JPH0341963A - 人工血管およびその製造方法 - Google Patents

人工血管およびその製造方法

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JPH0341963A
JPH0341963A JP1177391A JP17739189A JPH0341963A JP H0341963 A JPH0341963 A JP H0341963A JP 1177391 A JP1177391 A JP 1177391A JP 17739189 A JP17739189 A JP 17739189A JP H0341963 A JPH0341963 A JP H0341963A
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JP
Japan
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elastin
blood vessel
solvent
artificial blood
mixed
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JP1177391A
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English (en)
Inventor
Yuzo Ezaki
江嵜 祐造
Yoshihito Takano
高野 良仁
Shinichi Kaneda
伸一 金田
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Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は人工血管およびその製造方法に関するものであ
る。詳しく述べると本発明は、抗血栓性および生体適合
性に優れ細口径化に適した人工血管およびその製造方法
に関するものである。
(従来の技術) 近年、閉塞性動脈硬化症等の血管疾患が増加する一方、
血管外科手技も近年著しく進展しており、血管の修復手
術が盛んに行なわれている。この場合、病変血管に代っ
て新たに血管を維持するために代用血管が用いられてい
る。代用血管としては、生体の血管組織およびその他の
生体組織に由来する生体組織血管と、全ての人工材料に
由来する人工血管に大別される。
このような代用血管に必要な条件としては、(a)生体
内で変性せず、毒性、異物反応がないこと、(b)耐久
性があること、(C)発癌性、抗原性がないこと、(d
)弾性、伸展性に富み、可及的に生体血管に近似するこ
と、(e)優れた抗血栓性をもつこと、(f)縫合しゃ
すく断端がほつれないこと、(g)消毒が容易で、感染
に抵抗があることなど多く挙げられ、特に導管としての
機能を満足させる抗血栓性が重要であるとされている。
従来、人工血管としては、例えば、サウベージ[sau
vage]  (商品名)外部支持グラフト体[ext
ernally 5upported Graft] 
(U S CI製)などのようなポリエステル系ポリマ
ーからなる多孔質管状体や、テトラフルオロエチレンに
特殊な延伸加工を施したボアテックスI”Gore−T
ex] (商品名 日本ボアテックス側製)などのよう
なポリテトラフルオロエチレン系ポリマーからなる多孔
質管状体などが知られており、最近では長いもので10
年にわたる臨床での遠隔成績が示され(ザ ジャーナル
 オブ ジャパニーズ カレッジ オブ アンジオロジ
イ 第28巻 第9号 1988年[TheJourn
al of Japinese CoCo11e of
 Angiology V。
128、 No、9.19881 ) 、これらについ
ては良好な開存率から確固たる地位が確立されつつある
。しかしながら、これらの良好な成績は最低でも2年間
にわたる抗凝固療法を毎日のように施した結果であり、
まだまだ患者へ与える負担は大きいのが現状である。さ
らにこれら公知の人工血管は最低でも6mm以上の内径
が必要であり、それ以上に管径を小さくすると血栓その
