JPH0344306Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、例えば、自動車の生産工程ライン
においてボデイサイド面に塗装ガンで中塗り塗装
を施すような自動塗装装置に関する。

（従来技術） 従来、上述例の自動塗装装置としては、例え
ば、特開昭56−139163号公報に記載の装置と、特
公昭58−20668号公報に記載の装置とがある。

前者の特開昭56−139163号公報に記載の装置
は、立設したフレームに、上下方向に延びる弓形
案内手段としての弓形の溝を形成すると共に、こ
の弓形の溝に沿つて、上下方向に摺動するガンア
ームを設け、このガンアームの先端に塗装ガンを
取付け、上述のガンアームおよび塗装ガンを駆動
手段で上下方向に往復動すべく構成した自動塗装
装置である。

そして、上述の自動塗装装置を、例えば自動車
の生産工程ラインにおける中塗り工程ラインに配
設し、上述の塗装ガンのガンヘツドから噴霧され
る霧化状の塗料で、ボデイサイド面に直角方向か
らの中塗りを塗装を施す。

しかし、上述した従来装置においては次のよう
な問題点あつた。

つまり、上述のボデイサイド面には、上述の弓
形の溝の曲率と異なる曲率塗装部位としてのホイ
ールアーチ部が存在し、このホイールアーチ部が
ボデイサイドの他の面よりも外方へ突出した凸状
に形成されている関係上、ホイールアーチ部への
塗装時に、このホイールアーチ部と塗装ガンとの
開角が90度以上の鈍角となり、上方への塗料の跳
返りが生じ、結果的に塗装むらが発生する問題点
を有していた。

一方、後者の特公昭58−20668号公報に記載の
装置は、立設したフレームに上下方向に延びる弓
形レールを固定し、この弓形レールに沿つて昇降
可能なガン保持装置を設けて、このガン保持装置
に塗装ガンを取付けると共に、この塗装ガンの直
下に配設した小型電動機、円板、連接棒等により
クランク機構を構成し、このクランク機構により
上述の塗装ガンを水平左右方向に連続首振り操作
すべく構成した塗装機である。

しかし、この従来装置においては、上述の塗装
ガンそれ自体に連続首振り用のクランク機構が設
けられている関係上、塗装ガンそれ自体が大型化
して、ガン支持部は支持剛性の大きい構造が必要
となるばかりでなく、上述のクランク機構により
塗装ガンを水平左右方向に連続して首振り操作す
るものであるから、上述の塗装ガンを特定の方向
に指向設定することは困難で、仮りに上述の塗装
ガンを特定の方向に指向位置決めするには、上述
の小型電動機を高価なサーボモータに代えたう
え、複雑な制御回路を付加する必要があり、制御
および回路構成が複雑化する問題点を有してい
た。

（考案の目的） この考案は、上述のホイールアーチ部のような
弓形案内手段の曲率と異なる曲率塗装部位を有す
る被塗装物の塗装時において、常時所定角度での
塗装を施すことができて、塗料の跳返り、塗装む
らの発生を防止し、均一な塗装を施すことがで
き、加えて、塗装ガンそれ自体が大型化すること
なく、ガン支持構造も簡単な構造でよく、しかも
上述の塗装ガンを上下方向の特定の指向位置に容
易かつ、任意に可変設定することができる自動塗
装装置の提供を目的とする。

（考案の構成） この考案は、立設された弓形案内手段と、この
弓形案内手段に案内される塗装ガン支持部と、こ
の塗装ガン支持部を上記弓形案内手段に沿つて移
動させる駆動手段とを備えた自動塗装装置であつ
て、上記弓形案内手段の曲率と異なる曲率塗装部
位を有する被塗装物を塗装する際、上記被塗装物
の被塗装面に対して所定角度で塗装可能に塗装ガ
ンを傾動操作するチルト機構を設け、上記チルト
機構は上記弓形案内手段に沿つて上下方向に延び
るチルト案内部材と、このチルト部材に当接し
て、上記塗装ガンの上下方向の指向位置を可変設
定するチルトレバーと、上記チルト案内部材を上
記弓形案内手段に対して移動可能に駆動操作する
移動手段とを備え、上記塗装ガンを上記塗装ガン
支持部のガン支持パイプに配設すると共に、この
ガン支持パイプを上記チルトレバーに連動させ
て、上記移動手段による上記チルト案内部材の移
動時に、上記弓形案内手段と該チルト案内部材と
の相対変位に対応して、上記塗装ガンを上下方向
にチルト可能に構成した自動塗装装置であること
を特徴とする。

