JPH034242B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は空気中及び油中の異物を除去するため
の、小型で且つ軽量な軸流用フイルタエレメント
の成形に関し、扇形の不織布シートを波型に折り
畳み、次いで半円形に丸める方法及び装置に関す
る。

〔従来の技術〕

従来のフイルタエレメント成形法は、第８図ａ
乃至ｃに示すように、波型に成形された扇形をな
す弾性のある柔軟なフイルム、例えば熱可塑性ポ
リエチレンフイルム１の上に不織布からなるシー
ト２を重ね、人手で該シート２とフイルム１とを
一体にしてフイルム１の波型に合わせて折り曲げ
る第１工程（図ａ）と、該シート２の扇形中心を
机上に設けられた固定のピン３に押しつけ、該ピ
ン３を中心にして、やはり人手で、扇形の両側を
互いに近づけて中心角を次第に大きくするように
圧迫し（図ｂ）、最後に両側を完全に対面させて、
中心角360度の完全な円形に丸める（図ｃ）第２
工程からなつている。

〔発明が解決しようとする問題点〕 しかし、このような方法では、シート２の反発
力が丸め方向と相反する方向に働くため、この力
を制御しながらシートを丸める必要があり、作業
時間が長くかかる欠点がある。例えば丸め後のフ
イルタエレメントの外径が300mmの場合、約30秒
を要し、その上生産量が一定せず、又形状の真円
度及び波型ピツチのばらつきによる濾過能力の不
安定と云う問題がある。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明は叙上の問題点を解決するために、前記
第１工程と、第２工程の前半部、即ちフイルタエ
レメントを適宜な中心角、例えば180度の半円形
に丸める作業とを自動化する装置を提案するもの
である。

即ち、本発明は、円弧に平行な等ピツチの波型
を予備的に付与された扇形シートの各波型谷部
に、上方から押さえ矢を挿入してこれを保持し、
次いで各押さえ矢間のピツチを縮小することによ
つて、シートの扇形半径を縮小する縮径工程と；
縮径されたシートの扇形中心を固定しつつシート
の円弧部を内側に圧迫して扇形半径を更に縮小す
ると共に、扇形の中心角を所定の値に増大せし
め、同時に下方からシートの各山部部に可動矢を
挿入してこれを各波型の円弧に沿つて褶動させて
真円度を向上させる丸め工程とからなることを特
徴とするフイルタエレメントの成形方法、及び円
弧に平行な等ピツチの波型を予備的に付与された
扇形シートを載置するための作業台；該作業台の
上方に設置され、前記扇形シートの波型に対応す
る等ピツチで配列された複数の押さえ矢と該押さ
え矢のピツチを変更する手段とからなるシート縮
径手段；縮径されたシートを載置する補助作業
台；前記シートの円弧部を被包し、これに圧迫を
加えるための可撓性部材と、該シートの扇形中心
及び中心角を規制するための規制部材とからなる
丸め手段；及び該丸め手段と協働して、前記押さ
え矢と反対側から前記シートの各波型に挿入可能
で、且つ前記作業台上を所定の円弧状軌道に沿つ
て褶動自在な複数の可動矢からなる真円度向上手
段を具えたことを特徴とするフイルタエレメント
の成形装置である。

〔実施例〕

以下本発明の詳細を図面に示す好適実施例によ
つて説明する。

第２図は本発明に使用されるフイルタエレメン
ト用の不織布などの扇形シート２を示す。このシ
ート２は、適宜な手段によつて予め頂角θが約90
度になるように一定のピツチで円弧部に平行な波
型に成形されている。本発明はこのシートを縮径
して、第３図に示すような半円形の外形に変形す
ることを目的とする。この半円形シートは更に別
の加工機によつて第８図ｃに示すような真円形の
フイルタエレメントとして完成される。

