JPH0343217B2

JPH0343217B2 -

Info

Publication number: JPH0343217B2
Application number: JP57226226A
Authority: JP
Inventors: Takahide Konno; Kazuo Kawada; Naoto Tani; Seiichiro Ichikawa; Kenji Hikita; Ichiro Nakamura; Eizo Motohashi
Original assignee: Sapporo Breweries Ltd
Current assignee: Sapporo Breweries Ltd
Priority date: 1982-12-24
Filing date: 1982-12-24
Publication date: 1991-07-01
Also published as: JPS59116152A

Description

【発明の詳細な説明】本発明は擦れ傷びんの塗布用組成物に関する。
ビール、果汁等の容器としてガラスびんなどが用
いられており、これらびん類は使用後に回収さ
れ、再び使用されている。

ところが、びん類を回収して繰返し使用してい
ると、びん詰の際や流通過程等においてびん類の
外表面、特に肩部に擦れ傷が生じ、外観が損なわ
れて商品価値が低下してくる。

したがつて、回収したびん類を再使用する場
合、何らかの原因で表面に擦れ傷が生じたびん類
は適当な手段により該擦れ傷を隠ぺいすることが
必要である。

びん類の擦れ傷を隠ぺいするために用いる塗布
用組成物として、これまでに種々の提案がなされ
ている。しかし、従来の塗布用組成物は擦れ傷の
隠ぺい効果にすぐれていても、吸湿性のため乾燥
性が悪くべとついたり、塵埃が付着しやすい等の
欠点があつたり、びん類に強固に接着するため、
回収したびん類の洗びん工程を経ても完全には剥
落しない等の問題点があつた。さらに塗布用組成
物として提案されたものの中には高価であるため
実用性に欠けるものや衛生上や安全上の立場から
好ましくないものもあつた。

以上の指摘から明らかなように、擦れ傷びんの
塗布用組成物としては擦れ傷部分の隠ぺい効果
が良好であること乳化性が良く塗布作業性にす
ぐれていること乾燥性が良くべとつかないこと
耐水性にすぐれていること洗びんの際に完全
に剥落すること食品衛生上有害でないこと安
価かつ安定的に入手できること等の要件を満足す
ることが必要である。そこで、本発明者らはこれ
らの要件を満たす塗布用組成物を開発すべく検討
を重ね、本発明に到達したのである。

本発明は、(A)流動パラフインおよび／またはカ
ルナウバろう、(B)ソルビタン脂肪酸エステル、高
級アルコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸
エステル、シヨ糖脂肪酸エステル、プロピレング
リコール脂肪酸エステルおよび大豆リン脂質より
なる群から選ばれた少なくとも１種の脂肪酸エス
テルおよび(C)モルホリン脂肪酸塩を含有せしめた
擦れ傷びんの塗布用組成物である。

本発明の擦れ傷びんの塗布用組成物は水分散液
として使用されるが、水を除外した成分について
説明すると、(A)成分である流動パラフインおよ
び／またはカルナウバろうはびん類の擦れ傷部分
を隠ぺいする基剤であり、組成物（無水物、以下
同じ）中２〜99.8％を占める。流動パライフイン
は食品添加物として許容されているものであり、
またカルナウバろうは乾燥性が良好で、べとつき
がないという特色がある。

次に、(B)成分の脂肪酸エステル類は乳化作用を
有しており、上記(A)成分がびん類の表面に拡散
し、擦れ傷部分に浸透する力を強める効果があ
り、しかも本発明の塗布剤を水と混ぜて用いる際
に乳化安定性を向上させるものである。これら脂
肪酸エステル類は単独で用いてもよく、あるいは
２種以上を組合せて用いることもできる。この乳
化剤たる(B)成分は組成物中0.05〜95％の範囲で使
用する。