もので閉塞してしまうという問題点があり、これら公知
の広口径の人工血管は、内径5mm程度以下の細口径の
血管の代用としては適さないとされている。
また人工血管の管壁の肉厚を増すことによって物理的性
質を改善させることが従来行なわれているが、単純に肉
厚を増しただけでは断面積が大きくなりすぎ、特に末梢
血管に使用される細口径の人工血管においては、血圧の
変化による宿主血管の管径の変化と人工血管の管径の変
化との差が大きなものとなり、宿主血管にストレスを与
え、動脈瘤や吻合部の開裂、新生内膜肥厚による完全閉
塞などを引き起こす虞れがある。
従って、細口径人工血管では、管壁が宿主血管のように
薄く、その上に高い吻合適合性、天然に近いコンプライ
アンス(伸展性)などが要求されるが、これらの性能を
満足する細口径人工血管は今だ開発されていないのが現
状である。
また、上記細口径人工血管に要求される性能のうち最も
重要なものに生体適合性が挙げられる。
前記した広口径の人工血管では良好な開存率を示すもの
の、異物反応は数年にわたって認められるなど、宿主に
とって過剰なストレスを与えていることが明らかとなり
、まだまだ今後の研究に負うところが大きい。
一方、血栓閉塞を解決するために、種々の高分子材料に
抗血栓性を持たせる工夫がなされてきている。例えば、
ヘパリンのような天然の抗凝固剤を高分子材料に化学結
合させる方法、ウロキナーゼ等の線溶活性酵素を高分子
材料に付与する方法(特公昭51−103190号公報
)、あるいは1.2−ジフェニル−3や5−ジオキシピ
ラシソジン誘導体などの合成線溶活性化合物を高分子材
料に付与する方法(特公昭52−142772号公報)
などが知られている。
しかしながら、ヘパリンは高分子担体に共有結合させる
と活性を失うなどの面から担体への結合方法に問題が残
されている。さらに、このような面を解決する上から、
ヘパリンをイオン結合で含有したポリマーを高分子材料
にコートし、良好な抗血栓性を得られることが報告され
ており(長岡昭二ら、人工臓器、1988年、第17巻
、第2号、第598〜601頁)、またヘパリンをミク
ロドメインの1つに組込んだポリスチレン−ポリエチレ
ンオキサイド−ヘパリン三元ブロック共重合体が合成さ
れ、その抗血栓性が調べられている(ヴユリック アイ
、トランスアクションズ オブ サーティーンス アニ
ュアル ミーティングオブ ソサエティ フォア バイ
オマテリアルス、第81頁、1987年[:VuLic
、1. Transactl。
ns of 13th Annual Meeting
 of 5ociety for B1゜1ateri
als、 p81.1987] )が、いずれもまだ人
工血管として実用に供するには不十分であって満足しう
るちのではない。
また血栓溶解酵素であるウロキナーゼは血栓症治療剤と
して広く臨床で使用されているが、流血中にはa2−プ
ラスミンインヒビタ−やα2マクログロブリン等のプラ
スミン阻害因子が多量に含まれており、ウロキナーゼの
ブラスミノーゲンアクチベーターとしての作用を阻止し
ており、インビトロ[In V1tro]の活性から構
成される装置の効果は、イン ビーボ[In Vivo
]においては認められていないのが現状である。
さらに、高分子材料に抗血栓性を付与する上記のごとき
方法の他に、高分子材料自体を血栓が生じにくいものと
する方法として、一連のセグメント化ポリウレタン系統
での研究が知られている。
この研究は、従来の試行錯誤的アプローチから、分子設
計的なアプローチが試みられるまでになり、ミクロドメ
インポリマーに関しては、その相分離性と抗血栓性との
関連がより明確になりつつあり(高原淳ら、第16回医
用高分子シンポジウム要旨集、第21頁1.1987年
)、さらに多孔性なポリウレタンでの検討(マーゾ エ
イッチら、バイオマテリアルス、8.3.1987年[
Martz。
11、 at al、、 Blomatcrials、
 8.3.1987コなども行なわれているが、これら
は未だ実用に供するには不十分なものである。
(発明が解決しようとする課題) 従って本発明は新規な人工血管およびその製造方法を提