（考案の効果） この考案によれば、例えば、ボデイサイド面の
ホイールアーチ部のような弓形案内手段の曲率と
異なつた曲率塗装部位を有する被塗装物を塗装す
る際、上述のチルト機構の操作で、塗装ガンの向
きをホイールアーチ部に直角に設定することがで
きるので、このホイールアーチ部もボデイサイド
の他の面と同様に所定角度としての直角方向から
塗装することができ、この結果、塗料の跳返り、
塗装むらの発生を防止して、均一な塗装を施すこ
とができる効果がある。

加えて、上述のチルト機構は弓形案内手段の外
側に設け、この外側のチルト機構におけるチルト
案内部材の移動量を塗装ガン側のチルトレバーに
伝達すべく構成したので、塗装ガンが従来装置の
如く何等大型化することなく、ガン支持構造も簡
単な構成でよい効果がある。

しかも、上述の移動手段によるチルト案内部材
の移動時に、弓形案内手段とこのチルト案内部材
との相対変位に対応して、上述の塗装ガンを上下
方向に機械的にチルトさせる構成であるから、こ
の塗装ガンを上下方向の特定の指向位置に容易か
つ任意に可変設定することができる効果がある。

（実施例） この考案の一実施例を以下図面に基づいて詳述
する。

図面は自動塗装装置を示し、第１図において、
ホイールアーチ部１をもつた自動車のボデイ２の
側方に自動塗装装置３を配設している。

この自動塗装装置３は、立設配置した可動フレ
ーム４に上下方向に延びる弓形レール５を張架
し、この弓形レール５に塗装ガン支持部６を介し
て塗装ガン７を取付けて構成している。

上述の可動フレーム４はボデイ２に対して前
進、後退および傾動可能な構造になつている。

すなわち、上下の固定ベース８，８にシリンダ
ブラケツト９，９を介して油圧シリンダ１０，１
０を取付け、これら各油圧シリンダ１０，１０の
それぞれのピストンロツド１１，１１先端を、上
述の可動フレーム４の後端部４ａ，４ａに連結
し、ピストンロツド１１，１１の所定往復動によ
り、可動フレーム４をボデイ２に対して前進、後
退および傾動させ、各種の車種形状に対応すべく
構成している。

次に上述の塗装ガン支持部６の構造について述
べる。

この塗装ガン支持部６は第２図、第３図に示す
如く、弓形レール５に沿つて昇降するランナ１２
の側方に、インナーパイプ１３およびアウターパ
イプ１４を介してガン支持パイプ１５を取付けて
構成している。

上述のランナ１２は左右のランナプレート１
６，１６間に、弓形レール５の前後面に転接する
ローラ１７…を取付けると共に、ランナプレート
１６，１６の中央部上下にローラブラケツト１８
…を介して、弓形レール５の左右側面に転接する
ローラ１９…を取付け、合計８個の各ローラ１
７，１９で弓形レール５の外面を囲繞し、かつ該
弓形レール５に沿つて昇降すべく構成している。

そして、上述のランナ１２における塗装ガン７
取付側のランナプレート１６にビス２０を用いて
インナーパイプ１３をビス止め固定すると共に、
このインナーパイプ１３の外周にベアリング２
１，２１を介して前述のアウターパイプ１４を取
付けている。

このアウターパイプ１４の基部外周にはリター
ンスプリング２２を巻回配設し、このリターンス
プリング２２で上述のアウターパイプ１４を第２
図の時計方向へバネ付勢している。

また上述のアウターパイプ１４の外端面にはビ
ス２３…を用いて前述のガン支持パイプ１５をビ
ス止め固定している。

そして、このガン支持パイプ１５に嵌着したガ
ンホルダ２４に、塗装ガン７のガンアーム２５の
基端部２６を係合保持させている。

前述のランナ１２には、第２図に示す如く左右
のランナプレート１６，１６間を結ぶバツクプレ
ート２７を一体的に形成し、このバツクプレート
２７には後方つまり第２図の右方に向けて延びる
長尺のスライドロツド２８を固定している。

このスライドロツド２８は、上下方向に直線往
復動する駆動装置２９に対して、ランナ１２の弓
形レール５に沿う昇降を許容すると共に、このラ
ンナ１２に上述の駆動装置２９の動力を伝達する
ためのロツドである。