ここでソルビタン脂肪酸エステルとしては、脂
肪酸がラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン
酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等であ
るものを通常使用する。これらの中ではソルビタ
ンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、
ソルビタントリオレエート等の水に易溶のものが
好ましい。高級アルコール脂肪酸エステルとして
は、アルコールがC₆〜C₂₀のもの、たとえばデシ
ルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチル
アルコールなどであり、脂肪酸がC₁₀〜C₂₁のも
の、たとえばラウリン酸、パルミチン酸、ステア
リン酸、オレイン酸、リノール酸などであるもの
が用いられる。また、グリセリン脂肪酸エステル
としては、脂肪酸がC₁₀〜C₂₁の範囲のものが用い
られ、通常はラウリン酸、パルミチン酸、ステア
リン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸な
どが好ましく使用され、モノエステルが好適であ
る。シヨ糖脂肪酸エステルとしては、脂肪酸とし
て極めて広汎なものを使用でき、飽和脂肪酸では
C₁₀〜C₁₈程度の範囲で、通常はラウリン酸、ミリ
スチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸などが用
いられ、不飽和脂肪酸ではC₁₇〜C₂₁程度の範囲
で、通常はオレイン酸、リノール酸、リノレン酸
等が主に使用される。これらのシヨ糖脂肪酸エス
テルは水、アルコールに易溶で乳化性が良く好適
であるが、ジエステル以上となると分散性が劣る
ようになる。プロピレングリコール脂肪酸エステ
ルとしては、通常脂肪酸がラウリン酸、パルミチ
ン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、
リノレン酸であるものや複合組成物であるココナ
ツトオイルも用いられる。好ましいものの具体例
はプロピレングリコールモノラウレート、プロピ
レングリコールモノステアレート、プロピレング
リコールモノココエートなどがある。また、大豆
リン脂質は大豆に含まれているホスホリピドであ
る。これら(B)成分は高級アルコール脂肪酸エステ
ルを除きすべて食品添加物として認められてい
る。

また、(C)成分として加えるモルホリン脂肪酸塩
は食品添加用被膜剤の１種〔第四版食品添加物公
定書解説書、株式会社広川書店、昭和54年９月
10日発行、Ｂ−952〜953頁参照〕であり、脂肪酸
としては主にパルミチン酸、ステアリン酸などの
高級脂肪酸が用いられる。この成分はびん類に塗
布したとき被膜を形成して、(A)成分を包み込むこ
とにより作業性、手に対する感触、耐水性などを
改善する作用を有している。この成分(C)は組成物
中0.1〜95％の範囲で添加する。

さらに、本発明では必要に応じてエタノール、
ポリエチレングリコール、グリセリンなどの食品
添加用溶剤を添加することができ、その使用量は
通常、１〜20％（水分散液中）である。この溶剤
を加えることによつて乳化安定性が一層改善され
る。

上記各成分を含む擦れ傷びんの塗布用組成物は
水を加えて分散液として使用する。水分散液とす
る場合、各成分の濃度は(A)成分60％以下、好まし
くは３〜40％であり、(B)成分20％以下、好ましく
は0.05〜10％であり、(C)成分20％以下、好ましく
は0.1〜10％である。

本発明の擦れ傷びんの塗布用組成物をびん類に
塗布するには、各種の方法を適用することがで
き、たとえば噴霧装置を用いる方法、布、フエル
ト、スポンジ等を用いて塗布する方法などがあ
る。

本発明の擦れ傷びんの塗布用組成物は分散性が
きわめて良好であるため、作業性にすぐれてお
り、しかも塗布後の耐水性や乾燥性も良好であ
る。特に、(A)成分としてカルナウバろうを含むも
のを用いたときは乾燥性にすぐれ、べとつきがな
い。

本発明の擦れ傷びんの塗布用組成物を用いて擦
れ傷を隠ぺいしたびん類は、常温で１ケ月保存し
た場合に隠ぺい効果に変化がなく、さらに該びん
類を冷蔵庫、水冷シヨーケースなどに保存した場
合も隠ぺい効果は低下せず、びん類に貼布したラ
ベルにも濡れが生じない。一方、擦れ傷を隠ぺい
したびん類を使用後、回収して再使用する場合、
本発明の擦れ傷びんの塗布用組成物は洗びん工程
において完全に洗い落とすことができる。また、
本発明の擦れ傷びんの塗布用組成物に用いている
成分はいずれも安全性の面で心配がなく、しかも
安価、かつ安定的に入手することができる。

