JPH0425366B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、無騒音・無振動で能率よく沈設施工
をするに好適としたコンクリートパイルの沈設工
法に関するものである。

「従来の技術」 現在、コンクリートパイルの地盤中への沈設に
は、打撃工法、プレポーリング工法、セメントミ
ルク工法、中掘り工法などが用いられているが、
社会的要請によつて、騒音振動を伴う打撃工法
は、市街地では避けられるようになつて、できる
だけ騒音・振動が少ない低公害工法であるセメン
トミルク工法、中掘り工法などが用いられる傾向
にある。

セメントミルク工法は、先ず地盤中にアースオ
ーガーで掘削孔を崩壊させないため、オーガー先
端から水・ベントナイト、又は水・ベントナイ
ト・セメントなどの混合物を噴射しながら、地盤
を掘削排土し、支持地盤付近まで掘削後はセメン
トミルク（セメント＋水）に切り替え注入し、支
持地盤付近はセメントミルク柱とした掘削孔中に
パイルを建込み、パイルを沈設してパイル頭部を
軽打又は圧入するもので、プレポーリング工法に
比べ騒音・振動が更に少なくなるが、施工費は高
くなる。

また、中掘り工法は、パイル中空部にアースオ
ーガーを挿入してオーガーで地盤を掘削しなが
ら、パイル中空部を通じて土砂を排出してパイル
を沈設し、支持地盤付近はセメントミルクを注入
し、オーガー引抜き後パイルを圧入するなどし
て、パイルを沈設するものである。この中掘り工
法は、セメントミルク工法に比べ施工費が安く、
騒音振動も少ないことから、低公害工法というこ
とで現在ではこの工法が用いられることが多くな
つてきている。

このような技術背景の中で、上記工法よりも、
更に施工費が安く、かつ、無騒音・無振動でコン
クリートパイルを地盤中に沈設する工法の開発が
望まれてきた。

上記目的を達成するため、コンクリートパイル
全長にわたつて、らせん形のコンクリート翼を設
けたパイルが開発され、パイル頭部に回転力を与
えて、地盤中にそのパイルを沈設する工法も出現
しているが、次の欠点を有している。

その欠点は、 (1) コンクリートパイルの全長にわたつてらせん
形のコンクリート翼を設けているため、その製
造のための型枠が複雑で高価であり、配筋も面
倒であり、製造コストがかかる。

(2) パイル頭部に回転を与えて、パイルを沈設す
るため、パイル長が長くなると、土の摩擦力に
よつてパイル頭部の回転力はパイル下端まで伝
達され難く、沈設長に制限があること、及びパ
イル長が長くなるとパイルにねじれモーメント
が作用してパイルがねじれによつて、切断され
る可能性があること。

が挙げられる。

「発明が解決しようとする問題点」 本発明は、これら従来工法の欠点を解決し、製
作費が安価なコンクリートパイルを使用し、これ
を無騒音、無振動で容易に地盤中に沈設できる工
法を提供しようとするものである。

「問題点を解決するための手段」 本発明は、中空パイルの先端に、外周にらせん
形のプレイドを突設しかつ中央部に横断面角形の
嵌合穴を形成した推進パイルを接続するととも
に、この接続されたパイル中に、下端部に前記嵌
合穴と対応した形状の角形ブロツクを有する回転
シヤフトを挿入して、前記角形ブロツクを嵌合穴
に嵌合するとともに、パイルの頭部と回転シヤフ
トとを非回転に結合し、回転シヤフトの回転力を
パイルの下部及び頭部に与えながらパイルの沈設
を行うことを特徴とするものである。

「実施例」 以下、本発明の実施例について図面を参照して
説明する。

第１図乃至第５図は本発明工法において使用す
るコンクリートパイル及びその沈設用回転シヤフ
トを示したもので、Ａは推進パイル、Ｂは推進パ
イルに接続して沈設する通常の中空パイル、Ｃは
これらの各パイルＡ，Ｂに回転力を付与するため
の回転シヤフトである。