本発明装置は、第１図に概略的に示された通
り、水平に設置された固定の作業台１１と、その
上方に該作業台１１に平行に固定されたフレーム
１３に取り付けられた縮径手段Ｘを有する。該縮
径手段Ｘは、フレーム１３に垂直に取り付けられ
たシリンダ１４のロツドに支持された昇降フレー
ム１５を有し、該フレーム１５は更に水平方向の
ロツドレス・シリンダ１６を支持している。フレ
ーム１５はその下部にロツドレス・シリンダ１６
と平行にシヤフト１７及びカムプレート１８を具
えている。シヤフト１７はフレーム１５の両端に
ブラケツト１９，２０によつて支持され、その長
手方向に沿つて、複数の駒２１が滑動自在に設け
られている。各駒２１はその下部に押さえ矢２２
を具えると共に、共通のパンタグラフ２３に互い
に等ピツチで取り付けられ、且つその左端の駒２
１ａは前記ロツドレス・シリンダ１６のスライダ
２４に接続されている。従つてロツドレス・シリ
ンダ１６が第１図のＣ方向に作動すると、各駒２
１、従つて押さえ矢２２は互いに等間隔を維持し
たままＣ方向に移動する。尚この場合、駒２１は
全部一斉に移動するのではなく、最初の内は右端
の駒２１ｂ（基準駒）は移動せず、左方の駒２１
が相互の間隔を詰めながら次第に右方に移動し
て、第４図に示すように、押さえ矢のピツチが被
加工シート２の所定の縮径ピツチｐ（第３図参照）
に達したとき、パンダグラフの右端近傍に設けら
れている一対のローラ２５間の間隔Ｌがカムプレ
ート１８の最大巾Ｍを乗り越えることが出来るま
で拡大されたときに、初めて全体としてＣ方向へ
の移動が行われる。これは後述するように、シー
ト２が作業台１１から次の補助作業台３０に移行
する際、シート２の右端２ａが両作業台の間の隙
間に食い込むことを防ぐためである。

押さえ矢２２は第５図に示すように、断面が円
弧状をなし且つ加工されるシート２の形状に対応
して、図で右方のもの程次第に巾が狭くなる断面
形状を有することが望ましい。又その配列ピツチ
は初期位置において、加工前のシート２の波型ピ
ツチp′に等しいことが必要である。しかし、この
初期ピツチp′は使用されるシートの仕様に応じて
変更することが出来る。

叙上の縮径手段の作用について述べると、波型
を付与された扇形シート２は、作業台１１の上に
その扇形中心が右側に来るように載置される。次
いでシリンダ１４が作動し、昇降フレーム１５を
図のＡ方向に降下させる。これによつて該フレー
ム１５に取り付けられたロツドレス・シリンダ１
６、シヤフト１７は、駒２１及び押さえ矢２２を
伴つて降下し、初期位置にある該押さえ矢２２の
先端はシート２の波型の谷部に挿入され、第１図
に示すように、作業台１１との間でこれを保持す
る。次にロツドレス・シリンダ１６が作動し、そ
のスライダ２４を図のＣ方向に移動させる。これ
によつて、前述の如く押さえ矢２２の右方移動が
起こり、そのピツチの縮小に伴つてシート２も共
に褶動し、その扇形半径を縮径されると共に、右
方の補助作業台３０上の２′の位置に移転し、次
ぎに述べる丸め手段の作用を受ける。

丸め手段は、不作動時には前記作業台１１の下
方に退避し、作動時には前記補助作業台３０上に
出現するように構成されている。即ち該手段は、
機台ベース３１に敷設された２本のレール３２上
にスライド・ベアリング３３を介して滑動自在に
設けられたスライドベース３４上に設けられてい
る。前記補助作業台３０も、このスライドベース
３４上に柱３５を介して取り付けられている。該
スライドベース３４には、垂直方向にシリンダ３
６が取り付けられ、そのロツド先端にはサブベー
ス３７が昇降自在に固定されている。サブベース
３７には後述するように、丸め手段本体Ｙが載置
されているので、シリンダ３６のＧ−Ｈ方向の作
動によつて、丸め手段本体Ｙは退避位置と作動位
置のいずれかを占めることが出来る。

