JPH0341610B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、無騒音・無振動でコンクリートパイ
ルを地盤中に沈設する工法に関するものである。

現在、コンクリートパイルの地盤中への沈設に
は、打撃工法、プレボーリング工法、セメントミ
ルク工法、中掘り工法などが用いられているが、
社会的要請によつて、騒音振動を伴う打撃工法
は、市街地では避けられるようになつて、できる
だけ騒音・振動が少ない低公害工法であるセメン
トミルク工法、中掘り工法などが用いられる傾向
にある。

上記それぞれの工法を簡単に説明すると、打撃
工法はコンクリートパイルをドロツプハンマ・ジ
ーゼルハンマ・油圧ハンマなどでパイル頭部に打
撃を与えて、パイルを沈設するものであり、プレ
ボーリング工法は、事前にアースオーガーで地盤
に穴をあけ、その穴にパイルを建込んでパイル頭
部に打撃を与えてパイルを沈設するものであり、
打撃工法に比べて騒音・振動は少なくなる。セメ
ントミルク工法は、先ず地盤中にアースオーガー
で掘削孔を崩壊させないため、オーガー先端から
水・ベントナイト、又は水・ベントナイト・セメ
ントなどの混合物を噴射しながら、地盤を掘削排
土し、支持地盤付近まで掘削後はセメントミルク
（セメント＋水）に切り替え注入し、支持地盤付
近はセメントミルク柱とした掘削孔中にパイルを
建込みパイルを沈設してパイル頭部を軽打又は圧
入するもので、プレボーリング工法に比べ騒音・
振動が更に少なくなるが、施工費は高くなる。

また、中掘り工法は、パイル中空部にアースオ
ーガーを挿入してオーガーで地盤を掘削しなが
ら、パイル中空部を通じて土砂を排出してパイル
を沈設し、支持地盤付近はセメントミルクを注入
し、オーガー引抜き後パイルを圧入するなどし
て、パイルを沈設するものである。この中掘り工
法は、セメントミルク工法に比べ施工費が安く、
騒音振動も少ないことから、低公害工法というこ
とで現在ではこの工法が用いられることが多くな
つてきている。

このような技術背景の中で、上記工法よりも、
更に施工費が安く、かつ、無騒音・無振動でコン
クリートパイルを地盤中に沈設する工法の開発が
望まれている。

上記目的を達成するため、コンクリートパイル
全長にわたつて、らせん形のコンクリート翼を設
けたパイルが開発され、パイル頭部に回転力を与
えて、地盤中にそのパイルを沈設する工法も出現
しているが、次の欠点を有している。その欠点
は、 (1) コンクリートパイルの全長にわたつてらせん
形のコンクリート翼を設けているため、その製
造のための型枠が複雑で高価であり、配筋も面
倒であり、製造コストがかかる。

(2) パイル頭部に回転を与えて、パイルを沈設す
るため、パイル長が長くなると、土の摩擦力に
よつてパイル頭部の回転力はパイル下端まで伝
達され難く、沈設長に制限があること、及びパ
イル長が長くなるとパイルにねじれモーメント
が作用してパイルがねじれによつて、切断され
る可能性があること。

が挙げられる。

本発明は、これら従来工法の欠点を解決し、製
作費が安価なコンクリートパイルを使用し、これ
を無騒音、無振動で容易に地盤中に沈設できる工
法を提供しようとするもので、中空パイルの先端
に、コンクリート製本体の外周を保護鉄板で被覆
し、その外周に沿つてらせん形のブレイドを突設
し、中央部に横断面角形の嵌合穴を形成した推進
パネルを接続するとともに、中空パイルの基端
に、前記嵌合穴と同様な横断面角形のリブ付きフ
ランジを取付け、前記嵌合穴とリブ付フランジに
係合する角形ブロツクを備えたシヤフトをパイル
内に挿入して回転し、推進パイルと中空パイルと
に回転力を与えながらパイルの沈設を行うことを
特徴とするものである。

以下、本発明の実施例を図面を参照して説明す
る。

図面は本発明工法において使用するコンクリー
トパイル及びその沈設用シヤフトを示したもの
で、Ａは推進パイル、Ｂは推進パイルに接続して
沈設する通常の中空パイル、Ｃはこれら各パイル
Ａ，Ｂに回転力を付与するための回転用シヤフト
である。

推進パイルＡは、コンクリート製パイル本体１
の外周を保護鉄板２によつて被覆し、その外周に
沿つてらせん形のブレイド３が１〜数巻きにわた
り突設されている。そして、基端部の中央部には
横断面角形の嵌合穴４が所要の深さにわたり形成
されており、基端面には従来のコンクリートパイ
ルと同様に端板５が設けられている。

なお、上記の嵌合穴４の横断面形状は、実施例
の図面においては六角形となつているが、これは
四角形その他適宜な角形に形成できるものであ
り、また、らせん形ブレイド３は実施例の図面に
おいては連続したらせんとなつているが、これを
不連続状態に分断し、全体としてらせん状に形成
したものでもよい。

中空パイルＢは、基礎杭として一般に使用され
ているものであるから特に説明するまでもない
が、中空なコンクリート製の本体６の両端部外周
は保護鉄板７で被覆され、両端面には端板８が設
けられ、本体６中には軸鉄筋９，９が配設されて
いる。

回転シヤフトＣは、先端に嵌合穴４へ遊嵌する
下部角形ブロツク１１を備えるとともに基端に係
合溝１２ａを有する凹形フランジ１２を備えた軸
杆１０と、前記係合溝１２ａに係合する突条１３
ａを有する凸形フランジ１３を先端に備え、中間
部には前記下部角形ブロツク１１と同様の横断面
形を有する上部角形ブロツク１４と、これに続い
てオーガーシヨイント１５とを備えた駆動杆１６
とより成つている。なお、図示を略したが凸形フ
ランジ１３と凹形フランジ１２とは例えばボル
ト、ナツト等により結合することもできる。

