JPH034144Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はモータの刷子係着装置、特に、磁石式
直流電動機のブラシ回転角の位置決め機構を付加
したモータの刷子係着装置に関するものである。

従来、この種のモータの固定子には、例えば、
添付図面第１図に示すようなものがあつた。

すなわち、図において、符号１は磁石式直流電
動機（モータ）の固定子、２は軟鋼板部材で構成
される円筒状の継鉄であつて、界磁々極３が継鉄
２の内周面に固着されている。４は界磁々極３を
構成するフエライト永久磁石材料で構成される主
磁極、５は同様の電機子反作用磁束が作用する増
磁側端に主磁極４に接続して固着される補助磁極
であつて軟鋼条部材で構成される。この固定子１
に、後に添付図面第３図において述べると同様の
電機子が回転自在に枢着され、且つ、刷子装置
（図示せず）が所定位置に係着されてモータが構
成される。なお、上記構成のモータの動作につい
ては一般的に良く知られており、従つて、その説
明はここでは省略する。

従来のこの種モータは以上のように構成されて
いるので、固定子１と刷子装置（図示せず）との
回転方向における位置決め装置すなわち刷子係着
装置が構成されておらず、従つて、モータの組立
に際しての組付精度が充分に得られない等の欠点
があつた。

本考案は、上記のような従来のモータにおける
欠点を解消し、界磁々極と刷子装置とを簡単な構
成によりしかも高精度のもとに組み立て得るモー
タの刷子係着装置を提供することを目的とするも
のである。

本考案は、この目的を達成するためになされた
ものであり、継鉄の軸方向に突出した突出部を補
助磁極に形成し、この突出部に基板を係合させた
ものである。

以下、本考案を、その第１〜第３実施例を示す
添付図面第２図〜第５図に基づいて説明する。

まず、第１実施例を示す第２図及び第３図にお
いて、符号６はモータ、例えば、磁石式直流電動
機、７はその固定子であつて、筒状の継鉄８の内
周面に複合型の界磁々極９が接着剤等によつて固
着されている。また、この界磁々極９は主磁極４
と、その電機子反作用磁束が作用する増磁側端側
端部に固着される補助磁極１０とから構成され、
この補助磁極１０は継鉄８の端部に形成のインロ
ー部８ａまで突出して突出部１０ａを形成してい
る。１１は刷子装置であつて継鉄８のインロー部
８ａに基板１２が遊嵌され、該インロー部に装着
される後部機枠１３によつて挾着される。１４は
基板１２に構成された切欠きであつて、この切欠
き１４に補助磁極１０の突出部１０ａが嵌合して
装着され、刷子装置１１の回転方向の位置決め機
構を構成している。１５はブラシホルダ１６によ
つて保持されるブラシであつて、ブラシばね１７
によつて電機子１８の整流子１９に摺接するよう
に押圧付勢されている。２０は電機子１８の回転
軸であつて、後部機枠１３の突設部２１の穴２１
ａに嵌着されたスリーブベアリング２２によつて
回転自在に軸承される。２３は回転軸２０に嵌着
される電機子鉄心、２４はこの電機子の図示しな
いスロツトに巻装される電機子コイルであつて、
整流子１９のセグメント２５に電気的、機械的接
続がなされている。２６はセグメント２５を固着
するモールド、２７ａはスラストワツシヤ、２７
ｂはパツキンである。

本考案の第１実施例は、上記のように構成され
るが、次に、その動作について説明する。

ブラシ１５に直流電源装置、例えば図示されな
いバツテリが接続され、電機子１８が通電付勢さ
れ、固定子７の励磁力を受けて電機子１８が回転
力を発生し、回転する。なお、上記実施例では、
補助磁極１０の突出部１０ａを基板１２の切欠き
１４に係合させていることにより、界磁磁極９に
対するブラシ１５の位置決め精度が高精度に保た
れており、モータ６の特性、特に整流特性が保証
されている。

ここで、上記のようなモータ６、例えば自動車
用のスタータモータでは、近年、６極界磁モータ
が増加しており、従来の４極界磁モータの6/4倍
のブラシ角精度を維持しなければ、同等の整流特
性が得られない。

これに対して、本考案によれば、上記実施例の
装置のように、界磁磁極９の一部を構成する補助
磁極１０の突出部１０ａを、ブラシ１５が取り付
けられる基板１２に直接係合させているので、従
来に比べて、十分なブラシ角精度を簡単に得るこ
とができる。

また、フエライト永久磁石材料からなる主磁極
４に比べて、軟鋼条部材からなる補助磁極１０は
安価であるため、これに突出部１０ａを設けても
全体が高価になることはない。

なお、上記第１実施例では、補助磁極１０を継
鉄８のインロー８ａ端部まで突出させる構成とし
たが、これを若干距離のみ突出させる構成とし、
第４図に示す第２実施例のように、基板に係合さ
せてもよい。すなわち、図において、符号２８は
固定子、２９は複合型の界磁々極であつて、刷子
装置の基板３０に構成された凹溝３１に補助磁極
３２の突出部が嵌合され、位置決め係着される。
なお、上記以外の部分は第２図又は第３図に説明
したものと同様構成である。このように第２実施
例においては、補助磁極３２を余り突出せずに、
必要な位置決め精度が得られる効果を奏する。

更に、補助磁極と基板との嵌合は、補助磁極に
一部突出部を形成して構成しても良く、このよう
に構成された第３実施例を、以下、第５図により
説明すると、図において、符号３３は磁石式直流
電動機の固定子、３４は軟鋼板部材で構成される
円筒状の継鉄、３５はこの継鉄３４の内周面に固
着される複合型界磁々極の補助磁極であつて、端
部に突出部３６が一体的に形成され、刷子装置の
基板３７に構成された切欠き３８が位置決め嵌合
される。

このように、第３実施例によると、基板の回転
方向及び軸方向の位置決め機能が得られる効果を
奏する。

以上説明したように、本考案のモータの刷子係
着装置は、継鉄の軸方向に突出した突出部を補助
磁極に形成し、この突出部に基板を係合させたの
で、界磁磁極に対してブラシを直接的に位置決め
することができ、従つて安価で簡単な構成で十分
なブラシ角精度を得ることができ、この結果モー
タに十分な整流特性を持たせることができるとい
う効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の固定子を内部から見た要部を示
す斜視図、第２図は本考案の第１実施例による固
定子の界磁々極を内部から見た要部を示す斜視
図、第３図は第２図に示す界磁々極を有する本考
案の第１実施例の磁石式直流電動機の後部縦断面
図、第４図は本考案の第２実施例による固定子の
内面から見た展開図、第５図は本考案の第３実施
例による断面図である。 図において、１，７，２８，３３……固定子、
２，８，３４……継鉄、３，９，２９……界磁々
極、４……主磁極、５，１０，３２，３５……補
助磁極、１０ａ……突出部、１２，３０，３７…
…基板、１４，３８……切欠き、３１……凹溝、
３６……突出部。なお、各図中、同一符号は同一
又は相当部分を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 固定子の外殻となる筒状の継鉄と、この継鉄の
   内周面に固着されている永久磁石材製の主磁極
   と、この主磁極に接続されて前記継鉄の内周面に
   固着されているとともに、前記継鉄の軸方向に突
   出した突出部が形成されている軟鋼部材製の補助
   磁極と、前記継鉄の端部に装着されているととも
   に、前記突出部に係合しており、ブラシを保持す
   るブラシホルダが固着されている基板とを備えて
   いることを特徴とするモータの刷子係着装置。