推進パイルＡは、コンクリート製パイル本体１
の外周を保護鉄板２によつて被覆し、その外周に
沿つてらせん形のプレイド３が１〜数巻きにわた
り突設されている。そして、基端部の中央部には
横断面角形の嵌合穴４が所要の深さにわたり形成
されている。

なお、上記の嵌合穴４の横断面形状は、実施例
の図面においては六角形となつているが、これは
四角形その他適宜な角形に形成できるものであ
り、また、らせん形プレイド３は実施例の図面に
おいては連続したらせんとなつているが、これを
不連続状態に分断し、全体としてらせん状に形成
したものでもよい。

中空パイルＢは、基礎杭として一般に使用され
ているものであるから特に説明するまでもない
が、中空なコンクリート製の本体５の両端部外周
は保護鉄板６で被覆され、両端面には端板７が設
けられ、本体５中には軸鉄筋（図示を略す）が配
設されている。

また、中空パイルＢの頭端上には角形中空孔９
が形成される２つ割りとした係合ブロツク８，８
が、中空パイルＢの端板７に設けられた型枠取付
け用のネジ孔を利用してネジ１０，１０により着
脱自在に固着されるようになつている。

回転シヤフトＣは、断面円形のシヤフト本体１
１の先端に、嵌合穴４へ遊嵌する下部角形ブロツ
ク１２を備えるとともに基端にオーガージヨイン
ト１３を備えている。また、シヤフト本体１１の
上部には、シヤフト本体１１より若干径大の鍔１
４が固着されているとともに、その上方に適宜な
距離をおいてキー孔１５が貫設されており、この
キー孔１５にはキー１６が抜差自在に挿入される
ようになつている。そして、鍔１４上にはシヤフ
ト本体１１の嵌挿孔１８とキー１６に係合する多
数のキー溝１９を上面に放射状に設けるととも
に、横断面を前記角形中空孔９に内嵌できる形状
とした遊挿角形ブロツク１７がシヤフト本体１１
に挿脱自在に載置されるようにされており、その
載置後、キー１６をキー溝１９に合せてキー孔１
５に挿嵌することにより、遊挿角形ブロツク１７
はキー１６を介してシヤフト本体１１と非回転的
に結合されるようになるのである。シヤフト本体
１１に設けられる鍔１４及びキー孔１５の位置
は、回転シヤフトＣの下部角形ブロツク１２を嵌
合穴に嵌めて回転シヤフトを立設したときに遊挿
角形ブロツク１７が係合ブロツク８の角形中空孔
９に係合するに適した位置とされる。

本発明工法は、従来一般に使用されている中空
パイルＢの先端に推進パイルＡを接続して沈設作
業を行うもので、中空パイルＢと推進パイルＡと
は、従来のパイル相互の接続と同様に、両パイル
Ａ，Ｂの各端部を接合して、その周辺部を溶接し
て結合する。また、中空パイルＢの上端には係合
ブロツク８，８を取付ける。そして、前記の回転
シヤフトＣをパイル中に挿入し、その下部角形ブ
ロツク８を推進パイルＡの嵌合穴４へ嵌合させる
とともに、シヤフト本体１１に遊挿角形ブロツク
１７を挿通し係合ブロツク８の角形中空孔９に係
合して鍔１４に載置し、合致したキー溝１９を通
してキー１６をキー孔１５に嵌入して遊挿角形ブ
ロツク１７をシヤフト本体１１に固定する。