供することを目的とするものである。本発明はまた抗血
栓性および生体適合性に優れ細口径化に適した人工血管
およびその製造方法に関するものである。本発明はさら
に、高い吻合適合性および天然血管に近い物理的特性を
有する人工血管およびその製造方法を提供することを目
的とするものである。
(課題を解決するための手段) 上記諸口的は、壁面が合成高分子と、エラスチンとの混
合組成物から構成されているこ・とを特徴とする人工血
管によって達成される。
本発明はまた、合成高分子がウレタン系ポリマーないし
ウレタン−尿素コポリマーあるいはこれらとシリコーン
系ポリマーとのブレンド物である人工血管を示すもので
ある。本発明はさらにポリウレタン系ポリマーないしウ
レタン−尿素コポリマーが、ポリエーテル型ポリウレタ
ンまたはポリエーテル型ポリウレタンウレアである人工
血管を示すものである。本発明はさらにまたポリウレタ
ン系ポリマーないしウレタン−尿素コポリマーがポリエ
ーテルセグメント化ポリウレタンもしくはポリエーテル
セグメント化ポリウレタンウレアである人工血管を示す
ものである。本発明はまたエラスチンが各種動物由来あ
るいはヒト由来のものであり、特にヒト由来のものであ
る人工血管を示すものである。本発明はさらに、壁面を
構成する合成高分子とエラスチンとの混合組成物におけ
る合成高分子:エラスチンの組成比が重量比で1:1〜
10:1程度である人工血管を示すものである。
上記諸口的はさらに、エラスチンを合成高分子材料に対
する溶媒に添加して、該溶媒中にエラスチンを分散させ
、このエラスチンを分散混合してなる溶媒で、該合成高
分子材料を適当な粘度まで溶解希釈し、得られた混合ド
ープを展開して所定の形状に底形し、前記溶媒を除去し
て乾燥固化することを特徴とする人工血管の製造方法に
よっても達成される。
(作用) 本発明者らは、前記のごとき課題を解消するために、血
管内膜傷害モデル動物を作製し、天然の血管が傷害され
て、その後どのように修復されていくかを詳細に検索し
た。その結果、プロテアーゼで血管内腔面を一定条件で
処理することにより内膜が欠損し、その結果露出した内
弾性板(エラスチン)上には、−時的に血栓は形成され
るものの、短時間で吸収され、さらに驚くべきことに短
期間で肉弾性板上に新生内膜が形成され早期組織治癒性
が見られるという事実を見い出した。この事実は、内膜
を構成する内皮細胞、内膜平滑筋細胞、コラーゲン等の
内皮下織は血液凝固の方向へ働くことは容易に理解され
るが、プロテアーゼ処理により露出された内弾性板は、
抗血栓性、さらには早期組織治癒性を兼ね備えた材料で
あるという知見が得られた。
エラスチンを利用することは、特開昭60−64909
号、特開昭62−502334号、およびトロンボシス
 リサーチ、第43巻、第205号、第211頁、19
86年CThrombos1s Rcscarch、 
43.205.211.1986コ)などで報告されて
いるが、これらはいずれも主に細胞への作用を示す創傷
治癒促進効果をうたったものである。
本発明者らは、このような組織治癒促進作用を有するエ
ラスチンと、合成高分子材料との混合組成物によって人
工血管を作成することにより、生体適合性はもちろんの
こと、細口径のものにおいて要求される優れた物理的特
性をも享受できるという見解に達し本発明に至ったもの
である。
さらに本発明の人工血管の製造方法は、このようなエラ
スチンと合成高分子材料との混合組成物よりなる人工血
管を作成するにおいて、合成高分子材料に対する溶媒に
あらかじめエラスチンを添加して、分散混合させ、この
エラスチンを分散混合してなる溶媒で、合成高分子材料
の溶液を調製し、成形後に溶媒を除去して乾燥固化する
ものであり、熱をかけることなく作成するために、エラ
スチンないし合成高分子材料の変性が少ないものとなる
なお、本明細書において用いられる「エラスチン」なる
用語は、天然または熟成エラスチンおよびその誘導体を
含むものである。
以下、本発明を実施態様に基づきより詳細に説明する。
本発明の人工血管は、壁面が合成高分子と、エラスチン
との混合組成物から構成されていることを特徴とするも
のである。
