JPH0342922Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、輸液用プラスチツク容器に関するも
ので、さらに詳しくはゴム栓を内蔵する栓体をそ
の口部に一体に溶着した輸液用プラスチツク容器
に関するものである。

従来の技術 従来、この種の輸液用プラスチツク容器とし
て、例へば、特開昭58−22069号公報、実開昭59
−169835号公報に記載されているものが知られて
いる。

前掲前者の輸液用プラスチツク容器Ａは、上部
栓体Ｂを射出成形用の金型内に予めインサートし
ておき、ゴムを射出充填するものであるので、第
２図に示すようにゴム栓Ｃは上部栓体Ｂに密に係
止している。又、前掲後者のものは、第３図に示
すようにゴム栓ｃが上部栓体ｂと下部栓体ｅで形
成される断面がＨ型の空隙内に緊嵌下に充填され
ている。

考案が解決しようとする問題点 この種の輸液用プラスチツク容器は、使用時に
あつては、プルリングを引張り上げてスコア部分
から除去してゴム栓を露出させ、輸液用の注射針
をこのゴム栓に突き差し、さらに下部栓体のプラ
スチツク部分を突き差して内部の輸液を取り出す
ものである。針の突き差しによりゴム栓が弾性変
形をおこし、針を抜き去るとすみやかに元の形状
へ復帰してこの突き差しにより形成された穴を塞
ぎ輸液のこの穴からの洩れを防ぐのである。

ところで、上記従来の輸液用プラスチツク容器
のゴム栓にあつては、ゴム栓と上部栓体及び下部
栓体とが緊密に密着して、注射針を突き差した際
のゴムの変形を吸収する空間を有していないの
で、注射針の突き差し時に大きな力が必要であつ
たしまた注射針を抜き去る際には大きな力で注射
針が圧迫されているので抜き操作が困難で、時と
して上部栓体からゴム栓が針と一緒に抜けてしま
うという欠点があつた。さらに前掲後者にあつて
は、ゴム栓が上部栓体Ｃの中に入り難くかつ内部
の空気を抜かなければならない等栓体組立時に問
題を有していた。

問題点を解決するための手段 そこで本考案は、 天板内面にはスコアを有し天板外面にはプルリ
ングを有する上部栓体と、該上部栓体の下部に嵌
装された下部栓体とを、該上部栓体及び下部栓体
とにより形成される空間内に針にて突き差し可能
なゴム栓を圧着封止して容器本体に溶着した輸液
用プラスチツク容器において、ゴム栓の外側周壁
と上部栓体の内側周壁との間にゴム栓の変形を吸
収する空〓を備えた輸液用プラスチツク容器とす
ることにより上記問題点を解決したのである。

作 用 本考案は、以上のようにゴム栓の外側周壁と上
部栓体の内側周壁との間にゴム栓の変形を吸収す
る空隙を形成したので、注射針を突き差した際に
少ない力で差し入れることができるばかりでな
く、抜く際にも容易に抜き去ることが可能となる
のである。