そして、前記中空パイルＢの基端面には、回転
シヤフトＣの上部角形ブロツク１４の外側に遊嵌
する角形リブ付フランジ１７を取付ける。この取
付けは、中空パイルＣの端板８に設けられている
ネジ孔を利用し、これにボルト１８を締込んでや
ればよい。

本発明工法は、従来一般に使用されている中空
パイルＢの先端に推進パイルＡを接続して沈設作
業を行うもので、中空パイルＢと推進パイルＡと
は、従来のパイル相互の接続と同様に、両パイル
Ａ，Ｂの各端板５，８を接合して、その周辺部を
溶接１９して結合する。そして、中空パイルＢの
基端には前記のように角形リブ付フランジ１７を
ボルト１８により取付け、前記の回転シヤフトＣ
をパイル中に挿入し、その下部角形ブロツク１１
を推進パイルＡの嵌合穴４へ嵌合させる。それに
より上部角形ブロツク１４は角形リブ付フランジ
１７の位置にあつて嵌合された状態となる。そこ
で、オーガージヨイント１５をパイル沈設用やぐ
らの駆動軸（図示を略す）に連結して回転させれ
ば、シヤフトＣの回転力は推進パイルＡと中空パ
イルＢとに伝達され回転される。そして推進パイ
ルＡのらせん形のブレイド３により掘削が進行
し、推進パイルＡ及びこれに接続の中空パイルＢ
は地盤中に貫入して行くことになる。

地盤に貫入した中空パイルＢを更に深く沈設さ
せるには、回転シヤフトＣの凸形フランジ１３か
ら上部の駆動杆１６を一旦引抜き、中空パイルＢ
に取付けた角形リブ付フランジ１７を取外し、中
空パイルＢに他の中空パイルを溶接して接続し、
その基端に角形リブ付フランジ１７を取付ける。
そして、第４図に示すような、先端に凹形フラン
ジ１２と係合する凸形フランジ２０を設けるとと
もに、基端に凸形フランジ１３と係合する凹形フ
ランジ２１を設けた、接続する中空パイルと同長
の接続シヤフト２２を凹形フランジ１２に係合し
て接続し、駆動杆１６を接続した中空パイルの基
端から挿入し、その凸形フランジ１３を凹形フラ
ンジ２１に係合させる。それにより上部角形ブロ
ツク１４は接続した中空パイルの基端に設けた角
形リブ付フランジ１７と嵌合することになる。し
たがつて、回転シヤフトＣを回転させれば、その
回転力は推進パイルＡと接続した中空パイルとに
伝達されることになり、パイルの沈設作業は能率
よく行われることになる。これを反覆して行うこ
とによりさらに深くパイルの沈設を進めることが
できるのである。

パイルの沈設作業が終つた後は、駆動軸とオー
ガージヨイント１５との結合を解き、回転シヤフ
トＣを引き抜けばよい。

以上説明したように、本発明は、中空パイルの
先端に、外周にらせん形ブレイドを突設し中央部
に横断面角形の嵌合穴を形成した推進パイルを接
続するとともに、中空パイルの基端に、前記嵌合
穴と同様な横断面角形のリブ付フランジを取付
け、嵌合穴とリブ付フランジに係合する角形ブロ
ツクを備えた回転シヤフトをパイル内に挿入して
回転し、推進パイルと中空パイルとに回転力を与
えながらパイルの沈設を行うようにしたので、パ
イルを地盤中に無騒音、無振動によつて容易に沈
設することができ、しかも、パイルのほぼ全長に
同じ回転力が与えられるので、パイルに捩れモー
メントも作用せずパイルが切断されるというおそ
れがなく、そのパイルは、パイルの掘削をするら
せん形ブレイドはパイルの下端部だけに設けられ
ているので、製作が容易で安価に提供できる。

そして、中空パイルの沈設後は、これに他の中
空パイルを接続し、回転シヤフトの方にも接続シ
ヤフトを連結して、接続した中空パイルにも回転
力を付与するようにしているので、パイルに働く
捩れモーメントを極力低減させることができ、長
大なパイルの沈設も円滑、確実に行うことができ
る等、多くの優れた効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明工法において使用する中空パイル
と推進パイル及びその沈設用回転シヤフトの一実
施例を示したもので、第１図は中空パイルと推進
パイルとに回転シヤフトを挿入した状態を示す側
断面図、第２図は同平面図、第３図は第１図イ−
イ線の平断面図、第４図は接続シヤフトの側面図
である。 Ａ……推進パイル、Ｂ……中空パイル、Ｃ……
回転シヤフト、３……らせん形ブレイド、４……
嵌合穴、１０……軸杆、１１……下部角形ブロツ
ク、１２……凹形フランジ、１３……凸形フラン
ジ、１４……上部角形ブロツク、１５……オーガ
ージヨイント、１６……駆動杆、１７……角形リ
ブ付フランジ、２２……接続シヤフト。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 中空パイルの先端に、外周にらせん形のブレ
   イドを突設し、中央部に横断面角形の嵌合穴を形
   成した推進パイルを接続するとともに、中空パイ
   ルの基端に、横断面角形のリブ付フランジを取付
   け、前記嵌合穴と角形リブ付フランジに係合する
   角形ブロツクを備えた回転シヤフトを、パイル内
   に挿入して回転し、推進パイルと中空パイルとに
   回転力を与えながらパイルの沈設を行うようにし
   たことを特徴とする、コンクリートパイルの沈設
   工法。