塗装ガン支持部６を上述の弓形レール５に沿つ
て移動させる上述の駆動装置２９の構造は次の通
りである。

すなわち、上下方向に立設固定したスプライン
状のガイド支柱３０にスライダ３１を遊嵌し、こ
のスライダ３１の一側面に連結プレート３２およ
び連結杆３３を介して昇降ブロツク３４を配設し
て、この昇降ブロツク３４内のスライド孔３５内
に前述のスライドロツド２８を摺動可能に挿通す
ると共に、上述のスライダ３１を駆動チエーン３
６に連結している。

そして、上述の駆動チエーン３６を上下のスプ
ロケツト（図示せず）間に張架すると共に、一方
のスプロケツト軸を駆動源としての可逆モータ
（図示せず）に連結し、このモータの駆動により
上述の駆動チエーン３６を走行させると、スライ
ダ３１がガイド支柱３０に沿つて昇降すると共
に、同スライダ３１と、連結杆３３および昇降ブ
ロツク３４が一体的に昇降し、スライドロツド２
８を介して、この昇降駆動力をランナ１２に伝達
することで、塗装ガン支持部６の全体を弓形レー
ル５に沿つて上下動させるように構成している。

次に、ボデイサイド面２ａに対して前述の塗装
ガン７を傾動操作するチルト機構３７の構造につ
いて詳述する。

このチルト機構３７は、前述のアウターパイプ
１４に固定され、塗装ガン７の上下方向の指向位
置を可変設定するチルトレバー３８と、 このチルトレバー３８の後端に枢着したチルト
ローラ３９と、 前述のリターンスプリング２２により時計方向
へバネ付勢された上述のチルトレバー３８を、所
定位置に保持するために、前述のランナプレート
１６からチルトレバー３８の前端部に向けて突設
固定したストツパピン４０と、 上述のチルトローラ３９よりも外側後方で、か
つ弓形レール５と略平行に上下方向に延びるチル
ト案内部材としての弓形のチルトレール４１と、
このチルトレール４１の上下背面に対設されて、
このチルトレール４１を上述の弓形レール５に対
して移動可能に駆動操作する移動手段としてのチ
ルト用の油圧シリンダ４２，４２とを備え、 これら両油圧シリンダ４２，４２のそれぞれの
ピストンロツド４３，４３先端を上述のチルトレ
ール４１の背面部に連結して構成している。

そして、ホイールアーチ部１の塗装時に、上述
の各油圧シリンダ４２，４２のピストンロツド４
２，４３を往動前進させ、チルトレール４１で、
上述のチルトローラ３９を押圧すると、チルトレ
バー３８がリターンスプリング２２のバネ力に抗
して反時計方向へ回動し、アウターパイプ１４お
よびガン支持パイプ１５を介して塗装ガン７の上
下方向の指向位置をホイールアーチ部１に直交す
る方向に傾動操作すべく構成している。

要するに、上述の塗装ガン７を、各要素２５，
２６，２４を介して塗装ガン支持部６のガン支持
パイプ１５に配設すると共に、このガン支持パイ
プ１５を上述のチルトレバー３８に連動させて、
上述の油圧シリンダ４２，４２によるチルトレー
ル４１の移動時に、弓形レール５とこのチルトレ
ール４１との相対変位に対応して、上述の塗装ガ
ン７を上下方向にチルト可能に構成したものであ
る。

図示実施例は上記の如く構成するものして、以
下作用を説明する。

予め車種のボデイサイド面２ａの形状に対応し
て、油圧シリンダ１０，１０を操作し、弓形レー
ル５を適宜、前進、後退および傾動させる。

次に駆動装置２９の駆動で、昇降ブロツク３４
を上下動させると、ランナ１２が弓形レール５に
沿つて移動するので、このランナ１２と一体的に
昇降する塗装ガン７は、水平に対する角度状態を
わずかずつ可変し、ボデイサイド面２ａに対して
常に直角方向を向く。

この結果、エアスプレー式の上述の塗装ガン７
より霧化状の塗料を噴霧すると、ボデイサイド面
２ａにその直角方向から塗料を吹付けて所定の塗
装を施すことができる。

ところで、弓形レール５の曲率と大幅に異なる
曲率のホイールアーチ部１を塗装する際には、前
述のチルト用の油圧シリンダ４２，４２の各ピス
トンロツド４３，４３を第１図の矢印ａ方向に往
動前進させる。