本発明の人工血管において用いられる合成高分子として
は、各種のものが用いられ得るが、中でもポリウレタン
系ポリマーないしウレタン−尿素コポリマーあるいはこ
れらとシリコーン系ポリマーとのブレンド物などが好ま
しい合成高分子材料として挙げられる。さらにポリウレ
タン系ポリマーないしウレタン−尿素コポリマーとして
は、生体内での耐久性の面から、ポリエーテル型のもの
が好ましく、特にポリエーテルセグメント化ポリウレタ
ンもしくはポリエーテルセグメント化ポリウレタンウレ
アなどが望ましい。またこれらの高分子材料には、安定
剤、可塑剤、滑剤などの配合剤が必要に応じて添加され
ていても構わない。
一方、エラスチンとしては、ヒトを含む各種の動物、好
ましくはヒト由来の天然または熟成エラスチンあるいは
その誘導体が用いられ、エラスチン誘導体としては、特
に加水分解により変質したエラスチンが好ましい。
さらに、本発明の人工血管におけるこのような合成高分
子とエラスチンとの混合組成物の組成比としては、特に
限定されるものではないが、合成高分子:エラスチンが
重量比で1:1〜10:1程度、より好ましくは5:1
〜8:1程度であることが望まれる。すなわち、10:
1よりもエラスチンが少ないと、十分な生体適合性、物
理的特性、吻合適性、さらには組織修復促進作用などが
見られない虞れが大きく、一方、1:1よりもエラスチ
ンが多いと経済的に不利なためである。
また本発明の人工血管における管壁の肉厚は、特に限定
されるものではなく、また人工血管の内径などによって
も左右されるが、例えば0.01〜1.0mm程度、好
ましくは0601〜0.1mm程度のものとされる。す
なわち、本発明の人工血管においては、管壁が上記した
ような合成高分子とエラスチンとの混合組成物からなる
ものであり、このような十分に薄い肉厚においても吻合
適性、良好なコンプライアンスなどの物理的特性を発揮
することが可能となるものである。この点は、従来、生
体適合性の高いものとして知られるポリエーテルポリウ
レタンを用いた人工血管用基材(例えば、特開昭57−
150954号公報、特開昭59−225053号公報
、特開昭62−167560号公報、特開昭62−21
7968号公報、特開昭63−4615.2号公報など
)がいずれも多孔質のものであって、管壁を厚くするこ
とによって物理的特性を得ようとするものであることと
は大きな相違である。
従って本発明の人工血管は、内径が6mm以上の広口径
のものであっても、もちろん優れた特性を発揮するもの
ではあるが、例えば冠状動脈等の比較的細い動脈と吻合
可能であるような内径が6mm以下、特に1〜5mm程
度の細口径の態様において一層優れた特性を得られるも
のである。
また本発明の人工血管は、使用される前に滅菌処理にか
けられるが、この滅菌処理法としては、エチレンオキサ
イドガス滅菌、γ線滅菌などが適当である。
このような構成を有する本発明の人工血管は、以下のよ
うにして作成することができる。
すなわち、まず、使用する合成高分子に対して良好な溶
解性を示す溶媒にエラスチンを添加して、該溶媒中にエ
ラスチンを分散させ、エラスチンを分散混合してなる溶
媒であらかじめ調製する。
例えば、用いられる合成高分子がポリエーテルセグメン
ト化ポリウレタンまたはポリエーテルセグメント化ポリ
ウレタンウレアである場合には、テトラヒドロフラン、
ジメチルホルムアミドなどが用いられる。
次にこのエラスチンを分散混合させてなる溶媒によって
、合成高分子材料を適当な粘度まで溶解し、合成高分子
−エラスチン混合ドープを調製する。
そして得られた混合ドープを展開して所定の形状に成形
し、溶媒を除去して乾燥固化して成形品を得ものである
。例えば、棒状体を芯材として前記混合ドープ中に浸漬
した後、芯材に付着したドープを乾燥させドープ中の溶
媒を除去する。なお、所望の肉厚とするために、浸漬お
よび乾燥の行程を複数回繰り返すことは任意である。ま
た溶媒を除去するための乾燥は、自然乾燥でも、加熱乾
燥でもよいが、好ましくは4〜37℃程度の温度範囲内
で乾燥させることが望まれる。
(実施例) 以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
