JPH0342902Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は歯の反対咬合の治療に用いる歯科機能
的矯正装置に関するものである。

「従来の技術」 日本では欧米諸国に比べて特に反対咬合が多
く、このため反対咬合の矯正を願う患者も多い。
このような実状から従来においても例えばアクチ
ベーターと称される矯正装置等が使用されてきた
が、これらの従来装置は適応症が限られていた。
即ち、機能性反対咬合に対しては使用することが
できるが、骨格性反対咬合に対しては使用するこ
とができないという欠点があつた。尚、該骨格性
反対咬合に対しては従来一般にチンキヤツプと称
される矯正装置が使用されている。また、従来の
矯正装置は構成咬合がとれない患者に対しては実
施不可能であるという欠点があつた。更にまた従
来の矯正装置は治療期間が通常１〜２年と長く、
実に多くの費用と手間がかかるものであつた。更
にまた一度装着すると取外しが容易でなく、この
ため歯を磨くときでも装着したままで行なわなけ
ればならず、磨き残しが多くなつて虫歯になりや
すいという欠点があつた。

「考案が解決しようとする問題点」 本考案は上記の点に鑑みなされたものであつ
て、適応症が限られないと共に治療期間も大幅に
短縮することができ、しかも着脱が容易であるか
ら口腔衛生上も好ましい反対咬合の矯正装置を提
供せんとするものである。

「問題点を解決するための手段」 而して、本考案の要旨は、床本体１を左右一対
の床片２，２及び該床片２，２を一体化する針金
５等とによつて構成し、該床片２は、口蓋と同形
状に彎曲形成した薄肉の口蓋当接部３と、その下
端部外面に形成した犬歯、第１小臼歯、第２小臼
歯等の上顎の歯の歯先及び内側面を嵌合する凹部
４ａを設けた歯載台４とによつて構成し且つ該歯
載台４の下面を平面となし、更に床本体１の前部
上方に、歯載台４，４より植立する針金７，７を
もつて上顎の歯茎外面に位置せしめるパツド６，
６を取り付けると共に、床本体１の前部中央に、
歯載台４，４の前端部にその両端部を植え込み、
中央部をＵ字状に屈曲し且つ該Ｕ字状の部分を下
方に向けて略直角に折曲した舌尖上方誘導用針金
８を設けてなる歯科機能的矯正装置にある。

以下、本考案を図示した実施例に即して更に詳
細に説明する。

第１図は斜視図、第２図は平面図、第３図は側
面図、第４図は装着状態の唇を一部切除して示し
た側面図、第５図は装着状態の口腔内中央部の縦
断側面図である。

図中、１は床本体であり、プラスチツク等によ
つて形成される左右一対の床片２，２からなるも
のである。また、該床片２は、口蓋と同形状に彎
曲形成した薄肉の口蓋当接部３とその下端部外面
に形成した犬歯、第１小臼歯、第２小臼歯等の上
顎の歯の歯先及び内側面を嵌合する凹部４ａを設
けた歯載台４とによつて構成し且つ該歯載台４の
下面を平面となしたものである。５は該床片２，
２を一体化するために両者間に設けた針金であ
り、床片２，２間の間隔を調節自在とすべく中央
部をＵ字状に屈曲し、両端部を口蓋当接部３，３
の頂部に接続している。尚、本実施例においては
床片２，２を一体化するための部材として針金５
を使用する場合を示したが、この他にも図示しな
いが両端部を口蓋当接部３，３の頂部にネジ込む
拡大ネジによることも考えられ、或いはこれ以外
の部材を使用することも可能である。６，６は前
記歯載台４，４より植立する針金７，７をもつて
床本体１の前部上３に取り付けた、プラスチツク
等によつて形成されたパツドであり、上顎の歯茎
外面に位置せしめるものである。該パツド６，６
は上唇、頬圧を排除するためのものである。８は
前記歯載台４，４の前端部にその両端部を植え込
み、中央部８ａをＵ字状に屈曲し且つ該Ｕ字状の
部分を下方に向けて略直角に折曲した、舌尖上方
誘導用針金である。また該舌尖上方誘導用針金８
は、舌尖を上方に誘導し、舌尖が下顎の前歯を前
方に押すことがないようにすると共に上方に導い
た舌尖を上顎に作用させ、上顎骨の前方への拡
大、成長を促すものである。尚、該舌尖上方誘導
用針金８は、図示した実施例においては下方に延
びたＵ字状の部分の下端部を左右方向に押し拡げ
て逆Ｔ字状に形成したものを示しているが、これ
に限られるものではない。