丸め手段本体Ｙの主要構造を第６図に示す。該
本体Ｙは、水平にサブベース３７に取り付けられ
た上下２本のシリンダ３８と３９を有し、下側の
シリンダ３９のロツドの先端には、Ｕ字状をなす
左右対称のブラケツト４０が取り付けられ、該ブ
ラケツト４０の左右先端には、一対のローラ４
１，４１ａを具えたリンク４２がそれぞれ軸４３
を中心に回動自在に取り付けられてアーム４４を
形成している。一方、上側のシリンダ３８のロツ
ドの先端にもローラ４５が回転自在に設置されて
いる。これらのローラ４１，４１ａ，４５を経由
して一本のベルト４６が張設され、その両端は最
も外側に配置されているローラ４１，４１に係止
されている。

次ぎに叙上の丸め手段の作用について説明す
る。前述の縮径工程によつて折り畳まれたシート
２は補助作業台３０上に載せられている。シリン
ダ３６の作動によつて丸め手段本体Ｙは上昇して
作動位置を占め、シート２の左側に位置する。次
にシリンダ３９が作動し、そのロツドが右方に移
動すると、アーム４４も右方に移動し、ベルト４
６の張力の増加に伴つて軸４３を中心にしてロー
ラ４１をＥ方向に回動し、第６図に点線で示すよ
うに、シート２の円弧部分円を周囲から被包す
る。

シート２の右側の補助作業台３０上には、シー
ト２の中心角を規制するための規制板４７と中心
位置を固定するためのピン４８が設けられている
が、ローラ４１はこの規制板４７を越えてなお右
方に移動するので、シート２はベルト４６によつ
て充分に圧迫され、本実施例の場合にはその中心
角が180度の半円形になるまで変形する。シリン
ダ３８はこの圧迫作業中にベルト４６に異常な張
力の変動が生じないように規制すると共に、加工
されるシート２の波型の山数の変更に対応して所
定の張力を設定出来るようになされている。

次にシート２はそのままの位置で真円度向上手
段ｚの作用を受ける。該真円度向上手段Ｚは補助
作業台３０の直下に設置されている。第１図に示
すように、該手段Ｚは丸め手段本体Ｙと同じくス
ライドベース３４上に取り付けられた垂直方向の
シリンダ５０を具えている。該シリンダ５０のロ
ツドの先端には、サブベース５１が取り付けら
れ、サブベース５１上には更に水平方向のシリン
ダ５２が設けられている。第７図に示すように、
該シリンダ５２のロツドの先端には、三つの部分
からなり、各部分にそれぞれ複数の成形矢５３
ａ，５３ｂ，５３ｃを垂直方向に突設したホルダ
５４がブラケツト５５を介して設置されている。
各列内の成形矢５３ａ，５３ｂ，５３ｃはそれぞ
れ縮径されたシート２の波型のピツチに適合する
ように配列されている。中央の成形矢５３ｂは固
定矢であるが、両側の成形矢５３ａと５３ｃはリ
ンク機構によつて、これを担持するホルダ５４の
部分が左右に開離することによつて、第７図にＭ
で示す方向に円弧上の軌跡を描いてを回動する。

