JPH0340718Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、円環状のポンツーンを有する半沈下
型浮遊構造物に関し、特に円環状減揺タンクを付
設された半沈下型浮遊構造物に関する。

〔従来の技術〕

一般に、洋上等に浮遊させて配置される浮遊構
造物においては、同構造物内の作業員の作業効率
や安全性能を考慮して、その動揺を軽減すること
が不可欠となつている。

そこで、従来より、水面下に細長い胴状のポン
ツーンを複数個並行して設け、同ポンツーン上方
に、水面を貫通する支柱を介し、デツキをそなえ
た半沈下型浮遊構造物が提案されている。

このような半沈下型浮遊構造物では、水面を貫
通する部分が、横断面積の小さい支柱となつてい
るため、構造物が波浪の影響を大きく受けること
はなく、同構造物の動揺を軽減できる。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、上述のような従来の半沈下型浮
遊構造物では、波浪から受ける影響をある程度抑
えることはできるが、それでもまだ構造物本体の
動揺を十分に軽減できないという問題点がある。

ところで、船舶の減揺装置として、船体内部に
設けられたタンク内に、船体の動揺に応じて移動
可能な遊動水を内蔵して構成される減揺タンクが
用いられている。この減揺タンクは、遊動水の移
動流量を制御して船体の動揺に相反するモーメン
トを船体に与えて、船体の動揺を軽減するように
なつている。

そして、この減揺タンクは、半沈下型浮遊構造
物に設けた場合においても優れた動揺軽減性能を
発揮できるものと期待されるが、細長い胴状のポ
ンツーンを有する従来の半沈下型浮遊構造物で
は、上記の減揺タンクを設けるのは極めて困難で
あるという問題点がある。

本考案は、上述の問題点の解決をはかろうとす
るもので、円環状減揺タンクを付設できるように
して、同減揺タンクの作用により、動揺を確実に
軽減できるようにした円環状減揺タンク付き半沈
下型浮遊構造物を提供することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

このため、本考案の円環状減揺タンク付き半沈
下型浮遊構造物は、円環状のポンツーン上に支柱
を介してデツキをそなえた半沈下型浮遊構造物に
おいて、上記ポンツーンの内部に設置されて遊動
水を内蔵する円環状減揺タンクと、同減揺タンク
の円周方向に適宜の間隔を有して設けられた軸回
転可能の複数の邪魔板と、同邪魔板を回転駆動し
うるモータと、上記浮遊構造物の動揺を検出する
センサと、同センサからの検出信号に基づき上記
モータを制御して上記邪魔板の開度を調整する制
御器とが設けられたことを特徴としている。

〔作用〕

上述の本考案の円環状減揺タンク付き半沈下型
浮遊構造物では、浮遊構造物の動揺を検出するセ
ンサからの検出信号に基づき、円環状減揺タンク
内の邪魔板の開度が制御されて、上記円環状減揺
タンク内部の遊動水の移動流量が調整される。こ
れにより、上記浮遊構造物の動揺に相反するモー
メントが発生し、上記浮遊構造物の動揺が軽減さ
れる。

〔実施例〕

以下、図面により本考案の一実施例としての円
環状減揺タンク付き半沈下型浮遊構造物について
説明すると、第１図はその斜視図、第２図はその
平面図、第３図はその側面図、第４図は第１図の
−矢視拡大断面図、第５図はその円環状減揺
タンクを示す斜視図、第６図は第５図の−矢
視断面図、第７図は第５図の−矢視断面図で
ある。

第１〜３図に示すように、本実施例の円環状減
揺タンク付き半沈下型浮遊構造物は、水面下に配
設される円環状のポンツーン１上に、水面を貫通
する４本の支柱４を介してデツキ１１が設けら
れ、デツキ１１の中央部には構造物の動揺検出セ
ンサとしての傾斜計１２がそなえられている。

さらに、ポンツーン１の内部には、第５図に示
すような円環状の減揺タンク２が、第２〜４図に
示すごとく円環状ポンツーン１の外周壁の内周面
に寄り添うように設置されている。

この円環状減揺タンク２は、第４図に示すよう
に、遊動水６を内蔵するとともに、同減揺タンク
２の内部には、第６，７図に示すように、邪魔板
３が一定の間隔を有して８個配設されている。そ
して、この邪魔板３は、同邪魔板３の上下に取り
付けられた回転軸８を、減揺タンク２の上下面に
取り付けられた軸受７に支持されて、減揺タンク
２内において回転中心線９周りに回転可能に設け
られている。