また、その他図中９は上顎の中切歯、１０は側
切歯、１１は犬歯、１２は第１小臼歯、１３は第
２小臼歯、１４は第１大臼歯、１５は上顎の歯
茎、１６は上唇、１７は下顎の歯、１８は下唇、
１９は舌を示す。

次に、上記構成からなる本考案の作用について
説明する。

口を開き、本考案を上顎に向つて押しつける
と、歯載台４の凹部４ａ，４ａ…に夫々上顎の犬
歯１１、第１小臼歯１２、第２小臼歯１３等の歯
先及び内側面が嵌合する。またこれと同時に針金
７，７によつてパツド６，６が上顎の歯茎１５の
外面に位置し、上口唇の内側に接触する。尚、床
本体１における床片２，２の間隔の微調整は、本
実施例においては針金５及び舌尖当上方誘導用針
金８のＵ字状の部分を拡げたり或いは狭めたりし
て行う。これによつて本考案は会話をしても落ち
ない程度に上顎に装着される。而して、本考案は
このように患者の口腔内に装着すると、従来の矯
正装置とは全く異なる作用によつて反対咬合の矯
正をなし得るものである。

即ち、本考案は従来装置の如き上顎と下顎を正
常な位置に保持固定しておくことによつて矯正す
るという思想ではなく、これを更に前進させ、反
対咬合の患者に所謂出歯と同じ機能的な状態を作
り出すことによつて矯正しようとするものであ
る。

更に具体的に説明すると、上顎の歯茎１５の外
面にパツド６，６が位置して上口唇内側に適度の
圧力で接触すると嚥下時頤筋の過緊張が起こり下
顎骨を後方に押すように作用する。同時にパツド
６，６によつて上唇１６と上顎の歯茎１５の接触
は阻止されて、口輪筋の上顎に対する緊張が除去
される。且つまた、反対咬合の患者は舌尖が常に
下顎の歯茎に接触し、下顎を前方に押し出す状態
となつているが、これを阻止するために舌尖上方
誘導用針金８が設けてあり、更に該舌尖上方誘導
用針金８によつて舌尖を常に上顎に接触させるよ
うになしている。このようにして所謂出歯と同じ
状態を作り出して、筋肉の機能的な作用により矯
正するものである。

斯くすることにより、下顎骨の位置は短期間の
うちに機能的に正常な位置へと導かれるのであ
る。

「考案の効果」 本考案は上記の如き構成、作用であるから、従
来装置のように適応症が限られず、機能性反対咬
合、骨格性反対咬合のいずれに対しても用いるこ
とができ、しかも構成咬合をとる必要もなくまた
構成咬合がとれない患者に対しても使用すること
ができる。また、従来の矯正装置よりも矯正期間
を大幅に短縮することができ、患者の費用の負担
を大幅に軽減することができる。更に加えて、着
脱が容易であるから歯磨の際にはこれを取り外す
ことができ、したがつて従来装置のように虫歯に
なりやすいという欠点がなく、また口腔衛生上も
好ましいものである。更にまた、床本体はプラス
チツク等によつて形成するものであるから材料費
も安上りであり、実用に供し裨益する処多大なる
ものがある。

【図面の簡単な説明】

第１図は斜視図、第２図は平面図、第３図は側
面図、第４図は装着状態の唇を一部切除して示し
た側面図、第５図は装着状態の口腔内中央部の縦
断側面図である。 １：床本体、２：２：床片、３：口蓋当接部、
４：歯載台、４ａ：凹部、５：針金、６，６：パ
ツド、７，７：針金、８：舌尖上方誘導用針金。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 床本体１を左右一対の床片２，２及び該床片
   ２，２を一体化する針金５等とによつて構成し、
   該床片２は、口蓋と同形状に彎曲形成した薄肉の
   口蓋当接部３と、その下端部外面に形成した犬
   歯、第１小臼歯、第２小臼歯等の上顎の歯の歯先
   及び内側面を嵌合する凹部４ａを設けた歯載台４
   とによつて構成し且つ該歯載台４の下面を平面と
   なし、更に床本体１の前部上方に、歯載台４，４
   より植立する針金７，７をもつて上顎の歯茎外面
   に位置せしめるパツド６，６を取り付けると共
   に、床本体１の前部中央に、歯載台４，４の前端
   部にその両端部を植え込み、中央部をＵ字状に屈
   曲し且つ該Ｕ字状の部分を下方に向けて略直角に
   折曲した舌尖上方誘導用針金８を設けてなる歯科
   機能的矯正装置。