前記補助作業台３０には、成形矢５３ａ，５３
ｃの回動軌跡に対応する位置に複数の円弧状スロ
ツト５６が貫通して穿設されている。

この真円度向上手段Ｚの作用を説明する。前述
の丸め作業が終了し、第５図に示す状態になつた
補助作業台３０上のシート２に対して、シリンダ
５０の作動によつて成形矢群５３がその退避位置
から上昇し、スロツト５６を通つてシート２の下
側から波型の各山部に挿入される。これに代わつ
て、今まで挿入されていた押さえ矢２２は上昇し
て脱出し、縮径手段１２は初期位置に復帰する。
次にシリンダ５２が作動し、第７図のＫ方向にブ
ラケツト５５を移動させると、リンク機構によつ
てホルダ５４が左右に開いて、成形矢５３ａ及び
５３ｃをスロツト５６に沿つてＭ方向に回動さ
せ、シート２の波型をスロツト５６で規定された
円弧に従うように修正する。その後、成形矢５３
は下降してシート２から脱出し、丸め手段本体Ｙ
及び真円度向上手段Ｚは退避位置に復帰する。成
形されたシート２は前記スライドベース３４の左
端に係合するシリンダ５７のＱ方向の作動によつ
て、作業台３０自体を右方に移動させることによ
つて、第１図の２”の位置に移され、次工程に搬
送される。

〔発明の効果〕

本発明によれば、従来人手に頼つていたフイル
タエレメントの成形を機械によつて自動的に行う
ことが出来、しかも丸め作業の際、シートの波型
に沿つて矢を回動させるので、真円度の優れた、
均一な密度のフイルタエレメントを容易に得るこ
とが可能となる。更にサイズや波型の数の異なる
フイルタエレメントの場合にも、簡単な装置の調
整により対処することが出来、実用上の効果は絶
大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明装置の概略を示す側面図であ
る。第２図は本発明に用いられる予め波型を付与
された加工前のシートの斜視図である。第３図は
本発明の加工を受けた後のシートの斜視図であ
る。第４図は本発明の縮径手段に用いられるパン
タグラフとカムプレートとの関係を示す説明図で
ある。第５図は押さえ矢の断面形状とシートの波
型との関係を示す平断面図である。第６図は本発
明の丸め手段の要部を示す平面図である。第７図
は本発明の真円度向上手段の要部を示す平面図で
ある。第８図は従来の技術におけるフイルタエレ
メントの成形手順を示す斜視図である。 ２，２′，２″……シート、１１……作業台、１
４……シリンダ、１５……昇降フレーム、１６…
…ロツドレス・シリンダ、１７……シヤフト、１
８……カムプレート、２１……駒、２２……押さ
え矢、２３……パンタグラフ、３０……補助作業
台、３２……レール、３４……スライドベース、
３６……シリンダ、３７……サブベース、、３８，
３９……シリンダ、４６……ベルト、４７……規
制板、５０，５２……シリンダ、５３……成形
矢、５６……スロツト、５７……シリンダ、Ｘ…
…縮径手段、Ｙ……丸め手段本体、Ｚ……真円度
向上手段。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 円弧に平行な等ピツチの波型を予備的に付与
   された扇形シートの各波型谷部に、上方から押さ
   え矢を挿入してこれを保持し、次いで各押さえ矢
   間のピツチを縮小することによつて、シートの扇
   形半径を縮小する縮径工程と；縮径されたシート
   の扇形中心を固定しつつシートの円弧部を内側に
   圧迫して扇形半径を更に縮小すると共に、扇形の
   中心角を実質的に180度に増大せしめ、同時に下
   方からシートの各山部に可動の成形矢を挿入して
   これを各波型の円弧に沿つて褶動させて真円度を
   向上させる丸め工程とからなることを特徴とする
   フイルタエレメントの成形方法。 ２ 円弧に平行な等ピツチの波型を予備的に付与
   された扇形シートを載置するための作業台；該作
   業台の上方に設置され、前記扇形シートの波型に
   対応する等ピツチで配列された複数の押さえ矢と
   該押さえ矢のピツチを変更する手段とからなるシ
   ート縮径手段；縮径されたシートを載置する補助
   作業台；前記シートの円弧部を被包し、これに圧
   迫を加えるための可撓性部材と、該シートの扇形
   中心及び中心角を規制するための規制部材とから
   なる丸め手段；及び該丸め手段と協働して、前記
   押さえ矢と反対側から前記シートの各波型内に挿
   入可能で、且つ前記作業台上を所定の円弧状軌道
   に沿つて褶動自在な複数の成形矢からなる真円度
   向上手段を具えたことを特徴とするフイルタエレ
   メントの成形装置。