａとを一体的に分断して該硬化ゴム型４
ａ内の上記見本２を除去し、しかる後、分断硬化
ゴム型を吻合再生して原形ゴム型５を形成し、該
原形ゴム型５内に凝固性型取り液６を圧入して前
記中空状原型近似見本２の複製品たるマスター６
ａを形成し、該マスター６ａから型取りした石膏
型８ａにより原型に近似した貴金属製装飾品Ｂを
鋳造するものである。

（実施例） 第１図に示す台座Ｃ上の自然物たる原型の一例
げある松Ａを複製して貴金属製装飾品Ｂ（第１１
図参照）を製造する場合には、次のようにしてお
こなう。即ち、 まず第２図に示すように、熱可塑性の水溶性ワ
ツクスにより上記松Ａとほぼ同一形状の芯材１を
形成し、その芯材１を熱変形しないよう冷蔵庫に
入れて低温状態で乾燥する。次に第３図に示すよ
うに、半日程度乾燥して固定した芯材１に、上記
松Ａから剥離し、またはその松Ａ以外から調達し
た原型の外皮部分またはその分割部片（以下、原
型外皮部片と称する）ａを付着させながら、その
原型外皮部片ａを互いに接着剤により接着して、
第４図ａ，ｂに示すように、原型近似見本２を製
作する。

次に上記原型近似見本２を、第５図ａに示すよ
うに、水などの溶液３中に浸漬して上記芯材１を
溶解させて内部２ａが中空状の原型近似見本２を
形成する（第５図ｂ参照）。次に、その残つた中
空状原型近似見本２を乾燥させた後、第６図に示
すように、二液混合で硬化する液体ゴム４に上記
見本２を中空内部２ａに十分に該液体ゴム４がい
きわたるように浸漬する。そして、その液体ゴム
が１日程度経つて硬化したならば、その硬化ゴム
型４ａを、第７図ａに示すように、内部の複雑な
形状の原型近似見本２を取り出せる程度に複数個
の型片イ，ロ，ハに刃物によつて注意深く切断
し、内部の原型近似見本２を強制的に取り出す。
この取り出しの際この原型近似見本２は用済であ
るから破損してもよい。

続いて上記各型片イ，ロ，ハを注意深く切断線
が沿うようにして、吻合再生し、その外周部を紐
で締結するなどして原形ゴム型５を形成する。こ
のように硬化ゴム型４ａを分断した後、再び正確
に再生する必要があるから、硬化ゴム型４ａを分
断する際に完全に各分断型片に分離するのではな
く、一部が互につながるようにした状態に分断す
ることが好ましい。次に第７図ｂに示すように原
形ゴム型５内に、適宜形成した注入口５ａより、
例えば70〜100℃で液化し、200〜300℃で蒸発す
る例えば凝固性ワツクス液などの凝固性型取り液
６を注射器等を用いて強制的に圧入し、該型取り
液６の凝固後原形ゴム型５を再び前記型片イ，
ロ，ハに分断して、その中から、第８図に示すよ
うに、マスター６ａを取り出す。ここで上記原形
ゴム型５は何回も使用可能であるから、マスター
６ａを必要な数だけ製作することができる。

その後、上記マスター６ａを、第９図に示すよ
うに、石膏液８中に浸漬し、その石膏液８の凝固
後、それを第１０図に示すように、電気炉９で加
熱して前記マスター６ａを蒸発させ、石膏型８ａ
を形成する。

最後に、第１１図に示すように、加圧式や遠心
式の鋳造機に取付けた上記石膏型８ａ内に金、銀
等の貴金属ｂを注入して鋳造すれば、第１図に示
す松Ａの複製品たる貴金属製装飾品Ｂを製造する
ことができる。

（発明の効果） 本発明によれば、複製すべき原型から原形ゴム
型を作り、その原形ゴム型から石膏型を型取りし
ているから、その石膏型により原型と同一形態の
貴金属製装飾品を短期間で容易且つ安価に鋳造す
ることができる。

また上記石膏型は原形ゴム型によつて必要数製
作することができるから、原型と同一形態の貴金
属製装飾品を量産することができる。

さらに前記原形ゴム型は、原型から中空状原型
近似見本を介して型取りしているため、前記装飾
品は中空状となり、少量の貴金属で豪華な貴金属
製装飾品を十分安価に製造することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は複製しようとする原型の一例である松
の盆栽の斜視図、第２図〜第１１図は本発明の一
実施例たる貴金属製装飾品の製造方法を説明する
ための製造工程図である。 １……水溶性芯材、２……原型近似見本、２ａ
……中空内部、３……溶液、４……液体ゴム、５
……原形ゴム型、６……凝固性型取り液、６ａ…
…マスター、８ａ……石膏型、Ａ……松（原型）、
Ｂ……貴金属製装飾品、ａ……原型外皮部片。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 水溶性芯材の表面に、複製装飾品の元となる
   原型のうちその外皮部分または外皮部分の分割部
   片（以下、原型外皮部片と称する）を付着させな
   がら原型外皮部片を互いに接着して原型近似見本
   を製作し、該原型近似見本を溶液中に浸漬して上
   記芯材を溶解することによつて中空状原型近似見
   本を形成し、次に該中空状原型近似見本を液体ゴ
   ム中に浸漬せしめ、該液体ゴムが硬化するのをま
   つて中空状原型近似見本と硬化ゴム型とを一体的
   に分断して該硬化ゴム型内の上記見本を除去し、
   しかる後、分断硬化ゴム型を吻合再生して原形ゴ
   ム型を形成し、該原形ゴム型内に凝固性型取り液
   を圧入して前記中空状原型近似見本の複製品たる
   マスターを形成し、該マスターから型取りした石
   膏型により原型に近似した貴金属製装飾品を鋳造
   することを特徴とする貴金属製装飾品の製造方
   法。