次に、本発明を実施例により詳しく説明する。

実施例１流動パラフイン（商品名：ラモールオイル、興
立化学製）57％、ソルビタン脂肪酸エステル（商
品名：TWEEN80、花王アトラス製）３％およ
びモルホリン４脂肪酸塩（高松油脂製）２％とな
るように水と配合し、ホモミキサーSL型（特殊
機化工業製）を用いて700rpmで５分間撹拌して
均一に分散させた擦れ傷びんの塗布用組成物２
を調製した。

上記塗布用組成物を調製して約３分後に該組成
物を脂肪綿にふくませてビールびんの擦れ傷部に
塗布した。この組成物の分散性は良好であり、作
業性にすぐれていた。

さらに、触手による乾燥性、肉眼観察による擦
れ傷の隠ぺい効果、浸水による耐水性評価、塗布
後のびん類の外観、感触や安全性などについて評
価し、総合的に良否の判断を行なつた。その結
果、この組成物は良好なものであるとの評価を得
た。

すなわち、経験豊富なパネラーにより試料10本
を５段階評価（１：劣る、２：普通、３：良好、
４：極めて良好、５：非常に良好）した。第１表
に各項目ごとの評価を示す。なお、以下の実施例
における評価も同様にして行なつた。

第１表隠蔽効果２耐水性（浸水）５外観・感触２安全性（壜滑り）２総合評価３実施例２カルナウバろう（高松油脂製）20％、グリセリ
ン脂肪酸エステル（商品名：サングリ、太陽油脂
製）５％およびモルホリン脂肪酸塩（高松油脂
製）0.01％を含む水分散液を実施例１と同様にし
て調製した。

得られた塗布用組成物についての総合評価は良
好であつた。

実施例３流動パラフイン（商品名：KP−30、出光興産
製）33％、プロピレングリコール脂肪酸エステル
（商品名：プロテツクス、日本活性剤製）12％お
よびモルホリン脂肪酸塩（高松油脂製）0.5％を
含む水分散液を実施例１と同様にして調製した。

実施例４流動パラフイン（商品名：KP−30、出光興産
製）17％、シヨ糖脂肪酸エステル（商品名：DK
エステル、第一工業製薬製）２％、大豆リン脂質
（商品名：レシオン、理研ビタミン製）１％およ
びモルホリン脂肪酸塩（高松油脂製）３％を含む
水分散液を実施例１と同様にして調製した。

得られた塗布用組成物についての総合評価はき
わめて良好であつた。

実施例５流動パラフイン（商品名：ラモールオイル、興
立化学製）10％、高級アルコール脂肪酸エステル
（商品名：ラウリルステアレート、東京化成製）
0.8％およびモルホリン脂肪酸塩（高松油脂製）
８％を含む水分散液を実施例１と同様にして調製
した。

得られた塗布用組成物についての総合評価はき
わめて良好であつた。すなわち、各項目の評価は
いずれも極めて良好(4)であり、総合評価も極めて
良好(4)という結果であつた。

実施例６流動パラフイン（商品名：ラモールオイル、興
立化学製）10％、カルナウバろう（高松油脂製）
３％、ソルビタン脂肪酸エステル（商品名：
SPAN80、花王アトラス製）0.5％、グリセリン
脂肪酸エステル（商品名：サングリ、太陽油脂
製）0.3％、プロピレングリコール脂肪酸エステ
ル（商品名：リケマール、理研ビタミン製）0.2
％およびモルホリン脂肪酸塩（高松油脂製）0.1
％を含む水分散液を実施例１と同様にして調製し
た。