上述のピストンロツド４３，４３の前進によ
り、チルトレール４１が第２図の矢印ｂ方向に前
進し、チルトローラ３９を押圧するので、チルト
レバー３８は同図に矢印ｃで示す時計方向にリタ
ーンスプリング２２のバネ力に抗して所定量回動
する。

この結果、上述のチルトレバー３８を固定した
アウターパイプ１４が同方向に回動し、ガン支持
パイプ１５およびガンホルダ２４を介して塗装ガ
ン７を第２図の矢印ｄ方向へ回動し、この塗装ガ
ン７の上下方向の指向位置を上述のホイールアー
チ部１に直交する方向に傾動操作する。

このため、ホイールアーチ部１の塗装に際して
も、ボデイサイド面２ａの他の部分と同様に、直
角方向から霧化状の塗料を吹付けて塗装を行なう
ことができ、塗料の跳返り、塗装むらの発生を防
止することができるので、均一な塗装を施し、塗
料塗着効率の向上および塗装品質の安定化を図る
ことができる効果がある。

加えて、上述のチルト機構３７は弓形レール５
の外側に設け、この外側のチルト機構３７におけ
るチルトレール４１の移動量を塗装ガン７側のチ
ルトレバー３８に伝達すべく構成したので、塗装
ガン７が特公昭58−20668号公報に開示された従
来装置のように何等大型化することなく、ガン支
持構造の簡略化を図ることができる効果がある。

しかも、上述の移動手段としての油圧シリンダ
４２，４２によるチルトレール４１の移動時に、
弓形レール５とこのチルトレール４１との相対変
位（換言すれば油圧シリンダ４２のピストンロツ
ド４３の移動量）に対応して、上述の塗装ガン７
を上下方向に機械的にチルト（tilt、傾動）させ
る構成であるから、この塗装ガンを上下方向の特
定の指向位置（この実施例ではホイールアーチ部
１に対して90度となる角度）に容易かつ任意に可
変設定することができる効果がある。

この考案の構成と、上述の実施例との対応にお
いて、 この考案の弓形案内手段は、実施例の弓形レー
ル５に対応し、 以下同様に、 駆動手段は駆動装置２９に対応し、 被塗装物は、自動車のボデイ２に対応し、 被塗装面はボデイサイド面２ａに対応し、 曲率塗装部位はホイールアーチ部１に対応し、 チルト案内部材は、チルトレール４１に対応
し、 移動手段は、油圧シリンダ４２に対応するも、 この考案は上述の実施例の構成のみに限定され
るものではなく、例えば自動車のボデイ２以外の
被塗装物の塗装に用いてもよいことは勿論であ
る。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示し、第１図は自
動塗装装置の概略側面図、第２図は第１図の要部
の拡大斜視図、第３図は塗装ガン支持部の断面図
である。 １……ホイールアーチ部、２……ボデイ、２ａ
……ボデイサイド面、５……弓形レール、６……
塗装ガン支持部、７……塗装ガン、１５……ガン
支持パイプ、２９……駆動装置、３７……チルト
機構、３８……チルトレバー、４１……チルトレ
ール、４２……油圧シリンダ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 立設された弓形案内手段５と、 この弓形案内手段５に案内される塗装ガン支持
   部６と、 この塗装ガン支持部６を上記弓形案内手段５に
   沿つて移動させる駆動手段２９とを備えた自動塗
   装装置であつて、上記弓形案内手段５の曲率と異
   なる曲率塗装部位１を有する被塗装物２を塗装す
   る際、上記被塗装物２の被塗装面２ａに対して所
   定角度で塗装可能に塗装ガン７を傾動操作するチ
   ルト機構３７を設け、 上記チルト機構３７は上記弓形案内手段５に沿
   つて上下方向に延びるチルト案内部材４１と、 このチルト部材４１に当接して、上記塗装ガン
   ７の上下方向の指向位置を可変設定するチルトレ
   バー３８と、 上記チルト案内部材４１を上記弓形案内手段５
   に対して移動可能に駆動操作する移動手段４２と
   を備え、 上記塗装ガン７を上記塗装ガン支持部６のガン
   支持パイプ１５に配設すると共に、このガン支持
   パイプ１５を上記チルトレバー３８に連動させ
   て、上記移動手段４２による上記チルト案内部材
   ４１の移動時に、上記弓形案内手段５と該チルト
   案内部材４１との相対変位に対応して、上記塗装
   ガン７を上下方向にチルト可能に構成した 自動塗装装置。