実施例1 ポリプロピレン製容器に可溶性エラスチン(フナコシ薬
品製)0.1gを入れ、これにテトラヒドロフラン(T
HF)15mlを溶媒として加えて混和し、THF中に
エラスチンを分散させた。
次いでこの容器に、ポリウレタン溶液(ロ本ポリウレタ
ン工業■製、ポリエーテルセグメント化ポリウレタンエ
ラストマー、ロフト番号G−2)30mlを加え、空気
が混入しないようにしながら十分に混合し、さらに脱泡
処理を施して、ポリウレタン溶液中にエラスチンを均一
に分散させた。
次に芯材として、直径6m m 、長さ200mmのデ
ィッピング成形用ステンレス棒を使用し、上記のごとく
調製したポリウレタン−エラスチン混合ドープ中に芯材
を浸漬し、引上げた後20℃程度の温度で静置乾燥させ
た。そしてこの浸漬−乾燥の行程を10回繰り返した。
最後に、芯材まわりに形成された管状の成形品を芯材ご
と無水エタノール中に浸漬し、芯材より成形品を離型し
た。得られたポリウレタン−エラスチン混合組成の管状
体は、その内径が5mm。
肉厚が0.08mmのものであった。
得られた管状体を長さ5cmに切断し、A−Vシャント
用循環回路の動脈側直線部分に接続し、家兎頚動静脈間
におけるA−Vシャントを作製した。循環開始後、18
G留置針(テルモ■製、商品名 サーフロー)にて、約
45°の角度にて刺し入れ、抜くという動作を5回繰り
返した。その結果、針を抜くことによる出血は認められ
ず、良好な穿刺耐性が認められた。さらに1時間循環を
継続した後、管状体を取り出し、管状体内腔面を観察し
たところ、血栓の付着は認められなかった。
実施例2 用いる芯材の口径を変える以外は、実施例1と同様にし
て、内径2.8mm、肉厚0.08mmのポリウレタン
−エラスチン混合組成管状体を得た。
得られた管状体を長さ3cmに切断し、以下に示す実験
手技により家兎腹部大動脈に移植した。
腹部大動脈移植手技 (1)臨床上異常を認めない体重2.5〜3゜0Kg程
度の日本白色種家兎(雄・雌)を用いた。
(2)まずこの兎に、ベンドパルビタール25゜92 
m g / K gを耳静脈より投与し、全身麻酔を施
した。
(3)兎を仰臥位固定後、腹部を広範囲に刺毛し、該部
位をイソジンにて消毒した。
(4)兎に有窓布をかけた。
(5)耳静脈より補液を開始した。
(6)腹部正中線切開後、腹部諸臓器を右側に寄せ、生
理食塩水で濡らしたガーゼで覆った。
(7)腹部大動脈を周囲組織および大静脈より剥離し、
分枝(腰動脈)を結紮した。
(8)動脈クレンメにて大動脈血流を遮断後、大動脈を
約2.5cm切断し、断端近位の外膜を軽度切除した。
(9)生理食塩水でこの切断部の内腔面を洗浄した。
<10)この切断部に、上記のごとく作製した長さ3c
m、内径2.8mm、肉厚0.08mmのポリウレタン
−エラスチン混合組成管状体を、8−0ポリ工ステル製
血管吻合糸(松田医工社製)にて2点支持連続吻合(端
一端吻合)した。
(11)吻合終了後、中枢側よりクレンメをはずし、血
液を該管状体内に満たした後に、末梢側のクレンメをは
ずし、血流を再開させた。
(12)軽度止血後、各諸臓器を特に腸管の急転、狭窄
に注意しながら腹腔内にもどし、そして切開創を縫合し
た。
(13)なお術中術後は、ヘパリン、抗血小1反剤等の
抗凝固療法は一側片なわなかった。また洗浄液にも一切
ヘバリンなどは加えなかった。
その結果、移植時には良好な吻合適性が認められ、また
縫合糸刺入による出血も認められなかった。さらに移植
後の触診で天然血管と同様な拍動が感じられ、天然血管
へのストレスは少ないものと思われた。
さらに移植の1日後、および3日後に開腹し、触診にて
開存の有無について確認したところ、良好な開存および
拍動が認められた。全身ヘパリン化後頚動脈より脱血死
させ、ポリウレタン−エラスチン混合組成管状体を取り
出し、その内腔面を観察したところ血栓の付着はほどん
ど認められなかった。なお、第1図および第2図にはそ
れぞれ、家兎腹部大動脈移植1日後、移植3日後の人工
血管の肉眼所見を示すものである。
実施例3および比較例1 用いる芯材の口径を変える以外は、実施例1と同様にし