得られた塗布用組成物についての総合評価は非
常に良好であつた。

実施例７流動パラフイン（商品名：ラモールオイル、興
立化学製）７％、カルナウバろう（高松油脂製）
10％、ソルビタン脂肪酸エステル（商品名：
SPAN20、花王アトラス製）１％、高級アルコー
ル脂肪酸エステル（商品名：ラウリルステアレー
ト、東京化成製）1.5％、グリセリン脂肪酸エス
テル（商品名：ハイグリセラ、田辺製薬製）３
％、シヨ糖脂肪酸エステル（商品名：DKエステ
ル、第一工業製薬製）５％、プロピレングリコー
ル脂肪酸エステル（商品名：リケマール、理研ビ
タミン製）５％、大豆リン脂質（商品名：レスチ
ン、豊年製油製）２％およびモルホリン脂肪酸塩
（高松油脂製）２％を含む水分散液を実施例１と
同様にして調製した。

実施例８流動パラフイン（商品名：KP−30、出光興産
製）７％、ソルビタン脂肪酸エステル（商品名：
TWEEN80、花王アトラス製）0.3％、高級アル
コール脂肪酸エステル（商品名：ラウリルステア
レート、東京化成製）0.2％、グリセリン脂肪酸
エステル（商品名：ハイグリセラ、田辺製薬製）
0.2％、プロピレングリコール脂肪酸エステル
（商品名：プロテツクス、日本活性剤製）0.2％お
よびモルホリン脂肪酸塩（高松油脂製）0.3％を
含む水分散液を実施例１と同様にして調製した。

得られた塗布用組成物について総合評価は非常
に良好であつた。

実施例９流動パラフイン（商品名：KP−30、出光興産
製）５％、ソルビタン脂肪酸エステル（商品名：
TWEEN20、花王アトラス製）0.2％、高級アル
コール脂肪酸エステル（商品名：ラウリルステア
レート、東京化成製）0.1％、グリセリン脂肪酸
エステル（商品名：モノライト、ミヨシ油脂製）
0.1％、シヨ糖脂肪酸エステル（商品名：シユガ
ーエステル、菱糖製）0.1％、プロピレングリコ
ール脂肪酸エステル（商品名：リケマール、理研
ビタミン製）0.1％およびモルホリン脂肪酸塩
（高松油脂製）１％を含む水分散液を実施例１と
同様にして調製した。

得られた塗布用組成物についての総合評価は非
常に良好であつた。すなわち、各項目の評価は耐
水性（浸水）が極めて良好(4)であつたほかはすべ
て非常に良好(5)であり、総合評価も非常に良好(5)
という結果であつた。

実施例 10 流動パラフイン（商品名：KP−30、出光興産
製）１％、カルナウバろう（高松油脂製）0.2％、
ソルビタン脂肪酸エステル（商品名：SPAN85、
花王アトラス製）0.1％、グリセリン脂肪酸エス
テル（商品名：モノライト、ミヨン油脂製）0.1
％大豆リン脂質（商品名：レシオン、理研ビタミ
ン製）0.1％およびモルホリン脂肪酸塩（高松油
脂製）20％を含む水分散液を実施例１と同様に調
製した。

得られた塗布用組成物の総合評価は良好であつ
た。

比較例実施例１と実施例２においてモルホリン脂肪酸
塩を添加しなかつたこと以外は同様にして行なつ
たところ、耐水性や手に対する感触が劣つたもの
が得られ、総合評価が普通という結果であつた。

Claims

【特許請求の範囲】１ (A)流動パラフインおよび／またはカルナウバ
ろう、(B)ソルビタン脂肪酸エステル、高級アルコ
ール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステ
ル、シヨ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコー
ル脂肪酸エステルおよび大豆リン脂質よりなる群
から選ばれた少なくとも１種の脂肪酸エステルお
よび(C)モルホリン脂肪酸塩を含有せしめた擦れ傷
びんの塗布用組成物。２水分散液中に(A)成分を60％以下、(B)成分を20
％以下および(C)成分を20％以下の割合で含有する
特許請求の範囲第１項記載の組成物。