JPH0341164Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は二輪車の後輪を懸架する油圧緩衝器
の改良に関する。

（従来の技術） この種の油圧緩衝器は、例えば第３図のように
構成される（実願昭58−167028号など）。

１はシリンダ２の外側に配設した懸架用のコイ
ルスプリングで、コイルスプリング１はその両端
をピストンロツド３の先端部とシリンダ２の基端
部にそれぞれ取り付けたリテーナ４と５の間に介
装される。リテーナ５はシリンダ２外周のネジ部
１３に螺合され、その螺進位置を変えることによ
りコイルスプリング１の初期荷重調整が行えるよ
うになつている。

シリンダ２はその内周面に摺接するピストン６
が収装され、このピストン６に連結したピストン
ロツド３はロツドガイドやオイルシール等を介し
てシリンダ２の外方に突出する。

ピストン６は作動油の充満するシリンダ２内を
油室ＡとＢに画成し、油室Ｂから油室Ａへの作動
油の流れに対して抵抗を付与する伸側オリフイス
７と、油室Ａから油室Ｂへの作動油の流れに対し
て開くチエツクバルブ８が設けられる。

一方、タンク９の油溜室Ｃは通路１０を介して
油室Ａに連通され、ピストンロツド侵入体積分の
作動油の出入りを補償するようになつている。１
１は油溜室Ｃに流入する作動油に圧側減衰力を付
与する減衰バルブを示す。

そして、油圧緩衝器１２は車体と車輪の間に伸
縮自在に介装され、圧側減衰バルブ１１などによ
り車輪が受ける衝撃を緩和し、路面からの振動を
減衰する。

（考案が解決しようとする問題点） ところで、このような油圧緩衝器にあつては、
タンク９部材をアルミ鋳造により、またシリンダ
２部材をアルミパイプから別々に製作し、両者を
ネジ結合により組付けるようにしているが、これ
だと振動による緩みの問題があり、ネジ結合後に
緩み物止めを施さなければならなつた。なお、ネ
ジ結合に伴う緩みの問題を解決するためには、タ
ンク９部材とシリンダ２部材を完全に一体化する
ことが望まれるが、その場合タンク９の干渉によ
りシリンダ２外周のネジ部１３の機械加工が困難
になるという問題点があつた。

（問題点を解決するための手段） この考案はこのような問題点を解決するため、
シリンダの外部にピストン侵入体積分の作動油の
出入を補償する油溜タンクを備えると共に、シリ
ンダとピストンロツドの間に懸架用コイルスプリ
ングを介装した二輪車の油圧緩衝器において、油
溜タンクをシリンダと一体鋳造すると共に、外周
にネジ部を形成したカラーをシリンダ外周に回り
止め手段を介して嵌め付ける一方、シリンダ側で
前記コイルスプリングの一端を担持するリテーナ
を前記カラーのネジ部に螺合したものである。

（作用） これによれば、油溜タンクとシリンダを一体鋳
造したので、ネジ結合に伴う緩みの問題は解決す
る。また、リテーナの螺合するネジ部はシリンダ
と別体のカラー外周に形成すれば良く、ネジ加工
の容易化が図れる。

（実施例） 第１図において、２０は車軸側に連結されるシ
リンダ、２１は車体側に連結されるピストンロツ
ド、２２はシリンダ２０内を油室ＡとＢに画成す
るピストンで、ピストン２２には図示しないが、
従前と同じく油室Ｂから油室Ａへの作動油の流れ
に対して抵抗を付与する伸側減衰力発生機構が設
けられる。

２３は油室Ａのピストンロツド侵入体積分の作
動油の出入を補償する油溜室Ｃを内部に備えるタ
ンクで、タンク２３は油溜室Ｃを油室Ａに連通す
る通路２４部分を含めて、シリンダ２０と共にア
ルミナ鋳造により一体形成される。この場合シリ
ンダ２０の下部外周には後述するカラー２６の端
面を係止する段部２７と、第２図でも示すように
カラー２６の端面に軸方向へ向けて形成した切欠
溝２８と係合する突起２９が設けられる。

カラー２６は外周にリテーナ３０の螺合するネ
ジ部３１が形成され、シリンダ２０外周に上方か
ら嵌め付け、既述のように端面が段部２７に突き
当たる位置で切欠溝２８と突起２９との係合によ
り回り止めされる。

そして、ピストンロツド２１の先端部に取り付
けたリテーナ３２とカラー２６外周に螺合したリ
テーナ３０との間には懸架用コイルスプリング３
３が介装され、コイルスプリング３３はカラー２
６に対するリテーナ３０の螺進位置を変えること
により初期荷重の調整が可能となつている。

なお、３４は油溜室Ｃに流入する作動油に圧側
減衰力を付与する減衰バルブで、これは通路２４
の途中に組み付けられる。

このように構成したので、油圧緩衝器３５は従
前と同じく車体と車輪に間に伸縮自在に介装さ
れ、圧側減衰バルブ３４などにより車輪の受ける
衝撃を緩和して振動を減衰する。

この場合、タンク２３とシリンダ２０を鋳造に
て一体化したので、ネジ結合による緩みの問題は
解消される。また、リテーナ３０の螺合するネジ
部３１はシリンダ２０と別体のカラー２６外周に
形成し、これを嵌め込み式としたので、タンク２
３とシリンダ２０との一体化にも拘わらず、ネジ
部３１の機械加工は容易である。

（考案の効果） 以上要するにこの考案によれば、油溜タンクを
シリンダと一体鋳造すると共に、外周にネジ部を
形成したカラーをシリンダ外周に回り止め手段を
介して嵌め付ける一方、シリンダ側で前記コイル
スプリングの一端を担持するリテーナを前記カラ
ーのネジ部に螺合するようにしたので、タンクと
シリンダのネジ結合に伴う緩みの問題が解消され
る一方で、シリンダ側でのリテーナの螺合するネ
ジ部の機械加工も容易であるという効果が得られ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例を示す一部断面構成
図、第２図はそのＡ−Ａ断面図、第３図は従来装
置の一部断面構成図である。 ２０……シリンダ、２１……ピストンロツド、
２２……ピストン、２３……タンク、２６……カ
ラー、２８……切欠溝、２９……突起、３０……
リテーナ、３１……ネジ部、３３……懸架用コイ
ルスプリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダの外部にピストン侵入体積分の作動油
   の出入を補償する油溜タンクを備えると共に、シ
   リンダとピストンロツドの間に懸架用コイルスプ
   リングを介装した二輪車の油圧緩衝器において、
   油溜タンクをシリンダと一体鋳造すると共に、外
   周にネジ部を形成したカラーをシリンダ外周に回
   り止め手段を介して嵌め付ける一方、シリンダ側
   で前記コイルスプリングの一端を担持するリテー
   ナを前記カラーのネジ部に螺合したことを特徴と
   する二輪車の油圧緩衝器。