実施例 本考案の実施例を図面に基づき説明する。

第１図は、本考案の輸液用プラスチツク容器の
栓体部分の要部破断正面図である。

輸液用プラスチツク容器１は、内部に輸液を収
容する容器本体２とその容器本体２の口部フラン
ジ２ａで溶着された栓体３より構成される。栓体
３は上部栓体４、下部栓体５及びゴム栓６より構
成されるもので、上部栓体４と下部栓体５は、そ
の下部の突起５ａにより係着されており、その間
に形成される空間内にゴム栓６が緊密状態で封入
されている。上部栓体４は、その天板７の外面プ
ルリング８を一体に有し、内面には断面凹状の環
状溝であるスコア９を有する。スコアのうす肉部
分の肉厚は、使用する合成樹脂にもよるが、耐熱
性及び透明性を兼ね備えたエチレンプロピレン共
重合体であれば0.1〜0.2mmが好しい。ここで、凹
状とは、Ｖ字状、Ｕ字状、状、状を含むもの
であるが、好ましくはＶ字状である。スコア９が
形成される環状とは、円形、略円形、楕円形、長
丸形、長方形等が適用される。この部分はプルリ
ング８により切除され、ゴム栓６を露出させてか
ら注射針を針差しするものであるので、この点を
考慮すると、一般に円形であればφ16mm以上が好
しい。上部栓体４のスコア９の外側には、内方の
ゴム栓６側へ突出する環状突起１０を有する。ゴ
ム栓６は、平板状のゴム栓である。ゴム栓６は、
合成ゴム、天然ゴムなどのゴムやオレフイン系、
スチレン−ブタジエン系、ポリエステル糸、ポリ
アミド系、ポリウレタン系などの熱可塑性エラス
トマーで弾力性を有する材質にて形成されてい
る。上部栓体４と下部栓体５で形成される空間内
に緊密に封入されたゴム栓６は、空間内に満に充
満されるのではなく空隙１１を有するものであ
る。この空隙１１は、上部栓体４と下部栓体５を
組み込んだ際に緊密にゴム栓６を圧着した際にゴ
ム栓６の外側周壁と上部栓体の内側周壁との間に
形成されるものである。第４図乃至第７図にこの
空〓１１の他の例を示した。第４図は、第１図に
示した環状突起１０を有せず、スコア９４の外側
の天板７４でゴム栓６４を圧着して保持するもの
である。ゴム栓６４の外側周面６４′の外側に空
隙１１４を有するものである。第５図は、第４図
のゴム栓をその外側周面６５′を外側へ突出する
曲面にて形成した例である。第６図は、逆に内側
に曲面を形成して、上部６６′ａ、下部６６′ｂは
上部栓体４に接触している例である。第７図は、
上部栓体４８と下部栓体５８にて凹部を形成して
空隙１１８を形成した例である。ゴム栓の厚み
は、３〜７mmが好しい。ゴム栓の厚みが３mmを未
満であると密封性に難点があり、逆に７mmを越え
ると注射針を突き差す際に大きな力が必要で現実
には使用できないものとなる。上記実施例のう
ち、第１図に示すものは、上部栓体４と下部栓体
５とにより形成される空間の厚みとゴム栓６の厚
みとは略同一となつているが、第４図乃至第７図
に示すものは、ゴム栓６，６４，６５，６６，６
７，６８の方が若干厚く、例へば空間の厚み4.5
mmに対してゴム栓の厚みは５〜5.5mmの如く10〜
25％程度の圧縮させた例である。上部栓体４，４
４，４５，４６，４７，４８と下部栓体５，５
４，５５，５６，５７，５８は、耐熱性の高い合
成樹脂、例へばエチレン−プロピレンランダム共
重合体、エチレン−プロピレンブロツク共重合
体、中低圧ポリエチレン、ポリプロピレン単独重
合体及び、これらに適量の炭酸カルシウムなどの
充填剤を含有させたものが好しい。特に容器本体
２との溶着特性を考慮すると容器本体２の材質と
同材質が好しく、容器本体２に要求されている透
明性も考慮すると特にエチレン−プロピレンラン
ダム共重合体あるいはエチレン−プロピレンブロ
ツク共重合体が好しい。

考案の交果 本考案は、以上のように構成したので、注射針
をゴム栓に突き差した際に、ゴム栓が変形すると
ゴム栓の外側周壁と上部栓体の内側周壁との間に
形成した空隙にて変形を吸収して、注射針を突き
差した際に少ない力で差し入れることができるば
かりでなく、抜く際にも容易に抜き去ることが可
能でゴム栓が離脱することを防止できるのであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の実施に係る輸液用プラスチ
ツク容器の栓体部分を示す一部破断正面図、第２
図及び第３図は従来例を示す輸液用プラスチツク
容器の栓体部分を示す断面図、第４図及至第７図
は本考案の輸液用プラスチツク容器の栓体部分の
空隙の他の例を示す拡大断面図である。 １……輸液用プラスチツク容器、２……容器本
体、４……上部栓体、５……下部栓体、６……ゴ
ム栓、７……天板、８……プルリング、９……ス
コア、１１……空隙。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 天板内面にはスコアを有し天板外面にはプルリ
   ングを有する上部栓体と、該上部栓体の下部に嵌
   装された下部栓体とを、該上部栓体及び下部栓体
   とにより形成される空間内に針にて突き差し可能
   なゴム栓を圧着封止して容器本体に溶着した輸液
   用プラスチツク容器において、ゴム栓の外側周壁
   と上部栓体の内側周壁との間にゴム栓の変形を吸
   収する空〓を形成したことを特徴とする輸液用プ
   ラスチツク容器。