JPH0344384Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、ロボツトがワークを治具上の所定
位置に正しく位置決めするとともに、加工完了後
の搬出を容易にしたワーク位置決め装置に関する
ものである。

（従来の技術） 自動車ボデイサイドパネルのインナーパネルと
アウターパネルとを溶接するような作業をロボツ
トを使つて自動化しようとする場合、ロボツトに
は位置決め能力が乏しいためワークを治具に取り
付ける工程は従来人力による手作業で行なわれて
いて、この点が自動化の障害となつていたもので
ある。

（考案の目的） この考案は、上記した自動化の障害を治具を改
良することにより克服して、治具自体がワークを
正確に位置決めするようにして無人化することを
目的とするものである。

（考案の構成） 上記の目的を達するためのこの考案は、ロボツ
トが搬送したワークを治具上に位置決めするワー
ク位置決め装置において、上記ワークを上記治具
上の所定位置に導くための複数のガイド部材と、
上記ワークを上記治具上の所定位置に押し込むた
めの複数の押し込み部材とを上記治具上に設け、
さらに、上記ガイド部材には上記ワークの搬出時
に、また、上記押し込み部材には上記ワークの搬
入および搬出時に、ともに該ワークとの干渉を避
けるための、それぞれに独立して各々駆動する回
避手段を設け、上記ガイド部材のガイド部の下方
に、該ガイド部によりガイドされる上記ワークに
当接して該ワークを治具の中央方向に付勢する弾
性部材が、上記ガイド部の内方端より内方側へ突
出して設けられるとともに、上記押し込み部材は
逆Ｌ字形に形成され、その縦長部分に上下に並ん
で側方に突設された２本のガイドピンと、上記治
具上に直立した押し込み部材支柱に縦長の上端を
外方に湾曲して形成されるとともに、上記２本の
ガイドピンが嵌合されてなる長穴を有し、上記押
し込み部材を該長穴に沿つて移動させて湾曲部で
回避状態に位置せしめるためのガイド手段を備え
た、ワーク位置決め装置である。

上記ガイド部材と押し込み部材の回避手段は、
エヤシリンダ等の動力を利用して、必要な時期に
回避と復帰が行われるように自動制御されるもの
である。

以上の構成において、押し込み部材は回避位置
に、ガイド部材は正常位置にある状態で、ロボツ
トがワークを搬送して治具上の正常な位置の近く
に置けば、押し込み部材が正常位置に復帰してワ
ークを押し込み、ワークはガイド部材に導かれて
所定の位置に正確に位置決めされる。

そして、加工完了後にガイド部材と押し込み部
材が、ワーク搬出時にワークと干渉しない位置ま
で回避することにより、ロボツトが加工済みのワ
ークをつかんで容易に治具上から搬出することが
できるものである。

（実施例） 以下、図面に基づいて本考案の実施例を説明す
る。

第１図は、本考案の一実施例として、自動車の
ボデイサイドパネルのインナーパネルとアウター
パネルを溶接する治具にワーク位置決め装置を用
いて位置決めした状態を示す図である。

図において、１はインナーパネル（ワーク）
で、治具台２上にあらかじめ設置されているアウ
タターパネル１ａ上に重ねられる。

３はガイド部材で、治具台２上に直立して設け
たカイド部材支柱４の上端付近に、下端部を回動
自在に軸支５し、上端を治具台２に対して内向き
に折り曲げて、この折り曲げの突端に、インナー
パネル１の進入時のガイドとなつて滑り込み易い
方向に斜面としたガイド部３ａを持つとともに、
上下の中間に、治具台２に対して外向きに突出し
た突出部３ｂを設けて、この突出部３ｂの先端部
に基端部を治具台２上に取り付けたエアシリンダ
６のロツドの先端に連結し、さらにガイド部３ａ
の下側に、治具台２に対して内向きに突出してイ
ンナーパネル１を治具台２の中央方向に付勢する
ゴム状の弾性部材７を設けてある。

８はストツパーで、ガイド部材支柱４の上端部
に設けて、ガイド部材３が第２図に示す正常位置
で停止するように規制するためのものである。

９は押し込み部材で、縦長で上端が治具台２に
対して内向きに折れ曲がつたインナーパネル当接
部９ａを持つ、ほぼ逆Ｌ字形に形成され、縦長部
分の上下に並んで側方に突出した２本のガイドピ
ン９ｂ，９ｃを持ち、このガイドピン９ｂ，９ｃ
が、治具台２上に直立して押し込み部材９の側方
に設けた押し込み部材支柱１０に形成した、縦長
で上端が治具台２に対して外向きに湾曲した長穴
１０ａにはまり、さらに基端を押し込み部材支柱
１０に取り付けたエヤシリンダ１１のロツドの先
端を、下側のガイドピン９ｂに連結したものであ
る。

上記のガイド部材３及び押し込み部材９は、イ
ンナーパネル１が正常に位置決めされるように、
インナーパネル１の周囲の適当箇所に配置され
て、治具台２上に複数個づつ設けるものである。

今第２図の状態は、ガイド部材３が正常位置に
あつて、インナーパネル１がロボツト（図示省
略）により搬送されて治具台２上の正常位置の近
くに置かれたものが、後述する押し込み部材９に
よりガイド部３に沿つて押し込まれて、弾性部材
７を圧迫して正しく治具台２上に位置決めされた
状態を示すもので、このときガイド部３ａの上方
は、インナーパネル１の受入れ口として広くなつ
ており、かつ下端が正しいインナーパネル１の外
周位置となるようにストツパー８により位置決め
されているため、ロボツトがインナーパネル１を
多少ずれた位置に置いても、ガイド部３ａに沿つ
てインナーパネル１の外周が滑り込めば、インナ
ーパネル１の外周はガイド部３ａの下端に接する
か、接近した状態に弾性部材７により付勢され
て、位置が決まるものである。

