JPH0344379Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は溶接トーチの角度変換装置に係わり、
特に、アーク点を動かさずに角度を変えるように
して、隅肉溶接機等に用いて好適な角度変換装置
に関する。

「従来の技術」 第３図は、隅肉溶接機等の角度変換装置の従来
例を示すもので、溶接トーチ２が、その走行台車
（図示略）に一体に設けられているガイド２１に、
該ガイド２１の円弧状長穴２１ａに挿通したねじ
２２により取り付けられた構造とされ、溶接トー
チ２の角度を変換する場合には、ねじ２２を緩め
て、溶接トーチ２を長穴２１ａに沿つて動かしな
がらガイド２１の角度目盛２１ｂに合わせるよう
になつている。

「考案が解決しようとする問題点」 しかしながら、このような角度変換装置である
と、角度を変換するために溶接トーチ２をガイド
２１の長穴２１ａに沿つて移動させる際に、該溶
接トーチ２がねじ２２を中心に回転し易いため
に、第３図の鎖線で示すように溶接トーチ２の先
端も移動するおそれがあり、このため、角度を変
えた後に溶接トーチ２を上下方向あるいは前後方
向に平行移動しながらアーク点２ａの位置を微調
整する必要が生じて、作業性が悪く、角度変換に
要する作業時間が長くなるという問題点がある。

本考案は前記問題点を有効に解決するもので、
アーク点を動かさずに角度を変換して、溶接トー
チの位置合わせ精度を高めるとともに、その作業
を簡単にして変換作業時間を短縮することを目的
とする。

「問題点を解決するための手段」 本考案は、溶接トーチとその走行台車との間
に、ブラケツトを回動自在に設けるとともに、該
ブラケツトに、アーク点を該ブラケツトの回動中
心線上に交差状態とした溶接トーチと、前記アー
ク点にワイヤを送り込むワイヤ供給機構とを設
け、ブラケツトと台車との間に、ブラケツトを回
動させてトーチ回動角を設定するための角度調整
機構を連設したことを特徴とする。

「作用」 本考案の角度変換装置は、ブラケツトの回動中
心線上にアーク点が配置されているので、該アー
ク点を中心に溶接トーチを回動させて、アーク点
を動かさずに角度を変えることができる。また、
単にワイヤを溶接トーチに向けて送り込むだけの
場合は、溶接トーチの角度の変化によつてワイヤ
を供給すべき角度が変わることによりワイヤが屈
曲するおそれがあるが、ブラケツトにワイヤ供給
機構を設けて、溶接トーチと一体にワイヤ供給機
構も回動させるようにしているから、ワイヤに屈
曲等を生じさせることなく該ワイヤをワイヤ供給
機構によつて引き込みながら円滑に供給すること
ができる。

「実施例」 以下、本考案の角度変換装置を隅肉溶接機に適
用した一実施例について第１図および第２図を参
照して説明する。

第１図は隅肉溶接機の要部を示すもので、図中
符号１が、溶接トーチ２とこれを溶接線Ｗに沿つ
て平行移動させるための走行台車３との間に設け
られた角度変換装置である。

該角度変換装置１の詳細について説明すると、
前記走行台車３には、その走行方向つまり前後方
向に移動可能に箱形のスライドブロツク４が搭載
されるとともに、該スライドブロツク４内に、昇
降ブロツク５が上下移動可能に設けられ、該昇降
ブロツク５に、溶接トーチ２の基端部がこれと一
体のブラケツト６を介して次のように回動自在に
支持されている。すなわち、該溶接トーチ２は、
弓形に湾曲形成されており、その回動軸７が溶接
線Ｗ上のアーク点２ａに交差する（第１図におい
ては一点鎖線Ｘにより回動中心線を示す）ように
取り付けられて、第１図の矢印で示すように回動
させられるものである。また、前記ブラケツト６
には、めねじ８ａの軸線を第２図の矢印イで示す
方向に回転自在としたユニバーサルナツト８が一
体に設けられるとともに、該ユニバーサルナツト
８に、前記昇降ブロツク５のの上壁５ａに自動調
心ベアリング９により第２図の矢印ロで示す方向
に揺動可能に支持されたねじ１０ａ付きノブ１０
が螺合しており、これらユニバーサルナツト８、
自動調心ベアリング９およびノブ１０等により、
トーチ回動角を設定するための角度調整機構が構
成されるものである。

なお、第１図中符号１１は走行台車３の側部で
溶接線Ｗを倣いながら走行方向を制御する倣い機
構であり、また、符号１２は溶接トーチ２のワイ
ヤ送給機構である。

このような角度変換装置を有する隅肉溶接機
は、スライドブロツク４および昇降ブロツク５を
微調整しながら溶接トーチ２のアーク点２ａを溶
接線Ｗに位置合わせして、該溶接線Ｗに沿つて走
行台車３を移動させながら溶接作業を自動的に行
なうものであるが、溶接トーチ２の角度を変換す
る場合は、次のようにして、アーク点２ａを動か
さずに変換することが行なわれる。すなわち、ノ
ブ１０をまわすと、該ノブ１０が第２図の矢印ロ
で示す方向の軸線移動を伴いながらその軸線移動
に追従するユニバーサルナツト８をねじ１０ａに
沿つて移動させて、該ユニバーサルナツト８が支
持されたブラケツト７と一体の溶接トーチ２を前
記回動軸７を中心に、いいかえれば第１図の一点
鎖線Ｘを中心に回動させることにより、該一点鎖
線Ｘ上のアーク点２ａを動かさずに角度を変える
ことができるものである。

「考案の効果」 以上説明したように、本考案の溶接トーチの角
度変換装置によれば、次のような効果を奏するこ
とができる。

(i) 溶接トーチの回動中心線をブラケツトにより
アーク点に交差状態に設けたので、該アーク点
を動かさずに角度を変換し得て、溶接トーチの
位置合わせ精度を高めることができる。

(ii) 溶接トーチの回動中心線をアーク点に交差状
態とするブラケツトを設けたので、該ブラケツ
トを角度調整機構により操作してトーチ回動角
を設定することにより、簡単かつ確実に角度を
変換し得て、操作性がよく、変換作業時間を短
縮することができる。

(iii) ブラケツトにワイヤ供給機構を設けて、該ワ
イヤ供給機構によつてワイヤを引き込むように
しているから、溶接トーチの回動に伴うワイヤ
の屈曲等を生じさせることがなく、溶接トーチ
の角度の変化にかかわらず安定してワイヤを供
給することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を隅肉溶接機に適用した一実施
例を示す斜視図、第２図は第１図における角度変
換装置の一部を示す縦断面図、第３図は隅肉溶接
機の角度変換装置の従来例を示す一部を省略した
正面図である。 １……角度変換装置、２……溶接トーチ、２ａ
……アーク点、３……走行台車、４……スライド
ブロツク、５……昇降ブロツク、６……ブラケツ
ト、７……回動軸、８……ユニバーサルナツト、
９……回動調心ベアリング、１０……ノブ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 溶接トーチとその走行台車との間に、ブラケツ
   トを回動自在に設けるとともに、該ブラケツト
   に、アーク点を該ブラケツトの回動中心線上に交
   差状態とした溶接トーチと、前記アーク点にワイ
   ヤを送り込むワイヤ供給機構とを設け、ブラケツ
   トと台車との間に、ブラケツトを回動させてトー
   チ回動角を設定するための角度調整機構を連設し
   たことを特徴とする溶接トーチの角度変換装置。