て、内径4mm、肉厚0.08mmのポリウレタン−エ
ラスチン混合組成管状体を得た(実施例3)。一方、比
較対象となるエラスチンを混合しないポリウレタンのみ
からなる内径4mm1肉厚0.08mmの管状体をほぼ
同様な手順で作製した(比較例1)。
得られたそれぞれの管状体を長さ5cmに切断し、以下
に示すようにA−Vシャントに組み込み、家兎によるA
−Vシャント24時間循環系において抗血栓性の性能を
評価した。
抗血栓性評価生体外(ex vivo )循環実験臨床
所見で異常を認めない健康な日本白色種家兎(雄・雌 
体重2.5〜2.8Kg)に、ベンドパルビタール25
.92mg/Kgを耳静脈より投与し全身麻酔を施した
。仰臥位に固定した後、一般外科手術術式に準じた手法
で頚動静脈を露出させた。
第7図に示したA−Vシャント回路内に検体を留置し、
生理食塩水でプライミングした後、露出した頚動静脈に
14GW代針(テルモ■製、商品名 サーフロー)を介
して接続し、循環実験を開始した。すなわち、兎の頚動
脈1から血液を留置針2を通してコネクター3を介して
検体(人工血管)4に導く。そして輸液セット5を通り
、さらにサンプリングのためのタコ管6を通って兎の頚
静脈1′に返されるものである。
24時間の循環終了後に検体を循環回路より摘出し、生
理食塩水にて軽く洗浄した後、写真撮影を行った。
この結果、第5図および第61図に示したように比較例
1のポリウレタンのみからなる管状体については、開存
は確認されたものの肉眼的血栓が著名に認められたのに
対し、第3図および第4図に示すように本発明に係わる
実施例3のエラスチン−ポリウレタン混合組成からなる
管状体については、肉眼的血栓はほとんど認められなか
った。
実施例4〜5および比較例2〜5 抗血栓性評価の1つとして、各種の材質に対し血小板拡
張能試験により血小板との反応性について検討を行なっ
た。
評価の方法は以下に述べる通りである。
CPD加ヒト新鮮血よりPRP (多血小板血漿)を分
離し、希釈洗浄用緩衝液(3,8%クエン酸ナトリウム
溶液:10mM  リン酸緩衝化生理食塩水(pH7,
0)  1 : 9混合溶液)によりPRPを希釈して
血小板数を104/μgに調製する。この希釈PRP2
00μgを8×8ffl−の試料上に滴下し、ポリスチ
レン製シャーレをPRP層が2mmの厚さになるように
PRPに接触させ、室温にて30分間インキュベーショ
ンを行なった。
その後、希釈洗浄用緩衝液にて試料を二重洗浄し、グル
タルアルデヒド固定(2,0%グルタルアルデヒド/1
00mMリン酸緩衝液(pH7,5))を行なった。続
いてエタノール脱水を行ない風乾後、イオンスパッタリ
ングを行ない走査電子顕微鏡での観察に供した。走査電
子顕微鏡では、1000倍で5視野の観察を行ない、粘
着血小板数と形態変化の度合を測定した。なお、形態変
化の度合は、以下に述べる分類基準に基づいて判定した
I型:iE常形態である円盤状から球状化して、3.4
本の偽足を形成したもの。
■型: 数本以上の偽足を伸ばして、偽足の長さの半分
程度まで薄い泡体を拡げ たもの。
■型二 偽足の長さの半分以上に薄い泡体を拡げたもの
から、はぼ完全に泡体を 拡張して類円形を呈したもの。
この場合、形態変化の強い■型が多いほど血小板の反応
性が強いと言える。評価の結果を第1表および第8図に
示す。
第1表および第8図に示すようにポリウレタン(比較例
2)は、ポリ塩化ビニル(比較例4)やポリメチルメタ
クリレート(比較例5)と比較すると血小板の反応性は
低いと考えられたが、延伸ポリテトラフルオロエチレン
(比較例3)との比較においては、■型の粘着血小板数
が若干多かった。一方、エラスチン混合ポリウレタン(
実施例4)では、エラスチンの混合によって、血小板の
反応性が増強されることなく、むしろ可溶性エラスチン
(エラスチン加水分解物)混合ポリウレタン(実施例5
)では、血小板の粘着数、形態変化ともに低減し、血小
板の反応性が低くなる傾向が示された。
なおこの血小板拡張能試験における試験方法および形態
変化の分類は、与那覇ら(人工臓器Vo1.9 、No
、l、 228−231 、1980)の報告を参考に