尚、インナーパネル１の外径は若干のバラツキ
があるものとして、最大寸法のものの外周がガイ
ド部３ａの下端にすれすれとなるようにガイド部
材３が位置決めされているから、インナーパネル
１が小さい場合はインナーパネル１の外周とガイ
ド部３ａの下端との間にすこし隙間を生じて、弾
性部材７がインナーパネル１を治具台２に対して
中央に寄せる働きをする。

また、押し込み部材９は、ロボツトがインナー
パネル１を治具台２上に置く前に、第５図に示す
如くエヤシリンダ１１によつて押し上げられて、
ガイドピン９ｂ，９ｃが長穴１０ａの上端の湾曲
に沿つて回避位置にあつて、インナーパネル１と
干渉しないようになつており、この状態でインナ
ーパネル１が治具台２の上に置かれたら、エヤシ
リンダ１１が作動して、押し込み部材９との連結
部のガイドピン９ｂを引き下げると、押し込み部
材９はガイドピン９ｂと９ｃが長穴１０ａに沿つ
て引き下げられて、インナーパネル当接部９ａが
インナーパネル１の上縁１ｂに接して、このイン
ナーパネル１を前記の如くガイド部材３のガイド
部３ａに沿つて押し込むもので、押し込み完了時
は第４図の状態となる。

従つて第２図と第４図は同様にインナーパネル
１が正常に取り付けられたときの、ガイド部材３
と押し込み部材９の状態を示すものである。

次に、インナーパネル１とアウターパネル１ａ
の加工（溶接）が完了してボデイサイドパネルと
なつて、治具台２からロボツトがこのボデイサテ
ドパネルを搬出するとき、押し込み部材９を第５
図の状態にエヤシリンダ１１により押し上げて、
インナーパネル１の上縁１ｂからインナーパネル
当接部９ａを斜外向上方に引き離して、ボデイサ
イドパネルと干渉しない位置に回避させるととも
に、ガイド部材３を第３図のようにエヤシリンダ
６を作動させて突出部３ｂを引き下げると、ガイ
ド部材３の下端の軸支５を中心として治具台２に
対して外向きに倒してインナーパネル１から離
し、ボデイサイドパネルと干渉しない位置まで回
避させるものである。

こうしてボデイサイドパネルをロボツトが治具
台２上から搬出する際に、ボデイサイドパネルが
ガイド部材３および押し込み部材９と干渉しない
ようにするものである。

このようなガイド部材３と押し込み部材９の正
常位置および回避位置への移動は、それぞれのエ
アシリンダ６と１１を従来公知の自動制御手段
（図示省略）を利用して適時に作動させて行うも
のである。

上述した第２図〜第５図に示す位置決め装置
を、第１図に示すようにアウターパネル１ａに対
するインナーパネル１の位置決めに必要な箇所
Ａ・Ｂ・Ｃに設ける。

（考案の効果） 以上説明した本考案によれば、ロボツトが搬送
するワークを治具上に位置決めするに当たつて、
従来人手により行われていた位置決めを、治具自
体が正確に行うことができるため無人化が可能と
なり、大きな省力効果が得られるものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図
は位置決め装置の使用状態を示す斜視図、第２図
はガイド部材の正常位置状態を示す局部断面図、
第３図はガイド部材が回避している状態を示す局
部断面図、第４図は押し込み部材の正常作動位置
状態を示す局部断面図、第５図は押し込み部材が
回避している状態を示す局部断面図である。 １……インナーパネル、１ａ……アウターパネ
ル、２……治具台、３……ガイド部材、３ａ……
ガイド部、６……エヤシリンダ（駆動手段）、７
……弾性部材、９……押し込み部材、９ｂ……ガ
イドピン（ガイド手段）、９ｃ……ガイドピン
（ガイド手段）、１０……押し込み部材支柱（ガイ
ド手段）、１０ａ……長穴（ガイド手段）、１１…
…エヤシリンダ（駆動手段）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ロボツトが搬送したワークを治具上に位置決め
   するワーク位置決め装置において、上記ワークを
   上記治具上の所定位置に導くための複数のガイド
   部材と、上記ワークを上記治具上の所定位置に押
   し込むための複数の押し込み部材とを上記治具上
   に設け、さらに、上記ガイド部材には上記ワーク
   の搬出時に、また、上記押し込み部材には上記ワ
   ークの搬入および搬出時に、ともに該ワークとの
   干渉を避けるための、それぞれに独立して各々駆
   動する回避手段を設け、上記ガイド部材のガイド
   部の下方に、該ガイド部によりガイドされる上記
   ワークに当接して該ワークを治具の中央方向に付
   勢する弾性部材が、上記ガイド部の内方端より内
   方側へ突出して設けられるとともに、上記押し込
   み部材は逆Ｌ字形に形成され、その縦長部分に上
   下に並んで側方に突設された２本のガイドピン
   と、上記治具上に直立した押し込み部材支柱に縦
   長の上端を外方に湾曲して形成されるとともに、
   上記２本のガイドピンが嵌合されてなる長穴を有
   し、上記押し込み部材を該長穴に沿つて移動させ
   て湾曲部で回避状態に位置せしめるためのガイド
   手段を備えた構成としたことを特徴とする、ワー
   ク位置決め装置。