次に、パイルＢの上端の係合ブロツク８，８の
上面に例えばナイロン等弾性と潤滑性のある座板
２０を載置し、その上からキヤツプ２１を介して
オーガー機構Ｄを載せ、オーガージヨイント１３
をパイル沈設用やぐらの駆動軸２２に連結する。
そして回転させれば、シヤフトＣの回転力はその
下部角形ブロツク８と嵌合穴４とを介して推進パ
イルＡに伝達されると同時に、遊挿角形ブロツク
１７と係合ブロツク８，８の係合を介して中空パ
イルＢの頭部に伝達されて回転される。そして推
進パイルＡのらせん形プレイド３により掘削が進
行し、推進パイルＡ及びこれに接続の中空パイル
Ｂは地盤中に貫入して行くことになる。

地盤に貫入した中空パイルＢを更に深く沈設さ
せるには、中空パイルＢに他の中空パイルを接続
するとともに、接続する中空パイルと同長の接続
シヤフトを回転シヤフトＣに接続し、以下同様に
操作すればよい。

パイルの沈設作業が終つた後は、駆動軸とオー
ガージヨイント１５との結合を解き、回転シヤフ
トＣを引き抜けばよい。

「作用」 本発明工法においては、オーガーの回転力は回
転シヤフトＣを介して推進パイルＡ及び中空パイ
ルＢの頭部に付与される。すなわち、沈設するパ
イルはその下端部と頭部とに回転力を得て回転さ
れる。したがつて、プレイド３による地盤への切
れ込みと土圧とにより最も抵抗の大きくかかるパ
イル下端部にも直接的に回転力が付与されること
になる。そのためパイル全体には殆んど捩りモー
メントが作用することなく、パイルは容易に沈設
されていくことになるのである。

「発明の効果」 以上説明したように、本発明は、中空パイルの
先端に、外周にらせん形のプレイドを突設しかつ
中央部に横断面角形の嵌合穴を形成した推進パイ
ルを接続するとともに、この接続されたパイル中
に、下端部を前記嵌合穴と対応した形状の角形ブ
ロツクを有する回転シヤフトを挿入して、前記角
形ブロツクを嵌合穴に嵌合するとともに、パイル
の頭部を回転シヤフトに非回転に結合し、回転シ
ヤフトの回動力をパイルの下部及び頭部に与えな
がらパイルの沈設を行うようにしたので、パイル
を地盤中に無騒音、無振動によつて容易に沈設す
ることができ、しかも、パイルにはその頭部ばか
りでなく抵抗の最も多くかかる不端部にも回転力
が与えられるので、パイルに捩れモーメントも作
用せずパイルが切断されるというおそれがない。
また、そのパイルは、掘削をするらせん形プレイ
ドがパイルの下端部だけに設けられているので、
製作が容易で安価に提供できるという効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明工法において使用する中空パイ
ルの一実施例を示す側断面図、第２図は同平面
図、第３図は同第１図Ａ−Ａ線の断面図、第４図
は同回転シヤフトの一部切欠側面図、第５図は同
平面図、第６図は中空パイルと推進パイルとに回
転シヤフトを挿入した施工状態を示す側断面図、
である。 Ａ……推進パイル、Ｂ……中空パイル、Ｃ……
回転シヤフト、Ｄ……オーガー機構、３……らせ
ん形プレイド、４……嵌合穴、８……係合ブロツ
ク、９……角形中空孔、１１……シヤフト本体、
１２……下部角形ブロツク、１５……キー孔、１
６……キー、１７……遊挿角形ブロツク、１８…
…嵌挿孔、１９……キー溝。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 中空バイルの先端に、外周にらせん形のプレ
   イドを突設しかつ中央部に横断面角形の嵌合穴を
   形成した推進バイルを接続するとともに、この接
   続されたバイル中に、下端部に前記嵌合穴と対応
   した形状の角形ブロツクを有する回転シヤフトを
   挿入して、前記角形ブロツクを嵌合穴に嵌合する
   とともに、パイルの頭部を回転シヤフトに非回転
   に結合し、回転シヤフトの回転力をパイルの下部
   及び頭部に与えながらパイルの沈設を行うことを
   特徴とする、コンクリートパイルの沈設工法。