した。
第1表 (発明の効果) 以上述べたように本発明の人工血管は、壁面が合成高分
子とエラスチンとの混合組成物から構成されていること
を特゛徴とするものであるから、細口径のものとしても
、合成高分子材料のみでは得られなかった優れた物理的
性質を有し、移植部位での過剰なストレスを抑制でき、
また良好な吻合適性を有し、吻合部位での血栓形成を抑
制できるものであり、さらに生体適合性、に優れるのみ
ならず組織修復促進作用も期待できるものである。
さらに本発明は、エラスチンを合成高分子材料に対する
溶媒に添加して、該溶媒中にエラスチンを分散させ、こ
のエラスチンを分散混合してなる溶媒で、該合成高分子
材料を適当な粘度まで溶解希釈し、得られた混合ドープ
を展開して所定の形状に成形し、前記溶媒を除去して乾
燥固化することを特徴とする人工血管の製造方法である
から、上記のごとき優れた特性を有する人工血管を容易
にかつ安定して製造できるものである。
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図は同実施11おいて得られた人工血
管の家兎腹部大動脈移植の1時間後および3時間後の肉
眼所見を示す写真、第3図および第4図は本発明の別の
実施例において得られた人工血管のA−Vシャント循環
実験における計価粘果を示す写真、第5図および第6図
は比較例として作製された人工血管のA−Vシャント循
環実験における評価結果を示す写真、第7図はA−Vシ
ャント循環回路の構成を示す図面であり、また第8図は
各種材質に対する血小板拡張能試験結果を示す図面であ
る。 1・・・頚動脈、1′・・・頚静脈、2・・・留置針、
3・・・コネクター、4・・・検体(人工血管)、5・
・・輸液セット、6・・・タコ管。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. (1)壁面が合成高分子とエラスチンとの混合組成物か
    ら構成されていることを特徴とする人工血管。
  2. (2)エラスチンを合成高分子材料に対する溶媒に添加
    して、該溶媒中にエラスチンを分散させ、このエラスチ
    ンを分散混合してなる溶媒で、該合成高分子材料を適当
    な粘度まで溶解希釈し、得られた混合ドープを展開して
    所定の形状に成形し、前記溶媒を除去して乾燥固化する
    ことを特徴とする人工血管の製造方法。
JP1177391A 1989-07-10 1989-07-10 人工血管およびその製造方法 Pending JPH0341963A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2772769A1 (fr) * 1997-12-23 1999-06-25 Inst Nat Sante Rech Med Produits de couplage de derives d'elastine et de polymeres et leurs applications biologiques

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2772769A1 (fr) * 1997-12-23 1999-06-25 Inst Nat Sante Rech Med Produits de couplage de derives d'elastine et de polymeres et leurs applications biologiques
WO1999033903A1 (fr) * 1997-12-23 1999-07-08 Institut National De La Sante Et De La Recherche Medicale (Inserm) Produits de couplage de derives d'elastine avec des polymeres et/ou de l'elastine et leurs applications biologiques

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