また、各邪魔板３は、傾斜計１２の検出信号に
基づいて遊動水６の移動流量を調整すべく、その
上部の回転軸８をモータ１０に接続されて、開度
を調整されるようになつている。

なお、モータ１０は、傾斜計１２からの検出信
号に基づき、図示しない制御器により制御され
る。

また、ポンツーン１は、半沈下型浮遊構造物全
体を支持するのに十分な浮力を有している。

図中の符号５は遊動水６の自由表面を示す。

本考案の一実施例としての円環状減揺タンク付
き半沈下型浮遊構造物は上述のごとく構成されて
いるので、波浪等の影響で浮遊構造物の本体が動
揺した場合、本体の動揺に応じて遊動水６も円環
状減揺タンク２の内部を移動する。

このとき、傾斜計１２の検出信号に基づいて図
示しない制御器によりモータ１０を制御して各邪
魔板３に適当な開度を与え、遊動水６の移動流量
を調整することにより、減揺タンク２内において
遊動水６を偏在させる。

これにより、浮遊構造物本体の動揺と相反する
ようなモーメントが発生して、浮遊構造物本体の
動揺が効果的に且つ確実に軽減されるのである。

また、円環状のポンツーン１を有しているた
め、波漂流力に対して対称性を有し、浮遊構造物
の位置制御を極めて容易に行なえるようになるほ
か、従来の双胴状の細長いポンツーンに比べ、円
環状ポンツーン１および同ポンツーン１内部の円
環状減揺タンク２等の点検やメンテナンスの作業
が極めて容易に行なえるようになる利点もある。

さらに、本実施例の円環状減揺タンク付き半沈
下型浮遊構造物では、円環状ポンツーン１の内部
において、同ポンツーン１の外周壁の内周面へ偏
位して寄り添うように円環状減揺タンク２が設け
られるので、減揺タンク２の設置が簡便に行なわ
れるとともに、同タンク２がポンツーン１の内周
壁の内周面がに寄り添うように設けられる場合に
比べて、その中心円の半径が増すことにより高い
減揺性能を得ることができる。

また減揺タンク２の高さを低くして、同タンク
２をポンツーン１の内底面に添わせるように設け
ることもできる。

〔考案の効果〕

以上詳述したように、本考案の円環状減揺タン
ク付き半沈下型浮遊構造物によれば、次のような
効果ないし利点が得られる。

(1) 円環状ポンツーンの内部に円環状減揺タンク
が設けられるので、同タンクの設置が容易に行
なわれるようになり、その設置態様について
も、ポンツーンの外周壁の内周面に添わせた
り、ポンツーンの内底面に添わせるようにした
りして、自由に設計できる利点がある。

(2) 円環状減揺タンクの円周方向に適宜の間隔を
あけるようにして軸回転可能の複数の邪魔板が
設けられ、動揺検出センサからの検出信号に基
づき上記邪魔板の開度が制御されるようになつ
ているので、減揺効果が的確に得られる利点が
ある。

(3) 軸対称の形状を有する水面下の円環状ポンツ
ーンにより支柱を介して水面上方のデツキが支
持されるため、この半沈下型浮遊構造物の位置
制御が極めて容易に行なわれるほか、ポンツー
ンや、その内部の減揺タンクのメンテナンス等
の作業が簡易化されるようになる。

【図面の簡単な説明】

第１〜７図は本考案の一実施例としての円環状
減揺タンク付き半沈下型浮遊構造物を示すもの
で、第１図はその斜視図、第２図はその平面図、
第３図はその側面図、第４図は第１図の−矢
視拡大断面図、第５図はその円環状減揺タンクを
示す斜視図、第６図は第５図の−矢視断面
図、第７図は第５図の−矢視断面図である。 １……ポンツーン、２……減揺タンク、３……
邪魔板、４……支柱、５……自由表面、６……遊
動水、７……軸受、８……回転軸、９……回転中
心線、１０……モータ、１１……デツキ、１２…
…センサとしての傾斜計。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 円環状のポンツーン上に支柱を介してデツキを
   そなえた半沈下型浮遊構造物において、上記ポン
   ツーンの内部に設置されて遊動水を内蔵する円環
   状減揺タンクと、同減揺タンクの円周方向に適宜
   の間隔を有して設けられた軸回転可能の複数の邪
   魔板と、同邪魔板を回転駆動しうるモータと、上
   記浮遊構造物の動揺を検出するセンサと、同セン
   サからの検出信号に基づき上記モータを制御して
   上記邪魔板の開度を調整する制御器とが設けられ
   たことを特徴とする、円環状減揺タンク付き半沈
   下型浮遊構造物。